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書き起こし モーガン・フリーマン 時空を超えて・選「宇宙人との遭遇 そのとき人類は」 2016.12.02

人類の文明。
私たちが知り感じ望むものは全てこの地球で生み出されています。
地球は直径1万3,000kmしかない岩のかたまりです。
一方広大な宇宙のかなたには私たちとはまるで違う知識や野望を持った他の文明が無数に存在するかもしれません。
そして遠くない将来人類と宇宙人の文明が出会うかもしれません。
宇宙人と遭遇する事によって人類は飛躍するのでしょうか。
それとも終焉を迎えるのでしょうか。
時間空間そして生命。
時空を超えて未知の世界を探求します。
あなたが学校で学んだ事そして人類が学んだ事全てに思いを馳せてみましょう。
人類がこれまでに築き上げてきた知識は膨大です。
しかしもし宇宙人がいるとしたら宇宙全体の知識量は人類のものとは比べものにならないでしょう。
宇宙人と初めて遭遇する日は新しい時代の夜明けです。
それは人類に大きな飛躍をもたらすかもしれません。
あるいはかつてない不幸をもたらすかもしれません。
私は子供の頃よくこんな想像をしていました。
自分が宇宙からの侵略を食い止める地球防衛の最前線にいるのだと。
今はこう考えたい気持ちです。
昔の自分たちは間違っていた。
宇宙人は友好的かもしれないと。
ウオーッ!ワーッ!しかし多くの科学者は宇宙人は攻撃的な可能性が高いと指摘します。
スコットランドエジンバラ大学の宇宙生物学者チャールズ・コッケルは宇宙人も人類と同様に「進化」を遂げているのではないかと考えています。
宇宙人が高度な文明を持っているからといって安心はできません。
(コッケル)人類は探査機をタイタンに着陸させましたが相変わらず地球上では戦争をしています。
技術の進歩と相手の利益を優先する利他主義は必ずしも結び付きません。
宇宙人の文明が危険な可能性もあるんです。
人類は「進化」によって文明を築くために必要な知性を手に入れました。
コッケルは宇宙人が「進化」によって人類を滅ぼす可能性があると考えています。
重要なのは宇宙人が何を食べるかです。
草など光をエネルギー源にしている生物を「独立栄養生物」といいます。
草は太陽の光からエネルギーを得て成長し繁殖します。
独立栄養生物は一般的に知能は高くありません。
知能を発達させるにはエネルギーが不十分だからです。
独立栄養生物は簡単に食べられてしまうという弱点があります。
一方ヒツジは「従属栄養生物」です。
独立栄養生物を食べています。
食物連鎖は宇宙の生命体にも同じように当てはまるとコッケルは考えています。
知能の高い生き物ほど脳の活動により多くの食料を必要とするからです。
どうもありがとう。
これはヒツジの脳を一日働かせるために必要な草の量です。
では人間の脳の場合はどうでしょう?もし人間が脳を働かせるために起きている間ずっと草を食べていたとしたら想像したり野望を抱いたりする時間はほとんど持てなかったはずです。
しかし自然界はある解決策をもたらしました。
ラム肉だね。
ありがとう。
人間の大きな脳は大量のエネルギーを必要とします。
肉を食べる捕食者である事はエネルギーを得るために最も効率的です。
それは宇宙人であっても同じでしょう。
知能の高い生物は捕食者だと推測できます。
食物連鎖の頂点にあり他の生き物を食べる肉食の生物です。
人類が初めて遭遇する宇宙人は知能の高い肉食の生物で人類と同じように戦いの歴史を繰り返しているとコッケルは考えます。
人類の争いには必ず食料が絡んでいます。
領地や資源の獲得も多くはそのためです。
飢饉などの問題が起きた時の事を考えてみて下さい。
宇宙人が新たな資源を求めて地球にやって来るとしたら人類の存在は脅かされるかもしれません。
もし宇宙人も食料を焼くために酸素を必要とするなら地球は絶好の環境でしょう。
大気中に多くの酸素を有する地球のような惑星は宇宙でも珍しいかもしれないからです。
