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書き起こし 地球ドラマチック「氷の誘惑〜不思議な力に群がる人々〜」 2016.12.10

水は凍ると不思議な魅力を放つ姿に変貌します。
まるでダイヤだ。
氷には多くのビジネスチャンスが秘められています。
氷の彫刻に1万ポンド出すと言われました。
氷には1年365日需要がありますが一番の繁忙期はクリスマスまでの1か月間です。
(ジェイミー)おしゃれで高級感があるから求められるんです。
繁忙期は時間との闘いです。
早く着いたら解けてしまう。
5時に来ると言ったのにパニックになりそうだ。
ノルウェーの氷河から切り出された貴重な氷。
人間には作り出せません。
氷河の氷はロンドンの最高級ホテルで提供されるでしょうか。
100ポンドの価値はあります。
自然への影響はないんですか?スウェーデンには氷でできたアイスホテルも。
作業が遅れていて客室もまだできていません。
とにかく天気がね…。
氷の彫刻はチャリティーイベントの目玉です。
まだ着かないのか?エヴァのドレスが出品されます。
過熱する氷ビジネスの舞台裏に迫ります。
(スミス)氷はまだか?着いてないのか?ああ。
かき入れ時なのに氷が底をついてしまっているんです。
高級な氷ビジネスの市場はいまや世界で2億ポンド以上にも上ります。
(ハクニー)氷は身近でありながら特別な存在にもなるんですから面白いですよね。
氷の彫刻は祝い事での需要が増えイギリスでは氷彫刻ビジネスの収益が上がっています。
ダンカンとその息子ジェイミーのハミルトン親子は老舗の氷彫刻会社を経営しています。
僕は父が氷を彫刻するのをずっと見て育ちました。
光を通して輝く氷はこの世で一番美しい素材だと思います。
今は繁忙期なのでこれ以上仕事が増えるのは大変なんですが興味深い依頼があったので挑戦する事にしました。
急な注文を受けハミルトンは打ち合わせのために急いでロンドンに向かいます。
(イード)ようこそ。
こんにちは。
(イード)どうぞこちらへ。
今回はセレブを集めたチャリティーパーティーのための注文です。
主賓は女優のエヴァ・ロンゴリアでゲストも著名人ばかりです。
かなり豪華なイベントです。
そこで氷の彫刻を飾ってゲストをあっと言わせたくて。
例えば別世界への入り口となる鏡なんて作れませんかね。
大きな鏡をのぞく事ができたらすてきだと思うんですが。
ええできますよ。
(イード)良かった。
ありがとう。
楽しみにしています。
チャリティーイベントのチケットは1人2,000ポンド。
大勢の有名人が出席する予定です。
ハミルトンはそれに見あう魅力的な彫刻を作る必要があります。
氷の彫刻は豪華に見えますからね。
パーティーで大人気なんです。
チームはおとぎ話からヒントを得て氷でできた魔法の鏡を作る事にしました。
会場の入り口に置いてセレブがこの鏡越しに写真撮影できるようにします。
巨大で細やかな装飾も含まれるため制作費は決して安くはありません。
顧客は金額の話をあまりしたがらないんですよね。
今回のような彫刻の場合は数千ポンドはかかります。
デザインが決まったら画像を拡大して全身が収まるかを確認します。
ここに立つわけだ。
(スミス)ああ。
ドレス姿で。
(スミス)ターンしたり…ハハッ。
大きさは良さそうだ。
2メートルだ。
(スミス)オーケー。
これでサイズも決まりだな。
(スミス)デザイン完成だ。
彫刻に使う氷は主に作業場で作られます。
(エドソン)テムズ川からの水道水を使います。
浄水器に通してミネラル分を取り除きます。
更に最高の品質を確保するため6回も蒸留します。
ゆっくり時間をかけて凍らせます。
急速に凍らせると白くなるからです。
氷が白くなるのは急速冷凍で気泡が閉じ込められる事が原因です。
3日かけて水晶のように透き通った氷を作ります。
高さ2メートルの魔法の鏡を作るには500キロの氷のブロック10個分を当日会場で組み立てなくてはなりません。
(スミス)完成品を動かすには力自慢の男が5〜6人は必要でしょうね。
とにかく重たいですから。
(スミス)冷たいしぬれるし滑るし重たい。
ホントたまらないですよね。
キンキンに冷えた作業場で装飾部分を削ります。
(スミス)寒さにはもう慣れっこです。
