・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」
（大島）ほう〜これを無料で？随分思い切ったねぇ。
（すみれ）私たちの考え方を知ってもらえたらそれだけでもうれしいんです。
ああ…。
君は坂東営業部を辞めてキアリスに入ったんだって？
（紀夫）経理を担当します。
ご婦人方は皆経理が苦手なようですのでこっちに任せてもろて彼女たちには好きな事をしてもらえればと思うております。
（小山）それはよろしいですねぇ。
これを機にキアリスを法人化してはどうかな？法人化？今後の事を考えても会社にした方がいいと思いますよ。
そうですね。
私もそう思います。
（勝二）ええと思うで。
（昭一）わしもや。
（君枝）何で？何でってそりゃ信用が違う。
新しい事をやりたくても資金が足らんいう時法人化しとって売り上げあげとったら銀行も資金を貸してくれる事がある。
それに働いてくれてる人たちを社員にできる。
みんな安定した生活ができるいう事や。
（時子）将来は自活せなあかんて考えてた。
子どものためにもね。
手に職をつけて女一人でもちゃんと生きていけるように頑張りたい。
働いてくれる人にとっていいなら…どうかな？
（明美）ええねぇ。
（良子）ええ。
それやったらみんな安心して働けるね。
（昭一）社長は誰が？
（良子）すみれちゃんがいいんやない？えっ？えっ私？いえ…無理よ社長なんて！好きな事ができなくなるかもしれへんなぁ。
それは嫌やわぁ。
実務に関わらんところにおる人がええんやないか？いた！誰？タケちゃん。
（足立）えっ？タケちゃんキアリスの社長やて。
社長。
社長。
社長！
（拍手）わしが社長？
（麻田）明美ちゃんちょっと…。
おった！おったでここに！確かに。
麻田さんぐらいの方がよろしいやろな。
（昭一）貫禄もありますし…。
麻田さん。
キアリスの社長になって下さい。
いえいえ！私はただの靴屋です。
すみれたちにとってはそれ以上の存在です。
麻田さんがいなかったらお店をやろうなんて思わなかった。
麻田さんしかいません。
（一同）お願いします。
（拍手）
（はな）
勝二さんと昭一さんにも監査役として名を連ねてもらい株式会社キアリス発足に向けての準備が始まりました
銀行の現地調査ですか。
創業計画書の売り上げ見込みが正しいかどうかを確認しに来てるんです。
あ〜なるほどねぇ。
（銀行員）え〜っと代表取締役の方は？おっちゃんおっちゃん。
あ…ああ。
「おっちゃん」て。
私です。
はい…。
え〜取締役５名の方は？あっ紀夫さんと…。
すみれちゃんと君ちゃんと明美さんと私でいいのよね？うん。
はい多分。
（銀行員）はっ？「多分」やない！「すみれちゃんと君ちゃんと」って社会人やろが！
（銀行員）ハハハハ…。
紀夫さんもうちょいピシッとさせて下さいよ。
麻田さんが社長とはいえ現場の頭は紀夫さんやからな。
どうすればええやろ…。
まず朝礼やな。
あっ…。
よろしいですね。
朝から気合い入れな。
大体会社で君ちゃんやのすみれちゃんやのおかしいやろ。
ほんまそうですよね。
社会人の何たるかを教えたって下さい！
キアリスが株式会社となった初日
すみれちゃん明美さんおはよう。
おはよう良子ちゃん。
（君枝）おはよう。
おはよう君ちゃん。
では朝礼を始めましょう。
朝礼？おはようございます。
（一同）おはようございます。
いやいやそうやないでしょ。
声をそろえてピシッと一斉にするんです。
別にええやないか。
よくありません。
これからの発展を踏まえていろいろな事を変えるいい機会やと思います。
まずは呼び名を変えましょう。
呼び名？いつまでも女学生のように「ちゃん」づけで呼ぶのはおかしいです。
名字に「さん」をつけて呼んで下さい。
おはようございます。
（一同）おはようございます。
（時子）あっそうや。
新しい縫い子さん紹介するね。
（３人）よろしくお願いします。
村田です。
小澤です。
（２人）よろしくお願いします。
（紀夫）新しい縫い子さんが増えましたが村田さん何か問題はありませんか？あっむ…あっ問題はないです。
小澤さん何かご報告は？う〜ん…。
あるんですか？ないんですか？ありません。
小野さんは？ありません。
坂東さん。
ありません。
今日も一日頑張りましょう。
（一同）よろしくお願いします。
はぁ〜！ごめんね。
いやすみれちゃん…あっ坂東さんが謝らなくても…。
準備しましょか小澤さん。
（良子）はい村田さん。
（ゆり）こんにちは。
お姉ちゃん！
（良子）うわ〜！おなか大きくなりましたね。