ぜひ訪れてみようと考える可能性があります。
高度な文明を持つ宇宙人に侵略されたら人類は生き延びる事ができるのでしょうか。
ジョン・グレシャムは軍事シミュレーションの専門家です。
グレシャムは宇宙人はたとえ可能であったとしても地球を根絶やしにする事はないと考えています。
(グレシャム)宇宙人は水や葉緑素木材などが欲しいはずです。
それらを得るためにわざわざ来たのだから破壊するはずがありません。
シミュレーションの結果グレシャムは人類が宇宙人との戦いに打ち勝つ方法を導き出しました。
地勢を活用するのです。
戦場は我々のホームグラウンド地球です。
これを生かさない手はありません。
地勢には山や川湖道路など以外にそこに暮らす人間や動植物自然も含まれます。
自然の地形と生態系に精通している事は人類にとって強みとなるはずです。
地勢を生かしたゲリラ戦は宇宙人を悩ませる事でしょう。
「もっと楽な場所を探しに行こう」と思うかもしれません。

 

 


地球征服を狙う宇宙人の大軍勢。
人類の生存を懸けた戦いが始まる。
映画でよく見るストーリーです。
しかしある科学者は疑問を呈します。
宇宙人が好戦的だとしましょう。
ハリウッド映画は人類対宇宙人の壮大な戦いが繰り広げられると私たちを洗脳してきました。
しかし力の差からするとまるでバンビ対ゴジラのような戦いではないでしょうか。
ニューヨーク市立大学の物理学者ミチオ・カクは人類と地球外の文明の関係を科学的に捉えようとしています。
我々物理学者は地球外の文明をエネルギーを基準に分類します。
タイプ1は惑星のエネルギーを利用する文明。
ハリケーンや火山をコントロールできます。
タイプ2は恒星を意のままにコントロールできます。
そしてタイプ3は銀河全体のエネルギーをコントロールできます。
人類はこの宇宙的な尺度のどこに当てはまるでしょう。
ハリケーンや火山をコントロールできますか?恒星を操ったり銀河全体を動き回ったりする事ができますか?いいえ私たちは3つのタイプのどれにも到底当てはまりません。
それでも人類が生き延びる望みはあるかもしれません。
ミチオ・カクは宇宙人から学ぶ事で人類も文明のレベルを上げられると考えます。
最も安全な方法は…「聞き耳」を立てる事です。
宇宙人であっても物理の法則には従わなければなりません。
宇宙で最も速く便利な交信手段は電波を使う事です。
宇宙は電波に満ちています。
ほとんどは自然に発生したものですが地球の周りだけは人間が作り出した電波であふれています。
もしかしたらその中に宇宙人が発した電波が紛れ込んでいるかもしれません。
それを見つけ出すのは大変です。
ニューヨーク中を走る車の中から特定の1台を探し出すようなものでしょう。
私たちはさまざまな形で電波を使っています。
Eメールやラジオレーダー電子レンジといったように。
この車を電波だとしましょう。
私たちのメッセージを乗せています。
メッセージのほとんどは人間同士で交わされます。
しかし私がこれから探すのはもっと珍しいものです。
地球外の文明から電波を使って送られたメッセージを探します。
この40年科学者たちは宇宙からのメッセージを捉えようと巨大な電波望遠鏡を宇宙に向けてきました。
しかしまだ成果はありません。
ミチオ・カクはそれは聞き方が間違っているからだと考えます。
可能性のある周波数が無限にある中で一度にたった1つの周波数しか聞いていないんです。
まるで車に貼られた宇宙人の小さなステッカーを見つけようと高速道路の写真を撮るようなものです。
(カメラのシャッター音)ステッカーを発見するまでに一体どれだけの時間がかかるでしょう。
1週間?1か月?1年?永遠に無理かもしれません。
ミチオ・カクは仮に宇宙人のメッセージに行き当たったとしても今のままでは私たちには認識できない可能性があると指摘します。
このメッセージを宇宙に向けて送るとしましょう。
車をそれぞれの周波数で振動する光子だとします。
