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セリフ書き起こし 金曜プレミアム・鬼平犯科帳 THE FINAL 前編「五年目の客」 2016.12.02

(竹内)おはようございます。
(一同)おはようございます。
(竹内)おはようございます。
(村松)遅い!で誰につけられたと?
(忠吾)ですからどこの誰とも知らぬやつにですよ。
(三井)犬だったんじゃないですか?三井さん俺が犬と人を見間違えるとお思いですか?
(小柳)思う。
(忠吾)小柳さんまで。
(竹内)酒に酔っていたのではないのか。
(忠吾)違いますよ。
まだ宵の口でした。
とは言ってもとっぷりと日の暮れた五つ時比丘尼橋から京橋へ向かう川端でした。
私の背後から足音がひたひたひたと。
振り向けば…。
懐のあいくちに手を掛けたまさに怪しい人影。
何者か!とりんとした声を発すれば人影は恐れをなしたものかすーっと立ち去ったような次第でして。
まあおおかたゆすりたかりの類いでしょうな。
ハハハ。
(村松)懐が軽いと見破られたのさ。
(忠吾)村松さん。
(小柳)ひょっとして人の女に手を出して亭主に狙われたか…。
小柳さんまで何をおっしゃる。
(小林)お出掛けでございますか。
(平蔵)うむ。
市中見回りにと言いてえところだがちょいと息抜きにな。
(平蔵)どうした?
(酒井)実は三日ばかり前の夜役宅からの帰途何者かにやいばを向けられまして。
《何者だ?》《火付盗賊改方と知っての上か》・
(拍子木の音)・
(男性)《四つにござい》《四つでございます》
(酒井)まるで妖気の漂う殺気でした。
姿形から相手は浪人風でしたが。
で酒井が火付盗賊改方と知っての上か。
それは何とも。
ただ思い返しますと役宅を出たときからつけられていたような。
(小林)そういえば忠吾も先夜何者かにつけられていたと申します。
ああありゃただのごろつきのようだな。
(久栄)でもお出掛けなさいますならくれぐれもお気を付けになられて。
おいおい女房殿に気をもませてしまったぞ。
ハハハ。
(小林)これは申し訳ございません。

(おとき)申し訳ございません。
(おとき)ああおいでなさいまし。
長谷川さまがおいでです。
(三次郎)おう。
今戸辺りへ行く途中でな。
(三次郎)あちらに何か?いやいやほんの気晴らしさ。
(伊三次)いやぁ…。
ああこれは長谷川さま。
いたのか。
(伊三次)ええ。
あまりの暑さに井戸水を使わせてもらいに。
(おまさ)長谷川さま。
おまさもか。
二人いるならちょうどいい。
舟でも仕立てようじゃねえか。
平蔵は気晴らしにと口にしたが市中見回りを兼ねていることは言うまでもなかった
時として町の片隅のかすかなうごめきが務めの役に立つこともあった
舟が山野堀に入り込んだときである
長谷川さま橋の上で水を買ってる四十絡みのあきんど風の男をご覧くださいまし。
(伊三次)昔遠州を根城にした羽佐間の文蔵の下で働いておりますときに仲間だった江口の音吉って男です。
(音吉)ごちそうさん。
(伊三次)まだ足を洗っていねえとすると羽佐間の文蔵が江戸で一仕事するのかもしれません。
今日一日は遊ぶつもりがそうと聞いちゃ捨ててもおけめえ。
(伊三次)あっしがつけますんで。
お前は面も知られてるだろう。
(伊三次)ああ…はい。
ですが…。
(おまさ)用心に越したことはないよ伊三さん。
あの男は私が。
俺は五鉄に引き返したる。

船宿は釣りの客行楽の客に舟を提供するのだが男と女の逢引に部屋を貸すこともあった

 

 

 

 

(お辰)ああお客さんおかえんなさい。
(音吉)お辰さんは声が若いね。
(お辰)フフ…。
声だけですか?
(音吉)いやいや。
その顔艶も。
(お辰)フフフ。
もう。
(お辰)いやですよ。
ハハ。
ほらすすぎすすぎ。
(おまつ)はい。
どうぞ。
フフフ。
(音吉)どうも。
うむ。
あとは手酌だ。
(伊三次)へい。
(三次郎)お待たせを。
ほう山の芋にぜんまいか。
(おとき)はい。
(三次郎)こちらはせいごの薄造りで。
何かありましたらお声を。
ありがとよ。
二人とも遠慮はなしだぜ。
(五郎蔵)恐れ入ります。
伊三さんも知っていることだとは思いますが羽佐間の文蔵という盗賊は盗むためには情け容赦なく人を殺したり傷つけたりすると聞いております。
血を見ることを何とも思わない生まれつきの悪党だと。
それが嫌であっしは早々に文蔵の一党から抜け出したようなわけで。
力ずくで押し入り人を殺しておいてから金を奪うやり口ですから盗みに芸というものがございません。
江口の音吉ってのは文蔵の下で何を?引き込みでございます。
男の引き込みか?
(伊三次)音吉は引き込みにはたけておりやす。
(おまつ)失礼いたします。
一杯ついでもらおうか。
(おまつ)はい。
ほっ。
はい。
(おまつ)はい。
ほい。
(おまつ)えっ!?ええっ!?
(音吉)ハハハ。
さあ。
(おまつ)あっはい。
おっとっとっと…。
いただきます。
(おまつ)はい。
(伊三次)音吉は小さい時分大坂に出て役者をしていたことがございます。
(伊三次)文蔵一味の中では珍しく気性の丸い男でこれが生まれつきなのか手練手管か分かりませんが相手がつい気を許してしまうようなすべを持ち合わせておりやす。

