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セリフ書き起こし 大河ドラマ「真田丸」総集編 最終章「日本一兵」 2016.12.30


太閤秀吉が死んだ。
徳川家康はその遺言に背き次第に政を独占していく。
御掟の事忘れておった。
(三成)徳川内府殿に申し上げる!
(信繁)治部様!我ら9人の合議をもって老衆から退いて頂く!君側の奸の出る幕ではないわ。
聞き捨てなりませぬ!控えよ!治部少輔!回想
(秀吉)佐吉…。
家康を殺せ。
三成は家康襲撃を企てたが…。

 

 

 


(三成)どうせ腹を切るならば今から徳川屋敷へ乗り込み討ち死にするのみ!いけませぬ!死んではなりませぬ。
ここは従いましょう。
まずは騒ぎを収める事が肝要です。
なぜだ…。
殿下に全てを捧げ殿下亡きあとは豊臣家のために全てをなげうってここまでやってきた。
何ゆえ私が伏見を追われなければならぬ…。
太閤殿下は分かっておられます。
石田様は誰よりも豊臣家の事を考え秀頼様の事を思われていました。
太閤殿下は全て見ておられます。
三成を追放し天下を手中に収めた家康は慶長5年6月18日大軍を率いて伏見を出陣。
上杉討伐に向かった。
この機に乗じて三成は再び立ち上がる。
我らに同心願いたい。
勝てると思っておるのか?お命…。
私に預けては頂けまいか?太閤殿下がお築きになられた豊臣の世の行く末はこの一戦に懸かっております!
(一同)おう!天下分け目の大戦の幕が切って落とされた。
(昌幸)石田治部が挙兵した。
石田様が!?刑部殿も加わってるそうじゃ。
恐らく今頃伏見城攻めが始まっておる。
早すぎるわ!
(信幸)どういう事だ?父上は徳川と上杉の戦が始まったら即座に横合いから襲って家康の首を取るおつもりでした。
そのあとに石田様が挙兵していれば難なく江戸まで攻め込めたはず。
どうなる?ここから徳川がどう出るかでしょう。
このまま上杉と一戦交えるか江戸に取って返すか。
はたまた西へ向かって石田勢とぶつかるか。
いずれにしても大戦になるな。
その時父上がどう出るか。
(昌幸)世は再び乱れる。
日の本中の至る所で大名たちが徳川方と豊臣方に分かれぶつかる。
どうすればよい?こうなったからには徳川か豊臣かどちらかに賭けて生き残るしかありません。
選べ。
父上…。
黒が徳川朱が豊臣じゃ。
ほれ。
何すんじゃ。
こういう事はもうよしましょう。
私は決めました。
私は決めました父上。
私は決めた!源三郎…。
源次郎。
お前と父上は豊臣につけ。
俺は徳川に残る。
お待ち下さい…。
それが最善の道だ!いずれが勝っても真田は残る。
源三郎…。
しかし敵味方に分かれるというのは…。
そうではない。
源次郎。
我らは決して敵味方に分かれるのではない。
豊臣が勝った時はお前はあらゆる手を使って俺を助けよ。
そしてもし徳川が勝ったならば俺はどんな手を使ってもお前と父上を助けてみせる!これは我ら親子3人がいつの日かまた膝を突き合わせて語り合う日のための策じゃ!たとえ徳川と豊臣に分かれても常に真田は一つでございます!よき策じゃ。
兄上には迷惑をかけっ放しです。
まあな。
だがこれでよいのだ。
俺は最も徳川に近い。
俺にしかできぬ事だ。
これが最後の戦いになるのだな。
大事なのはその先。
その先は我らが真田を背負っていかねばなりません。
内府様が勝てば兄上が。
治部様たちが勝てば私が。
いずれまた3人で飲める日が来る事を祈ろう。
必ず。
兄上…。
何だ?フフフ!お前たちは明日の朝早くここをたち上田へ向かえ。
俺はここで徳川内府の到着を待ち真田安房守が離反した事を伝える。
父上の事頼んだぞ!7月21日。
昌幸一行は犬伏から上田に戻る途中沼田城に立ち寄った。
(三十郎)開門〜!我らは真田安房守の軍勢である!直ちに門を開けよ!おかしいな。
姉上…?
(稲)これより一歩たりともお通しする訳にはまいりませぬ!我が殿真田伊豆守は徳川方。
ならば徳川に刃向かう者は全て敵でございます!お引き取りを!
(こう)お引き取りを!まあそう言うな。
敵というても我らは…。
射かけよ!待て!ハハハハハ!ハハハハ!さすがは徳川一の名将本多平八郎の娘じゃ!源三郎はよい嫁をもろうたのう。
9月6日昌幸と信繁は上田城に籠もり再び徳川勢を迎え撃つ。
(昌幸)前のようにやみくもに攻めてくる事はないだろう。
(内記)兵糧攻めで来ますか?それゆえ此度はこちらから打って出る。
(一同)はっ!ではおのおの抜かりなく。
かかれ〜!真田は不意打ち待ち伏せを繰り返して大軍を翻弄。
戦は長引くかと思われた。
ところが秀忠は突如真田攻めを中止する。
西の緊張が高まり急ぎ合流するよう家康に命じられたのである。
真田は思わぬ形で徳川から2度目の勝利を手にした。
9月15日。
石田三成率いる8万の軍勢は関ヶ原に陣を張った。
いよいよだな。
いよいよだ。
えい!
(兵士たち)お〜!
(忠勝)行け!
(兵士たち)はっ!対する徳川家康軍は9万。
天下分け目の大戦が今始まろうとしている。

