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書き起こし ブレイブ 勇敢なる者「えん罪弁護士」 2016.11.28

(酒井)今の日本じゃねなりますよ有罪率99.9%に!
(池添)ひと言で言うと異常だと思います。
(羽鳥)なかなかその無罪っていうのは1,000件に1件あるかないかと。
その中で…この日本でこれまでに無罪判決を14件勝ちとった男がいる。
(池末)14件ってのはすごいですね。
(八塚)もうとんでもないですよね。
もう奇跡ですよね!
(厳島)誰にもまねできないしね。
(厳島)まあ信念の人でしょうね。
99.9%の壁にね挑み続けてる。
(今村)これか。
ん?あっ!
(厳島)というのが今村核の行動なんだと思う。
ガード沿いの雑居ビルに「えん罪弁護士」今村核の職場がある。
(エレベーターのチャイム)
(音声)「7階です」。
(エレベーターの音声)「ドアが閉まります」。
(取材者)あの〜すみませんよろしくお願いします。
いらっしゃいませ。
ちょっとあの〜…。
個性的な弁護士ですので…。
う〜んなんて言えばいいんだろうなあ。
あの…表面はとっつきにくいかもしんない。
うん。
うちは2/3ぐらいは労働事件一生懸命やりますけどもそれと同じエネルギーを刑事事件に割いてるかっていうと悪いけど割いてないな。
(取材者)ここで?この事務所で?
(鴨田)はい。
(取材者)はぁ〜そうなんですか。
(鴨田)はい。
(野澤)普通の人から見たら偏屈な感じなんじゃないかな。
(エレベーターの音声)「ドアが閉まります」。
フンッまいっちゃうんだよねずっとこう撮影されてるとさあ。
(取材者)いやすいません…。
(エレベーターのチャイム)
(取材者)今村先生は…異常じゃないですか。
(取材者)異常ですか!?
(鴨田)あんだけ刑事事件を一生懸命になれるってのは類例がない。
やっぱり尊敬してますよ。
はい。
一見あの〜怖いんではないかというイメージが…。
見られてしまうんですが…
(滑る音)絶対滑るんだって。
やめようよもう!
(取材者)すいません…。
いやおまけにピカピカにさ磨き上げてんだよ。
こういう時に限ってな。
もうそっちからにしとこう!
(滑る音)
(取材者)いや大丈夫です!
(羽鳥)気難しい人だって言う人はいます。
やっぱりね…今村のもとには他の弁護士からの依頼が舞い込んでくる。
(一木)控訴審ではね刑事弁護についてまあ力のある人をお願いして何としてでも無罪とりたい。
「じゃあ今村弁護士」と。
弁護士から依頼されるケースは多いと思いますよ。
弁護士からも頼りにされる弁護士。
それが今村核だ。
まあ請われてってほどでもなかったのかもしんないけど…今村が引き受けてきたのは世間ではあまり知られていない事件が多い。
羽鳥弁護士もかつて今村に助けを求めた一人だった。
当時今村核はね弁護士9年目ぐらいだったと思いますけども既に無罪を4件ぐらいとってると。
まあこと刑事事件無罪という事に関して言えばもうとても足元にも及ばないと。
これはもう…それは2000年3月に起きた事件だった。
あまり知られてませんけど放火事件としてはある意味典型的だし…決して小さい事件じゃないんですよ。
(消防車のサイレン)都内のすし店で火災が発生。
あぁ…あぁ…。
店主のAは突然の火事で自身の店を失った。
出火箇所はすし店1階。
出火原因は放火によるものと推定された。
火事から9か月後…。
店主のAは放火と詐欺の罪で起訴された。
これは事実としてあるわけですよね。
警察はAを放火犯と疑った。
だが…。
(羽鳥)「やったんですか?」って言ったら…
(羽鳥)でも「取り調べで何と言ったのか」という事を聞きますけども…
(羽鳥)「自白しちゃった」と。
やってないのに何で自白したの?という話を聞きますよね。
そうするとその時に言ったのが…っていうふうに言ったわけですよ。
起訴されるひとつき前。
突然Aは警視庁へAの妻は地元の警察署へ連行された。
