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書き起こし クローズアップ現代+「どう防ぐ?高齢ドライバー事故徹底研究!」 2016.12.06

きゃーっ!
高齢ドライバーによる危険運転。
道路の逆走。
アクセルとブレーキの踏み間違え。
皆さん、自分には関係ないと思っていませんか?
ところが、交通死亡事故全体の数は減る一方高齢ドライバーによる事故の割合は増え続けています。
知らず知らずのうちに認知機能が低下。
それを自覚することなく、運転を続けているのかもしれません。
皆さん慣れているはずの車庫入れで車をぶつけたことありませんか。
停止線に気付かなかったことを家族から指摘されたことありませんか。
どうすれば運転能力の衰えに気付くことができるのか。
今夜は、チェックポイントと事故防止の方法をお伝えします。
埼玉県川口市に暮らす下川時男さん、80歳。
妻の澄子さんを乗せ車で出かけるのが日課です。
60代のときにひざを悪くして以来長時間歩くことは難しいため買い物や通院に車が欠かせません。
6年前から始めた唯一の趣味である釣りも3キロ離れた釣堀まで車なしには通えません。
釣れたよ。
取れましたね。
9年前まで金属の回収業を営み10トントラックを運転していた時男さん。
80歳になり体力の衰えは感じますが運転に関しては人一倍自信があるといいます。
ところが、家族はその自信が不安の種。
この日も停止ラインを少し越えて止まっています。
そして去年、ついに恐れていたことが起きてしまいました。
これだよ。
側面をこすった程度でしたが通い慣れたはずの自宅前の道。
近くに暮らす義理の娘も心配でなりません。
相次ぐ高齢ドライバーの事故を受け、免許の返納について話し合うようになりました。
しかし、お互いの考えはなかなか一致しないようです。
ここ最近だけでも横浜ですとか、あとは立川そして八王子など全国で高齢ドライバーによる重大事故が相次いでいます。
尾木さん、この高齢ドライバーによる痛ましい事故本当続いてますけれども、どう感じていらっしゃいましたか?
僕なんかもうすぐ古希なんですよ。
だから、ひと事と思えない。
だから、自分の問題として考えるんですけれどもやっぱり高齢になって事故を起こしちゃうと相手の補償の問題や命の問題とも重大な問題でしょ。
自分のことをとっても経済的負担とか、身体的なあるいは精神的なこと考えたら大変だと思います。
三村さん、こうした事故が後を絶たないのはどうしてなんでしょうか。
事故を起こす高齢ドライバーの中に自分の能力が低下していてもそれに対して自覚が乏しい方がいるのは事実だと思いますね。
先ほど、VTRに出てきた時男さんもまさにそうだったと思うんですけれども自分の運転は危ないという自覚がない人が本当に多いということなんですね。
ちょっとこちらのデータをご覧いただきたいと思います。
立正大学の所教授の調査結果です。
「事故を起こさない自信があるか」という問いにあると答えた人の割合を年代別に見たグラフです。
年齢が高くなるほど自信があると答える割合が高くなっているんですよね。
番組でアンケートを取ったところ1万件以上の意見が寄せられました。
1つご紹介したいと思います。
…こういう意見が本当に多数寄せられたんですよね。
これはねすごくよく分かりますね。
やっぱり僕なんかももう運転始めて、もうすぐね半世紀になろうという50年近くも乗ってるわけですよ。
10代とか、20代の子の3年や5年乗ったのとすごい訳が違うの。
もう歴史があるのよ。
絶対的な自信あるし。
それから運動神経僕なんか結構、俊敏なのよ。
それを否定されてもね、やっぱり納得できないっていうのはものすごい分かります。
こうしたように自分は大丈夫だと思っているケース、やはり多いですよね。
特にその反射神経とかさまざまな運転に関わるいろんな機能の中で認知機能っていうのはどうしても年齢とともに落ちてきてしまうことがあります。
そして、それ自体は落ちてくるだけでなく結構、人によってバリエーションが大きい低下がある人ほど自覚が乏しいということもいえるかもしれないです。
尾木さんのように運動神経に自信があってもそれはあまり関係がないということですよね。
大事なのは、まず本人が運転能力の衰えを自覚するということなんですけれどもどうやったら気付くことができるのか簡単に調べられるチェックシートというのがあります。
それがこちらです。
主に高齢ドライバーの運転を確認するときに使われているものです。
三村さん、具体的にこれでどういったことが分かるんでしょうか?
ここで見ているのは例えば記憶とかあるいは注意力、判断力空間認知能力そういったようなさまざまな運転に関わる認知機能これはさまざまな領域が関連してますのでこれらを複合的に見るという意味ではこういうチェックシートは有用だと思います。
このチェックシートを使いまして先ほどの時男さんにチェックしてもらいました。
どうだったんでしょうか。
認知症の専門医として高齢ドライバーの事故対策に取り組んできた上村直人医師。
チェックシートの考案者です。
例えば、目的地を運転中に忘れるという項目から分かるのは。
記憶障害のおそれ。
症状が進めば今どこを走っているか分からなくなるケースもあります。
道路標識や信号機の理解の項目は理解力が低下し信号の色とその意味が結び付いていない可能性を示しています。
こうしたチェック項目をもとに上村さんに時男さんを診断してもらいました。
高知から来ました上村といいます。