(歌声)
(昌幸)まずはめでたい。
(内記)これで我らは2度にわたってこの城で徳川勢を討ち払った事になりますな。
(昌幸)酒がうまくてたまらんわ。
佐助!大儀であった。
どうした?構わん。
(佐助)関ヶ原において石田治部少輔様と徳川内府様との軍勢がぶつかりました!ついにぶつかったか!
(与八)当たった〜!
(にぎやかな声)皆静かに!佐助がまだ話してる。
(にぎやかな声)静かに〜!
(杯を投げる音)佐助続きを。
(佐助)はい。
戦は朝方に始まり昼過ぎには勝敗が決しました。
徳川方の大勝利でございます!何だと…。
大谷刑部様はお討ち死に。
石田治部様は行き方知れず。
(杯を落とす音)石田様が負けた…。
父上。
これから尾城を落とす!大坂城が徳川の手に落ちました!石田治部様も既に捕らえられたとの事。
参るぞ。
もはやこれまででございます!父上!勝敗は決しました。
これ以上の戦いは無駄でございます!まだ上杉がおる。
上杉と図って江戸を抑えれば…!父上!あとは兄上に任せましょう。
(廊下をたたく音)内府様!安房守を助けてやりたいのはやまやまだがここは親子ともども死んでもらう。
(正純)我らに楯突いた事許されるものではない。
命乞いなどもっての外!お待ち下さい!
(忠勝)あいやしばらく!
(忠勝)真田安房守ならびに真田左衛門佐の命それがしに免じてどうかお助け下さいませ。
(家康)無理を言うな平八郎。
いや本多平八郎忠勝一世一代の無理を言わせて頂き…。
ならぬものはならぬ!本多殿その辺で。
殿がお困りだ!ならば拙者これより婿と共に上田城に立てこもり徳川の兵を相手に討ち死につかまつる。
(家康)たわけた事を申すな。
平八郎は本気でござる!フッ…フフフ…。
命までは取らぬ。
平八郎にそこまで言われたらしかたなかろう。
ありがとうございます…。
ありがとうございます!
(家康)そのかわり伊豆守。
そなたはこれをもって父親とは縁を切れ。
かしこまりました!おぬしの諱は確か…。
信幸でございますが。
「幸」の字は父親からもらったものだったのう。
父昌幸の「幸」の字を受け継ぎました。
捨てよ。
かしこまりました…!大坂にて徳川内府様におすがりしました。
お二人の命までは取らぬという事で決しました。
ありがとうございました。
そんな事は当たり前じゃ。
あとは?無念ですが小県の領地は全て召し上げ。
後に入るのはどなたです?まだ決まっておらぬが恐らくは俺だ。
兄上が治めて下さるのなら願ったりかなったりです。
真田の地が守れます。
…でわしらはどうなる?お二人は高野山に流罪と決まりました。
流罪?高野山の坊主たちと暮らせというのか?高野山は女人禁制ゆえ麓の九度山村に屋敷を建てます。
くどやま?聞いた事もないわ!この役立たずが!何のために徳川についた!兄上は精いっぱい骨を折って下さいました!すまん言い過ぎた…。
これからも力を尽くします!どうかお許し下さい!慶長5年12月13日。
上田城は正式に徳川に明け渡された。