ここは大体マイナス10度くらいですがTシャツと短パンでも大丈夫ですよ。
マイナス20度だとちょっと寒く感じますけどふだんはマイナス8度から10度くらいの中で作業しているんで。
氷のブロック10個に装飾を施すには10時間はかかります。
終わるまでここにいます。
それが仕事ですから。
雪と氷の地ノルウェー。
山々には長い年月をかけてできた天然の氷氷河があります。
家庭用の冷凍庫が普及するまで氷はこうした氷河から調達されていました。
20世紀初めまでノルウェーは氷の主要輸出国の一つでした。
今再び氷河に注目している実業家がいます。
あれが氷河です。
(エステンセン)青く見えるのが氷です。

(エステンセン)透き通っているでしょう。
(エステンセン)まるでダイヤだ。
輝いて見える。
この氷は生きています。
人間には作り出せません。

 

 

 


この氷を世界に届けて人々が傾けるグラスの中に浮かべたいんです。
環境への配慮からノルウェー政府は氷河からの氷の採取量を制限しています。
希少なものだけに値段もかなり高額です。
(エステンセン)1トンあたり5万ポンドから6万ポンドくらいですかね。
エステンセンは貴重な氷をスーツケースに詰めロンドンへ向かう事にしました。
希望どおりの値段がつくかを調査するためです。
(エステンセン)途中で氷が解けないようにドライアイスを何キロも詰めています。
(エステンセン)興味を示してくれている商談相手が2つあります。
とにかく幸運を祈りましょう。
近年氷を使ったぜいたくな特別注文の商品や体験型イベントがかつてない人気を博しています。
氷でできたホテルは世界に12軒もあります。
人々が特別な体験を求めている証拠です。
スウェーデン北部の北極圏には25年以上にわたって毎年12月にオープンするアイスホテルがあります。
スウェーデン初のこのアイスホテルは旅行者にとって冬の目玉の一つです。
今スウェーデンの大河の一つトルネ川の上に立っています。
ここでは巨大な氷ができるので3月になったらその氷を切り出してブロックに切り分けます。
2トンの重さのブロックが2,000から2,500個できます。
それを倉庫に貯蔵するんです。
アイスホテルの営業は建材の氷が解けて川にかえるまでの3か月間だけです。
工学技術を駆使してアイスホテルは毎年新たに建設されます。
事前に用意した型に大量の雪をかぶせて回廊を造ります。
客室の建設方法も独特です。
この噴射装置からはとても硬い雪が噴射されます。
僕らはこの雪をスナイスと呼んでいます。
「スノー」つまり雪と「アイス」氷を合わせたものでとても硬いんです。
このスナイスをあちらの風船に吹きつけていきます。
風船がスナイスで覆われたら風船の空気を抜きます。
すると卵の殻のような氷の建物が出来上がるわけです。
とても頑丈なんですよ。
アイスホテルのデザインは毎年異なります。
客室もアーティストが一室一室デザインします。
この年は何百という案の中から19のデザインが選ばれました。
選ばれた43人のアーティストがデザインを形にするために現地を訪れます。
しかし問題がありました。
この年は気温が高くホテルが凍らないのです。
何もかも遅れています。
客室もまだできていません。
作業を進められないので美しい自然を楽しむしかありませんよ。
2週間後には予約客がやってきます。
1泊およそ600ポンドに見あう部屋は完成するのでしょうか。
あと1時間で出発だ。
1時間…。
ああそうだ。
ロンドンではチャリティーパーティー用の作品作りが大詰めを迎えています。
2メートル近い氷の鏡はそのままでは重すぎて運ぶ事ができません。
そのためパーツごとに分けて特別なシートで包み解けないように運びます。
早く着きすぎたら解けちゃうし遅く着いたら間に合わなくなってしまう。
限られた時間の中でやり遂げなくてはならないんです。
(スミス)繊細に作りすぎると運搬中にポッキリ折れる事もあります。
あってはならない事ですが…。
進まないな。
どうしようもないですよね。
(イード)いいね。
会場ではチャリティーパーティーの準備が着々と進んでいます。
(イード)すてきだ。
ずっとそわそわしています。
間に合わないんじゃないか解けているんじゃないかって心配でね。
彫刻が到着しました。
間に合ってほっとしたよ。
よしそれでいい。
いいか?
