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書き起こし これでわかった!世界のいま ▽経済にもトランプの壁 貿易の主役は米から中国に? 2016.11.2

その発表は突然、ウェブサイトに。
自由な貿易を進めお互いがより豊かになろうと話し合いを続けたTPP。
そんな大事なものだったのに。
これまでの議論も水の泡?TPPやめたら世界の貿易どうなっちゃうの?やっぱりやめるんですね。
早速、影響も出ているようです。
きょうのゲスト高橋真麻さんです。
真麻さんはどう見ていますか。
政策に掲げていましたからね。
実行し始めたんだなと思っています。
就任初日に離脱するということですがその影響について見ていきます。
きょうの先生です。
小宮デスクです。
なぜ真っ先に就任したら離脱とすぐに言ったのか気になります。
ひと言で言いますとTPPはまだ始まっていませんし、トランプ氏が選挙中に言っていたイスラム教徒を追い出すといった公約に比べると実行しやすかったからだと思います。
しかも、私はアメリカを守りますと言っていた、国民にPRしやすい公約でもあったんです。
離脱とは言いましたがTPP完全になくなったわけではありません。
開始への手続きが一時的にストップしてしまうということです。
アメリカが抜けたら全部だめになるイメージですが。
アメリカが参加しなければ発効しない。
ただ、やり直したいと思えば始めることはいつでもできるんです。
結局、トランプさんは何がしたいんでしょうか。
それについてはこちらの模型をご覧ください。
トランプ氏はメキシコとの国境に壁を造って不法移民をアメリカに入国させないということばで注目されました。
本当に壁を造るのはお金がかかるし大変ですね。
まずは貿易の面でこのように自分の国を壁で囲みますよと宣言したんです。
その動きの1つがTPP離脱ということなんです。
このアメリカを囲んでいる壁、これは関税です。
輸入品にかかる税金です。
オバマ政権下で進んでいたTPP、このように、壁、今ある関税を下げて安い外国の製品を購入するなど外国と自由に貿易ができる体制を整えようとアメリカや日本主導で進めていたルールです。
関税を下げることで安い商品を入れようということですね。
消費者としては安いモノが買えるので非常にうれしいですね。
でも国内の製造業で働く人にとってみると不満もあるんです。
なぜならば外国の安い製品が大量に入ってくることで自分の会社の製品が売れなくなって工場が潰れてしまうと雇用が奪われることになるからです。
トランプ氏が選挙でクリントン氏に勝ったオハイオ州では製造業が安い商品によって衰退してしまった。
そういった不満が強いんです。
ですのでトランプ氏はTPPはやめてしまえ、アメリカを壁で囲んだままにして労働者を守る、アメリカ・ファーストだと言って国内労働者にアピールして当選したんです。
そうすると関税が上がるので安い商品が入ってこなくなるということです。
トランプ氏は実際に数日前にアップル社のCEOに対して工場をアメリカに移せと言ったとされています。
アップル社の工場は中国などアメリカの国外に数多くあります。
iPhoneの工場をアメリカに作れと持ちかけたわけです。
アメリカの工場でアメリカの労働者によるメード・イン・USAのiPhoneを作るんだ、そうすると労働者も雇用が増えてアメリカ国民の労働者も喜びます。
確かにあまり身近でメード・イン・USAは見ないですね。
ほとんどが国外で生産されていますね。
こうしたトランプ氏の姿勢というのは保護主義、内向きだと言われます。
日本など国の経済を貿易に頼っている国にとっては関税を下げて貿易しやすいルールがなくなってしまうと非常に打撃になります。
さらにトランプ氏は、この壁をもっと増やそうとしています。
前の部分、ほかの所よりも微妙に低いですね。
これはアメリカの隣の国、メキシコとカナダの間で実際に機能しているNAFTAという貿易協定を表しています。
カナダ、メキシコ、北米ですね。
この協定によってメキシコとカナダはアメリカ向けの商品の関税がほかの国より低く設定されています。
特に車などはメキシコは人件費が安いのでメキシコで作ってアメリカにどんどん入れるというところが増えています。
アメリカの大手自動車メーカーがメキシコに工場をたくさん作っているんです。