一番避けるべきなのはメッセージをそのまま1つの周波数の1つの光子に乗せる事です。
失われる危険性があるからです。
メッセージを異なる周波数に分散させて送る方がよほど確実です。
いわゆる「ブロードバンド」です。
メッセージの断片を異なる光子に乗せていきます。
複数のチャンネルを使えばメッセージが送られる速度も速くなります。
しかしこの方法で宇宙人が交信しているとしたら人類がメッセージを見つけるのはより難しくなります。
残念ながら宇宙人の会話を傍受できたとしても断片を拾い上げただけでは意味は通じないでしょう。
つまり宇宙人が会話していたとしても私たちには気付く事ができないわけです。
ミチオ・カクが正しければ宇宙は宇宙人の会話に満ちている可能性があります。
人類はそれを把握できません。
1つの周波数では会話の断片しか拾えないからです。
しかしブロードバンドで捉えられるようになれば全体像を把握できるかもしれません。
仮に宇宙人の会話を発見できたとしてそれを理解する事はできるのでしょうか。
宇宙人はどのような言語を話すのでしょうか。
未知なる言語の解読が進められています。
世界にはおよそ7,000の異なる言語があります。
ほとんどの人は1つか2つしか話せません。
翻訳できない言語はありません。
どの言語も人間のある場所から生み出されているからです。
脳です。
宇宙人の脳が生み出す言語はどうでしょう。
私たちに理解できるのでしょうか。
そもそもそれが言語だと気付く事ができるのでしょうか。
地球外知的生命探査研究所の研究員ローレンス・ドイルはコミュニケーションの専門家です。
ドイルはこれまで人間が話した事のないある言語を学ぼうとしています。
バンドウイルカは高い知能を持っています。
噛んで。
お〜すごいね。
イルカは複雑な方法でコミュニケーションをとります。
社会も複雑です。
しかし人間とは意思疎通を図る方法がないため基本的な事柄さえ話せません。
イルカが交わす鳴き声の意味を調べるためドイルは何百時間分ものイルカの鳴き声を録音しました。
(鳴き声)
(ドイル)イルカのコミュニケーション方法は非常に多様です。
(鳴き声)イルカが出す音を調べると人間の言語と似た規則性が見えてきます。
イルカが出す音は本当に言語と言えるのでしょうか。
人間の言葉に翻訳できるものなのでしょうか。
ドイルは「情報理論」と呼ばれる統計学的手法を使って音のパターンを探りました。
情報理論ではある信号が現れる確率を見ていきます。
その信号が発生する頻度や他の信号との関係があるかも調べます。
ペルセウス幸あれ虎牛受け入れ印刷インク水力発電トラックシャベル。
単なる単語の羅列です。
それぞれの単語が現れる回数を合計します。
単語がこのようにランダムに並んでいる場合それぞれの単語はほぼ同じ頻度で現れます。
単語がほぼ同じ頻度で現れるという事は表にすると直線になります。
これは言葉による情報が伝達されていないという事です。
単語の羅列では意味のある内容を伝える事はできません。
それでは文章の場合はどうでしょうか。
「19世紀の終わりには誰も思いもしなかっただろう。
人間以上の知能を持った生命体が私たちの世界をじっと見つめていたなどとは」。
人間の言語であれイルカや宇宙人の言語であれ全ての言語には頻繁に使われる単語と使われない単語があるとドイルは考えます。
この文章の中で一番よく出てくる単語は「the」です。
次は恐らく「of」でしょう。
登場回数の多い単語から順に表に記すとあるパターンが現れます。
小説「宇宙戦争」に出てくる単語を頻度の高い順に左から右に表にすると45度の傾斜になる事が分かります。
この方法を使えば信号そのものを理解できなくても言語による情報が含まれているかどうかを判別できます。
言語による情報が含まれていれば内容や言語にかかわらずまた活字や音声であっても45度の傾斜になります。
ドイルがこの方法をイルカの鳴き声に当てはめたところ45度の傾斜が現れました。
(ドイル)イルカが交わしている音の意味は分からなくてもイルカが情報を伝え合っているという事は十分に考えられます。
