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書き起こし NNNドキュメント「その哭き声が聞こえるか〜避難区域の動物たち〜」 2016.12.19

 

 

原発事故によって人が消えた町
そこをわが物顔で歩くイノシシの群れ
この時町の主は動物達になっていました
(スタッフ)右右右…右!やっぱり人がいないんでもう動物天国になってるっていうことですよね。
そのふるさとに人々が戻り始めた今動物達は帰還を妨げる存在です
(赤間さん)入ってる入ってる。
(唸り声)

 

 

 


愛されていたペット達も変わっていました
(唸り声)
(アライグマの唸り声)
原発事故から間もなく6年
避難区域の動物達
その声が聞こえますか?
(スピーカー)原子力発電所から放射性物質の流出の恐れがありますので避難を開始してください。
足元気を付けてくださいね!
住民は着の身着のままふるさとを追われました
福島第一原発の事故
避難指示が出されたのは周辺の11の市町村
人がいなくなった町
8万人が強制的に避難させられました
事故から1年余り
一部の地域では日中の立ち入りが許されるようになります
(根本幸子さん)いや〜スイセンが咲いてる。
懐かしいわが家
(幸子さん)うわぁ咲きだしたうわ〜。
(根本洸一さん)こんな状態で。
(幸子さん)うれしい。
こんなですこんなガラガラになっててもう荒れてて…。
(幸子さん)いや〜何これ!何だろう?お父さんブタ?
(根本さん)ブタだべ。
ブタでないイノシシか。
(幸子さん)イノシシか。
(根本さん)イノシシかブタかだな。
(幸子さん)なんとなんと…。
(根本さん)足跡これな。
(幸子さん)う〜ん。
そうかいや〜。
納屋の肥料が食い荒らされていました
その年の秋
試験的に栽培した根本さんの田んぼでも…
(根本さん)これイノシシにやられて…。
(スタッフ)えっ?
(根本さん)これとか…うん。
(スタッフ)そうなんですか?
(根本さん)はいこれこれ。
米はほぼ全滅
(根本さん)ひどいもんだなぁ。
まったくみじめだよな。
せっかくここまで作って。
またうんといい稲だったんだ。
今までになくいい稲だったんだな稲は。
検査用にわずかな量しか採れませんでした
事故から2年
富岡町も住民の立ち入りが可能になりました
するとそこには…
畑の作物を食い荒らす動物の姿が
まぁ来年こうまだまだ増えるわけですから困りますよねこれではね。
(スタッフ)やっぱりもともとの富岡じゃこんなことはなかった?ないですよねもう全然。
やっぱり人がいないんでもう動物天国になってるっていうことですよねええ。
原発事故から3年が過ぎる頃には…
町の中を悠然とうろつく姿が頻繁に目撃されるようになります
(スタッフ)襲って来たら怖いっすよ。
(スタッフ)大丈夫車乗ってるから。
この頃から自治体も駆除に乗り出しますがイノシシは家畜だったブタとも交配して急激に数を増やして行きます
ふるさとは夜も動物達に支配されていました
しかし避難区域の立ち入り制限が徐々に解除されると動物達が自由に暮らせる範囲は狭まって行きます
復旧が進む町
そこに戻って来る人にとって動物達は厄介な存在になって行きます
おっめちゃくちゃだ。
浪江町の森野俊恵さんの自宅は無残なありさまでした
(スタッフ)この下全部イノシシ?
(森野さん)イノシシだみんな俺片付けたんだもん。
みんな出しちゃったんだな。
(森野さん)これが至る所にあった。
(森野さん)糞がな。
(スタッフ)イノシシ?
(森野さん)イノシシじゃない。
これネズミだ大量に発生してた。
うちの母ちゃんはもう二度と来ることはないと。
ここの家には住みたくない。
入りたくないっつったもん。
そして厄介な存在は他にもいます
福島大学で野生動物を研究している…
(スタッフ)こちらは?
(奥田さん)屋根裏に入り込んでしまったアライグマですね。
暗がりを好むアライグマ
避難して無人となった家の屋根裏に潜り込んですみかとします
(奥田さん)人間が戻って来た時にですねそういったものが何かの拍子に…。
…と思います。
アライグマに荒らされた家を見て戻ることを諦める住民も少なくありません
奥田さんがこの日向かったのは今も避難指示が続く浪江町
アライグマはかつてペットとして人気がありました
しかし気性が荒いため飼育が難しく飼い主に捨てられ野生化したといわれています
(アライグマの唸り声)
避難区域で急激に数を増やしたアライグマ
人が戻るために駆除の対象になっています
人間が住んでた場所に野生動物が入って来て今はもう完全に野生動物の領域になってしまってると思うんですね。
その野生動物の領域に人間が戻って来るっていうような状況になっていますのでやはりこれからいろいろな野生動物と人間とのあつれきっていうものが増えて来るんではないかと考えてます。
(奥田さん)これGPSの首輪です。
これを着けて…放します。
(スタッフ)何のためですか?どういう所をアライグマが行動しているのかっていうのを調査します。
駆除に向けた行動調査
自由に暮らして来た動物達は今苦しい立場に追いやられています
それは野生動物に限ったことではありませんでした
福島第一原発の排気筒が間近に迫る浪江町の沿岸部
80km離れた避難先から毎日通う…