(スミス)ああ。
よしそっちに引っ張って。
まっすぐかどうか見てくれないか?いいか?よし接着しよう。
組み立てたらあるシンプルな方法で接着します。
気温が低ければ間に水を入れるだけですぐにくっつくんです。
ちゃんとまっすぐかな…。
ゆがんだ鏡じゃ困るからな。
(スミス)ああ。
終了予定時刻を過ぎてる。
急ごう。
終わらせないと。
(イード)すごいな!どうです?
(イード)最高だ。
閉じ込められたっていう顔で。
いい?はい。
(イード)うわ〜!氷の鏡が完成して間もなくチャリティーパーティーに参加するセレブたちが到着し始めました。
この彫刻見事ね。
すごいわ。
(イード)変わった趣向にしたかったんです。
おかげで大成功ですよ。
主賓の女優エヴァ・ロンゴリアも見事な職人技を称賛しました。
きれい。
すばらしいわ。
エヴァのドレスが出品されます。
いくらから始めましょうか?・お決め下さい。
5とか。
5,000ポンド。
・5,000ポンドです。
ドレスは最終的に5万ポンドで落札され氷の鏡も大好評でした。
ノルウェーから氷河の氷を運んできたヤン・エステンセンがロンドンに到着しました。
5つ星ホテルの社長と面会します。
(エステンセン)北極圏からまっすぐ来ました。
(モルガンヒューイット)正直氷の売り込みは初めてですよ。
(エステンセン)ええ。
1,000年ものですって?はい。
去年の夏に4人がかりで切り出しました。
氷河は車で行けるような場所ではありません。
なのでヘリコプターを使うしかないんです。
(モルガンヒューイット)なるほど値が張るわけだ。
(エステンセン)ええ。
ヘリコプターを使うんではね。
かなりいい値段のウイスキーを飲むとして氷とウイスキーどちらがより高くつきそうかな?
(エステンセン)銘柄にもよるでしょうが氷の方が高い可能性はあります。
混じりけがなく味もにおいもしないものの良さを判断するのは難しいですね。
高級なウイスキーを飲もうという時に氷のせいで余計な風味が加わったらせっかくのウイスキーが台なしですよね。
確かに雑味はない。
次に向かうのは別の5つ星ホテルのバーです。
飛行機で?
(エステンセン)そうです。
どうぞ。
(ローリンツ)お〜…。
(ローリンツ)自然界への影響が気になりますね。
言ってみれば本来そこで解けるはずの氷を持ち出しているわけですよね。
ええ。
環境面を懸念されるのは当然です。
しかし許可は得ていますし自然に解けたとしても水力発電用のダムに流れ込む氷です。
では自然への影響は…。
(エステンセン)ありません。
それなら問題なさそうですね。
いよいよ氷を試します。
(エステンセン)はじけるような音がしますか?少し。
特別だ…。
(エステンセン)味をみて下さい。
ええ。
懐かしい味です。
(エステンセン)それはいいですね。
よく雪を食べていたんです。
続いて価格の話です。
(エステンセン)人は体験には喜んでお金を払います。
それに見あうものにできれば氷に100ポンドの価格はつけられると思います。
(ローリンツ)ここには数千ポンドするボトルもあります。
でしょう?だったらもう100ポンド足して最高のお酒に最高の氷を使ってはどうですか。
とはいえ100ポンドの氷は大抵のウイスキーよりも高価です。
(ローリンツ)検討させてもらえますか?この氷で何ができるかいろいろ試してみます。
その結果を見てまたご連絡します。
ありがとうございました。
氷河の氷を採る事には賛否が分かれます。
ビジネスとして成り立つかどうかはまだ分かりません。
スウェーデンではようやくアイスホテルの建物が完成しました。
アーティストたちがそれぞれの部屋にデザインを施していきます。
テーマは「ヒツジを数える」です。
ベッドに横たわるとジャンプしたり一列に並んだりしているヒツジたちが見えます。
この辺りには壁を通り抜けようとして体が入り込んだヒツジも作ります。
私たちのテーマは「クジャク」です。
名付けて「とくとご覧あれ」。
そのためクジャクの像を作っています。
拝見しても?・どうぞ。
(イーヴァション)ほんのちょっとだけ。