イルカの言語はまだ解明できていません。
しかしそれが言語だと知る事は最初の一歩です。
ドイルは今宇宙にあふれる電波を同じ方法で調べています。
(ドイル)この方法を使えばどれがランダムな音でどれが情報かが分かります。
情報こそ私たちが探しているもの。
つまり知性のしるしなのです。
人間の耳には騒音にしか聞こえなくてもそれが言語であれば45度の傾斜を示すはずです。
メッセージの複雑さを検証する事で送り手である生命体についても何か分かるはずです。
イルカの研究はその道しるべとなるでしょう。
しかし宇宙人と接触するのに宇宙からのメッセージを待つ必要はないかもしれません。
高度に進化した宇宙船が登場しようとしているからです。
地球から飛び立った宇宙船が地球とはるか遠くの世界とを結ぶようになるかもしれません。
1903年ライト兄弟が人類初の有人動力飛行に成功。
飛行距離はおよそ30メートルでした。
僅か66年後人類はおよそ40万キロを飛び月に着陸しました。
移動距離は今後更に飛躍するでしょう。
何光年もかなたへ飛ぶ事で人類は宇宙人よりも先に相手を発見できるかもしれません。
カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所のジョン・ブロフィーはこれまでにない推進方法を開発しています。
風船を髪の毛でこすると電荷の一部が分離します。
それによって風船が帯電しシャツにくっつきます。
この力を逆に使えば宇宙船を宇宙に押し出す事ができます。
正電荷と負電荷の間には引力が働きますが正電荷同士あるいは負電荷同士は反発し合います。
この電気的な反発がブロフィーが開発した「イオンエンジン」の要です。
まずキセノンガスを正の電荷を持つようにイオン化し同じく正の電荷を帯びたエンジンの前に置きます。
正電荷同士なので反発し合いイオンが高速で噴射されます。
これが探査機を押し出すんです。
ブロフィーのイオンエンジンはNASAアメリカ航空宇宙局の探査機「ドーン」に採用され火星と木星の間にある小惑星帯に向けて出発しました。
イオンエンジンと同じ高性能の工学技術が地上を走るある乗り物でも使われています。
強く揺るぎないパワーを誇る…。
(エンジン音)ゴルフカートです。
(ブロフィー)2つの車でレースをします。
不公平に見えるかもしれませんね。
でも同じ量の燃料を入れそれぞれどれだけ速くどれだけ遠くへ行けるかを比較します。
(エンジン音)人間が月に乗っていったのは大量の燃料を消費する化学ロケットでした。
一方ドーン探査機は燃費に優れていますがゴルフカートと同様スタートがのんびりです。
(ブロフィー)ドーン探査機はゴルフカートのように加速がゆっくりなんです。
時速100キロまで加速するのにおよそ4日かかります。
しかし4年後には時速4万キロ以上で飛んでいます。
しかも燃料はおよそ230リットルしか消費しません。
圧倒的な燃費の良さです。
昔ながらの化学ロケットは加速は速いもののすぐに燃料が尽きます。
しかしイオンで推進力を得れば何年にもわたって加速を続け最終的にはどんな化学ロケットよりも速く遠くまで行く事ができます。
恒星に行くには化学ロケットは実用的ではありません。
必要なだけの燃料をとても積み込めないからです。
地球に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリと地球との距離はおよそ4光年。
はるかな旅路です。
(ブロフィー)この硬貨の真ん中に太陽があると想像して下さい。
冥王星の軌道は縁の辺りです。
皆さんが学校で習った惑星は全てこの硬貨の中にあります。
現在のそして今後実現しそうな推進技術をもってすれば宇宙のこの範囲内なら移動する事は可能でしょう。
しかし最も近い恒星へ行くにはどうすればいいのでしょうか。
それはどれくらい遠いのでしょうか。
ここがその場所です。
現在地球からおよそ17光年の範囲に他の太陽系が少なくとも15〜20存在すると考えられています。
