全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

書き起こし ハートネットTV ブレイクスルー File.53「トランスジェンダー・さつき」 2016.12.19

 

 

舞台は日本最大級の女装イベント
「あなたは女性?あなたは女装?」。
そんな事を聞くのもちょっとヤボな気がする
仕掛け人はさつきさん。
男性として生まれ手術で女性に性別を変えた
同じ境遇の人たちにとって希望の星だ
それは何かというと…
この誓いは彼女自身が歩んだ長い道のりに原点がある

 

 

 


自分の本当の性別を隠し続けた少年時代
手術のあとも社会の目を恐れながら生きるしかなかった。
でも本当にそれでいいのか
生きづらいなら私がそれを変えればいい。
さつきさんのブレイクスルー
言われなかったら気付かないいわゆる普通の女の子。
知り合いのお店で持ち込んだお菓子をこっそり。
手術で女性の体になったさつきさん。
しぐさや装いには男性らしさも大げさな女性らしさもありません。
ただただ自然体の30歳。
さつきさんは生まれた時の性別にとらわれない…元男性である事を明かしつつ女性としての生き方を発信しています。
去年の秋には美しさを競うトランスジェンダーの世界大会に出場。
特別賞を受賞し海外でも注目を集めています。
180センチを超える抜群のスタイルとそのルックスに今メディアの取材が殺到中。
でもありがちな取り上げられ方はお断り。
お疲れさま。
お疲れさまでした。
ただ生まれながらの女性にはない大変さも。
朝晩2回の女性ホルモン剤。
手術をしたために必要なホルモンが体内で分泌できないのです。
副作用のおそれもありますが一生のみ続けなくてはなりません。
この日さつきさんは新宿の繁華街へ。
月に一度の大事なイベント。
店の前には既に長い行列が…。
さつきさんが主催する日本最大級の女装イベントです。
多い時は400人ものお客さんでフロアがいっぱい。
好きな服に好きなメイク。
ふだんは勇気がいる装いもご自由に。
誰もが性別という役割から解き放たれる一夜です。
イベントの目玉は女装アイドルのステージ。
プロデュースはさつきさん。
歌詞に思いを込めました。
男って何?女って何?普通って何?本日のゲストはさつきさんです。
どうぞ。
(3人)よろしくお願いします。
こんにちは。
初めまして。
改めてこの距離で見させて頂いて…。
スタイルがすごいいいですけど。
ねえスラッとして。
182あるんですよ。
背がすごい高くて。
じゃあゆっくりお話ししていきたいので是非お座り下さい。
(3人)よろしくお願いします。
どうですか?AIさん。
いやもうすごい。
モデルさんみたいなね。
本当ですか?うれしい。
そんなふうに言って頂ける…。
いろんな多くの人の受け皿になってるのがプロパガンダだと思うんですけれども。
そうですね。
どんな場所なんですかね。
やっぱり…みんな自分に自信がなかったりとか自分がやってる事女の子の格好をする事に対してのこれが本当に正しい事かどうなのかって分からなかったんですけどやっぱ横を見てみるとこんだけ一緒にやってる友達とか周りがいるんだったら自分たちも間違ってないなとか悪くないんだなって言って勇気もらってる部分は大きいんじゃないかなって思います。
「いいんだよ」って言ってくれる場所。
そうそう。
肯定してくれる場所なので。
今「肯定してくれる場所」って言ったのにやっぱちょっとドキッとしたところがあるんですけどもし勇気を出して街に出て女子高生とか周りの人とかに笑われたりとかしてやっぱり傷ついて帰ってきてるものなんですかね。
もうほとんどそうですし逆に今のこの私でもやっぱり大なり小なりあるのでそういう子たちがうれしそうに外歩けるようになったらいいなとは。
旗振り役じゃないですけどそばで見てていいなと思いますね。
名古屋。
さつきさんが生まれ育ったふるさとです。
サラリーマン家庭の長男。
かけっこよりおままごとが好きな男の子でした。
性別への違和感が始まったのは幼稚園の頃から。
男の子はこう。
何気ない決まりや役割が増えてきたのです。
少しずつ男性になっていく自分への嫌悪感。
親にも友達にも相談できませんでした。
親の同意なしにホルモン治療ができる二十歳。
本格的に病院へ通い始めます。
そして26歳で女性になる最後のステップ性別適合手術に臨んだのです。
やっと女の子になれた。
でも生きづらさは消えませんでした。
元男性だと知られるのが怖い。
生まれながらの女性だと偽るようになりました。
誰よりもさつきさん自身が元男性である事を受け入れられなかったのです。
上京した3年前に転機となる出会いが。
プロパガンダを共に運営してきた唯一無二の親友です。
モカさんも男性から女性に性別を変えたトランスジェンダー。
性別に悩み自分を否定しそのつらさを同じように知る初めての友人でした。
それを…何だろう。
素の自分を認めてくれる人がいる。
さつきさんは元男性である事を隠さなくなっていきました。
でも社会の偏見からは逃れられません。
そんな時モカさんがつぶやきます。
自分がアクションを起こしたらそれ変えられるかもしれないし。
もともと私一時期OLやってた時があったんです。
昼職のOLやってたんですけど。
お客様とかには自分の性別の事は何も言わなかったんですけど自分今女性になりたかったから男として生きてくのが嫌でそうやって偽るのが嫌で性別を変えたのに今度私OLやったらOLやったで今度は生まれながらの女として偽ってまた生きてくっていうのがどっちにしたって私全部にうそついて偽って生きてきてるんだなって思って。
