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書き起こし クローズアップ現代+「暮らしはどうなる?全国“鉄道縮小”時代」 2016.12.13

ご覧ください、この絶景。
僕がこれまで旅してきた全国の鉄道です。
でも、最近気になる話をよく聞きます。
各地で暮らしを支えてきた鉄道にもう乗れなくなるかもしれないというのです。
いや、きれいな映像でしたけれども、六角さんは大の鉄道好きでいらっしゃって全国のほとんどの路線乗られたそうですね。
ええ、まだちょっと残ってるんですけどもこういうふうな感じで座って車窓を眺めるのがすごい好きなもんですから休みがあったら結構行くんですよね。
特に北海道の車窓なんていうのはもう何度見ても飽きない感じでありましてあと、こういう駅弁もおいしいですから。
これも楽しみの一つですよね。

 

 

 


鉄道の中で食べたりしてね。
そのおっしゃった北海道の鉄道なんですけれども実は先月、JR北海道が衝撃的な発表をしました。
JR単独では維持が難しいという路線が全体の半分にも及ぶというのです。
沿線の自治体などに費用負担してもらわないと廃線もありうるということなんですね。
JR北海道がその基準にしたのは1日の平均利用客数2000人未満。
NHKが、これを全国のJRに当てはめたところ、路線の数でおよそ3分の1が該当することが分かったんです。
えー、そんなにあるんですね。
いやまあ、確かに東北だとか山陰のほうの路線は厳しいんじゃないかなと思うところもあるんですけど実際見たら首都圏なんかもありますしね。
少しありますよね。
太平洋と日本海を結ぶいわゆる陰陽連絡線とかそういうものは、結構厳しい状態にあるみたいですね。
まずは北海道が直面している深刻な事態を追いました。
およそ100年の歴史を持つ留萌線。
数々の名作映画の舞台にもなってきました。
今月4日。
一部の区間が最後の運行を迎え多くの人が別れを惜しみました。
しかし、鉄道網の縮小はこの区間だけにとどまりません。
先月、JR北海道は多くの路線が、JR単独では維持できないというかつてない発表を行いました。
その規模、なんと全路線の半分に上るおよそ1200キロ。
その中にはドラマ「北の国から」でもおなじみの富良野線。
日本最大の湿原、釧路湿原を走る釧網線なども含まれます。
JRの発表に、利用者からは不安の声が上がっています。
見直し対象の宗谷線。
1日の平均利用客は400人ほどですが通院や通学など生活を支えてきました。
沿線の一つ、美深町。
町内の中学生の多くが列車で30分かかる隣の市の高校に進学してきました。
仮に鉄道が廃止になれば町を離れる生徒も出てくるかもしれません。
路線を維持するためには沿線の自治体が、ばく大な費用負担をしなければなりません。
太平洋側の海沿いを走る日高線。
雄大な風景が人々に愛されてきました。
しかし、高波や相次ぐ台風など自然災害を受けやすい路線でもあります。
今、沿線7つの自治体はこの区間を維持するためにJRから年間13億4000万円の負担を求められています。
沿線自治体の一つ、新ひだか町。
町では、自分たちの負担が3億円に上ると想定しています。
町の予算から捻出できるのか町長と担当者が検討を重ねてきました。
3億円を出すには医療や教育、災害対策など市民生活の根幹に関わる予算にも手をつけざるをえなくなります。
なぜ今、これほど大規模な見直しを行うことになったのか。
今回、JR北海道の社長がこの問題で初めて単独インタビューに応じました。
国鉄が分割民営化されJR北海道が発足したのは今から29年前。
分割民営化にあたり利用者の少ない北海道、四国、九州のいわゆる三島会社には赤字を補填する仕組みが設けられました。
それが税金をもとにした経営安定基金です。
株式や債券などへの投資で運用します。
時はバブル経済の真っただ中。
当初は年7%という高い利回りで年間500億円近い運用益を生み出しました。
しかし、バブル崩壊後低金利の時代が続き運用益は当初の半分以下にまでなっています。
追い打ちをかけたのが予想を超えるスピードで進む地域の人口減少。
赤字路線の収支の悪化に歯止めがかかりません。
今、路線を見直さなければあと3年で資金繰りがつかなくなるといいます。
というように、JR北海道が置かれた苦しい状況見てきましたけれども六角さん、いかがでしたか?
これは路線の見直しというのは今までいろいろとあったと思うんですけど具体的に今回の場合はどう違うんでしょうかね?
このところずっと鉄道の廃止はあったんですがほとんどが民間鉄道、あるいは第三セクター鉄道でした。
今回はJR線のほうの廃止が出てきたということでJRは、全国にありますのでこのJRで廃止が相次ぐとなると全国的に廃止がすごく多くなってくるということが懸念されます。
雪崩式になってくる場合もあると。
そうした中で、なぜ今このJR北海道はこれほどまでに大規模な見直しに踏み切ったんでしょうか?