(松)行ってらっしゃいませ!あとはお任せを!母上様によろしくお伝え下さいませ!道中ご無事で!年が明けて慶長6年の初め真田昌幸とその一行は高野山の入り口にある紀州九度山村の屋敷へ入った。
徳川家康は上田領を信幸に与え真田伊豆守信幸は9万5,000石の大名となる。
今日よりのわしの名じゃ。
さなだいずのかみのぶゆき。
読みは変わらん。
わしの意地じゃ。
(きり)どのくらいここにいるんでしょうね?それは兄上次第。
1年くらい?私はもっと長くなると踏んでいる。
蟄居って縛られたり牢屋に入れられたりするのかと思ってた。
村からは出られないがそれでも山歩きはできる。
一日何もせずにぼ〜っと過ごせると思うとむしろ楽しみだ。
そこまではないかな。
真田の郷で駆け回っていた頃を思い出した。
楽しかったね…。
お梅ちゃんもいたしね。
お前はいっつもいるな。
(薫)いつになったら殿はご赦免されるのですか!いろいろ手は尽くしておりまする。
源次郎なんて向こうで2人も子どもをもうけてるんですよ。
皆で一緒に暮らす訳にはいかないのですか?
(茂誠)それだけ大御所様のお怒りは大きかったという事だ。
(松)誰よ?大御所様って。
今は家康公はそう呼ばれてるんだ。
私たちみんなで大御所様に直訴してみてはどう?ばかを言わんで下さい!みんなで頼めばなんとかして下さるかも。
それしかありませんね。
さっ参りましょう!はい!母上様!いい加減になさいませ。
父上様のご赦免はもうお諦め下さい!そういう訳にはいきません!
(稲)夫は父上様とは縁を絶ったのです。
もう二度とこの城の中で真田安房守様のお話をする事はなりませぬ。
私が許しませぬ!え〜…。
(稲)殿も殿でございます。
何のために御名まで変えたのですか!我が家までお取り潰しになってもよろしいのですか?全ては真田のためでございます!これ以上大御所様がご機嫌を損ねれば大殿様も源次郎様もお命が危のうございます。
奥方様はそれを心配しておられるのです。
だったらそう言えばよいではないですか。
ねえ。
(昌幸)源次郎…。
(昌幸)これはひょっとすると…。
わしはもうここから出られんのかもしれんな。
昌幸たちが九度山に流され10年がたとうとしていた。
信濃に帰りたかった…。
上田の城に…。
幻聴
(いななき)
(馬が走る音)御屋形様…。
幻聴
(いななき)御屋形様!紀州紀ノ川の奥高野山の山裾にその小さな村はあった。
その外れで一人の戦国武将が死んだ。
このころ大坂では豊臣秀頼が方広寺大仏殿の造営に力を注いでいた。
ところが完成した鐘に刻まれた銘文が徳川との対立を再び引き起こしてしまう。
どういう事だ?
(且元)鐘に刻んだ文言の中に自分に対する呪詛の言葉があると。
呪詛?
(且元)「国家安康」。
我が諱を2つに割るなど縁起でもないと。
致し方あるまい。
大坂攻めじゃ。
(正純)はっ!あ〜。
徳川が…。
攻めてくる。
(且元)左衛門佐。
おぬしの太閤殿下への忠義の心は誰よりも深い。
秀頼公のために一肌脱いではもらえないか?大坂城へ入って兵を預かり徳川勢を迎え討ってくれ!片桐様。
残念ながら初めに申し上げたとおりでございます。
お力にはなれませぬ。
まげて頼む!真田左衛門佐は死んだものとお思い下さい。
御免。
左衛門佐!
(きり)いつかこんな日が来るような気がしていた。
行くの?断った。
行きたいと思った。
だが今の私にはもっと大事なものがある。
お行きなさいよ。
驚いたな…。
何よ?止めるのかと思った。
あなたに来てほしいと思っている人がいるんでしょう。
助けを求めている人たちがいるんでしょう。
だったら…。
私に何ができるというのだ?誰も私にはついてこない。
真田源次郎は安房守の息子。
戦上手に決まってる。
この人に従っておけば間違いない。
誰も疑わないわほとんど戦に出た事がないなんて。
あとははったりよ。
フッ…。
ここで一生を終えたいの?それでいいの?あなたは何のために生まれてきたの?私は幸せなんだここでの暮らしが。
あなたの幸せなんて聞いてない。
そんなの関わりない。
大事なのは誰かがあなたを求めているという事。
今まで何をしてきたの?小県にいる頃は父親に振り回されて大坂に来てからは太閤殿下に振り回されて。
振り回されていた訳ではない。
自分なりにいろいろと考え力を尽くしてきた。
何を残したの?真田源次郎がこの世に生きたという証しを何か一つでも残してきた?聚楽第の落書きの科人とうとう見つからなかったよね。
沼田を巡って談判はしたけど最後は北条に取られちゃった。
氏政様を説き伏せに小田原城に忍び込んだみたいだけど氏政様がお城を明け渡したのはあなたの力ではないですから。
後から会いに行った何とか官兵衛様のお手柄ですから。
何もしてないじゃない。
何の役にも立ってない。
誰のためにもなってない。
うるさい!私が大好きだった源次郎様はどこへ行ったの?がむしゃらで向こう見ずでやんちゃで賢くて明るくて度胸があってきらきらしていた真田家の次男坊はどこへ行ったのよ!私が胸を焦がして大坂までついていったあの時の源次郎様は…。
うっとうしいんだよお前は!分かってるわよそんな事!何かいい事言ったような気になっていたら大間違いだからな。
思い上がるな!お前の言った事くらいはなとっくに自分で問いかけておるわ!もう言わない。
二度と。
きり。
だが自分で問いかけるよりもお前に言ってもらう方がよほど心にしみた。
礼を言う。
真田左衛門佐九度山より参上つかまつった。
(重成)真田左衛門佐信繁殿。
左衛門佐幸村。
(重成)はい?これよりはそう名乗らせて頂きます。
御免。
(大蔵局)石田治部も大谷刑部も加藤肥後も皆死んでしまいました。
頼りになるのはあなただけ。
豊臣の世をもう一度取り戻すのです。
お願いしますよ。
かしこまりました。
(大蔵局)お上様左衛門佐が戻ってまいりました。
茶々様…。
(茶々)また会えましたね源次郎。