アーティストたちはみんな意欲的に全精力を注いで作業をしています。
この年最も野心的なデザインを生んだのはこの女性です。
(ソフィーア)テーマは「ゾウ」です。
とても巨大なゾウです。
ベッドを見下ろす位置に立たせます。
人懐こいメスのゾウなので優しく宿泊客を見守ります。
アーティストの中には毎年のようにここに戻ってきては氷点下で2週間作業をする人も少なくありません。
一方初参加の人もいます。
アニーとマットは氷を素材に使うのも初めてです。
着いた瞬間からわくわくしています。
早く作りたいって。
2人は登山道の道しるべとして使われる積み石をモチーフにする予定です。
(アニー)私は雪国育ちです。
新しい事に挑戦できるのは楽しいですね。
僕は香港育ちなので雪に関しては全く知りません。
だからアニーがいてくれて助かりますよ。
(アニー)どうかな…ウフフ…。
世界中から来る宿泊客を満足させる部屋を造ります。
アイスホテルの開業まで1週間を切りました。
アーティストたちは皆部屋の完成に向けて全力を傾けています。
前よりも良いものを作ろうとプレッシャーがかかります。
スウェーデンの彫刻家アンナ・ソフィーアは実物大のアフリカゾウを作っています。
今は目や鼻などのパーツをどの位置に削り出せばいいかを考えています。
今測っていたのは耳たぶの位置です。
さっきまでまるで大きなコウモリみたいに見えてしまっていたので。
形さえ決まれば作業もはかどります。
初参加のアニーとマットも氷点下で10時間も作業を続けています。
いいんじゃない?うんさっきもそう言ってた。
2人は限られた時間でイメージを形にする難しさをひしひしと感じています。
氷を素材として扱うのは初めてなので難しいですね。
よしこれをくっつけよう。
(アニー)うん。
あ〜小さいのが取れちゃった。
(マット)よく削れる。
(アニー)そうつい削りすぎちゃうのよね。
鋭すぎて。
楽しいけどきついです。
想像以上に疲れます。
部屋は1泊およそ600ポンド。
あと数日で仕上げなくてはなりません。
多分皆寝ている人の上に大きな氷の塊が落ちてこない事を一番心配しているんじゃないかな。
需要の高まりとともに氷を彫刻する道具も昔ながらのチェーンソーやのみからより高性能な道具に取って代わられつつあります。
氷ビジネスの可能性は広がっています。
氷の彫刻を飾るだけにとどまらずもっとクリエーティブな事目新しい事ができないかと模索しています。
氷を彫刻する仕事は毎回違うから飽きる事がありません。
ハクニーは「氷のタイヤで車を走らせたい」という注文を受けました。
(ハクニー)これまでにも高級ブランドと仕事をしてきましたが氷の華やかさに引き付けられるところがあるようですね。
今回は凍った車が氷のタイヤで走る姿をネット広告として流します。
担当者は大きな話題を呼ぶと確信しています。
普通は氷でホイールやタイヤを作ろうなんて考えませんよね。
我々はそんな人々が驚くようなものを作りたいんです。
氷のホイールだけでは車を支えきれません。
そこでアクリル樹脂製のホイールを内側につけて強度を増す事にしました。
まずは氷を大まかな形に切り出します。
ホイールには僅かな狂いも許されません。
そこでコンピューターを使って正確に削り出します。
氷のホイールを一つ作るだけで1万ポンド以上の費用がかかります。
テスト走行に使われる車です。
1.7トンもの車体を氷で支えきれるのでしょうか。
かなりでかいですね。
実物は初めて見ました。
冷凍庫にちゃんと収まるかな。
まずはホイールを外しアクリル樹脂の部品を取り付けます。
(ハクニー)余裕はあるから入るはずだ。
(ストロング)入ったまずは一安心だな。
この上に氷のタイヤをかぶせます。
見た目とあと実際に走行できるかが問題です。
氷のタイヤの重さはおよそ70キロです。
持ち上げるのがやっとです。
(ストロング)運命の瞬間です。
これまでの作業の全てが今試されようとしています。
どんな結果になるかは分かりません。
(ハクニー)いくぞ…。
(ハクニー)ミシミシいってる…。
(ハクニー)お〜っと…。
(ストロング)砕けたのか?