アメリカではメキシコで作られた安い車がアメリカにどんどん入ってくることでアメリカ国内で自動車が作れなくなっているというふうに不満を持っている人が結構います。
トランプ氏はこちらについてもこのように見直しますといって壁をもっと上げることで国内を守っていくとしています。
想像ですがどんどん経済が小さく内向きになりませんか。
ここで問題です。
壁を造っているトランプ氏ですが、ある一部のモノだけは外側からどんどん入れようとしています。
きっと千里さんは大好きです。
ダイヤモンドですか?外貨ですか?惜しいです。
お金です。
ニューヨークは、ウォール街という世界最大の金融センターを抱えています。
世界中からお金が集まってきます。
非常に景気がよくてお金持ちもたくさん住んでいます。
トランプ氏はこうしたお金持ちに対しては壁を設けずに世界からどんどんお金をこのように入れていこうとしているんです。
大統領選挙中にトランプさんはクリントン氏がウォール街ととても近い存在だと言っていました。
ウォール街にお金を入れていくと矛盾しませんか?確かにそうですがトランプ氏が当選したあとは壁を設けないことでアメリカに有利になりそうなお金持ちについてはお金をどんどん外から入れてください、壁を造りませんと言っています。
一方で壁を造ることで得をする労働者については壁を造って守りますといいとこ取りをしています。
そしてアメリカ・ファーストを徹底することでアメリカの経済だけをよくしようとしているんです。
ほかの国々は経済が悪くなるとアメリカの足を引っ張られないですか。
千里子、真麻ちゃん、でも保護主義で突っ走っていくとろくなことにならないと歴史は物語っているんだ。
1929年10月24日。
株価大暴落がきっかけで世界恐慌が起きた。
このときアメリカは国内の景気を回復させるため関税を40%とかめっちゃ上げて国の産業を保護したんだヨーソロー。
アメリカの取引先だった国も対抗。
あいつがやるんなら俺も引き上げるぞと次々、関税を引き上げた。
すると…。
国の中でしかモノが行き来しなくなって世界の経済が悪くなっていったんだヨーソロー。
大きい国はまだよかったけどエネルギーや食料がない国は超大変。
けんかを始める国まで出てきちゃったんだな。
こんなこともあって起きたのが第2次世界大戦ってやつだ。
保護主義をやりすぎるとこんなことにもなっちまうんだなー。
予想どおり怖くなりますね。
摩擦が起きるわけです。
シップが今言ったように保護主義で壁をみんなが造ると海外から安い商品が入ってこなくなりますのでそれぞれの国内で商品の値段が上がってインフレになったりします。
壁を造ることで貿易が少なくなります。
経済が立ち行かなくなることも予想されます。
みんながそうなると不満もたまります。
貿易摩擦から仲が悪くなって大きな争いにまで発展するケースも歴史上はあったということです。
ということはTPPみたいなルール作りが必要ということですね。
これまでの歴史の反省を生かして自分の国の利益を求めるだけでなく、互いに経済的に発展していこうと世界的な取り組みも行われてきたんです。
WTO・世界貿易機関という名前聞いたことありますか。
学生時代に習いました。
この機関が世界的な統一のルールを作ろうと交渉していましたが結局行き詰まってしまいました。
私もこの会議に何回か取材しましたが参加する国が多くてそれぞれ好きなことを言うので意見がまとまらないんです。
仲のいい国だけでやってみようと2国間で交渉を始めたんですが国の数が多いのでそれもなかなかうまくいかなかったんです。
そこで地域ごとにまとまってルールを決めようと作られたのがこういった経済圏です。
ヨーロッパのEUです。
これは早くできました。
先ほど言ったNAFTA、北米です。
こちらはTPP。
アジアでもそういう枠組みを作ろうと始まったものです。
こういったグループの中で貿易を自由に活発にやっていきましょうというものです。
TPPは最近なんですね。
アジア地域で進めていたTPPが今回行き詰まってしまったのでほかの枠組みでルールを作っていかなくてはいけないという動きも出ています。
それがRCEP・東アジア地域包括経済連携というグループです。
正式に始まっているわけではなくて交渉の段階です。
TPPに参加していたニュージーランドなんかはTPPではなく、こちらに軸足を移そうと言っています。