いずれ技術が進歩すれば他の太陽系へ行けるようになるかもしれません。
しかし現在のところイオンで推進する宇宙船が人類を乗せる事はなさそうです。
(ブロフィー)遠くの太陽系に行くにはかなりの速度まで加速する必要があります。
そのため荷重を少なくしなければなりません。
軽い方が加速しやすいからです。
いつか宇宙船が未知の世界を旅する時代が来るでしょう。
宇宙船に乗ってるのは人間かもしれません。
広大な宇宙を旅するのは確かに大きな挑戦です。
しかし到着した時に何を話すかも重要です。
言葉の壁を超えてコミュニケーションをとるにはどうすればいいのでしょうか。
人間同士なら表情は時に言葉よりも雄弁です。
しかし相手は宇宙人です。
誤ったメッセージを送らずに済む方法はあるのでしょうか。
(ジム・カケイリオス)イラクに駐留していた米軍兵士の話です。
検問所で車を止めるため兵士たちは手のひらを上げるしぐさをしました。
世界共通の「止まれ」の合図だと思ったからです。
しかしイラクの人々にとってこのしぐさは「止まれ」ではなく「ようこそ」の意味でした。
そのため車は検問所に近づき続け兵士たちがいくら手のひらを上げても止まりませんでした。
物理学者のジム・カケイリオスは普遍的なコミュニケーション手段の一つを見つけたと考えています。
(カケイリオス)波動です。
身近なところでは音や光物質も波動します。
波動は波となって水面にも生じます。
水面が乱されると力学的な振動によって分子が上下に動き同心円が外側に次々と広がっていきます。
波動は予測可能で統制されているため高度な文明であれば必ず理解できる「数学」の伝達手段として利用できます。
しかし波動では数字のような足し算や引き算はできません。
私たちは数える事になじんでいます。
1+1は2ですよね。
ではこの計算を光などの波動で行うとどうなるでしょうか。
うまくいく場合といかない場合が出てきます。
この数字はそれぞれの光の色に対応しています。
1は赤2はオレンジというふうに。
試しに1の赤い光と…5の青い光を足してみましょう。
6の紫になりました。
正解です。
しかし常にそうでしょうか。
他を試してみましょう。
1の赤と…3の黄色を足します。
1+3は4なので緑になるはずですが2のオレンジになりました。
変ですね。
数字のように足し算はできないとしても波動を使って複雑な数学的思考を伝達できる可能性はあります。
全ての波動には「周波数」がありそれを利用するのです。
ドの音を下さい。
(ドの音)いいですね。
ではソのシャープはどうかな。
(ソのシャープの音)2つの音は周波数が異なります。
宇宙人は周波数の違いを人間には解読できない数字で説明するかもしれません。
しかし2つの音の周波数の比率はどんなシステムが使われていたとしても常に同じです。
この比率が人類と宇宙人が交信する際の鍵になるかもしれません。
基本的な比率の一つに円周率があります。
円周を直径で割るとその比率は「π」すなわちおよそ3.14になります。
円周と直径を測るためにどんな道具や単位を使ったとしてもこの比率は変わりません。
必ずπになります。
そして宇宙には円周率の他にもこうした比率が存在します。
宇宙人はすぐに気付くでしょう。
これは自然界における最も基本的な事柄の一つだからです。
接触してきた宇宙人と交信する場合一組の波動を照射する方法が考えられます。
2つの周波数の比率がπになる波動。
あるいは陽子と電子の質量比でもいいでしょう。
こうしたメッセージを送る事で人類が宇宙の物理的特性を理解している事を示せます。
周波数の変化に着目した方法がもう一つあります。
音楽です。
宇宙人に聴覚がなくてもこのハイテクロックバンドのパフォーマンスは楽しめるかもしれません。
音の波光の波そして「テスラコイル」による放電が同時に味わえるからです。

(カケイリオス)テスラコイルは電波と電場の両方を引き起こします。
また熱も生み出します。
