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書き起こし ETV特集「空にいるあなたへ〜岩手・陸前高田“漂流ポスト”〜」 2016.12.24

 

 

手紙を書く場所何て言うんだろう自分の思ってる事とか普通の会話をできるような場所ってなかったしそういう所がどっかにないのかなとかってずっと思ってたら新聞に書いてあったからあっここなら手紙出せるわと思って。
何かうれしかったんで…書けたね〜うんよかった〜みたいな感じでちょっとウキウキ。
もう計画どおりの高さまで盛り土が終わりまして今建物を建てるための建物の工事に入ってるところです。
そして来年の予定では3月末に建物は出来てお店がゴールデンウィーク前4月後半にはお店も出来るという新しい町が出来る予定の場所です。
「目の前の出来事にあれから何度も生きる意味を考え迷い悲嘆と後悔と無力さに暮れ葛藤に襲われました…」。
「向き合うのが怖くて今でも信じられなくて生前の母を夢で見てはハッと朝目覚めて現実の酷さに落ち込みます…」。

 

 

 

 


「母、こんな娘ですが長い目で見守って見ていてね。
やりたいこと1つひとつクリアしていきますから。
報告しますのでハラハラするでしょうけど…温かいいつもの眼差しで宜しくお願いします」。
(取材者)こんにちは。
すいませんNHKの者でしてお手紙読ませて頂いて今日来ました。
ありがとうございます。
片づけようと思いながら頂いた写真だからみんな飾っとこうと思って。
何もかもなくしたから頂いた写真はみ〜んな手元に置いておこうと思って。
これは震災の前の年日光に旅行に行った時の写真ですね。
遺体にしてた時計これ。
出かける時は必ず運転する時は必ずこうして「今から行きます。
守って下さい」って。
何でも「守って下さい」って。
何でもお願い事を。
運転してて眠くなったら「お父さん眠いよ〜」って。
(取材者)どんなご主人様なんですか?優しい。
すっごい几帳面。
多分こういうの見てたら「もっと片づけなさい」って言う人です。
きちんきちんと。
すごい何か清潔感があるっていうかすごい何か身だしなみとかきちっとする人でしたね。
結構ドライヤーとか30分ぐらいこうしてるような…はい。
マイドライヤー持っていって旅行行くのにも消防署で勤務で泊まる時も必ず自分のドライヤーはどこに行くのにも。
ホテルにドライヤーあるじゃないって思っても自分のドライヤーを持っていく人。
「佐藤武敏様昨夜夢を見ました。
知らない街を旅行していました。
知らない消防署にも行きました」。
私も何か出したんだ。
もう届いたなって答えてくれるような気がしてお父さん読んで「あっこうだよ」「あっそっか」って自分で多分納得してるんですよね。
気持ちが何か落ち着くっていうか…どうしようもない事だから誰に言ってもしかたのない事だから多分手紙で自分の気持ちを落ち着かせたかったんだと思う。
出したら何かこの最初の時すごい悩んだけどまた出そうと思ったのはやっぱりそういうのはあると思うから。
「前略お父さんお元気でしょうか。
今日は逢いたくてお手紙を書いています。
毎日毎日想っています…」。
この時間が2時40分…
(取材者)これどういう意味だったんですか?
(取材者)3月11日ですね。
3月11日の2時40分。
これから6分後だ。
これが乗ってたやつかな。
ふだん乗ってた車でこれがレースにたまに出たりとかしてたみたい。
この車をいじってる時の顔がまた幸せいっぱいって感じ。
ほんとに幸せって感じの顔のニコニコって感じでよくこんな暗い中毎日やってるねとかって思うほど。
そうするとまた同じようなこういうような感じの車の子たちが集まってみんなして。
でもみんな会うと必ず「あっこんばんは〜」とか「おじゃましてま〜す」とかってみんな言ってくれて。
みんなでどっかにまたブーンとドライブに行くという生活を毎日してたと。
同じような服着てる子見ればもしかしてともじゃないかとかって思ったりとか。
会話がしたい話したいとか声聞きたいと思っててその会話ができる場所があのポストなんだと思う。
変わってないかな。
でも何でいないんだろうって思うのは今でも思うもん。
5年半たとうが何年たとうが何でここにいないのかなって。
ほんとはうそなんじゃないかな?ともがいないっていう事はうそなんじゃないかなとか。
多分何年たってもその気持ちは変わらないけど…こっちが思ってる事を空の上で読んであっそっか今お父さんお母さんこういう事思ってんだとかこうなんだなとかって分かってもらっていればいつの日か私たちがそっちに行った時に「お母さんあん時さそう思ってたみたいだけどさ」とかって会話になるんじゃない?「俺見てて違うと思うよ」とかって言われるかもしれないし「分かる分かるあん時お母さんの気持ち俺見てて分かってたもん」とか言われるかもしれないしその時の会話のためのレポート提出ですか?…うん。
「志奈ちゃんへまさかこんな事が起きて志奈ちゃんに会えなくなっちゃうなんて思いもしませんでした。
小学校で初めて出来た『親友』それがあなたでした…」。
