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セリフ書き起こし 忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣(11)吉良の顔を知るのは私だけ!討ち入り迫る 2016.12.10

(きよ)
吉良様が来る。
ついに吉良様の姿をこの目で
元禄15年秋。
きよは吉良上野介の奥方富子の住む上杉家下屋敷へ女中として潜入した。
浪士たちがまだ誰も見た事がない上野介の顔を確かめるためだった
討ち入りの日が決まった
討ち入りの日が12月5日と絞られた日吉良上野介は上杉家下屋敷へ姿を現した
(富子)どうじゃ。
起き上がれますか?
(綱憲)はい。
(吉良)無理をせぬように。
父上にまでご足労頂き申し訳ござりませぬ。
何をまたハハッ水くさい事を。
案じておったよりもずっと顔色がよいので安心したわ。
まことにご心配をおかけ致しました。
(吉良)何よりこうして親子3人…。
さようでございますね。
このように顔をそろえるのはほんに久方ぶり。
いつ以来の事でございましょう。

(綱憲)本所でのお暮らしはいかがでござりますか?・
(吉良)うむ…。

(綱憲)依然不穏なうわさもありさぞご心痛の事と。
されどどのような事がありましてもこの綱憲そして上杉がお父上を守りますゆえ…。
綱憲。
そのようなご心配はなされるな。
うわさはうわさ。
あれからもう1年と9か月。
今更赤穂の浪士がどうこうという事もありますまい。
なれど…。
煩わしいお役目から解き放たれ茶の湯三昧。
風雅のうちに日々を送るのも悪うはない。
(富子)誰じゃ?さえにございます。
お殿様へ薬湯をお持ち致しました。
ああさえか。
早うお入りなさい。
はい。
失礼つかまつります。
(富子)この秋より奉公に入ったさえでございます。
お初にお目にかかりまする。
(富子)さえのおかげで綱憲様のお熱がうそのように下がったのでございますよ。
のうさえ。
いえ。
奥方様のご看病のたまもの。
いいえ。
そなたが我が子の命を救うてくれた。
御仏が遣わしてくれたような女子でございます。
ほう御仏が。
このお方が吉良上野介
12月3日お体が回復された綱憲様は上杉の上屋敷へ帰られる事となりました
お父上もお母上も何とぞご息災で。
ああ。
そなたもな。
綱憲様の前では世間のうわさなど気にされているそぶりもなかった吉良様でしたが…
あさってのお茶会は日延べに?日延べなのでございますか。
ええそのようですよ。
ご隠居様は今しばらくこちらにおられるとか。
はあ…。
討ち入りの日吉良様は本所のお屋敷にいない
(しの)きっと奥方様のおそばに一時でも長くいらっしゃりたいのでしょう。
(ちさ)ほんに仲のおよろしいこと。
なぜお茶会を日延べになど…。

 

 

 

 


さあ。
ほらほら早く片づけてしまいましょう。
はい…。
どうやらその日公方様が柳沢様のお屋敷へお出ましになられるとか。
それで遠慮なされたのであろうか。
まあそれも方便。
ご自分の身を案じての事であろう。
(笑い声)
12月5日はあさって。
同志の方々は討ち入りの支度を急いでいるはず。
大石様はこの事をご存じなのか。
もしも吉良様のいない屋敷へ討ち入りなどという事になれば…
なんとかしてお知らせしなければ
「お父上儀ご危篤につき急ぎ宿下がりこれありたく候」。
それはいざという時この場を抜け出すために用意していた文でした
(ちさ)おさえ殿。
何をしているのですか?おちさ様。
おさえ殿が一番にお会いしたいお方が見えておられますよ。
え?何でそんなお顔を。
橘屋の手代さんでございますよ。
あ…。
いつものお菓子をお届けに参りました。
まあご苦労さま。
お変わりはありませんか?旦那様が気になさっておられましたが。
ええ。
でしたら…。
氷川明神にてお待ち下さい。
なるほど。
はいかしこまりました。
毛利様。
何かあったのですか?ええ大変な事が…。
あさっての茶会は日延べとなったのです。
5日に吉良様は本所のお屋敷にはおられませぬ。
それはまことでござりますか?・
(神社の鈴の音)吉良様は今しばらく白金の下屋敷におられると。
これはすぐにご家老へお知らせせねば。
きよ殿は吉良の顔を?吉良様のお顔には大きな傷痕がございます。
額に3寸5分ほどの。
3寸5分…。
大きな傷ですのですぐにそれと分かります。
髪は白く総髪に結われたご老人。
かたじけない。
いずれにせよ決行は年内と。
年内に決行?ああ。
それだけはご家老も曲げられぬであろう。
その日が決まりましたら前日にこの木に印を…。
毛利様まさかこの下屋敷に討ち入るなどという事は…。
それはない。
上杉の屋敷へ討ち入るなど…。
場所は必ず本所・吉良邸。
(ため息)
富子様の目の前で吉良様が討たれる。
それだけは…
討ち入りの前日ここに十文字の印をつけておく。
いずこへ参れば皆様をお見送りできるのでしょう。
え?せめて皆様をお見送りしとうございます。
その日の夕刻にはここに来られますか?必ず参ります。
きよ殿…。
礒貝殿はご壮健だ。
今か今かとその時を待っておられる。
では。
十郎左様もその時を…