(治長)それではこれより軍議を始める。
殿より采配をお預かりする全軍の総大将を選ぶ事とする。
殿は真田左衛門佐殿をお望みである。
ご一同それでよろしいな。
不承知!後藤殿。
(又兵衛)我らは真田に使われるために入城した訳ではない。
よろしいか。
(治長)真田殿。
私も総大将になりたい訳ではござらん。
ではご辞退なされよ。
しかしながら我らはそれぞれに腕はあってもまとめていく力がなければ徳川には勝てませぬ。
だからそれが何でお前なのだ?私には2度徳川勢と戦い2度勝ちを手にした武功がござる。
徳川の戦を熟知しております。
確かに上田城の話は聞き及ぶ。
しかし初めの戦いは今から30年も前の話。
おぬしは二十歳にもならぬ若造であったはずだが。
早熟でござった。
その時は旗を振っていただけという噂もあるが。
噂は噂!
(全登)真田殿こそが総大将にふさわしいと存ずる!真田殿の下ならば兵たちも喜んで戦うはず!
(又兵衛)後から来た者に従う事はない!まあまあご一同そういきりたたんでもよろしかろう。
総大将にはもっとふさわしい方がおられる。
長宗我部殿はどうじゃ?えっ?
(又兵衛)盛親殿は四国を斬り従えた長宗我部元親殿のご嫡男。
まさしく大大名である。
国衆上がりの真田なんぞとは比べものにもならぬ。
総大将にふさわしいのは盛親殿だ。
そういった事にこだわるのを嫌われたはどこのどなたでござったか?私に一つ策がございます。
(秀頼)申してみよ。
10万の兵を5つに分けそれぞれに大将を置きその上に総大将として右大臣秀頼公御自らが立たれるというのはいかがでしょう?よい考えじゃ。
(治長)ではその儀は一旦預かって。
(又兵衛)おぬしは一旦預からねば何も決められぬのか!
(治長)重要な案件ゆえしかと吟味の上で…。
(勝永)今ここで決めて頂こう!例えばこうしてはいかがかな。
私に毛利殿長宗我部殿明石殿。
そして後藤殿の5人。
よかろう。
ほかの方々もよろしいか?では今後はこの五人衆の合議によって事を決めていくとする。
秀頼様。

(家康)真田が!?去る9日僅かな手勢と共に大坂城に入ったとの事でございます。
(襖が揺れる音と荒い息遣い)それは父親か?息子か?
(襖が揺れる音)安房守は既に死んでおります!
(襖が揺れる音)前にも聞いたな…。
はっ。
不覚でございました。
なんとか入城する前に手を打っておきたかったのでございますが。
(家康)まあ入ってしまったものはしかたあるまい。
次の手を考えるよりほかなかろう。
戦支度じゃ。
出陣を早める!かしこまりました!家康の命を受け全国から続々と大名たちの軍勢が集まった。
その数およそ30万。
ではまとめ申す。
私はここに出城を置き6,000の兵でこれを守る。
木村殿率いる8,000は平野口。
長宗我部殿率いる5,000は八丁目口。
明石殿の4,000は木津川口を抑え海からの敵に備える。
そして後藤殿は遊軍としてその間を埋める。
毛利殿は4,500の兵をもって天神橋に陣取り北の守りを固めて頂く。
異存はござらんな?
(一同)承知!ではこれをもって味方の布陣と致す。