それが一番つらくなりましたね。
それつらいと思うんですよね。
何かこれで解決するって思って一筋の光に手を伸ばしたんだけれどもそれでも解決しなくてそこはスタートだったっていう…。
スタートだった。
つらいなと思うんですけれども…。
だからVTRの中にあったそれに納得してるか納得してないかでそのつらさになっていくのかなと。
ああそれは思った。
やっぱり自分の事すごい私もちっちゃい時嫌いだったんですけどよくうちの親が「何かいい事したら自分が好きになる」みたいな事言ってたんですけどでもちょっとそういう事やっていったら本当にちょっとずつ自分の事が好きになってとか。
何かこう…人生の死ぬ時の事を考えた時に普通の女と偽って生まれながらの女の子だって偽って生きてたら多分死ぬ時になった時にああやっぱり普通の女の子に生まれたかったなと思って死ぬなと思ったんですよ。
性別変えた人間だけどむしろこれでよかったなって思えるぐらいの生き方をしないと多分死ぬ時にすごい後悔するなと思って。
それはあれですよね自分を受け入れて…受け入れるって事ですよね。
そうですね。
何かもう変に偽らずに事実をそのまま受け入れてそれをみんなにも理解してもらうっていうのが一番自然な形かなって思います。
今も活動をモカさんと共に。
そうだ周りに理解してもらって周りが変わっていったらもっといいんじゃないかっていう活動をしてると思うんですけど自分の中の覚悟みたいなものを聞かせて頂きたいんですよね。
変な話やっぱり私たちのこの体の人たちって本当に社会で生きにくいのでやっぱ自殺しちゃう子とか割と多いんです。
日常…年に何回か自殺で亡くなっちゃった友達とか。
周りをパッと見た時にまだ苦しんでるおんなじ仲間の子がもういっぱいいたのでそういう下の世代の子たちのために活動したいなっていうのがもう全ての今の原動力になってますね。
なるほど。
多分自分の子どもが産めたらきっと自分の子どもに向いてたのかもしれないんですけどそれが…子どもが産めないので次世代のために自分と同じ境遇の子たちっていうところにパワーのベクトルが向いたのかなって感じはしましたね。
さまざまな人が行き交う都心の交差点。
女装をした人を見かける事も珍しくありません。
ここ数年で女装に対する社会のまなざしは大きく変わり始めています。
そんな中さつきさんはある決断を下します。
プロパガンダを終わりにする。
この日さつきさんは一緒に運営してきた友人を訪ねていました。
迷いながらも信頼する仲間と決めた解散。
プロパガンダ最後の夜。
解散を惜しむ人たちが会場に詰めかけていました。
さつきさんの周りに若いお客さんが集まります。
さつきさんが仲間と切り開いてきた道。
その道を次の世代が歩み始めています。
最後は自分の言葉で。
(一同)さつき!さつき!せ〜の!
(一同)ありがとうございました!
(拍手)時代はこう動いていってトランスジェンダーだったりLGBTだったりとか名前の認知度っていうのは上がってるように感じるんですけれども…。
確かに最近すごいテレビとかでもLGBTLGBTって言われてちょっと社会の…ちょっとしたブームじゃないですけどそういうふうに見られてるところってすごい大きいなと思ってたんですけどそういうムーブメントとして盛り上げてくれてるのはうれしいんですけどちゃんと中身も見てほしいなとは思いますね。
その人その人によって悩みって変わってくるし分かった気になっちゃうのが一番怖いな。
そうなんですよね。
例えば変な話眼鏡かけてるから眼鏡の人とは言わないじゃないですか。
それと一緒で私もLGBTの人だけどトランスジェンダーって別にそれだけじゃないしただの自分を表現する要素の一つでしかないので。
私なんかもう「女は」とかって言われるのも嫌だもん。
女はこうだからとか男はこうだからとかっていうのもどうですかね。
また…女だけど何かそうやって言われると分けられると…っていう感覚かな。
分かります何か。
そういうフィルターを外して一人の人間として見てもらえるのが多分全員一番うれしいんじゃないかなとは思います。
だから…常に考えてほしいなって思う。
これを見終わったあとに「あっ分かった分かった。
トランスジェンダーの事が分かった」なんて事は絶対にないんだろうなって思うんですよね。
その人と話して…その人が一人の人間としてそれでいいじゃんっていう…。
一人一人の人間っていう事をちゃんと認識していかないといけないんじゃないかな。
気を付けて。
はい。
失礼します。
お疲れさまでした。
2016/12/19(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー File.53「トランスジェンダー・さつき」[字]

ゲイ、レズビアン、LGBT。言葉は浸透したが「性」で悩む人はいまだ多い。そんな社会を変えたいと日本最大級女装イベントを主催するトランスジェンダーさつきさんに迫る

詳細情報
番組内容
ゲイやレズビアンが連日メディアに登場し、LGBTという言葉も浸透し始める一方、いまだ「性別」で判断される社会に生きづらさを感じる人は多い。そんな世の中を変えようと挑むのが、さつきさん(30)。自らを女性と自覚しながら、男性の身体で生まれたトランスジェンダーの彼女は、新宿2丁目の日本最大級の女装イベントの主宰者。性別にとらわれず、好きな格好で好きな所に行ける社会を作るのが目標という、さつきさんに迫る
出演者
【司会】風間俊介,AI,【語り】Chiko