(物音)
それからは何事もなく怖いほど静かに時が過ぎていきました

(吉良)富子!富子はおるか!いかがなされたのですか。
どうもこうもあるか!どこまで上杉はわしをばかにすれば気が済むのじゃ。
上杉の家来が何か?何かご無礼を?あやつらはわしに死ねというのか。
(富子)え?
(吉良)一刻も早く本所へ戻れなどと。
いんぎん無礼な口をききおって!さもなくば米沢へ逃げろと。
心の声米沢へ逃げる?このわしが米沢のような田舎へなど行けるものか!されど上杉とてあなた様の御身を案ずればこそ。
(笑い声)お殿様。
もうよい。
わしに構うな。
しょせんこの世の者は全て敵…。
「手のひらを返す」とはまさにこの事。
高家筆頭として指南役の任にあった時にはへつらい面で面倒な事をあれもこれもと頼みに来ておった者たちが…。
世間とはかように薄情なものか…。
そんなふうにお考えになってはなりませぬ。
あなた様らしくもない。
吉良の殿たるもの…。
ええいうるさい!黙れ!黙らぬか!殿…。
恥ずかしいところを…。
いえ。
私はこれにて。
よい。
もう少しここにいておくれ。
奥方様…。
あのようなお方ではなかったのに。
あの日以来殿は変わられてしまった。
40年にわたり連れ添うてきたのです。
よいところも悪いところも知り尽くしております。
世間がうわさするほどあのお方はずるくも悪くも…。
高慢なところはあるやもしれませぬ。
それゆえ誤解も受けましょう。
されど本来は風雅な事がお好きなお優しい方なのです。
あの額の傷が何かを変えてしまった。

(富子)あの日以来あの方は見えない何かにおびえておられる。
さえ。
私はいっそあの人と刺し違え死のうと思った事があるのです。
奥方様…。
上杉の世継ぎに綱憲を差し出してまで我が上杉家を救って下さった上野介様。
長い間にはさまざまな事がありました。
それでも私は吉良に嫁ぎ幸せでした。
その幸せが60の齢を過ぎた今崩されようとは…。
(富子のため息)それならいっそ死んだ方がまし。
さえ。
吉良家はどうなってしまうのでしょう。
この先一体何が…。

3日後吉良様は上杉家下屋敷を出て本所へ戻られる事となりました
皆々いたく世話になった。
奥が事よしなに頼みまするぞ。
殿。
何じゃ?お寒い日が続きます。
お風邪など召されませぬよう。
そなたも。
(吉良)お互い寄る年波には勝てぬ。
いつ何があってもおかしゅうはないからのう。
おお〜隠居の身に寒さはこたえる。
ましてや本所は大川の風が冷とうて凍えてしまうわ。
いま少し上杉も年寄りを大事にして下さるとよいのだが。
富子。
わしの身に何があろうとも後追いだけはするなよ。
憎むな恨むな。
吉良の女は取り乱してはならぬ。
何事もあろうはずがございませぬ。
そのような事をおっしゃるとは殿らしゅうもない。
さえと申したかの。
はい。
富子はそなたをいたく気に入っておる様子。
吉良の奥方様をよろしゅう頼むぞ。
かしこまりました。
(富子)早う梅の花が咲いてほしいもの。
(吉良)おうまことにのう。