(足音)
(おまさ)遅くなりまして。
いくか?まずお知らせを。
音吉はあれから浅草橋の船宿で女と逢引を。
ほう。
(おまさ)三十ばかりの女が出た後すぐに出てきましたからおそらく。
で?音吉は神田下白壁町の旅籠丹波屋に入っていきましたが三河の小間物屋坂田屋の平太郎と名乗って七日ばかり長逗留しているようです。
七日も?
(五郎蔵)そこが一味の盗っ人宿ということもございますね。
文蔵の根城が遠州とすれば仲間を集めるには旅籠はうってつけではある。
人の出入りが多ございますから。
もしかするとその旅籠のあるじが一枚かんでるってことは…。
(五郎蔵)長谷川さま。
その旅籠それとなく探ってみます。
うむ。
近くに見張り所がいるな。
(おまさ)それは私が。
丹波屋は上野から日本橋へと続く表通りから一本東側の神田下白壁町にあった
丹波屋のあるじが出てくる。
(小柳)あれか。
あるじの源兵衛です。
(お辰)ありがとうございました。
(おまつ)どうぞ。
(音吉)どうも。
音吉も出ますね。
(源兵衛)お出掛けでございますか。
いやいや。
商いばかりで江戸見物もできやしませんよ。
(源兵衛)商売繁盛で結構じゃございませんか。
私これから市ヶ谷の方に向かうから番頭さんにそう伝えておいてくれ。
はい。
(音吉)じゃあ私もそこまで。
はいはい。
今日はどちらまで?ちょっと本郷まで。
(源兵衛)ほう。
(源兵衛)それではここで。
(音吉)いってまいります。
(源兵衛)いってらっしゃいませ。

(源兵衛)確かに。
何かのときはまた頼む。
(源兵衛)はい。
いつもごひいきにあずかりありがとうございます。
(五郎蔵)あるじの源兵衛の本業は旅籠ですが金貸しもしておりました。
貸す相手はほとんどがお武家でして。
それも千石二千石の大身の旗本から百石二百石の御家人にまで及んでおりました。
うむ。
(酒井)貸すのは将軍家の家来のみということか。
(小林)大名家の江戸屋敷の者はいつ何時国元に戻ることになるやもしれぬ。
となると取りはぐれることになるかもしれん。
その点幕臣ならば江戸からいなくなるということはありません。
(五郎蔵)そういうかたい商いをしておりますがあこぎな噂は聞きません。
旅籠の方も評判はいいのですが…。
周りでは丹波屋の蔵には金がうなってるんじゃないかと言う者がおります。
江口の音吉が引き込みということを考えますと…。
長谷川さま。
羽佐間の文蔵の狙いは丹波屋の金蔵だな。
(五郎蔵)へい。
(三井)小柳さん。
(小柳)ありがたい。
(三井)文蔵の狙いは丹波屋でしたよ。
何?
(竹内)音吉の長逗留は引き込みだ。
(小柳)戻ってきた。