(S巡査部長)お前がしゃべらないと奥さんの調べがきつくなる。
(机をたたく音)
(N警部)女房を見殺しにするのか。
(羽鳥)まあ彼はやってないんだけれども…とこう言って…まあえん罪が起こる理由っていうのはいろいろあって。
でも圧倒的に多いのが物証よりもまず人間がその証拠になる事を言った。
(N警部)それでどこに火をつけたんだ?え…え〜と…。
本人犯人じゃないので……っていう形になるんですよね。
(S巡査部長)あの日はペットショップは休み。
1階のシャッターは鍵が閉まっていた。
心の声
(A)1階は誰も入れない…。
それなら放火したのは2階か…。
でも自分の部屋に火をつけるのはおかしいなあ。
それなら…。
(A)ペットショップ2階です。
2階のペット屋さんの倉庫の押し入れのポリタンクを引っ張り出してそれで火をつけたと。
自白調書を証拠にして逮捕状を取ってそれで逮捕に至ったわけですね。
でも「あなたがやってないと言ったからと言って奥さんが逮捕されるという事はないですよ」という事を言ってようやく彼も安心して…しかし裁判では最初の自白調書が証拠として採用された。
(羽鳥)裁判官は公務員ですから一介のお寿司屋さんと公務員である警察官とどっち信用するかっていうと一般的には警察官が言ってんだからそっちの方が本当だろうというふうに思いがちなんですよね。
自白の真偽を追及するだけではえん罪を晴らす事は困難だった。
どうすればAの無実を証明できるのか。
(羽鳥)そこはやっぱりこの事件で言えば今村核ですよね。
今村はある疑問を抱いていた。
なんかこれ出火箇所にしては随分変だねっていう。
そんな事って起きないだろうという疑問がありましたよね。
火事翌日の…自白で言ってる出火箇所がペットショップの押し入れの2階だという。
消防が判断した出火箇所はすし店の1階の壁付近という事で自白で言ってる出火箇所と実際の出火箇所が違うというのが自白の矛盾点として最初からあったわけです。
一方検察はこの矛盾を解消する根拠を提出していた。
実は…こういう学者の意見書をつけてそれで起訴するわけです。
2階を火元とする火災の専門家による鑑定書。
その決め手となったのは2階押し入れ床下の梁だった。
梁の上の角が燃えて丸くなっていた。
一方梁の下は焼けずに角張ったままだった。
梁が…
(羽鳥)2階に火元があるという自白を裏付けているのは検察側証人の意見書であると。
これをひっくり返せない限り「2階の火元説」っていうのは崩せないと。
だから無罪とれないと。
先ほどの理屈をですねどこでどうやって崩すのかというのはやっぱ当初ずっと悩んでいて分かんなかったですね。
今村は鑑定書を書いた検察側証人への反対尋問に臨んだ。
梁と床板は隙間なくぴったりとくっついていて空気が入り込む余地がないという事ですね?はい。

 

 

 

 


つまり下からの炎が梁の上の部分を焦がす事はないと?そのとおり。
これは常識的な事柄に属すると思いますが…。
何でこんな当たり前の事をねこのバカな弁護士は何回も聞いてくるんだと。
非常に傲慢な態度になってきましたよ。
で私はバカな弁護士を演じて。
そのバカにされながらね…では仮に梁と床板との間に1〜2センチぐらいの隙間があれば下からの炎で梁の上部が燃える事はありますか?隙間がないのでその仮定は意味がないと思いますがおっしゃるようにもし1〜2センチ空いていれば下からの炎で梁上部が燃える事も十分ありうるでしょう。
ありがとうございます。
今村は一枚の写真を示した。
角材ですけどもこれです。
(取材者)これですか?うん。
もともと梁の上には「根太」と呼ばれる角材が交差するように渡してあった。
2階の床板と梁の間にある根太。
それによって床下に隙間が存在していたのだ。
根太は火事で1本を除き消失していた。
写真にバッチリ写ってますから根太が。
このしょぼい木の1本でねパーンと事件が飛んじゃうわけですからこれほど痛快な事はないんですよ。
「ん?」って感じになって…。