12月の10日を過ぎても印はありませんでした
いっそこのまま何事もなければ…。
いえそれでは皆様のご本懐が…

(仙桂尼)さようか。
やはりご家来衆は年内には事を…。
(元哲)どうやらそのようです。
明日は内匠頭様のご命日。
きよからは何か。
じかには何も。
ただ同志たちとはひそかにやり取りをしている様子。
まさか私もきよがあのような事に加担しようとは…。
本懐を遂げようとも遂げられずともいずれにしても事を起こせばご家来衆の死は免れぬ事。
その後ご公儀の咎がどこまで及ぶか。
きよにもと?そこまでは…。
(仙桂尼)それにしてもこうと心に決めたら何を言うても曲げぬ。
誰にも止められぬのはさえとよう似ておる。
そなたを追い何もかも全て捨ててこの寺へ逃げたさえと。
仙桂尼様はさぞ私を恨んでおられるのでしょうな。
私との事がなければさえも平穏な暮らしが続いたものを…。
何を今更。
遠い昔の事を。
ただ今はその娘きよまでが恋のために命を投げ出そうとしている。
その事が気がかりでなりませぬ。
あ…。
いま一度さえの墓に。
さえがきよを守ってくれるよう。
雪でも降りそうな空じゃ。
まさにその同じ刻限。
私は氷川明神の木に印を見つけたのです
来るべき時がついに来たのです。
討ち入りは明日
心の声お許し下さい。
きよはうそを…。
(富子)まあ!そなたの父が。
何とぞ宿下がりのお許しを。
はっ許すも何もそなたのててごの命がかかっている事ではありませぬか。
早う。
早う行っておやりなさい。
ありがとう存じます。
待ちなさい。
これで何かててごに精のつくものでも。
このような事は…。
よいから。
持っていきなさい。
そなたは我が子の命を救うてくれた。
そなたの父もきっとようなられる。
奥方様…。
吉良の女は取り乱してはなりませぬ。
私は浅野家の女。
はいと言う事はできませんでした

(ちさ)さえ殿!おさえ殿!奥方様が雪になりそうですからこれを持たせなさいと。
ありがとうございます。
お気を付けて。
お父上どうかお大事に。
あら。
もう雪…。
心の声毛利様?違う。
誰?
氷川明神で毛利様を待つ訳にはいきませんでした。
後をつけてくる者がもしも吉良の回し者だとしたら…
源助町には行けない。
堀部様のところへも。
同志の方々のいる場所へ行ってはいけない
心の声毛利様…。
来てはなりませぬ。
心の声なりませぬ。
2016/12/10(土) 18:10〜18:45
NHK総合1・神戸
忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣(11)吉良の顔を知るのは私だけ!討ち入り迫る[解][字]

吉良(伊武雅刀)が来る。きよ(武井咲)は赤穂浪士の誰も知らない吉良の顔を確認する。富子(風吹ジュン)といる吉良はうわさとは別の顔を見せきよは動揺する。ついに…

詳細情報
番組内容
吉良(伊武雅刀)がきよ(武井咲)のいる下屋敷に来る。赤穂浪士の誰も知らないその顔をきよは確認する。そして、討ち入りと狙いを定めた日、吉良が屋敷にいないとの情報を得る。危機一髪、連絡係の毛利(泉澤祐希)に知らせることが出来たきよは、新たに決行の日が決まったら知らせてほしいと頼む。富子(風吹ジュン)といる吉良は、うわさとは別の顔を見せきよを動揺させる。そこには夫婦の真の姿と苦悩があった。そしてついに…
出演者
【出演】武井咲,福士誠治,風吹ジュン,伊武雅刀,泉澤祐希,柿澤勇人,伊武雅刀,平田満,三田佳子
原作・脚本
【原作】諸田玲子,【脚本】吉田紀子