「まだまだ先だとは思うけど私もそっちに行った時は仲なおりさせて下さい。
一緒にお酒飲みたいよ。
それまで私も精いっぱい生きます。
大好きだよ志奈ちゃん。
真紀子より」。
「将成兄ちゃんへ久しぶり!元気?私は元気です!今は中学校に入学して楽しくやっているよ!部活は吹奏楽でトロンボーンやってるよ!難しいけど楽しいんだよ〜!今まで本当にありがとう。
いつも優しくて大好きだったよ。
思い返せば震災前夜おふとんに来てうでまくらとかしてくれたよね。
急にどうした!?って感じだったよ
(笑)なんでかはもう聞けないね…」。
「お兄ちゃんありがとう。
最後は笑っておわろっか。
あと一つだけ!またいつかお姉ちゃんとお兄ちゃんと私の3人でキャッチボールしようね!約束だよ〜」。
こっちもっとこっちへ。
あよいやさ〜!あよいやさ〜!あよいよいよいよ〜い!
(せつ子)分かんないから飾っとこう。
すいませんねよく分かんないね。
お父さんごめんね。
おじいちゃんごめんね。
何か飾りたいからでも。
簡素だけどいいよね。
自分で楽しみを。
お父さんおばあちゃんおじいちゃんのおうちですよって。
迷わないで帰ってきてね〜。
この明かりが見えますか〜?「私も同居とのことなので南三陸町へは帰らないことにしました。
宅地の跡地も町へ売却しました…」。
もう来たかな〜?時間がたつにつれて心というか支えがなかなかできない部分での支援が本当に必要になってきて何をしようかというかっていうか何かしたいけれどもなかなかできる事がなくなってきてしまったのでそれこそ無我夢中でがれき除去してた時はまだ何か役に立てるっていう感覚があったんですけど今何ができているだろうっていうと大して何もできてないんだなと思って。
私も震災のあとに市役所に入ったんですけれども直接その震災の当時の状況はどうだったかっていうのを聞く機会はあっても亡くなった人たちへの思いとかを直接聞く機会ってほとんどなかったので今いろいろ工事とか進んでて目で見える復興っていうのもあると思うんですけども…その気持ちをちょっとでもこう読んでそういう思いを感じる事ができたのは来てよかったなと思いました。
「平成23年3月11日。
長男20歳次男19歳実兄70歳実姉77歳突然の別れがきた…」。
「大きな大きな胸の中の穴をほんの少しでもうめることができるのなら…。
泣くことも叫ぶこともできない毎日。
強い圧迫感が全身を包んで身を固くしている…」。
長男の名前と次男の名前を取り付けたんだけど当時は「舟要観音」って付けたんです。
やっぱり一番は子供たちに対する思いですよね。
1920歳で亡くなったもんで年子だったんです。
忘れられないっていうか俺たちにとってはかけがえのものであったしだからそういう思いで建てたっていうかね。
常に一緒にいるような気持ちではいるんだよね。
俺自身は。
ここさ居ようと他に居ようと常に息子たちは俺の背中に乗ってるなっていう意識。
だから改めてどう思いますかって言われても正直言うと「後ろにいるよ」とこういうふうに言いたいよね。
何やるにしても息子ならどうするかなって息子たちだったらどういうふうにするかなってそういう常に問い合わせしてるような気もするよね。
だからここさ居るばかりじゃなくて仮に女房とけんかしたっていうか口論してても息子たちがいるなっていうかやつらに「何やってんだ」って戒められたりというかねそういうこう…。
亡くなって悲しいのは悲しいんだけど改めてそうやって言われても常に後ろさ一緒にいるよみたいなその辺がうまく言い表せないけど。
(取材者)さっき書けないって言ってたんでそれは何かこう書けないっていうのはどうしてなんだろうなと思ったので手紙をね。
何て言うの?涙から鼻水からよだれから出して全部出しながらじゃないとそれも時間かかるし。
かえって普通に何ていうのかなそこにいるような感じでしゃべった方が伝わるんじゃないかなとは思うんです。
分かってくれてるような…自分はね。
私の性格も分かっていると思うから。
子供たちも。
(猫の鳴き声)まあねいろいろ大変は大変さ。
クロに介護してもらうから。
何が介護なんだか分かんねえけど。
介護してもらうからな。
(司会)どうぞ皆様盛大な拍手でお迎え下さいませ。
2016/12/24(土) 23:00〜00:00
NHKEテレ1大阪
ETV特集「空にいるあなたへ〜岩手・陸前高田“漂流ポスト”〜」[字]

岩手県陸前高田市に東日本大震災で亡くなった家族や友人などに宛てた手紙が届くポストがある。その名も「漂流ポスト」。300通を超える手紙に込めた亡き人への思いとは?

詳細情報
番組内容
夫を亡くした妻から…わが子を亡くした母親から…岩手県陸前高田市の「漂流ポスト」に届く手紙には、誰にも打ち明けられなかった思いがつづられている。「お父さん 夢でもいいから逢いにきて下さい。そして声を聞かせて下さい」「“あっ今ともが居た”とか思う時あるんだよ。近くに居るなら、顔見せて。声聞かせて。お願いだから」大切な人を亡くした悲しみとどう向き合っていけばいいのか?手紙に込めた亡き人への思いを見つめる
出演者
【朗読】松岡洋子,宗矢樹頼,弘中くみ子,古城望