(おまさ)音吉は本郷から駒込巣鴨を歩いただけでした。
あっ代わりましょう。
皆さまもどうぞ。
(男性たち)えっほえっほえっほえっほ…。
(源兵衛)おいでなさいませ。
あっおいでなさいませ。
おい誰かいないか?
(お吉)はーい。
(お吉)まあおいでなさいまし。
どうぞ。
(おまつ)あっ女将さん私が。
(お辰)申し訳ございません。
(お吉)どうぞごゆっくり。
お前さん今でしたか。
(源兵衛)ああ。
帰りにね岩木屋さんに寄ったらこれだよ。
勝負は?
(源兵衛)もちろんへこませてやった。
ハハハ。
間違えねえか。
音吉が逢引をしていた船宿から出てきた女でございます。
つまり逗留してる旅籠の女将さんと音吉が?そうとしか。
(小林)長官これをいったいどのように?うむ…。
(小林)丹波屋の女房が羽佐間の文蔵の一味ということも考えられますが。
ですが昨日今日旅籠の女将になったとも思えません。
丹波屋のあるじの年格好は五十をこえております。
あの女将は後添えかと。
(酒井)とすれば押し込み先の亭主に女房として送り込んだということも。
(伊三次)いやお言葉ですが文蔵は女を使った盗みはしませんので。
まして音吉の他に女を送り込むほど手間暇をかけるような男じゃございません。
昔は昔今はやり口が変わったのかもしれん。
大沢屋さんお久しぶりでございます。
(嘉助)湯島天神以来でしたかな。
ええ。
梅のころに。
(源兵衛)今日はね富士詣のお誘いだ。
富士のお山に?
(源兵衛)アハハいやいや駿河までは足を延ばせないから江戸にある富士塚だよ。
(お吉)ああ。
講中の何人かはことしは神田富士がいい駒込富士がいいと言ってるが。
私はやっぱり音羽富士だね。
それは?
(源兵衛)それはね去年音羽富士の帰りに浅草に立ち寄ったおかげでお前と巡り会えたから。
ああ。
(嘉助・源兵衛)ハハハ。
そしたらあっという間にこうして夫婦に。
ああ暑。
ハハハ。
音羽富士のありがたい御利益だね。
(嘉助)はいはい。
ハハハ。
(女性)お団子一つ。
(忠吾)おいちょっと聞きたいことがあるのだが。
はいはいその前にお武家さま甘い物どうです?それもそうだな。
いやいやいやいかんいかん。
(忠吾)丹波屋とは同業の大沢屋のあるじにそれとなく聞き出したところお吉というのは浅草本門寺門前の甘酒屋で茶くみ女をしていたそうで。
(小林)働きだしたのはいつだ?
(忠吾)四年前からですがお吉を見たさに通い詰める男が引きも切らなかったようです。
(酒井)丹波屋に近づくためにそんな前から働くなどと考えられません。
だがそういった店の女は時として男の相手をすると聞くが。
小林さま。
源兵衛はずいぶん前に女房を亡くしているようですからとやかく言うことではありますまい。
(忠吾)ちょうど去年の今時分源兵衛に見初められて丹波屋の後添えに入ったそうです。
お杉腰腰…。
(お杉)はいこのとおり。
(一同の笑い声)
(おまつ)女将さん楓の間のお客さんに怒られました。
申し訳ございません。
まだ江戸に不慣れな女中でございまして。
どうかお許しを。
お江戸見物にいい所はないかとお尋ねとか。
いい季節でございますから寺社の庭巡りなどいかがでございましょうか。
品川の海雲寺…。
(忠吾)お吉という女将は奉公人の扱いにも慣れてその上客あしらいがいいというので評判です。
特に怪しいところは見当たりませんね。
丹波屋との夫婦仲はどうだ?年は離れていますが至極良いとのことで。
しかしそのお吉がなぜ音吉と逢引など…。

(音吉)《お前何て名だ?》
(お吉)《喜蝶》
(音吉)《何だ?》《喜ぶ蝶って書いて喜蝶》《フッ。
何だかしみったれた蝶じゃねえか》
(音吉)《ほら金ならちゃんと持ってんだよ》《帳場には心配するなってそう言っとくんだな》・
(いびき)
(いびき)
(お吉)お客さんはあの…。
(音吉)ん?うちには…丹波屋にはいつまで逗留されるおつもりで?
(音吉)まあ商いのめどが立つまでだね。
なぜだい?俺が宿から出てってもいいのか?抱いてくれる相手がいなくなってもいいのかい?神田辺りじゃこう長逗留されるお人は珍しいんで。
(音吉)帳場が気にしてるのか。
(お吉)はい。
いえ。
(音吉)金なら心配ない。
たまってる分は今日にでも払うよ。
長逗留してると時々怪しまれるんだ。
あの客は本当に金を持ってるのか。
何かよくない訳でもあるんじゃないのかななんてね。
(音吉)何年か前にもそうやって怪しまれたことがあったよ。
うん。
品川だったかね。

(女性)おかえりなさいまし。
(一同)おかえりなさいまし。
(番頭)あっおかえりなさいまし。
(お吉)ただいま。
(番頭)このところお出掛けが多いようで。

(源兵衛)お吉かい?
(お吉)はい。
(お吉)ただ今戻りました。
ああおかえり。
あの例の長逗留の小間物屋さんですけど。
ああ坂田屋の平太郎さん。
(お吉)はあ。
あの何でも商いのめどが立つまで江戸においでだとか。
何なら今日にでも一度払いを済ませるとお言いでした。
(源兵衛)うん。