(内記)間に合いましたな。
内記ようやくこれで城持ちになった。
作兵衛旗を!
(作兵衛)はい!いざ〜!
(一同)お〜!城の名は何とします?決まっているだろう。
真田丸よ!
(兼続)大御所様がお呼びでございます。
(正純)お見えになりました。
(家康)上杉殿直江殿もさあさあこちらへ。
(兼続)御免。
これをご覧あれ。
出城がござる。
築いたのが誰かご存じか?
(景勝)知りませぬ。
(家康)真田じゃ。
源次郎が…。
(家康)ようやく父親が死んでくれたというに今度は息子!まこと忌々しきやつらじゃ。
どこまでもわしの前に立ちはだかる。
して上杉に何をせよと?真田丸を落とせ。
大助初陣じゃ。
(大助)はい。
この戦おぬしの肩にかかっておると心得よ。
ご武運お祈りしております。
作兵衛大助を頼んだぞ。
命に代えてもお守り致します。
・「高砂や」・「この浦船に」・「帆を上げて」
(一同)・「この浦船に帆を上げて」・「月もろともに出潮の」
(銃声)お見事!戻りましょう!引け!引け〜!
(内記)若が前田勢を引き連れて戻ってまいります!ようやった〜大助〜!味方同士先を争って上ってきます。
手柄を立てようと必死なのじゃ。
忘れるな。
敵を一つの塊と思ってはならぬ。
しょせん人の集まりじゃ。
(伝令兵)構え!
(伝令兵)放て〜!
(銃声)構え!放て〜!
(銃声)
(銃声)前田勢が真田丸に攻めかかりました!何だと!井伊勢更には忠直様の軍勢もそれを追っています!いかん真田の思うつぼじゃ…。

(又兵衛)まだまだ。
構え〜!放て〜!
(銃声)放て〜!
(銃声)今じゃ!せいやっ!敵が侵入したぞ〜!
(盛親)馳走してやれ!はっ!
(盛親)どうした?かんぬきが!どけ!
(銃声)我こそは真田左衛門佐幸村〜!うわ〜!
(いななき)源次郎め…。
あっぱれな戦いぶりよ!日の本一の兵〜!真田左衛門佐〜!いたずらに攻めかかるのはもうやめじゃ!真田丸がここにある限り埒が明かん!左衛門佐め…。
全く親子2代でてこずらせてくれるわ!していかがなさいますか?エゲレスの大筒はまだか?まだ数日はかかりましょうな。
大御所様は和睦を望んでおられる。
難しいご注文ですな。

(正純)やって頂こう。
和睦してはなりませぬ!真田丸で敵に痛手を与えた今こそ和議を結ぶまたとない折とは思わぬか。
思いませぬ。
(治長)左衛門佐殿はこの先いつまで戦い続けるおつもりか。
いずれは和議を結ぶ時が参りましょう。
しかし今ではない。
戦に勝ったのは我ら。
向こうが和睦を乞うならまだしもこちらから持ちかけては家康に足元を見られます。
戦に勝ったからこそ有利に話を運べるのではないか。
近々敵は更なる大軍勢で攻めてまいりましょう。
その時また勝てるとは限りませぬ。
負けてから和睦を乞えばそれこそ家康の思うがまま。
和睦致しましょう。
お待ち下さい!殿!和睦でございます!いま少し様子を見たい。
私にはよう分かりませぬ。
何ゆえあの者たちは和睦したがるのです?恐らくこれからも勝ち続け我ら牢人衆が力をつけるのが恐ろしいのでございましょう。
せっかく豊臣のために力を尽くしてくれているというのにおかしな話じゃ。
秀頼公をお説き伏せ頂きたい。
まことの事を言います。
私は秀頼と一緒にいられればそれでよいのです。
この城だって手放せというのなら手放しましょう。
どこか遠くの小さな国へ移ってそこで皆で暮らせればそれ以上は望みませぬ。
私と秀頼と…。
そして左衛門佐がおれば。
お上様それはお心にとめておいた方がよいかと。
あらそうですか。
味方の士気に関わりますゆえ。
先の件何とぞお願い申し上げます。
お任せなさい。
これより大坂城へ大筒を撃ち込む。
東市正。
はい。
淀殿の居室はどこじゃ?そればかりは…。
案ずるな。
なにも狙い撃ちしようというのではない。
その逆じゃ。
居場所が分かればそこを外す事ができよう。
よし下ろせ!
(一同)下ろせ〜!この日徳川の陣から最新鋭のカルバリン砲が大坂城に向けて発射された。
放て〜!放て〜!
(砲声)その一発の砲弾が多くの人々の運命を狂わせる。
(衝撃音)
(崩れる音)うわ〜!なりませぬ!
(崩れる音)
(侍女たち)キャ〜!
(きり)なりませぬ!なりませぬ!なりませぬ!話が違うではござらぬか!大御所様!
(兵士)おい!
(砲声)太閤殿下…。
12月18日。
和睦に傾いた茶々は妹の初を名代に立て阿茶局との交渉に臨んだ。
真田丸は取り壊し。
ついでに…お堀も埋めてしまいましょう。
埋めてしまいましょう。
埋めてしまいましょう。
(大蔵局)埋めてしまいましょう。
フフフフフ!
(大蔵局阿茶局)フフフフ!殿これは一体…。
城郭の破壊と堀の埋め立てにより大坂城は本丸を残して完全に無力化されようとしていた。
もはやこの戦勝ち目はなくなった。
全ては私の力不足だ。
申し訳ない。
左衛門佐様…。
皆早々に立ち去るがよい。
城を枕に討ち死にしようなどと愚かな事は考えぬように。
では御免。
(勝永)どうするのだ?
(盛親)ここにいても先はない。
お前ら行く当てあんのかよ?行く場所のねえやつらがここに集まったんじゃねえのかよ。