あと何聞いてもですね「はい!」「はい!」「はい!」って感じなんですよ。
絶句ですよねもうね。
(取材者)絶句ですか?いや見事でしたね。
見事でしたねうん。
検察の鑑定書の信用は揺らいだ。
だが…。
実はその反対尋問してる時に…今村はひそかに1階が火元である事を証明する火災実験の準備を進めていた。
(松原)実際にやってみないと分からないから実験ができる場所を探しているという事でお電話を頂いたのが最初であったと思います。
ひと言でこういう言い方悪いですが…食いついたら離さない人って感じはしましたね。
あんな実験っちゅうのはもう初めてだから。
「えっこんなん金かかる」とかね。
かかるわけですよ!何十万っていうお金を出して下さった方もいましたから。
そういう…被告人に金がないわけですから全然闘えないですね。
(酒井)金も力も何も無い人たちが無実を証明していく。
根太によって梁と床板の間に隙間がある2階押し入れ床下を再現した。
弁護士の先生がしかもそれが大きな報酬につながるわけでもないだろうに何でこんな事やってるのかなというのは正直な気持ちでした。
果たして1階からの炎で2階の梁はどう燃えるのか?「メラメラメラー」っていってブワーッと上がりますから。
もう想像以上にすごい炎が瞬時に上がっていくっていうね。
壁から立ち上がった炎がきれ〜いにこう上をなめるように横に広がってく様子ってのが撮れたんですね。
1階から立ち上がった炎は床板に遮られ水平方向に広がり梁の上の部分を焦がした。
根太があるから梁と床板の隙間をちょうど上をかすめるようにね上だけあの…炭化してるっていうのはね極めて合理的なんですよね実は。
梁の下側の角は四角く焼け残っていた。
弁護団は火元は1階のみとする鑑定結果を提出した。
やはり大事なのは…
(裁判官)被告人は…無罪。
(A)ハァ…。
(Aの妻と娘の泣き声)
(酒井)無罪勝ちとってっていう事でね。
ああもう涙ですね。
「無罪確定」という事ですね。
僕はまあすごく怒った顔をしてたらしくて。
裁判制度に対する怒りっていうんですかね。
やっと無罪だよっていう気持ちが沸き起こってきて。
最初に奥様が30万円の着手金を払って…あと刑事補償金っていうのは受けまして。
めちゃくちゃ安いんですけども…他の民事事件とかね自分の経済活動もかなり犠牲にしましたから。
ほんとにこう無罪を争う事件っていうのをやり始めたらそうなかなか他の事件をたくさんはやれないわけですよ。
そうすると非常に経済的には困窮する弁護士になると。
今村は20年以上えん罪が疑われる刑事裁判に取り組んできた。
まあ結論はそこなんですね。
(笑い声)残念ながら…。
(山内)無罪事件をとるにはそこまでやんなきゃいけないんだろうなというふうに思うんですけどまあ他にみんなね二十何人で事務所を一つ作ってるわけだから。
もうちょっと事務所財政にもね貢献する方法もあると思いますしね。
事務所の経営という面で言えばみんなが支えてるという側面はあるでしょうね。
今現在の姿はちょっとねう〜ん困ったもんだと。
(取材者)困ったものだというのは?いやまああんまり聞かないで下さいよ。
うん。
これうまそうだな。
これうまそうだね。
ライスが少なめで〜す。
どうもどうも。
あとこちらスープどうぞ。
(取材者)依頼が来る来ないとかっていうのって…。
専門分野の弁護士を探そうっていう意識が今の依頼者の方は高まっていて。
あんまいじめないで下さいよ。
(取材者)あの刑事弁護っていうとジャンルが幅…。
もう毎回違うって事ですか?
(店内の喧騒)いや〜ちょっと答えたくないもう。
ああもう…。
(取材者)大丈夫ですか?やめます。
まあえん罪弁護が専門だとか何とか言ってしまっては弁護士業務成り立っていくわけがございませんので。
まあ他の事件もやってるわけですよ。
だから…正直言って思ったんですよね。
僕個人の事で基準に考えれば…あれじゃ家族養ってけないもんな。
率直に言って。
(取材者)そんなに厳しいですか?
(鴨田)う〜ん独りもんだからできるんじゃない?