(ハクニー)ええ。
内側が。
失敗したのはまっすぐ走った時のタイヤの動きしか計算せず曲がる時の動きを考えなかったためです。
もう一度設計からやり直しです。
撮影は数日後。
果たして間に合わせる事ができるのでしょうか。
氷を彫刻するのは大変です。
優れた技術と才能なくして傑作は生まれません。
彫刻家マーク・コレスは絶滅の危機にひんする野生のホッキョクグマを彫刻するために北極へ向かいました。
(コレス)骨組みに粘土をつけていきます。
脚をもっと太くしないと駄目だな。
(コレス)実際にホッキョクグマを見た事で「氷のクマ」という作品を作ろうと考えたんです。
ロンドンのトラファルガー広場に現れた実物大の氷のホッキョクグマは気候変動の問題に光を当てました。
(コレス)実物大のホッキョクグマが広場に現れたら触りますよね。
この作品は皆さんのものです。
(コレス)手のひらの熱で氷が少しずつ解けていきクマの形が変わっていく事で温暖化は人間のせいだと感じられます。
現在コレスは2つ目の氷の作品に取り組んでいます。
実物大のユキヒョウです。
ユキヒョウが岩場を跳んで下りるさまを表現したいんです。
コレスは氷彫刻職人のダンカン・ハミルトンとともに作業を進めます。
こりゃ難しいぞ。
だからいいんだろ。
この氷の塊の奥深くに僕のユキヒョウが眠っているんです。
コレスはこの彫刻を展覧会の初日に披露します。
見えてきた見えてきた!これはいける。
きっといける。
しかし氷は手ごわい素材です。
(コレス)おっと…。
ちょっと触るだけで落ちてしまう。
耳まで落ちちゃったよ!氷彫刻職人のダンカン・ハミルトンが手を貸します。
(ダンカン)魔法を使ったよ。
耳が元に戻りました。
(コレス)無事に完成したら彼もきっと満足するさ。
ロンドンの美術界もコレスの最新作を待っています。
氷のホイールとタイヤを使った広告映像をテスト撮影する日がやってきました。
(ハクニー)早く取り付けてどうなるか見てみたいですね。
うまくいく事を祈っています。
車はマイナス25度で4日間凍らせました。
エンジンがかかるかさえ分かりません。
(エンジン音)ドライバーがほっとしたのもつかの間バックしようにも霜がついていて何も見えません。
(ストロング)そのままオーライ。
全く見えない状態で運転するなんてこんな体験は初めてです。
続いて大急ぎでホイールを取り付けます。
いかに早く取り付けられるかが勝負です。
気温との闘いです。
この夜は12月にしては暖かく10分もすると氷が解け始めました。
12月なのにこんなに暖かいなんて。
下が金属だからなおさら氷が早く解けていくんです。
急いでホイールを取り付けないと。
(ハクニー)いいぞ。
そうそのまま。
(クラクション)気温とエンジンの熱そして照明で車体を覆う氷の膜が解けてしまいました。
車体を冷凍庫に戻します。
本番はまさに時間との勝負になりますね。
本番は翌日です。
何としても成功させなければなりません。
撮影当日です。
(ストロング)いよいよ運命の瞬間です。
期待どおりの映像が撮れるまで氷のタイヤがもってくれるといいんですが。
車体を覆う氷の膜はもっています。
氷のホイールも定位置に収まりました。
撮影開始です。
(ストロング)よしギヤを入れて前進してくれ。

(ハクニー)ホイールはちゃんと回転し砕けもしませんでした。
大成功です。
うまくいってみんな大喜びでした。
ところが…。
タイヤは1つおよそ1万ポンド。
スペアはありません。
しかし撮影は続きます。
タイヤが外れたり氷が欠けたりもしましたが大満足です。
絶対無理だと言う人もいましたがやり遂げました。