(お辰)あらおかえりなさいまし。

(音吉)はいただいま。
(源兵衛)おっ噂をすればかな。
ああおかえりなさいませ。
(音吉)ただ今戻りました。
(源兵衛)今日も暑うございましたですね。
(音吉)そのせいか商いの方はさっぱりでした。
(源兵衛)ああそれは。
すぐにお食事にされますか。
それとも…。
(音吉)じゃあお風呂から頂戴しましょうかね。
今夜は…。
お許しを。
そうか。
すみません。
どうした?おまさ。
ああ…。
お吉の逢引がどうもふに落ちませんで。
ほう。
(おまさ)お吉にときめきのようなものが見えないのでございます。
ほれ合った男と女の人目を忍ぶ逢瀬というものはたまった思いをぶつけ合うものでいくら隠しても顔や体からにじみ出てくるものでございます。
いえ忍んでるからこそときめき輝きがこぼれ出るものだと。
小さな炎をここぞとばかりに燃やすものでございますが。
それがねえか。
(おまさ)はい。
むしろ何か重いものを抱えているような。
だが音吉に応じて出掛けてるんじゃねえのか。
何かそうしなければならない訳があるのではと…。
ふっくらとした穏やかな顔ですがふとした目の動きに地獄を見てきたような陰がございます。
おまさの話をどう思う?どうと申されますと。
いや亭主に隠れて他の男と会う女の心の持ちようさ。
身に覚えのないことで私には…。
ただおまささんの話を聞いておりますと何ともいたわしいおなごのような。
いたわしいか…。
(お杉)うう…。
(男性)お杉さん腰お大事に。
年寄り扱いすんじゃないよ。
お光ちゃん笑ってんじゃない。
(お光)はーい。
フフッ。
お前さん。
(源兵衛)大丈夫大丈夫。
(源兵衛)行こう。
(源兵衛)ほら出てただろう。
(五郎蔵)おいでなさい。
(源兵衛)お武家さまお邪魔をさせていただきます。
おおどうぞどうぞ。
(お吉)申し訳ございません。
(源兵衛)冷やを一本お願いしますよ。
(五郎蔵)へい。
(お吉)いいんですかねこそこそと。
(源兵衛)家の中じゃ二人してこうしてゆっくり酒も飲めないだろう。
じゃ。
こんなとこ奉公人に見られたらあしたからかわれますね。
ハハハ。
からかわれてみようじゃないか。
(五郎蔵)いわしですが。
(源兵衛)屋台はいつからかね?へい四〜五日前から。
(源兵衛)ああそれはありがたいねぇ。
お近くで?
(源兵衛)そこの丹波屋ですよ。
旦那で?
(源兵衛)はい。
そりゃお見それを。
軒先をお借りしてるようなもんだ。
いやいやここは天下の往来です。
何の気兼ねもありませんよ。
親父さんも一杯どうかね。
(五郎蔵)ええ。
いただきやす。
はいどうぞ。
もう一本頼みますよ。
(五郎蔵)へい。
(おまつ)あっやっぱりここに。
あっやっぱりって…。
(おまつ)お辰さんがたぶんここだろうって。
何事だ?
(おまつ)大沢屋さんが富士詣のことでおみえです。
まったくせっかちなお人だね。
何もこんなときに来なくたっていいのに。
じゃあ私はちょっと行ってくるから…。
ああいい。
まだお酒頼んだばっかりだからゆっくりしてくるといい。
これ。
(五郎蔵)へい。
(源兵衛)それじゃあご無礼をいたします。
(五郎蔵)いかがで。
ああ…。
ご亭主かい?ええ。
ああいい飲みっぷりだね。
いける口だね。
でも近ごろは酔えませんで。
ほほう。
(五郎蔵)さあ。
お泊まりのお客のお酒の相手だとなかなか…。
ああそりゃあおちおち酔っちゃいられねえなぁ。
旅籠の女将も気苦労が多そうだねぇ。
しかしご亭主はよさそうな人でいいじゃねえか。
ええ。
私にはもったいないくらい。
女房を酒に誘い出すなんてのは俺にゃあまねはできねえよ。
フフフ。
本当にいい人で…。
本当に…。

(演奏)「鶴賀節」か。
近ごろじゃ「新内」とかいうそうで。

(演奏)
二日ばかりたった朝である
薬は?
(お吉)持ちました。
何なら一晩泊まってきてもいいんだよ。
じゃあいってまいります。
(おまつ)いってらっしゃいまし。
女将さんどちらに?千住にいる弟さんの具合がよくなくてね。
そりゃ心配だ。