(取材者)先生すごい…きれいですね。
防犯カメラの…
(取材者の笑い声)いつも愕然とするんですけど。
(エレベーターのチャイム)いやそこまでは…。
(取材者)そうなんですか。
ああ…。
(取材者)お父さんが亡くなられてから結構時間がたってます?ええもう4年ぐらい。
4年半ぐらいですか。
4年半以上ですねもう。
今村は経済的には恵まれた家庭で育った。
父親の武彦さんは大手化学企業の副社長を務めた。
建て前がすごいからね。
核はむしろ本音の人間ですからね。
だから相当何ていうか…もうそれっきりで何の音沙汰もなく訪ねていくのもダメだし消息絶っちゃったって感じで。
この辺意外と面白い店ありますよね。
うん。
じゃどうも。
久しぶり〜。
久しぶりです。
核さんってさ考えてみれば何で弁護士になろうと思った?俺悩んでたじゃないですかすごく。
なんか何でこんな生き方してきたんだみたいな事でさ。
いい大学入るために一生懸命勉強しました。
はぁ…なんてつまんない。
逆にエリート意識が強かったから何か自分が頑張れば人を救えるような錯覚もあったりして。
26歳で司法試験に合格。
修習生の時今村はある光景を目にする。
弁護人は弁護人でどこか諦めてるところがあり…を感じましたよね。
なんかどうせ99.9%有罪なんだから何やったってダメなんだみたいな。
私はその若さでね…そういうふうに見られてる節もあるんですよね。
(報道の声)いよいよ今日判決が言い渡されます。
今日の一般傍聴席は…。
え〜私どもは…挑み続けてきた「有罪率99.9%」の壁。
…って言うんですよね。
僕はそこはね難しいけれども…彼はすごく力づけられたような顔をして…でまあその事件がどうしても無罪にならないんですよ。
で一審二審最高裁負けて。
結局実刑になるんですよその人。
刑務所入っていくんですよね。
でもちろん会社も辞めてうん…。
本当に大変な…ええ目に遭われて。
…っていうふうに思ってだんだんだんだんアルコールに染まって……っていう事も何となく見えた感じがしたんですよね。
…というふうに思ってた時期もなきにしもあらずですからね。
う〜ん私にも喪失感はあるんですよ。
人生に対するね。
う〜んだからまああの〜…。
逆に私は被告人の心情とかねあの〜孤立させられた被告人の心情なんかは他の弁護士よりもどちらかと言うとよく分かるんですよね。
それ何で分かるかというとやっぱり自分が孤独だったからですよ。
そのう〜ん…。
単にかわいそうな人とかねそんなふうには思わない。
やっぱり自分と…う〜ん…。
まあ自分の性格もかなり誤解されやすい性格で誤解によって苦しんだ事もありますし。
あの〜被告人の孤独ともやっぱり重なっていくんですよね。
(宙子)少しずつお役に立てればいいなぁというふうに思いますね。
そうでなきゃ絶対に前進みませんものね。
誰かがやらなきゃね。
今村のもとを一人の男性が訪ねてきた。
非常に憔悴した感じっていうか何とか助けて下さいみたいな感じだったですよね。
27歳の男性Bは痴漢をした疑いで逮捕・起訴されたが無実を訴えていた。
状況的にその時点ではかなり…当初から弁護を担当していたのは池末彰郎弁護士だった。
(池末)もうBさんははっきりと「やってない」というふうに言っておりました。
(池末)学校の教員でね忘れ物をしたから学校に帰る途中だったんです。
路線バスの車内で中学教諭のBは女子生徒のお尻を触ったとして東京都迷惑防止条例違反で逮捕・起訴された。
後ろに立ったBがスカートの上から手のひらで数回お尻をなで上げたと女子生徒は供述した。
だがBは一貫して否認し続けた。
Bさんはリュックをですねまあ当然混んだバスの中ですから…
(池末)その前に被害者の女性がいた。
すると突然…。
(池末)急に振り向いて前の女性から…と言われたから一応「すいません」とは言ったらしいんです。
それは別に痴漢をやってるから触ってるから「すいません」と言うわけではなくて何か迷惑かけたのかなと思って「すいません」と言ったんです。
でバスから降ろされて…。
痴漢しましたよね?は?知らん!しましたよね?知らん!じゃあ帰って下さい!はぁ!?人を痴漢扱いしておいて今度は帰れって何なんだよ…。
ぐぁっ!お前痴漢しただろ!
(パトカーのサイレン)女子生徒の訴えを聞いた後続バスの運転手らに取り押さえられた。
(池末)やってないなら当然やってないというふうに貫きなさいといいますかね。
ただ裁判になると非常に厳しいよと。
もう普通の人だったら28日間勾留されれば…こういうえん罪っていうのは。
軽い事件は非常に多いんじゃないですか。
Bの弁護を引き受けた今村。
えん罪立証の決め手はバスの「車載カメラ」と「メール記録」だった。
バス後方を撮影していた車載カメラ。
そこには女子生徒とBの姿も映っていた。
あここで彼女が振り返ったっていうふうに9時34分26秒1コマ目になると非常にはっきり分かると。
女子生徒が振り返った直前に痴漢行為はあったのか。
送信されたのが34分18秒。
女子生徒が振り返る8秒前にメールが送信されていた。