 

 

 


こちらに参加していない南米のペルーはこちらのRCEPのほうでやっていきたいと言っているんです。
実は日本もその交渉の中には入っているんです。
でもこの枠組みにはある国が主導権を握っているのではないかと言われていて日本も少し懸念を感じています。
TPPに入っていなくてRCEPに入っている力のある国というのは?これは難しいな。
中国?大正解です。
このメンバーで最も経済規模が大きいんです。
主導権を握れるんです。
ですので中国寄りのルールになるのではないかと言われているんです。
RCEPの参加国はTPPと重なっているところも多いんですが作られた発想や議論などはTPPと大きく違っているんです。
公正な競争をしようという理念は同じですが途上国の参加国が多いので発展途上国の立場に寄った視点が強い枠組みになっているといわれています。
例えば知的財産権。
音楽やアニメ、デザインなど多岐にわたるモノに関する権利です。
開発した人の権利を何年間か守ってあげよう。
その期間の間はコピーなどは作らせませんというのが知的財産権のスタンスです。
このスタンスがTPPとRCEPでは大きく違うわけです。
日本やアメリカなどが交渉を主導してきたTPPでは知的財産権のルールをきっちり決めましょうとしていました。
これに対してRCEPではどちらかというときっちり決めないほうがいいかなとしているんです。
知的財産権は結構大事ですよね。
途上国側に立ってみればきっちりルールを決めずにあいまいなままであれば安い値段でコピーを作って映画を楽しんだり、安い薬を早い期間で作ってしまえば都合がいいと、そういう面もあるといわれています。
さらにこちらでルールを決めた場合でもこんなことが起きる可能性があります。
映画のDVDです。
TPPでもRCEPでも発売当時は著作権を持っている会社しか作れないし、売れません。
TPPはこの著作権、大体70年ぐらい守りましょうとしています。
例えばRCEPで保護期間が短いほうがいい、早くみんなでDVDを見たいよねと5年にしてしまえとしてしまうと、5年後にはいろんな国で勝手に会社が作れてしまうんです。
TPPですとMR.シップの秘密は70年守られますがRCEPでは5年ぐらいでMR.シップの秘密が出回ってしまうんですね。
例えばドラえもんやスタジオジブリの映画、ハリウッドで作っている映画も仮にこのルールが成立してしまうと自由に5年後に誰でも作って売れるとなるんです。
しかも合法的なんですよね。
ルールを決めてしまえば極端な例ではありますが域内では一応、合法的です。
ここまで映画で見てきましたがもう1ついきましょう。
同じ問題が医薬品でも起きる可能性があります。
発売当時はTPPでもRCEPでも開発会社のみで売ることができます。
TPPでは開発の保護期間は8年としています。
ですがRCEPで安い薬を作りたい、2年後には作れるようにしてしまいましょうと決めれば2年後にジェネリック医薬品がこの域内では誰でも作れるようになってしまいます。
薬はたくさんあったほうが貧しい人たちのためになるからいいような気もします。
ですが、長い目で見ると先進国が薬を開発するのにたくさんのお金をかけています。
映画についてもお金をかけて作るわけです。
こういったもの、コピー商品が早く出回ってしまうともうからないからやめてしまおうとなりかねません。
薬など新しいものを作るところがなくなってしまうことが懸念されます。
難しい問題ですね。
貧しい国の方のためには安く早く薬を作ってあげたいですね。
バランスがなかなか難しそうです。
例えばRCEPがどんどん膨らんでいくといろんなことが起きます。
中国はRCEPができることで巨大な利益が得られると言われています。
アメリカ議会の諮問機関が試算したものです。
TPPだけが始まってRCEPがなかった場合は、中国は2兆4000億円の損失が出るとしています。
一方でTPPをやらないでRCEPだけ始まった場合、損するのではなくて9兆6000億円の経済効果があるとしています。
TPPが行き詰まったので中国から見ると完全に追い風になっているんです。
日本はどうなんですか?日本はいろんな試算がありますが長い目で見ると資材が守られているTPPのようなルールが、広く行き渡ったほうがいいわけです。
そもそもルールを決めるというのはそれぞれの国に自分たちが有利なルールを作りたいという主導権の争いがあります。
先にルールを作ったところのほうが得をするということです。
国対国の大きな争いですね。
RCEPも先ほどは極端な例ですがほかの国がみんながそれはいい、中国に有利なルールでもいいとなれば、こちらのほうがグローバルスタンダードになる可能性もあります。
実際にペルーはそのように言っているようですね。
中国の一人勝ちということになりそうですね。