(せき)・
(庄次のせき)
(庄次)姉ちゃん。
ああ…。
ここの井戸水は冷たくておいしい。
おしげさんは?里の親んところに行ってるよ。
(お吉)むつきだね。
産み月になると色々支度があるんだよ。
そう。
産み月か。
あっこの前作るって言ってた平打ちあれちょっと待ってくれよ。
(お吉)えっ?ほら正月来たときいつか作るって言ったろ?ああ…。
うん。
待ってる。
(庄次)ああ。
(ため息)姉ちゃん何かあったのかい?あのね私もしかしたら丹波屋を出るかもしれない。
そのことを前もって知らせておこうと思ってね。
丹波屋の旦那さんと何か?
(庄次)じゃあ何で?俺に隠し事かい?私は…悪い女なんだよ。
丹波屋の源兵衛さんにもお前にも顔向けできないことを…。
姉ちゃん。
五年前板橋の伯母さん夫婦に預けてたお前を引き取ってこっちへ来てもらったろ。
(庄次)ああ。
小さい時分から伯父さんの仕事を見てきたお前だから飾り職なら身を立てられるって思って。
お前を医者に見せたりこの家を買うときあのとき払い一切は私がお世話になる人にもらったって言ったね。
うん。
(お吉)あれは…。
違うんだよ。
何もかも話すから聞いておくれ。
(お吉)《お客さん十日も居続けだろう》《帳場が心配してるよ》《商人だってのに毎日酒に台屋から運ばせた料理だろう》《金の心配か》《だいぶたまってるようだから》《言ったとおりでしょ》《七十八両あるが何も怪しむような金じゃない》《名古屋で大きな商いをして私が稼いだんだ》《払えというなら今払うが幾らだい?》
(佐兵衛)《ヘヘヘヘ。
何をおっしゃいます》《払いならお後で結構》《それより女ならこんなあぶらの抜けた女より百足屋のよりすぐりの女になさいまし》
(音吉)《私はこの…えーっと…》《喜蝶》《喜蝶がいいんだよ》
(佐兵衛)《ハハハハ。
何と物好きな》
(音吉)《さあ払いは後後》
(お吉)その夜だった。
その客の胴巻きから五十両盗んだんだ。
このお金さえあればお前を引き取って医者に見せられる。
私も浮かび上がれるそう思って。

(ため息)罰だね。
(お吉)あのときの商人が丹波屋の客になって現れたんだ。
(おまつ)《ではこちらです》
(音吉)《はい》《おいでなさいまし》
(音吉)《お世話になります》
(お吉)五年もたって…。
よりによって…。
(庄次)姉ちゃんだってその男は気付いてるのかい?それが…。
何とも知れないんだよ。
(庄次)えっ?それとなく様子を見に行ったら…。
《ようこそ丹波屋へお越しくださいました》《女将さんでしたか》《はい》
(ため息)《えっ?》《いえ。
お酌を》《ああすまないね》
(お吉)《おやめください》
(音吉)《宿に入ったときから俺のことがよほど気になってるみたいだね》《ここでは…ここでは…》
(音吉)《ここじゃなきゃいいんだね》拒めば五年前のことを持ち出してくるかもしれない。
それが恐ろしくて誘いを断れなかった。
誘われるたんびに船宿を変えてこれまで三度も…。
(お吉)だけど向こうは五年前のことに気付いていないのか気付いていながら黙っているのかそれが分からなくって。
あの男は私をなぶりものにするつもりなんだ。
丹波屋を出てからも真綿で首を絞めるように私の…私の後を付きまとうのかもしれない。
五十両返せないのかい?うちの人に頼めばそれぐらい用立ててくれるだろうけど。
だけど言えないよ。
五年前のことは口にできない。
私人の女房として暮らす幸せを知ってしまったんだよ。
だけど源兵衛さんがいくらいい人だって私が盗っ人だと知れば…。
だから何にも言わず丹波屋を出るつもりなんだよ。
姉ちゃん。
今日一緒に江戸に行くよ。
えっ?おしげには書き置きを残してさ。
けどお前が来たからって…。
江戸に着いたら…。
俺をその男に会わせておくれ。
庄次?姉ちゃんは会わせてくれればいいんだ。
何もしなくていいんだ。
そんなこといけない。
いけないよ。
およこし!
(庄次)姉ちゃんに恩返しするにはこれぐらいしか!
(お吉)そんなこと駄目だ。
駄目!
(庄次)でもこのままじゃ姉ちゃんが!お前にそんなこと頼みに来たんじゃないんだよ!
(せき)
(泣き声)不安でさ苦しくって…。
でも誰にも言えないじゃないか。
打ち明けられるのはたった一人の身内のお前くらいしか…。
だから…。

(足音)
(おしげ)お姉さんおいででしたか。
(お吉)うん。
もう帰るとこ。
泊まるよう言ったんだが。
立派な子を産んでね。
(おしげ)はい。
千住に弟がな。
(伊三次)へい。
宿場の小間物屋に納めてる飾り職でして。
ほう。
(伊三次)ですがお吉が何の用で行ったのかまでは…。
(小柳)丹波屋の見張りを交代して戻りました。
ご苦労。
(忠吾)どこへ出掛けていたものか旅支度の女房は日が落ちてから戻ってまいりましたが。
ああそれは承知している。
あっさようで。
二人とも今日はゆっくりうちへ帰って休め。
(忠吾・小柳)はっ。
では。
(小柳)今日もまた寄り道か。
(忠吾)小柳さん何をおっしゃいます。
私はここで。
では明日また。
(忠吾)では。
フフフフ。
火付盗賊改方だな。
何者か。