眠れないし大変な依頼でしたが苦労したかいがありました。
このプロジェクトに参加できた事に感謝しています。
彫刻家マーク・コレスの展覧会の初日がやってきました。
コレスはロンドンのギャラリーでこの日お披露目するユキヒョウの氷の彫刻の到着を待ちます。
(コレス)よしディスプレーはばっちりだ。
氷の彫刻は5時ごろに到着する。
尻尾をつけて形を整える。
しかし時間に余裕はなさそうです。
冷凍庫だからって安心はできません。
だからぎりぎりに出発します。
待つ方は気が気ではありません。
5時までに着くと言ったのに。
遅くとも5時までには着くって。
もう5分前だ。
5時を過ぎたらパニックになりそうだよ。
こうなったら…。
ボトルでも開けないとやってられないよ。
(コレス)来た!良かった!着いたぞ!
(コレス)回してくれ。
もう少し。
ああそれでいい。
(ダンカン)3つ数えて。
(コレス)123。
完成だ!
(コレス)よく来てくれたね。
(コレス)ありがとう。
・見事ね。
・氷の彫刻はいいですね。
コレスの作品なら高値がつくでしょう。
すごい!この彫刻が朝には解けていても一晩所有するために1万ポンド出すとおっしゃる男性がいたんです。
でも奥様が乗り気ではなくて…。
女性には…。
かないません。
ユキヒョウはじきに…解けて忘れ去られます。
スウェーデンのアイスホテルは間もなくオープンを迎えます。
アーティストたちは最後の仕上げに余念がありません。
この部屋に泊まる人にはヒツジを数えるだけでなく触ったり上に乗ったりしてほしいですね。
僕は触ってはいけないというふうにはしたくないです。
一方実物大のゾウにも艶出しが施されています。
(ソフィーア)スプレーでうっすらと水をかけています。
白い繊細な表面を膜で覆って守る事ができるんです。
表面が硬くなるので触っても崩れにくくなります。
(ソフィーア)よし。
それじゃあまたね。
お客様をよろしくね。
初参加の2人も積み石が並ぶ森を慎重に仕上げています。
(マット)照明の光ができるだけクリアに通るようにのみを使って氷の表面をならしています。
これが最後の作業です。
照明が僕らの彫刻を輝かせより美しく見せてくれます。
100人もの建設作業員がおよそ3か月かけて造り上げたアイスホテル。
19の部屋は43人のアーティストたちが2週間何トンもの氷を運び出し彫刻し積み上げて完成させました。
家に帰ったらお風呂に入りたいですね。
ぼ〜っと湯船につかりたいです。
手に血を通わせないと。
アイスホテルオープンの日です。
19室の特注の客室も全て完成しました。
・アイスホテルをオープンします。
(歓声)いよいよ宿泊客のチェックインです。
すごいな。
見事だ。
2016/12/10(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「氷の誘惑〜不思議な力に群がる人々〜」[二][字]

ダイヤさながらの輝きを放つ氷。氷のアートは人気を博し、今や需要は一年中、一大産業にまで発展。氷の彫刻から氷で出来たホテルまで、知られざる氷業界の舞台裏を描く。

詳細情報
番組内容
今、氷業界が熱い。イギリスの氷彫刻会社は、セレブが集まるチャリティー・パーティーのために高さ2メートルの氷の鏡を製作。ある広告会社は、車を氷のタイヤで走らせようと躍起だ。スウェーデンでは、1年のうち3か月しか営業できないアイスホテルの建設に大わらわ。さらに、ノルウェーの氷河の氷でウイスキーを飲むことを高級ホテルに売り込む実業家まで現れた。冷たい氷の熱い舞台裏に迫る。(2015年イギリス)
出演者
【語り】渡辺徹