日本もRCEPには入っているようですがうかうかしていられませんね。
両方やっていくんですか?日本としてはTPPで決めたこまやかなルールをRCEPでも受け入れてくださいとお願いしていますがなかなかうまくはいっていません。
どんどん参加する国が増えていくと発言力が増していくということになりますね。
日本にとっては行き詰まっているという意味で危機感があります。
トランプ氏がアメリカ・ファーストそう言ってTPP離脱を表明しているのはこういった波紋を呼ぶわけですね。
このまま放置するとアメリカや中国など一部の大きな国の思惑に左右されすぎて世界全体の景気が悪化することにもなりかねません。
これまでやってきた問題が顕在化してきて内向き志向が強まったことによってEUからイギリスが離脱したりヨーロッパの各国で右派が台頭していたりそういった事態になっています。
ただ、トランプ氏が保護主義で突っ走っていっても短期的には成功するかもしれませんがアメリカだけ孤立するということもありえます。
TPPに期限はないのでビジネスライクなトランプ氏はある日突然、アメリカに得だからTPPに復帰しようかなと言いだすことがあるかもしれません。
世界の貿易事情について見ていきました。
小宮デスクありがとうございました。
2時間目はヨットの話題です。
真麻さんはヨットはいかがですか。
私は少し船酔いが激しいんです。
ヨットというと優雅なイメージがありますが毎回、出場者のほぼ半数がリタイアしてしまう超過酷なレースが開かれているんです。
このレースにアジアから初めて日本人が出場しているんです。
海洋冒険家の白石康次郎さんです。
26歳のとき、当時としては最年少で港に寄らずヨットで単独世界一周を達成。
その後も世界大会で数々の記録を残しています。
今回は7か月前からフランスに入りレースの準備を進めてきました。
このレースのスタート地点はフランス西部にある港町レ・サーブル=ドロンヌ。
人口1万4000ほどの町は4年に1度のレースの時期になると、およそ200万人の観光客でにぎわいます。
レースはこの港町をスタートしたあと南極海、太平洋などを経て南半球、4万キロ余りを1周しフランスに戻るまでの時間を競います。
およそ3か月のレースの間は1人でヨットを操作します。
途中で港に寄ることも補給も許されません。
白石さんは地元でヨット教室を開くなど地道な取り組みを続けてきました。
今回のレースには3億5000万円の費用がかかります。
ヨットへの関心を持ってもらうことで賛同者を募り、その費用を10年かけて集めてきたのです。
レース開始の1週間前。
白石さんは400キロに及ぶ3か月分の食料や衣服などを積み込みます。
海水を真水に変える装置の動力の点検も怠りません。
そして迎えたスタート当日。
気をつけて。
行ってらっしゃい。
ありがとう。
日本人として初めての出場であることを意識しはかま姿でアピール。
家族や大勢の観客に見送られる中スタート地点に向かいます。
白石さんの長いレースが始まりました。
レース中に選手たちは原則1週間に3回以上日々の様子を映像で報告することになっています。
白石さんが撮影した映像では序盤、風を捉えてヨットは順調に進んでいました。
しかし、海上は気象状況が刻々と変わります。
そのたびに帆の調整が必要なため1度に取れる睡眠時間は30分から1時間ほどです。
出航からおよそ1週間。
トラブルに見舞われます。
後ろからの風を受ける帆の1枚が波をかぶって破れてしまったのです。
何が起きても動じないという気持ちでレースに臨んでいる白石さん。
映像には前向きなことばが記録されていました。
白石さんは今もゴールを目指し大海原を進んでいます。
見ていられない。
どきどきします。
ゴールできますように。
命の危険と隣り合わせですね。
大会の公式ホームページでは選手たちの動向も分かります。
GPSで位置も確認できます。
29人中、これまでに3人がリタイアしているんですが白石さんは頑張っています。
スタートして20日余りたちましたがフランスから始まって南に行って赤道を越えて南米とアフリカの真ん中の大西洋、ここに白石さん、頑張っています。
2016/11/27(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま ▽経済にもトランプの壁 貿易の主役は米から中国に?[字]

アメリカや日本の主導で進められてきたTPP。トランプ氏の「離脱」表明で見通しが立たない状況に。世界貿易のルールはどう変わるのか?そして日本のスタンスは?

詳細情報
番組内容
【ゲスト】高橋真麻,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】高橋真麻,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