(スタッフ)この辺ももともとは家?畑ですかね?田んぼほとんど田んぼ。
こっち側はほとんど家…あっ!何かいましたねあれ。
(スタッフ)えっ?えっどこですか?あっいたいたいた。
猫猫だいたいた。
(スタッフ)いたいたいた…あっ。
でもやっぱり今いたあの猫なんかもね普通だったらばこう寄って来るはずなんですよ。
それが人間をもう遠ざけて離れて行くっていう。
今まで一緒にいてねもう何年も一緒に暮らしててその関係が本当の一瞬で壊れたっていう感じですよね。
ええあの原発関係のやつで。
赤間さんは町の許可を得て避難区域に取り残されたペットの保護に取り組んでいます
かつて家族の一員として愛されたペット達
しかし人との関係は大きく変わっていました
浪江町にある赤間さんの自宅です
避難区域で見つけたおよそ100匹の犬や猫を保護しています
(猫の鳴き声)
元の飼い主や里親に引き渡したのはこれまでに400匹を超えました
貯金を切り崩して犬や猫の保護を続ける赤間さん
そこまで保護活動に駆り立てるのは原発事故の直後に見た悲しい光景です
爆発した時にバスで逃げるっていう話になったのね。
そのバスに乗る時に動物はダメだっていうことになったの。
でそこまで連れてった人達がバスには乗せられないからそこで放してください…って言われてもう飼い主がね泣きながら誰かもらってくれないですか?とかそういう光景もあったし。
それでもうそこで放した飼い主もいるし。
避難区域に置き去りにせざるを得なかったペットの数は数千匹に上るとみられます
避難の混乱の中で飼い主とペットに訪れた突然の別れ
そして残されたペット達は繁殖を繰り返し人を知らない世代が次々と生まれます
赤間さんはこの5年の間変わって行くペットを目の当たりにして来ました
(赤間さん)入ってる入ってる。
三毛猫ですね。
(唸り声)
(唸り声)
人を知らない若い猫
(唸り声)
ペットは野生化していました
(唸り声)
(唸り声)
(唸り声)
(赤間さん)これホントあの…誰も保護しないで黙っといたんではなんぼでも増えて行きますからやっぱり保護して避妊去勢をしないと住民が帰って来た時にねこういう動物に犬猫に困らないようにっていうことで始めてるんで。
(猫の鳴き声)
赤間さんが保護した犬や猫を連れて行ったのは浪江町の動物病院です
ここで獣医師の豊田正さんが避妊や去勢の手術を行います
(スタッフ)やっぱり繁殖力が高いというか猫の場合は。
(豊田さん)3か月にいっぺんずつ発情しちゃうから。
これ以上増やさないためにはこうするしかありません
国は3年ほど前に避難区域での保護活動を打ち切っています
(猫の鳴き声)
(赤間さん)はいよ。
避難区域で増え続ける犬や猫が再び人に愛される存在になってほしい
赤間さんはそう願っています
冬を迎えた浪江町
(赤間さん)猫入ってます。
(赤間さん)よいしょOK。
赤間さんの保護活動は今も続いています
(お知らせのチャイム)
(アナウンス)間もなく列車がまいります。
危ないですから黄色い線までお下がりください。
今年7月
町に人が戻って来ました
原発事故の避難指示が解除された南相馬市小高区
おかえりなさいませお世話さまです。
いやいやお疲れさまです。
お世話さまでございます。
どうもどうもでございます。
ありがとうございます。
(女性)とてもいいお天気で。
(男性)本当にね。
(女性)私の心のようですハハハハ…。
5年ぶりのにぎわい
でもその町では…
(根本さん)ここにもあるし向こうにもあるし。
根本洸一さんの田んぼにはイノシシが米を狙って近づいた跡がありました
動物達に荒らされないためには電気柵がなくてはならないものに
かなりいいよな。
人と動物の境界が揺らいでいます
本当はな…。
フフフっ。
たぶん…。
来年春の避難指示解除を目指す浪江町
こっちから見たら小っちゃい。
民家の庭先に仕掛けられた檻にイノシシが捕らえられていました
これまでに駆除されたイノシシは6000頭を超えました
動物達の居場所はもう…
(銃声)
避難指示はこれからも次々と解除されて行きます
原発事故から5年9か月
避難区域の動物達の鳴き声は…
ふるさとに戻る人々の足音にかき消されようとしています
(唸り声)
(唸り声)もうこれは完全なる殺人事件ですよ。
ながらスマホによって奪われた命
手のひらの便利さが凶器と化すスマホ社会に私達はどう向き合えばいいのか?
2016/12/19(月) 02:50〜03:20
読売テレビ1
NNNドキュメント「その哭き声が聞こえるか〜避難区域の動物たち〜」[字]

福島県の原発事故避難区域では、イノシシやアライグマが街を荒らし、イヌやネコの野生化が進んでいた。事故から5年、動物たちは人々の帰還を妨げる存在となっていた。

詳細情報
番組内容
無人の商店街をわがもの顔でうろつくイノシシの群れ。主のいない家を荒らすアライグマ。かつて家族の一員として飼い主と暮らしていたイヌやネコは野生化が進み、保護に来た人間に牙を剥いて威嚇した。原発事故で人が住めなくなった福島県の避難区域に広がった光景だ。事故から5年、避難指示の解除が進む今、増え過ぎた動物たちは人々の故郷への帰還を妨げる存在に…原発事故で生きる道筋を狂わされた動物たちの姿を追った。
出演者
【ナレーター】
浜田治貴
制作
福島中央テレビ