 

 

 

 

 


よろしくお願いします。
早速、本人と家族両方に該当するポイントを記入してもらいました。
まずは妻の澄子さんと嫁の美和さんがチェックした項目から。
センターラインの不注意と車庫入れの失敗など4つの項目にチェックが入っていました。
センターラインをはみ出したり車庫入れを何度も失敗する。
こうした運転行為が見られると空間認知能力が低下し車の位置関係を把握できなくなっている可能性があるといいます。
次に澄子さんたちが挙げたのが、ブレーキやギアチェンジの運転操作。
運転中、時男さんは急ブレーキが目立つようになったといいます。
そこで上村さんに時男さんの運転の映像をチェックしてもらうと。
前の車がブレーキを踏んだことに気付くのが遅れ、確かに時男さん急ブレーキを踏んでいました。
一方、時男さんがチェックしたのは歩行者や自転車に対する注意力など2つだけ。
澄子さんたちが指摘していたポイントについては全く意識していませんでした。
自分が気付かなかった運転の衰えを家族の指摘によってこの日、初めて知った時男さん。
かたくなだった心境にも少し変化があったようです。
こうしてね、家族と話して自覚することによって本当、考え方にも大きな変化が見られるようになりましたよね。
実は、尾木さんのご家族にも協力いただきまして尾木さんの運転についてチェックしていただきました。
それがこちらです。
3つついています。
3つもついてる。
いかがですか?意外でしたか?
ええ。
コメントいただいたんですけれども3番、車庫入れに関しては「切り返しが多くかなり時間がかかっていた。
全体的に上手ではなかった」。
そして、こちらのメンテナンスについて「ガソリンが減っていたけど気付いていなかったと思う」。
だって見てないもん。
やっぱり見てなかった?これ、先生、いかがですか?
この2番はやっぱり空間認識の問題、あるいは…。
3番ですね。
あるいは車の操作といったような問題だと思いますし8番は、もしかしたらもともとの性格かもしれませんけどこれが重症になってくればやっぱり注意力の問題判断力の問題、そういったようなことだと思いますし9番もやはり注意力、注意の持続といったようなところに問題がある可能性はありますね。
自転車なんかが横道から出てきたのに気付くのが遅いと言われました。
昔はもっと早く気が付いたよって言われてちょっとショックでした。
こうした簡単なチェック方法もあるんですけどさらにできるチェックのしかたもあるんですよね。
運転に関して非常に重要なのは注意力と空間認識だと思いますね。
その空間認識空間操作っていうのを見るのに道具を使わないで簡単にできるような方法としてはこれをまねしてくださいとこういうのがあります。
これを説明をせずに目で見てまねをしてみてください。
これは、ことばで言うと逆キツネとかキツネの逆組み合わせこういうふうに言っておりますけれどもそういったようなことでやっていただく。
これは手指構成というふうに言ってますけれども非常に簡単な空間操作でこれは運転機能とも関連があるというふうに考えていいと思います。
これ、目は開けててもいいんですよね。
もちろん。
尾木さんちゃんとできてます。
こうしたチェック項目が多くなってきたりだとかまた家族との認識のずれがあったりした場合というのはどうしていったらいいんでしょうか。
これもご自身とご家族同乗者の方との比較をしてみるというのは非常に重要で多くの場合、自分のほうが甘くつけると思うんですけれどもそこのギャップが非常に大きいとかあるいは実際の運転行動で問題があるという場合には認知機能が落ちている場合によっては認知症かもしれないということも考えてみる必要があるかもしれない。
その場合には、医師に早めに相談をするということもあるかと思います。
こういうふうにして自覚することが大切なんですけれどもそれだけでは問題の解決になりませんよね。
アンケートで多かった意見が地方に住んでいたりまた体が不自由で、車がないと生活できないというものでした。
この問題に地域ぐるみで対応しようという取り組みが始まっています。
滋賀県守山市。
高齢者支援を行う地域包括支援センターです。
最近、会議でたびたび報告されるのが高齢ドライバーの問題です。
センターに持ち込まれる相談の多くが、家族だけでは解決できないというものです。
支援センターの保健師坂口敦子さん。
さまざまな事情で運転をやめられないという高齢者のもとを一軒一軒訪ね事情を聞いています。