それに音や光も発生します。
将来音楽が人類と宇宙人との交信を取り持つ事になるかもしれません。
しかし宇宙人と直接会えなかったとしても接触の可能性は残されています。
宇宙人からのメッセージははるか昔に既に送られ解読されるのを待っているかもしれません。
地球の歴史を24時間に直してみると人類が登場するのは最後のほんの数秒です。
宇宙人が人類が出現する前に地球に来ていてもおかしくありません。
ではもし宇宙人が痕跡を残していたとしたらそれはどこにあるのでしょう。
ある科学者は私たちの中に隠されていると考えます。
物理学者で宇宙生物学者でもあるポール・デイヴィスは宇宙人が人類とどうコミュニケーションをとるかを長年研究してきました。
(プッシュ音)電話をかけます。
鳴ってます。
電波は光と同じ速さで空間を伝わります。
そして一瞬でアンテナを通過していきます。
もしもし?もし相手が電話に出なければ電波はそのまま宇宙まで飛んでいきます。
そして二度と戻りません。
そのまま失われます。
もし宇宙人が人類と接触しようとするならもっと確実な方法を選ぶだろうとデイヴィスは考えます。
(デイヴィス)人類は太古から岩を削って後世の人々にメッセージを残してきました。
メッセージが長年失われないようにするにはどうすればいいかと考えたわけです。
しかし岩もいずれは失われます。
デイヴィスは何千万年にもわたってメッセージを保持できる物質を発見しました。
それは私たちの体内にあります。
(デイヴィス)地球上のあらゆる生命は「DNA」と呼ばれる分子の中に遺伝情報を持っています。
DNAには生物を形づくり活動させていくのに必要な情報が全て入っています。
私たちの体内には太古の遺伝子があるんです。
DNAは4つの化学物質から構成されます。
この4つの配列によって遺伝暗号が作られその暗号を基にタンパク質などから私たちの体が形成されます。
しかし全ての遺伝暗号が使われるわけではありません。
それぞれの遺伝子の長さを合計するとDNAのほんの一部しかタンパク質の合成に関わっていない事が分かります。
つまりDNAという謎めいた塊の大部分は役に立っていないガラクタだという事です。
ある人物の遺伝暗号をこの家にあるもの全てだとしましょう。
必要なものは大抵すぐ見つかります。
しかし全てが見える所にあるわけではありません。
ここには毎日使うものが置いてあります。
しかしガレージは物置のような状態です。
もう何年も使っていないものも捨てずに置いてあります。
たとえ引っ越したとしても次の家に持っていくでしょう。
ほとんどの生物はここにあるガラクタのような使われていない遺伝暗号を持っています。
それを何世代もずっと受け継いでいるのです。
デイヴィスはこの使われていない遺伝暗号こそ宇宙人がメッセージを隠すのにぴったりの場所だと考えました。
もしDNAの基本構造にある種のメッセージを彫り込んだり装飾したりする事ができたとしたらどうでしょう。
しかも生命体の機能を傷つける事もないとしたら。
そのメッセージは何千万年も保持される事になるでしょう。
デイヴィスははるか昔宇宙人が初期の哺乳類など地球の生命体のDNAに手を加えた可能性があると考えています。
DNAに刻まれたメッセージは気付かれる事なく伝え続けられます。
やがて高度な知能を持ったものがそのメッセージを解読する日が来るというわけです。
今研究者たちは人間や他の動物の遺伝暗号を調べDNAに不自然なパターンがないかを検証しています。
遺伝暗号の中に地球外知的生命の痕跡を探すのです。
例えばDNAの4つの構成要素アデニンチミンシトシングアニンが素数の列になっているかもしれません。
自然には起こりえない配列です。
明らかに何者かによって意図的に作られたものだと分かります。
もし意図的なパターンが見つかったとしてなぜ宇宙人はわざわざこんな回りくどい方法でメッセージを送ったのでしょうか。
宗教的なシンボルあるいは記念碑だと考える人もいます。
エジプトには巨大な記念碑がたくさんあります。