(取り壊しの音)ここまでじゃ。
お前たちはすぐに城をたて。
上田へ行くのだ。
兄上がきっとなんとか。
(春)殿。

(足音)皆様が。
何のんびりしてるんだよ。
早く策を立ててくれよ。
俺たちはうずうずしてるんだ!私は何のために九度山へ行ったのです!わしらはおぬしに従う。
考えろ。
どうすれば勝てるか考えるんだ!あなたは勝つためにここへ来られたのではないのですか?
(牢人たちの訴える声)
(牢人たち)あっ!
(治長)右大臣様のおなりである。
「望みを捨てぬ者だけに道は開ける」とそなたは言った。
はい。
私はまだ捨ててはいない。
かしこまりました。
(又兵衛)え〜い!
(牢人たち)お〜!
(又兵衛)え〜い!
(牢人たち)お〜!
(又兵衛)え〜い!
(牢人たち)お〜!「こなたは無事にて候。
思いどおりにならぬ事多けれども殿様にはお気遣い賜り皆々日々満足に過ごしおり候。
兄上様にはさまざまお骨折り頂きそうらえどもかようなありさまとなり申す言葉もござなく候」。
「我が娘すえが事お見捨てこれなきよう頼み入り候」。
今度の戦前と違い城は丸裸。
豊臣方が勝つ見込みはないに等しい。
いくら源次郎でも苦戦するであろう。
そこをなんとかするのが源次郎様でございます。
いや。
俺には分かる。
弟は死ぬ気だ。
まさか。
文には書いておらぬがわしには分かるのだ!大御所様と刺し違えるつもりであろう。
(銃声)真田の者と分かるものは持たせてはならぬときつ〜く言われましたがこのくらいなら大丈夫ですよね。
いささか多すぎるかと。
源次郎に食べさせてやりたいの。
必ず届けます。
いずれまた姉弟3人でお茶でも飲みながら昔話に花を咲かせましょう。
大丈夫!きっとそんな日が来ます!そうなる事を願っております。
松が言うのだから間違いありません!たまに姉上がばば様と重なる時があります。
はい?フッ…。
フフフ…何でもありません。
お待たせ致した。
兄上。
(信尹)大御所様はどうしてもお前が欲しいようだ。
ありがた迷惑でございます。
しかし前とは事情が違う。
かような城でどうすれば勝てる?今のうちにこちらに降るのも決して悪い手ではない。
信濃一国ではどうかと大御所様は仰せだ。
なんと!気前のよい事で。
兄上が終生望んでいた信濃の国主になれるのだぞ。
源次郎様。
源次郎は死ぬつもりなのです。
しかも大御所様を道連れに。
兄上買いかぶりです。
いくら私でもそれは。
徳川に刃向かいたいなら刃向かえばよい。
ひれ伏したくないならひれ伏すな。
しかし死んではならぬ!捕まれと申されますか?そうじゃ。
今度もまた俺は必ずお前を助けてみせる。
死に物狂いで江戸と駿府と京を駆け回り赦免を勝ち取ってみせる!そしてまた14年。
決してお前を死なせはせん!それがわしの使命だからだ!あの時わしはお前と父上と3人で誓った。
またいつか晴れて酒を酌み交わそうと。
父上はもうおられぬがわしはまだその約束を果たすつもりでいる。
それを言いに来た。
では今ここで酒を。
作兵衛帰る。
(作兵衛)はっ。
叔父上。
兄上と酒を酌み交わしとうございます!兄上…。
これは今生の別れではない。
5月5日。
徳川軍は二手に分かれ河内平野を目指した。
伊達政宗率いる3万5,000が後藤又兵衛らが守る道明寺へ向けてそして家康率いる本隊13万が木村重成らが守る若江八尾方面に迫っている。
夜明けとともに先手を打って攻め込んだ後藤隊であったがやがて伊達政宗を主力とする徳川軍の猛反撃に遭う。
(銃声)うわっ!そんなもんか?そんなもんか〜!
(銃声)うう〜!うら〜!5月6日の戦いで豊臣方は後藤又兵衛そして木村重成が戦死。
長宗我部盛親は敗走した。
城を出よとはどういう事でございますか?何も言わず従ってくれ。
出てどこへ参るのですか?伊達陸奥守の陣じゃ。
(内記)伊達…。
あのお方なら必ずお前たちを庇護して下さる。
大助は私と共に城に残る。
はい。
決して永遠の別れではない。
しばしの辛抱じゃ。
大助。
父上をしっかりとお守りしなさい。
はい。
旦那様の事何とぞよしなに頼みます。
かしこまりました。
私は明日城を出て家康に決戦を挑む事にした。
(きり)いよいよですね。
お前はいざとなったら千姫様をお連れしてここを抜け出し秀忠の陣へ行け。
大仕事ではないですか!だからお前に頼むのだ。
姫様をお送りしたらそのあとは?沼田にでも帰るがよかろう。