(小柳)うっ…。

(雷鳴)
(男性)開けろ!開けろ!
(村松)長官小柳が…。
小柳…。
(小林)夜明け前飯田町蟋蟀橋近くで倒れているのを出職の者が見つけまして。
(酒井)以前私の前に現れた者か忠吾がつけられたという者と関わりがあるのかどうか。
ゆうべ私も一緒に帰っていれば…。
寄り道せずに私が一緒であれば…。

火付盗賊改方は若年寄支配であった
特に若年寄の一人京極備前守は前々から長谷川平蔵のよき後ろ盾であった
命を落としました小柳安五郎は火付盗賊改方の中でも指折りの使い手でございました。
(備前守)そのような者が一刀のもとに。
はっ。
(備前守)狙われたものか。
今のところはきとしたことは。
(備前守)うむ。
このたび出来いたしましたることの責はいずれこの長谷川平蔵一人が覆う覚悟にて配下の者たちには何とぞこのままお役目を全うさせたく存じまするが。
(備前守)承知した。
はっ。
小柳さまはとんだことで。

(お辰)フフフ。
どうぞ。
(おまさ)音吉が出掛けます。
お辰さんは本当に笑顔がいいね。
ハハハ。
いやです。
(音吉)じゃあ。
(お辰)はい。
お気を付けていってらっしゃいまし。
つけます。

(甚助)あさっての八つだ。
こっちは大丈夫だ。
お頭にそう伝えてくれ。
ああ。
ところで音さんよあの丹波屋の女房はどうするえ?どうするったって。
ヘヘヘ。
あの女もおかしな女だ。
お前を怪しんで探りを入れてるってことはねえのかい。
(音吉)いやいや。
俺によ初手からのぼせ上がってやがった。
ヘヘ。
よく言うぜ。
俺の前で震えたりうつむいたりありゃよほどの浮気者だよ。
手つかんだら他愛もなく俺の胸にもたれ掛かった。
お前女にゃあ気を付けろ。
(音吉)ヘヘ。
甚助さん。
(甚助)何年か前品川の女郎に五十両かすめ取られたことがあったろ。
それを言ってくれるなよ。
まさかお頭に漏らしてないだろうね。
言いやしねえよ。
(音吉)ハハハ。
いやしかしあのときは俺も形無しだったぜ。
愛想も何もねえ女だったが二十八両残していきやがったのがしおらしいじゃねえか。
それがお前の甘いとこだ。
あさって丹波屋に押し込んでその女房をたたき殺す羽目になったらどうするつもりだ?そんときは他の仲間に頼みてえな。
甘えな。
(竹内)後を追ってきた。
そこか。
文蔵の盗っ人宿は。
はい。
ざる売りが入った後二人連れやら一人で来る者が。
こうして人が集まってるところを見ますと。
おそらく文蔵は近々押し込む。
(小林)丹波屋と小菅村に人を増やし見張りを強固に。
うむ。
いかなるささいな動きにせよつなぎは怠るなよ。
(一同)はっ。

(お吉)失礼します。
お呼びとか。
浅草黒船町に笹やという船宿がある。
明日いつもの時刻にそこで。
もうご勘弁を。
いいのかい?酒でつい口が軽くなって前のことを口走ってしまうかもしれない。
あんたとはこれからもまだ会いたいし。
内緒事を人に漏らすようなことはしたくないんだよ。

(お辰)ほら持って持って。
(おまつ・お辰)どうぞ。
(音吉)悪いね。
(おまつ・お辰)いいえ。
(音吉)いってまいります。
(おまつ・お辰)いってらっしゃいまし。

(お光)いってらっしゃいませ。

(三井)木村さんだ。
(竹内)うむ。

(山崎)来た。
前のが羽佐間の文蔵です。
お頭いよいよですね。
(文蔵)うむ。
初めての江戸で支度に難儀するかと思ったが案外事はすんなりと運んだな。
(甚助)ええ。
音吉も抜かりはないようです。
(文蔵)うむ。
(文蔵)火付盗賊改方ってのは油断がならねえって噂だがなに口ほどでもねえ。
(一同の笑い声)
(文蔵)鬼の平蔵とかいうのは切れ者だと聞くがその野郎に吠え面かかせてやろうじゃねえか。
(甚助)そりゃあいいね。
なあ?
(一同)おう。
誰にも知られず盗み取る奇麗なおつとめなんぞはくそ食らえだ。
いいかお前ら。
そんときには誰彼構わずぶった斬れ。
(一同)へい。
最後にゃあ火ぃ付けて引き揚げる。
(一同の笑い声)鬼の平蔵の評判はがた落ちしてこの羽佐間の文蔵の名前が盗っ人仲間に知れ渡るわけだ。
(酒井)音吉が入ってどれほどだ?
(五郎蔵)半時はたちましたが。
お吉が来た様子はないな。
(五郎蔵)ええ。