何のために造られたのでしょう。
それは当時の人々が自分たちの文明を偉大だと感じ後世に何かを残したいと思ったからです。
私たちのDNAは他にも重要な事を伝えている可能性があります。
人類と宇宙人の共通項をDNAから探ろうとしている科学者がいます。
もしかしたら宇宙人もDNAを持っているかもしれません。
人類はこれまで夜空を見上げ宇宙人との接触を試みてきました。
今その探求が意外な方向に進んでいます。
人類と宇宙人の結び付きが宇宙ではなくDNAの中に見つかるかもしれません。
近年40億年前に作られた隕石の破片が南極で発見されました。
太陽系の誕生初期に出来た極めて貴重な宇宙由来の破片です。
「しくじるな咳をするな」って思いながら作業しています。
マイク・カラハンはNASAのゴダード宇宙飛行センターの科学者です。
「炭素質コンドライト」と呼ばれる珍しいタイプの隕石を研究しています。
(カラハン)炭素質コンドライトは炭素が豊富で有機物を大量に含んでいます。
隕石の抽出作業はお茶をいれるのに似ています。
ティーバッグをお湯に入れるとお茶の成分や香りが出てきますよね。
私たちはお茶の代わりに隕石を抽出しています。
カラハンは45億年前太陽系が出来た時に生命に不可欠な分子が存在していた証拠を突き止めようとしています。
タンパク質を構成するアミノ酸など多くの重要な分子が隕石から発見されています。
しかしこれまでは解決できない謎がありました。
「核酸塩基」の情報が見つからなかったんです。
科学者たちは長年DNAを合成しようと奮闘し太古の地球でどのようにDNAが作られたか頭を悩ませてきました。
ついに答えが出たかもしれません。
アデニンやグアニンなどの核酸塩基を隕石の中に見つけたんです。
地球上の全生命に共通するDNAの構成要素ははるか昔太陽系が形成された頃に既に存在していたという事です。
驚きました。
DNAの構成要素が本当に見つかったのですから。
隕石は太陽系そして宇宙の至る所に散らばっていると考えられます。
構成要素が同じという事は宇宙人と人間は似ているのかもしれませんね。
DNAの構成要素が宇宙全体に散らばっているという事はDNAが地球の生命だけでなく宇宙人の生命の基礎である可能性もあるという事です。
人類が最初に遭遇する宇宙人。
それは私たちの遠い親戚かもしれません。
しかし喜ばしい出会いになるかどうかは分かりません。
宇宙人との最初の遭遇は火の発見に匹敵するほどのとてつもない衝撃となるでしょう。
科学技術の進歩によって目の前の問題は解決していくでしょう。
しかし大事なのは経済的社会的混乱を招かずに変化を受け入れていく事です。
人間の英知が試されます。
いつか宇宙からこんな信号が届くんじゃないかと思っています。
「私たちはみんな銀河の住民だ」ってね。
私たちは地球という巨大な宇宙船に乗っています。
まずはこの惑星をもっと大切にすべきです。
宇宙人との遭遇。
それは明日かもしれないし既に起きているかもしれません。
いずれにせよその時は人類は知性と理性をもって接しなければなりません。
そして自分たちが宇宙に生きる生命体の一員なのだと気付くでしょう。
2016/12/02(金) 22:00〜22:45
NHKEテレ1大阪
モーガン・フリーマン 時空を超えて・選「宇宙人との遭遇 そのとき人類は」[二][字]

人類は、地球外の生命体と遭遇することはあるのだろうか?宇宙人と遭遇した時、人類に何が起こるのか?どのように接触すればいいのか?多角的なシミュレーションを試みる。

詳細情報
番組内容
人類と宇宙人(地球外生命体)が遭遇したら…どのようなことが想定されるのか。宇宙のどこかに宇宙人が存在するという証拠を探し求めてきた人類。仮に実際に遭遇したとしたら、どんな風にコミュニケーションをとるのか?科学者たちは、宇宙人の存在だけでなく、食べ物、知能、あるいは遺伝子に至るまで、真剣に持論を展開していく。宇宙人との接触は、人類にいったい何をもたらすのだろうか。(2015年3月初回放送)
制作