77歳のこの男性運転中にひやりとすることが増えてきたそうですが妻のためにも車を手放すことは考えていません。
この日坂口さんが勧めたのは免許を返納した人などが割安で利用できるタクシーです。
運転をやめたあとに利用できるサービスはほかにも電動自転車の購入への補助金やバスの乗車割引などがあります。
しかし、あまり利用は進んでいません。
より細やかに個人に合ったサービスを提供するため、支援センターでは地元の警察や医療機関との連携も始めました。
3者はそれぞれ認知症のドライバーの情報を集め、共有。
例えば、交通違反を見つけた場合警察から支援センターに情報が届きます。
支援センターではその人の実情に合わせ車の代わりになる最適なサービスを勧めるのです。
各自治体では運転免許を返納しても生活できるようにさまざまなサービスが行われています。
代表的なものでいいますとバスやタクシーといった交通機関の利用券や割引券が利用できるというものです。
ほかにも、買い物の荷物を持って帰らずに済む宅配サービスなどがありますけれどもこうした対策は十分とはいえない現状がありますよね。
また大きな制度変更も行われます。
来年3月に改正道路交通法が施行されます。
何が大きく変わるのかこちらで簡単に説明させていただきます。
免許更新時の検査で認知症のおそれがあると判定された場合には、医師による診断が義務づけられます。
また、逆走や信号無視など特定の交通違反をした場合もこの認知機能検査というのが義務づけられます。
ここで、認知症と診断されますと免許の取り消しまたは停止になります。
三村さん、この改正何がこれから大きく変わると思いますか?
今までは認知症のおそれがあっても交通違反があった人だけが医師の診断に当たるということだったんですけれども今度この縛りがなくなりますので対象者が非常にたくさん増えるそういったことに対して特に認知症の専門医認知症の診断をしていくということが対応できるかどうかというのが一つの大きな問題だと思います。
費用的なところも大きな問題になるかと思います。
その一方で、生活の足を突然奪われるという人が出てくると思うんですけれどもまだ周りの環境が十分とはいえない中でそうされてしまうとかなり困る方もいらっしゃいますよね。
もちろんそうだと思いますね。
多くの場合に、認知症はゆっくり進んでいきますので認知症ではなくても認知機能が落ちている段階でどのように安全性を保ちながら運転するかリハビリテーションのような視点それも重要だと思いますしまた将来的には例えば限定付きの免許遠くには行かないとか夜は運転しないとかそういったような制度的な問題ももしかしたらスコープになるかもしれない。
制限を付けると。
尾木さん、高齢ドライバーの事故を防ぐためにどういう提言がありますか?
やっぱり免許の返納ということが前面に出てますとそうすると皆さん相当おびえてしまいますのでやっぱりそういう方の運転を安全にできるような保障今、先生がおっしゃったような段階的なのというのは非常に僕、いいなと思うんです。
そういうことと同時に例えば企業のほうでもブレーキとアクセルの踏み間違いなんか行われないような装置とかいろいろ今、研究されてますけどそういうようなものも企業も、それから地域もそれから国家もですねもう総力挙げて、総合的な政策でここ乗り切っていかないといけないなと思います。
そして、また弱い立場の人の視点っていうのも大切にしたいですね。
そういう方の声も反映してほしいなと思います。
いろいろ意見取ってね。
そしてみんなが納得できるような安全な社会になればと思いますね。
ここまでお2人どうもありがとうございました。
こんばんは相葉雅紀です。
今日はボクシング界の若きエースにグッと迫ります。
2016/12/06(火) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「どう防ぐ?高齢ドライバー事故徹底研究!」[字]

全国各地で相次ぐ高齢ドライバーの事故。あなたや家族も加害者になるかもしれない…そうなる前に事故を未然に防ぐための対策を徹底研究!あすから使えるお役立ち情報満載!

詳細情報
番組内容
【ゲスト】慶応大学医学部教授…三村將,教育評論家・法政大学教授…尾木直樹,【キャスター】小郷知子
出演者
【ゲスト】慶応大学医学部教授…三村將,教育評論家・法政大学教授…尾木直樹,【キャスター】小郷知子