(戸の開く音)
(五郎蔵)酒井さま。
音吉より先に来ていたようだな。
(五郎蔵)えっ?・
(叫び声)
(叫び声)
(酒井)どうした?お客が死んでる!
(酒井)火付盗賊改方である。
宿を改める。
案内せい。
(男性)はい。
このことは誰にも話してはならん。
は…はい。
(五郎蔵)江口の音吉です。
うむ。
(酒井)船宿に口止めをして死骸と分からぬように運び出してまいりました故羽佐間の一党に知られた気遣いはないものと。

(伊三次)伊三次ですが。
(小林)入れ。
音吉。
これはいったい?丹波屋の女房が船宿を出たすぐ後にな。
(伊三次)丹波屋の。
うむ。
首にはこれが。
丹波屋のお吉が絞め殺したとしか。
しかし女の力で男を…。
いや女とていざともなりゃあ。
(伊三次)実は小菅村の盗っ人宿に羽佐間の文蔵が入りましたのでお知らせに。
集まったのは締めて十二人。
押し込むのは今日か明日だな。
音吉のことは丹波屋には伏せておけ。
(一同)はっ。
(拍子木の音)
(男性)火の用心。
(拍子木の音)
(男性)さっしゃりやしょう。
(拍子木の音)あるじの源兵衛でございます。
お呼びと伺いましたので。

(酒井)入ってくれ。
(源兵衛)はい。
失礼をいたします。
われらは火付盗賊改方である。
こちらの金蔵を盗賊が目を付けた故今日これからはわれらが一切を仕切る。
客を一人も出してはならぬ。
このことは番頭のみに知らせて他の奉公人には口外無用。
(番頭)どうだった?
(お辰)どこにも。
(お吉)番頭さん何かありました?例の長逗留の小間物屋さんがゆうべからお戻りじゃありませんで。
そう。
(源兵衛)まあまあ遊びに行って泊まるということもあるから。
(番頭)そうですな。
(源兵衛)もう少し待ってみよう。
今まで待ってみましたが音沙汰がありませんので。
小間物屋がなぁ。
帰らぬ者のことはわれらから町方に知らせておく故。
承知いたしました。

(お辰)旦那さん。
(源兵衛)ああ?あっ失礼いたします。
(源兵衛)どうした?今日はもうお泊めできないと言ったんですけどそしたら客の木村忠吾を出せとか何とか。
何?誰だいったい。
ああもう…。
あっ…。
こちらはお泊めしてよいのだ。
(お辰)あ…ならどうぞ。

(伊三次)あっしは文蔵を。
(田島)われらは長官に。
伊三次さんからの知らせによりますと文蔵は神田和泉橋近くのしもた屋に入っていったそうです。
和泉橋ならここからすぐです。
やつらはそこで支度を整えておそらく夜更けに。
(三井)長官に。
(酒井)うむ。
(おまさ)お酒を。
(五郎蔵)おいでなさい。
今のところ周りは静かなようで。
音吉が殺されたというのは?丹波屋の女房に?うむ。
長年抱えていたものを吐き出したかったのかもしれないねぇ。

(お吉)眠れないんですか。
(源兵衛)うむ。
お前もか。
ええ。
今夜は眠らない方がいい。
えっ?・
(かんぬきを外す音)待っていたぞ羽佐間の文蔵。
お前は?火付盗賊改方長谷川平蔵だよ。

(戸の開く音)もはや逃れられぬ。
神妙に縛につけ!
(文蔵)斬りぬけろ!野郎!
(竹内)もう大丈夫だ。
安心いたせ。
ありがとうございました。
(竹内)うむ。

翌日丹波屋の者が役宅に呼ばれて一人一人が長谷川平蔵に事情を聴かれた
長谷川平蔵である。

(一同)旦那さん。
旦那さま。
(源兵衛)お前たちは先に帰ってなさい。
丹波屋の子細は相分かった。
もうよいぞ。
もうよいと申したが。
はい。
でも…。
丹波屋のお客で今日まで一人帰ってこないお人がおります。
小間物屋の平太郎というお人で私は…。
私が手にかけましてございます。
浅草黒船町の船宿笹やにお尋ねいただけたらきっと…。
(お吉)五年前品川で会ったいわくのある男で。
五年前のことなら聞いておる。
おい酒井。
(酒井)はっ。
弟から五年前の品川の一件は漏れなく聞いたよ。
お前は小間物屋平太郎を殺したと言っているがお前夢でも見たんじゃねえのか?船宿笹やで確かに死人は出た。
だが殺された男は江口の音吉という盗賊の一味だ。
丹波屋の女房がそんな男と関わり合いがあるはずはねえ。
でも…。
どうだ?
(小林)小間物屋平太郎という男が殺されたという届け出は出ておりません。
(酒井)死んでいたのは盗賊羽佐間の文蔵の子分で江口の音吉でございました。
五十両盗めば死罪ともなる大罪だが盗まれたという届け出も出ていねえと聞く。
はい。
ございません。
でも…。
私はこの手で…。
(お吉)この手で…。
そんな私がこの先幸せに暮らしていいはずが…。
夢だ。
夢なんだよ。
さあ立て。
亭主も案じていよう。