触ってもいいですか？うんもちろん。
触って触って。
ハハハッ！ここは女学校やない言うてますよね。
（明美）ほんま窮屈やわ…。
本当にごめんね。
思い込んだらこうというところがあるからねぇ。
紀夫さんも…。
それで私に聞きたい事って…？ああ…。
今度家を新築するの。
ほう〜潔君やりよるなぁ。
フフッ赤ちゃんも生まれるしいろいろそろえたいんやけど肌着やおむつや洋服以外にどんなものをそろえたらいいのか教えてほしいの。
私が知ってる外国人はベビー専用のお布団やベビーベッド乳母車や…ベビーダンスも用意しとったな。
そういうものを手に入れようと思ったらどこへ行けばいい？
（明美）布団は布団屋さんに注文してベビーベッドとタンスは大工さんに頼んで乳母車は…古道具屋を回るしかないんやろな。
そんなに大変なの？一つの所で全部そろえばいいのにねぇ。
キアリスでそういうものをそろえて売ったらどうかな？うん！赤ちゃんのものは全部キアリスに行けばそろうって事よね？そう！籠なんかの雑貨もいいね。
しゃれたおもちゃ…。
食器は？離乳食用の食器。
（君枝）前に作ったかわいいお弁当箱のセットも大人気やったし。
かわいい食器やったらごはん食べるのも楽しくなるねぇ！うん！食器から始めてみたらどうかな？小さいものやしすぐできそうやない？
（良子）うん！変わらないねぇすみれたちは。
ただいま。
お帰りなさい。
お帰りなさいませ。
（さくら）あっ！あっさくらさくら！
（喜代）あ〜あ〜あ〜！まあまあどうされたんですか？紙で子ども用の食器の見本を作ってたんやけど…。
それやったら紙粘土で作ってみたらどないですか？こうして作るの…。
さくらちょっと持って。
うん。
うん持ちやすい。
持ちやすい？あっ持ちやすい？
（２人）うわぁ〜！子どもが手に取ってみた時に楽しめるように…。
（良子）かわいらしいねぇ。
（明美）実際の大きさって…？あっあのね…。
これくらいかな〜と思うて。
何？これ。
作ったの？うん。
この大きさやったら生まれた時から大きくなっても使えるんやない？うんうん。
そしたら仕事の合間にちょこちょこ工場回りしよか。
今から行こうよ。
「善は急げ」言うやないの。
そうね。
早う準備しよ！
（時子）裾も折ってあるので大きくなっても伸ばして着る事ができます。
すてきやねぇ。
いらっしゃいませ。
お帰りなさいませ。
足立君。
はい。
みんなはどないした？あっ工場回りに行きました。
工場回り？何の？さあ…？
（工員）子ども用の食器？はい！
（工員）ごめん急にちょっと忙しなってきた。
あっ…とってもかわいいと思うんです。
（工員）うちは最低ロット１万やで？最低ロット？…ロットって何？素人は帰りぃ。
こっちは忙しいんや！ロットって最低発注数の事やないかな？ああ…。
最低が１万セットって事？
（割れる音）何してるんですか？
（武藤）大きさが２ミリほど違うんや。
２ミリ？焼きもんは焼くと縮む性質があってなちょっとでも大きさが違うたらもう出荷はできへんのや。
（明美）でも割ってしまうなんてもったいないわ。
もったいないけどほっといて万が一市場に出回ったりしたらえらいこっちゃ。
うちの評判が落ちてしまう。
すごい…。
あの…こちらで子ども用の食器セットを作ってもらえませんか？これくらいの大きさで考えてるんですけど…。
（君枝）これはおわんのまわりのデザインです。
（昭一）何してるんやろう…？こんな時間か。
ただいま
（君枝）ただいま。
紀夫さんあのね…。
（紀夫）何してるんや？言づけもせんと勝手にいなくなるなんて。
子ども用の食器セットを作ったらどうかと思って…。
そんな話は聞いてないぞ。
子どものものが全部そろう総合店を目指したらどうかって…。
ベッドとかタンスとかしゃれたおもちゃや…。
それで取っかかれそうな食器セットからやってみよかいう事になって…。
君ちゃん…村田さんのデザインすてきなんです。
どうかな？いいと思うんですけど。
ええとか悪いとかやなくてそないな事は動く前に相談してもらわんと困る言うてんのや。
あ…すみません。
今日はもうええ。
明日の朝礼で改めて話そう。
契約してきました。
契約？子ども用の食器セット…５，０００個。
（２人）５，０００個！？絶対に売れると思うてるんです。
商売に絶対なんてないんや！今の経理状況知ってるのか？社員たちのためにどれだけのお金をためていかなあかんかそういう計画も知らんやろ。
ごめんなさい…。
相変わらずですなぁ。
その行動力たるや…。
（紀夫）いやぁ…どないしようかと思うてます。
売れると思いますよ。
（紀夫）ほんまですか？ほんまです。