いいえ。
ここに戻ってきます。
こうなったらお上様とご一緒しますよ最期まで。
源次郎様がいない世にいてもつまらないから。
ちょっと何するんですか…。
遅い。
すまぬ。
せめて10年前に。
あのころが私一番きれいだったんですから。
本日はお味方総がかりで参ります。
(勝永)我が毛利勢と真田勢が天王寺に陣取り敵を引き付けまする。
(全登)その間この明石率いる騎馬衆が背後へと回り込み敵を挟み込みます。
岡山口は大野治房殿の軍勢が受け持たれる。
(治房)承知!そして満を持して秀頼公御自らご出馬頂きます。
いよいよか。
豊臣家の御馬印千成瓢箪が掲げられたるを合図に全軍一斉に敵に襲いかかりまする。
必ずや家康の首取ってごらんに入れまする。
(牢人たち)おう!
(茶々)このごろ城と共に滅びる夢をよく見ます。
死ぬる時は誇り高くありたいもの。
世の中に誇り高い死などございませぬ。
お上様には誇り高く生きて頂きたい。
死ぬのは怖くありません。
燃える城の中で喉を突き血まみれになって息絶えるご自身のお姿をお考えになった事がございますか?秀頼公のお首が三条河原にさらされるさまを思い描いてみた事がございますか?ああ〜!うわ〜!申し訳ございませんでした。
私の親しい人は皆死んでいく…。
茶々様は長い間悪い夢を見てこられたのです。
それも間もなく終わります。
左衛門佐が連れ戻してさしあげます。
5月7日早朝。
豊臣方は茶臼山から岡山にかけて布陣。
別動隊として明石全登が船場口に待機した。
午前10時過ぎ。
徳川方の松平忠直隊から天王寺口の毛利勝永隊に向けて突如鉄砲が撃ち込まれた。
毛利隊は応戦し態勢を立て直すと目前に迫る本多忠朝隊を迎え撃った。
毛利隊は破竹の勢いで本多隊を打ち破りそのまま家康の本陣に向かった。
今すぐ討って出る。
なりませぬ!皆が待っておるのだ!大御所様へのお返事はどうされるのです?こんなものが真に受けられるか!左衛門佐に約束したのだ。
その左衛門佐が徳川に内通しているという噂がございます。
ありえぬ!左衛門佐の兄は徳川の大名。
裏で通じていてもおかしくはございませぬ。
ここまで我らを導いてくれたのは誰じゃ。
(大蔵局)罠かもしれませぬ。
お城を出られてはなりませぬ!これより我らも討って出ます。
秀頼公は何をしておられるのか!大助。
すぐに城に戻り秀頼公にご出馬を促せ。
父上と共に戦いとうございます。
そなたは若輩の上足に傷を負うておる。
そばにおられては足手まといなのじゃ。
佐助。
(風の音)はっ。
大助を頼む。
父上…。
頼んだぞ。
私が寝返るという噂が流れているようです。
疑いを晴らすにはこれしかござらぬ。
源次郎様…。
(信政)うお〜!
(三十郎)なりませぬ!
(三十郎)お下がり下さい!
(兵士たち)うお〜!うおおおお〜!小者に構うな!行くぞ!
(兵士たち)お〜!ああ〜!源次郎様〜!真田毛利の攻撃によって徳川軍は大混乱となった。
その中を信繁は家康のいる本陣へとまっすぐ突き進んだ。
目指すは家康の首!ただ一つ!こっちだ!大御所様!大御所様!放て〜!
(銃声)
(荒い息遣い)もうよい…。
ここまでじゃ…。
わしは…。
腹を切る!大御所様!大御所様をお連れ申せ!
(家康)お前ら何を…何をする!もうよい!死なせてくれ!戦いは豊臣軍の圧勝。
…に思われた。
今こそ秀頼公ご出馬の時。
城へ戻る!
(兵士たち)はっ!これはどうなされますか?むろん持ってまいる。
はっ!この小さな行動が歴史を変えた。
戦場のあちこちで戦っていた兵士たちは豊臣の馬印である千成瓢箪が城へ戻っていくのを見て動揺した。
秀頼が城へ逃げ帰ったと思い込んだのである。
好機じゃ。
陣を立て直せ〜!
(兵士たち)お〜!徳川軍の反撃が始まった。
井伊直孝隊と藤堂高虎隊が真田隊に襲いかかった。
秀頼公はまだか〜!秀頼公は!皆秀頼公のご出馬を待っておりまする!・
(治長)殿様〜!直ちにご出馬を。
今こそその時。
兵たちの士気も上がり必ず勝ちまする!あい分かった!一大事でございます!何があった?殿様のお馬印が戻ってきた事で負け戦と思い込んだ雑兵どもが逃げ出しております!なぜ持ってきた〜!まだ負けた訳ではない。
私は今から出馬する。
皆にそう伝えよ!はっ!申し上げます!真田勢敵に押し返され退きました!毛利勢も苦戦の様子!何だと…。
どうやら流れが変わったようです。