もともとJR北海道はとても環境が厳しかったので特に札幌都市圏であるとかあるいは、地域間の高速鉄道すなわち特急を重視してやってきたと。
スピードアップも頑張ってきたんですね。
ところが、数年前に事故が相次ぎましてそれが、スピードアップが原因であったというふうにいわれてましてそれを回復するためにスピードを落とした、あるいは本数を減らしたということでそれでお客さんが減ってしまいまして赤字がより拡大してしまったと。
それで、今回の見直しにつながったということになります。
先ほど見た全国の地図でも分かったと思うんですけれどもこれって、北海道だけの問題ではないですよね。
もちろんもう全国的な問題でして例えばJR西日本を見てみれば山陰のほうにかなり厳しい路線があります。
それから、東日本のほうにも東北に厳しい路線がたくさんありまして、それぞれが大阪圏であるとか、あるいは首都圏の採算のいい所の路線の収益で維持してるということになります。
その頼みの綱となっている首都圏なんですけれどもちょっと今後の首都圏の人口予測を見てみたいと思います。
こちらご覧ください。
地図出ますね。
これ、今、青く示した所が人口が減る地域です。
2020年以降には、都心でも急激に人口が減っているんですね。
2040年になりますともうほぼ真っ青なんですね。
首都圏ですらこういった状況なんですけど、鉄道どうなっていくんでしょうか?
先ほど、首都圏の収益で東北方面の鉄道を維持しているというふうに言いました。
ところが人口減少になってくるとその首都圏でも利用が減ってくるということになりますしさらに地方ではもっと人口減少が激しいのでどんどん赤字が増えていくということになりますとこれから、どんどん厳しい路線が増えていくということになります。
六角さん、実際ローカル線に乗ってて実感として、いかがですか?
あるローカル線に乗っているときに自分一人だったことがありまして1両の車両だったんですけど。
これは、回送電車に自分が乗ってるような気持ちになりましてね。
途中から、本当に運転士さんが乗っているんだろうかと不安になったことがありましてそれぐらいやっぱり少ないということを実感したことがあるのでわりと深刻な問題なのかもしれないですね。
この鉄道を維持していくということは、どれほど大変なことなんでしょうか?
やはり鉄道はインフラがあります。
線路であるとか、駅ですね。
そういうものがあるのでとてもお金がかかりまして同じ距離をバスが走るのに比べると鉄道のほうが1桁高い費用が必要なんです。
例えば、保線といいまして線路を維持していくためには日々、直していく作業があります。
これは全体の費用の1ないし2割を占めるんですがこれが非常に負担になるので本来、これは安全確保のためには必要なことですがある場合には、それをちょっと遅らせるとか、あるいは人を、少ない人で対応するかあるいは安全対策ができないのでスピードを落として対応するといったことをやるとそうするとまたサービスがダウンしてお客さんが減ってしまうということが起こったりもしています。
六角さん、そういった現状いかがですか?
なんとか鉄道ファンとしてはしてもらいたいですからなかなか、どうしたらいいんだろうね、本当にそんな気持ちになりますよね。
なかなか解決策が簡単には見つからないところなんですけれどもまさに曲がり角に来ている日本の鉄道なんですが地域の住民や自治体を巻き込んだ取り組みが始まっています。
去年、45年ぶりにSLを復活させるイベントを行った鳥取県の若桜鉄道。
全国から予想を上回る1万3000人以上のファンが押し寄せました。
関連グッズの販売はもちろん撮り鉄向けに、撮影ポイントの入場券を有料で販売。
鉄道会社の社運をかけた一大イベントです。
売り上げはおよそ110万円。
地域への経済効果は数千万円ともいわれています。
実はこの若桜鉄道毎年のように赤字が続いてきました。
その路線がなぜここまで存続できたのか。
背景には、7年前に導入した上下分離と呼ばれる方式があります。
車両の運行と線路などの設備の維持管理を分け別々に運営します。
若桜鉄道では沿線の2つの町が下に当たる線路や駅舎を保有し年間およそ6000万円の維持費を負担。
その負担が減った分上に当たる鉄道会社は利用促進策などに予算を割けるようになりました。
住民も鉄道存続のために積極的に動いています。
沿線の一つ、隼駅。
地元住民が中心となって駅を守る会を作り駅舎の管理を買って出ました。
守る会では駅名と同じハヤブサという人気のバイクにちなんだライダー向けのイベントを毎年開いています。
多いときには全国から2500人が集まりました。
駅は今や、頻繁にライダーが訪れる人気スポットになりました。
しかし、それでも鉄道会社が赤字を抜け出すのは容易ではありません。
今年度からは自治体が車両の老朽化に伴う改修費や燃料代も受け持つことになり負担はおよそ1億円に上ります。
どうすれば路線を維持していけるか。
鉄道会社と地域の模索は続きます。
六角さんこうした地域ぐるみの取り組みどうご覧になりました?