(備前守)羽佐間の文蔵一味残らず捕らえたと聞いたが。
はっ。
その一味とわが配下小柳安五郎が斬られたこととは関わり合いのないことと存じます。
役目柄知らぬところで恨みを買うこともあろうな。
恐れ入ります。
悪をはびこらせれば商人町人が泣き悪党を捕らえればその仲間に恨まれる。
悩ましいことだ。
それがわれらの役目の定めかと。
平蔵。
はっ。
今でもあちらこちら遊んでいるのか?いやなかなか以前のようには参りませぬ。
もっと遊べ。
その方には今しばらく骨を折ってもらわねばならぬ。
遊んで英気を養うことも務めと心得よ。
はっ。
女房にさよう申し聞かせまする。
ただその後のことはわしは知らぬ。
ははは…。
(久栄)京極さまがそのようなことを?うむ。
若年寄京極さまの仰せ故いかに俺だとて背くわけにもいくめえ。
遊ぶと申されますと?まあ色々あらあな。
色々…。
ああ楊弓場で矢を射る遊びもある。
だがあいつは子供だましだな。
ではどのような?そうよな。
ばくちを打つのもよし。
ああ芸者遊びなんざいいねぇ。
真に受けたか。
殿様。
(二人の笑い声)
(おまつ)女将さん私が。
(お吉)いいんだよ。
(おまつ)お辰さんに叱られますから。
(男性)丹波屋だ。
ここだここだ。
(お吉)ああおいでなさいまし。
どうぞどうぞ。
おまつご案内を。
(おまつ)はい。
どうぞ。
いらっしゃいまし。

(源兵衛)お吉。
(お吉)おかえりなさい。
(源兵衛)ただいま。
今戻った。
(お吉)お疲れになったでしょう。
(源兵衛)いや大丈夫大丈夫。
いやぁ楽しかった。
(お辰)旦那さんおかえりなさいまし。
(男性)いってらっしゃいまし。
(お吉)いってらっしゃいませ。
源兵衛とお吉夫婦の営む旅籠丹波屋の評判はその後も枯れることなく訪れる旅人の足は引きも切らなかったという
2016/12/02(金) 21:00〜22:52
関西テレビ1
金曜プレミアム・鬼平犯科帳 THE FINAL 前編「五年目の客」[字][多]

過去に絆されし女の修羅…悲劇の姉弟を襲う悲しき宿命!女の涙が鬼平の正義に火をつける!火盗改を襲う謎の妖剣…鬼の平蔵最後の伝説が幕を開ける!

詳細情報
番組内容
 長谷川平蔵(中村吉右衛門)は、おまさ(梶芽衣子)らと共に船で市中を見回っていた。山谷堀に入ったところで、伊三次(三浦浩一)が江口の音吉(谷原章介)を見つける。音吉は、遠州の大盗賊・羽佐間の文蔵(吉澤健)の手下だった男。今後、文蔵と音吉が江戸で盗みを働くことに備え、おまさは音吉をつけることに。
 おまさら密偵たちの尾行により、文蔵と音吉の狙いが「丹波屋」という旅籠であることが判明する。「丹波屋」の
番組内容2
主人は源兵衛(平泉成)、おかみはお吉(若村麻由美)。音吉の見張りを続けていたおまさは、お吉を見て険しい表情になる。音吉が「丹波屋」に入る前に、船宿であいびきしていた相手がお吉だったからだ。
 お吉は、5年前に自身の生活のため、そして病弱だった弟・庄次(渡辺大)のため、品川の遊郭で働いていた。そこで音吉と出会い、彼が寝ている間に、つい出来心から五十両を盗んでしまった。その後、源兵衛と出会い、小さな
番組内容3
幸せを掴みかけたが、そこに客として5年ぶりに音吉が現れたのだ。音吉に脅されるものと思い込み、彼に言われるがままに体を任せてしまったお吉。しかし音吉の狙いは盗みのための下調べだった。
 その頃、火付盗賊改方が、妖気の漂う殺気をまとった謎の剣豪・石動虎太郎(尾上菊之助)に次々に襲われる事件が発生。その事件は、平蔵の上司にあたる京極備前守(橋爪功)をも巻き込むほどの大きな影となり、平蔵らを襲うことに…。
出演者
中村吉右衛門 
多岐川裕美 
梶芽衣子 
勝野洋 
中村又五郎 
若村麻由美 
谷原章介 
尾上菊之助 
橋爪功
スタッフ
【原作】
池波正太郎 「五年目の客」(文春文庫刊) 

【企画】
能村庸一 
武田功 

【プロデューサー】
羽鳥健一 
成河広明 
佐生哲雄 
足立弘平 

【脚本】
金子成人 

【監督】
山下智彦 

【音楽】
津島利章