すみれさんたちが売れる言うんなら売れますやろ。
フフッ。
（潔）作って売ればええやないか。
勘いうのは商売する上でほんまに大事なんや。
飛躍するええ機会やないか。
紀夫石橋を叩いて渡る事も大事やけど叩き過ぎて壊れるいう事もあるんや。
お帰りなさい。
食器セットの事やが…。
経理もなんとかはなる。
今回はええんやないやろか。
よかった…！
そして数日後
試作品預かっちきました！うわぁ〜！すてき…！うん。
（明美）かいらしい…。
（客）ええねぇこんなん初めて見たわ。
（悦子）こちらが商品でございます。
大変お待たせ致しました。
ああ〜！食器は重てえ！ありがとうタケちゃん！早く来てくれて助かったわぁ。
売れに売れてるのよ。
ああ…！坂東さんちょっとよろしいですか？はい。
（小山）お連れしました。
こちらは松島屋デパートの矢部君だ。
あっ東京の？
（大島）ああ。
（矢部）よろしくお願いします。
頂戴致します。
坂東です。
いや〜本当にいいものをそろえてらっしゃいますねキアリスさんは。
ありがとうございます！それで今日はですね私どもの夏の特選セールに出品して頂けないかと思いまして…。
（紀夫）松島屋デパートか！坂東さん…。
坂東さん。
ん？あっうん。
追加分はどう発注しましょうか？お世話になっております。
先日の食器セットですがおかげさまで完売致しました。
そやろなぁ。
ええもんやからなぁ。
（紀夫）追加のお願いに参りました。
今後定期的にお願いする事になると思いますので最低ロット数を下げて頂く事はできませんでしょうか？こちらが売り上げ予測です。
わあ…かわいい。
おいしい？うん。
フフッ。
（喜代）この食器にしてからお代わりされるようになったんですよ。
そう！よかったねぇ大きくなるよ。
うん。
ありがとう。
何の相談もなしに勝手なやり方やったと思うてます。
すみませんでした。
（紀夫）よかったやないか結果としては。
でも…手放しでみんなで喜べないのよ。
紀夫さんの言う事は正しいし私たちは間違ってる事も多いと思う。
でも普通の会社という形や枠に当てはめないで…私たちならではのやり方を見つけられないかな…？おはようございます。
おはようございます。
（一同）おはようございます。
今日から呼び方は元に戻して下さい。
では今日も一日頑張りましょう！
（一同）はい。
（紀夫）はい。
（良子）よかった〜！君ちゃん！もう小澤さんとか小野さんとか呼びにくかったわ。
呼び名って大切なんやなぁ。
タケちゃん。
（足立）はい明美さん！
こういうみんなを見守っていけばいいのだと気付かされた紀夫君なのでした
仕事しよか。
（足立）はい。
数か月後潔君とゆりの新居が出来上がりました。
そしてうれしい事は続くもので…
（五十八）あ〜大丈夫やろか…。
（忠一郎）大丈夫ですって言うてますやないか！何で忠さんが分かるんや！・
（ゆり）う〜っ！
（五十八）ゆり！？ゆりおい大丈夫か！？ゆり！・はいいきんで！シ〜ッ！・
（ゆり）うう〜っ！ううっ！・はいいきんで！・
（ゆり）ううう〜っ！・
（赤ちゃんの産声）
（潔）ゆり〜っ！
（五十八）もうええんちゃうか？
（潔五十八）開けてええんか！？
（産婆）元気な男の子ですよ。
潔さん。
小そうて小そうて壊れてしまいそうや。
おめでとう。
ありがとう。
名前は？正太です。
ええ名前やな。
（ゆり）正太…。
皆様におかれましてはどうぞよいお年を
2016/12/30(金) 10:05〜10:25
ＮＨＫ総合１・神戸
べっぴんさん 一週間 第１３週「いつものように」[字]
正式にキアリスに入った紀夫（永山絢斗）は、キアリスで毎日朝礼を実施することやお互いを名字で呼び合うことを独断で決め、すみれ（芳根京子）たちは戸惑いを隠せず…
詳細情報
番組内容
すみれ（芳根京子）たちは、大急の社長・大島（伊武雅刀）からの提案を受け、将来を見据えてキアリスを株式会社にすることを決める。融資の話をするため銀行員が店を訪れるが、すみれたちは女学生のような振る舞いが抜けず、夫たちは心配を募らせる。そこで、経理として正式にキアリスに入った紀夫（永山絢斗）は、毎日朝礼を実施することやお互いを名字で呼び合うことを独断で決め、キアリスの雰囲気を変えようと意気込む。
出演者
【出演】芳根京子，生瀬勝久，菅野美穂，高良健吾，蓮佛美沙子，谷村美月，百田夏菜子，土村芳，市村正親，永山絢斗，田中要次，平岡祐太，曽我廼家文童，宮田圭子
原作・脚本
【作】渡辺千穂
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