(銃声)作兵衛〜!お行き下さい早く〜!こっちじゃ〜!
(銃声)うわっ!あ〜!千姫様!
(きり)急いで!姫様!あなた様に大坂城の全てが懸かっているんです!
(馬が走る音)源次郎様…。
うわ〜!
(いななき)何じゃ?
(正純)真田でございます。
またか!あれは左衛門佐…。
手を出すな!
(家康)殺したいなら殺すがよい。
されどわしを殺したところで何も変わらん。
徳川の世は既に盤石!豊臣の天下には戻らん!そのような事は百も承知〜!されど私はお前を討ち果たさねばならぬのだ!我が父のため!我が友のため!先に死んでいった愛する者たちのために!
(銃声)父上!お助けに参じました!遅い!真田左衛門佐ここまでじゃ〜!佐助!
(爆発音)放て〜!
(銃声)ここまでのようだな。
長い間よう仕えてくれた。
はっ。
いくつになった?55でございます。
疲れたろう?全身が痛うございます。
だろうな。

(いななき)2016/12/30(金) 15:05〜16:33
NHK総合1・神戸
大河ドラマ「真田丸」総集編 最終章「日本一兵」[解][字]

戦国時代。信州に育った真田信繁(堺雅人)の激動の人生を描いた大河ドラマ「真田丸」総集編の最終章(全4章)。九度山に幽閉されていた信繁に大坂城から使者が来る!

詳細情報
番組内容
戦国時代。信州に育った真田信繁(堺雅人)の激動の人生を描いた大河ドラマ「真田丸」総集編の最終章(全4章)。真田家は徳川家康(内野聖陽)と石田三成(山本耕史)の戦いに巻き込まれ、信繁は敗者となり、九度山での幽閉生活を送ることになる。そして14年。豊臣秀頼(中川大志)からの誘いに応じた信繁は大坂城に戻り、後藤又兵衛(哀川翔)らとともに徳川軍と戦うことになる。大坂冬の陣、夏の陣が始まる!
出演者
【出演】堺雅人,大泉洋,長澤まさみ,木村佳乃,山本耕史,新井浩文,松岡茉優,吉田羊,藤本隆宏,藤井隆,片岡愛之助,遠藤憲一,斉藤由貴,岡本健一,寺島進,中川大志,中原丈雄,小林隆,近藤芳正ほか
原作・脚本
【作】三谷幸喜
音楽
【音楽】服部隆之