お子さんが鉄道ファンのたくさんいらしたさっき見たんですけどそれがやっぱり一番の救いなんじゃないかなというふうにわれわれファンから見たら思いましたね。
だから、たくさんいろいろ難題はあるでしょうけども何かテーマを作って、いろいろとトライしてほしいなって個人的には思いましたね。
六角さんもこうした取り組みに参加されているんですよね?
今、只見線というJRの線があるんですけど、そこが鉄橋が流されちゃって今、止まって、バス移動になってるんですけどそれを、なんとかつなげようという運動がありまして応援をしたりとかはしていますね只見町のほうでですけども。
加藤さんこうした地域が主体となって関わっていくというのはどうご覧になりましたか?
これから鉄道を守っていくためには必須だと考えます。
日本では長い間、鉄道というのは鉄道会社が自分で運営して採算を取っていくという考えでしたが、もう最近では先ほど見ていただいたようにほとんどが赤字路線という地方の状況では、それは成り立たないと。
でも、その地域にとって必要な鉄道であるというふうに地域が考えるのであればやはり地域で支えていく。
それからその前に、地域がどうしてこの鉄道が必要であるのかということをきちんと考えてもらうと。
そういうことが鉄道が残っていくためのきっかけ作りになるというふうに考えてます。
実際に以前、廃止が多かった民鉄であるとか第三セクターでもそのやり方を取り入れて利用が全体的に上向きになっているんです。
海外では今、どうなっているんですか?
海外は日本では採算性重視なんですがヨーロッパとかアメリカではもともと鉄道は赤字であるのが当然という考え方でして日本だと赤字負担というんですがそうではなくて公共サービスに対する投資この地域に必要なのだから利用者だけでなく、地域全体で支援していくということが当然であるっていうことなんです。
日本でもこの考え方は入れていかないといけないと思います。
これまでの日本の認識とはだいぶ違うということですよね。
視聴者の方からのご意見ではなんとか存続する方法を考えていくべきという声がある一方で、鉄道を維持していくのは限界もあるんではないでしょうかという声もあるんですがいかがですか?
もちろん、鉄道は大量輸送であるとか、高速性に非常に利点があるので、そういうことを求められないような所では鉄道でない別の手段を入れていくほうが妥当であることが考えられます。
その一例としてこちら、夕張の例ですね。
これは夕張市内になりますがここは距離が短いですしもともとバスも沿線にありまして鉄道と両方あるというのは合理的でないというふうに考えられるので夕張市のほうでは。
色がついた所がバスですね。
鉄道は、もうやめると。
そのかわりバスの、この赤い所を充実させる。
そのことによって高校や病院にも通いやすくする。
あと周辺の所についてはもうちょっとバスより小さな交通機関を使って、この辺りも便利にしていくということで市内を全部、公共交通を便利にするというふうに転換することを考えておられるということですね。
六角さん、こうした鉄道から別の手段に乗り換えるという自治体も今、出てきているということなんですがいかがですか?
よく考えられているし鉄道はもちろん、ぐうの音も出ない感じがするんですけどただ、鉄道というものは隣町だとか遠くの匂いを伝えてくるつながったものですから点でバスだと考えてしまうがちなところ。
線路が続いてるっていう大切さって、非常に概念的な考え方になってしまうんですけど僕は必要だと思うんですけどね。
鉄道、どうやって存続していったらいいか六角さんなりの案。
非常に暗いじゃないですか。
楽しく考えるとしたら、これはある鉄道ファンの人たちとしゃべってたことなんですけど全国を回るクルーズトレインを寝台列車ですか、いろいろな各地の鉄道会社と手を結んで作って、2週間なり3週間なりで日本をじっくりと回ってそれこそディスカバー・ジャパンですよ。
そういうものを夢のある鉄道を作って生活の目標にするというのも鉄道ファンもいるんじゃないかなという気もするんですけど。
加藤さん、最後に短くなりましたけど加藤さんなりにどうしていったらいいか。
鉄道ならではの価値を生かして、地域で守っていくということを、きちんとやる。
これが鉄道を残していく唯一の方法だと考えてます。
先ほどの子どもさんたちのためにも、横滑りの問題にさせるんじゃなくて残していきたいです。
2016/12/13(火) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「暮らしはどうなる?全国“鉄道縮小”時代」[字]

各地の鉄道が消える?JR北海道の衝撃発表から1か月。“鉄道縮小”時代に突入した今、私たちの暮らしはどうなるのか?交通の未来像について徹底議論!

詳細情報
番組内容
【ゲスト】名古屋大学大学院准教授…加藤博和,俳優…六角精児,【キャスター】小郷知子
出演者
【ゲスト】名古屋大学大学院准教授…加藤博和,俳優…六角精児,【キャスター】小郷知子