車載カメラでは33分3秒からBが右手で携帯を持ち34分23秒まで操作する姿が確認できた。
その間左手はつり革を握っていた。
携帯操作を終えて女子生徒が振り返るまで…「3秒」。
そういう状況が見えてくると右手で痴漢はないだろうと。
左手については彼女は…今村先生の弁護は全部事細かに全て立証されていくんですね。
まさに「緻密」っていう表現しか見当たらなかったんですけども。
画像解析の専門家にしかもかなり権威ある人によく調べてもらって証言してもらう必要があると。
…という事でちょっとね心配もあったんです。
だけど……と言ったんで信頼感が得られる先生だったと思うんですよね。
(橋本)その所にカバンが入ってると。
そしてバスは揺れると。
カバンが当たってその当たったカバンで擦れてる可能性は十分あると。
画像を解析すると34分15秒から20秒にかけてバスが工事現場をう回し左右に大きく揺れている事が分かった。
(メールを打つ音)その直後に女子生徒がBの方へ振り返っていた。
弁護団は車載カメラを詳細に分析した「画像鑑定」を提出した。
逮捕から1年半。
判決の日を迎えた。
(裁判官)主文。
被告人を…有罪に処する。
(傍聴人のどよめき)びっくりしましたよ。
「えぇ〜っ!?」って感じのどよめきが起こってですね。
判決は40万円の罰金刑だった。
「右手で痴漢するのは不可能に近い」と。
(取材者)そこは認めた?認めたわけですね。
で右手を全部潰したら…もうむちゃくちゃですよ。
ほんの数秒左手が見えにくい瞬間があった。
だが判決は到底受け入れられないものだった。
そうすると法廷警察権がなくなりますから私はそこで……って言ったんですよね。
裁判官だけに聞こえるように。
思わず言っちゃったんですよ。
「バカみたい」って言えばよかったんですがね。
そこは僕訓練足りなかったです。
何かおっしゃってるなって感じたので閉廷後すぐ今村先生のところに行って……って聞いてうちに帰ってからすぐにTwitterで判決の様子を発信をしました。
「よく分からないなあ」「バカな人だな」っていうふうにつぶやいた事も書きました。
事実なので。
あ〜しまったなぁと。
Twitterって恐ろしいなってその時にすごく思ったんですよね。
仕事をキャンセルしたりとかして。
(池添)「誰でも痴漢の犯人にされてしまうじゃないか」とか「こんな判決は許されない」とか9割5分以上は共感とか支持。
これは大体私が思ってる事と同じ事が書いてあるんです要するに。
ある意味で…今度はもっとガチガチにしてやろうと思ったんですよね。
一枚一枚静止画像にコントラストつけて強調してですね左手に絞った立証を行いました。
(裁判官)原判決を破棄する。
被告人は無罪。
(傍聴人の歓声)
(B)ハァ…。
検察は上告せず無罪が確定した。
まあやっとねだからその裁判官に理性だとかまともなね知性だとか良識ですとかね。
…が残ってるっていう事に安心をしましたね。
だいぶあれかな…。
(チャイム)すいません核ですが。
ああおかえんなさい。
ああうん。
「稼げ稼げ」って…
(取材者)どれですか?これ。
あっここですね。
父・武彦さんは定年後弁護士になった。
後年彼は弁護士になるじゃないですか。
せっかく親父と違う道を選んだと思ったら気が付いたら後ろの方から親父がノコノコ歩いてくるじゃねえかみたいなさ。
自己中心的に見えながらその実は仕事においては…僕はやっぱり今も親父のそこだけはすごいなと。
お父さんのいいところいっぱい頂いてるわよあなたは。
まあそういう恥ずかしい事はテレビの前で言わないように。
はい。
(笑い声)司法に本当に絶望してしまったら私の生きる理由がなくなるんですよ。
あの事件早く救わなきゃな勝たなきゃなって思ってるからあの〜…生き続けていける。
私にとっては生きる事そのものって言っていいぐらいの事になっちゃいましたかねうん。
(宙子)しょうがないわね。
それやらなきゃ生きられないんだし世の中から一つでもそういうのがなくなれば思いが達すればやっと自分も救われるんじゃないんでしょうかね生きてて。
2016/11/28(月) 22:25〜23:15
NHK総合1・神戸
ブレイブ 勇敢なる者「えん罪弁護士」[字]

勇気を持って世界を変える日本人に迫るシリーズ『ブレイブ』。第二弾は、日本の刑事裁判の有罪率99.9%に挑み、14件もの無罪判決を得てきた「えん罪弁護士」今村核。

詳細情報
番組内容
「無罪」獲得「14件」。その実績に他の弁護士は「異常な数字」「ありえない」と舌を巻く。“えん罪弁護士”の異名を持つ今村核(いまむら・かく)は、有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判で20年以上も闘ってきた。過去に取り組んだ放火事件や痴漢事件では、通常裁判の何倍もの労力をかけて科学的事実を立証し、矛盾や盲点、新事実の発見からえん罪被害者を救った。自身の苦悩を乗り越え、苦難の道を歩み続ける男に迫る。
出演者
【出演】弁護士…今村核,【語り】本田貴子,【声】相沢まさき,若林正,桐井大介,中野慎太郎,中尾衣里,下山吉光