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書き起こし NHKスペシャル選 古代遺跡透視「プロローグ 大ピラミッド 永遠の謎に挑む」 2017.01.02

 

 

エジプトの砂漠にそびえ立つ巨大ピラミッド。
世界最大…高さ147メートル。
40階建てのビルに相当するこの巨大遺跡はさまざまな謎に彩られた古代史最大のミステリーと呼ばれています。
230万個ともいわれる石を使い…今も分かっていないのです。
去年秋その謎を最新科学技術で解き明かそうという国際共同プロジェクトが動き始めました。
名付けてスキャンピラミッド計画。
プロジェクトの中核を担うのは…なんと巨大な石の壁の向こう側を隅々まで透視し大ピラミッドの謎を解き明かそうというのです。
ピラミッドの透視に使うのは日本が世界をリードする最新技術。
宇宙から降ってくる見えない素粒子を捉えレントゲンのように内部を映し出す計画です。
プロジェクトの行く手にはさまざまな壁が立ちはだかりました。
困難を乗り越え進められた途方もない挑戦。
その驚きの成果とは。
世界が注目する壮大なプロジェクトの最新報告です。
日本の最新技術で古代文明最大の謎に挑む壮大なスケールの挑戦が始まりました。

 

 

 


いや〜ワクワクしますね。
本当にワクワクしますよね。
このエジプトのピラミッドといえば世界中の誰もが知っている古代遺跡。
中でも…私たちの後ろにあるこちらはクフ王のピラミッドの50分の1の模型です。
この内部を…このように透視しようというのが今回の挑戦です。
現在は通路といくつかの部屋が分かっているだけで残りの90%以上はどうなっているのかよく分かっていない状況です。
それを透視し数々の謎を解き明かそうという今回のプロジェクト。
日本からは…「NHKスペシャル」では今まさに進行中のプロジェクトの全貌をシリーズでお伝えしていきます。
まずはこのクフ王のピラミッドとはどんなものなのか?ご覧下さい。
エジプトナイル川沿岸。
立ち並ぶ高層ビルの中でも大ピラミッドの存在感は際立っています。
建造したのはおよそ4,500年前にこの地を支配した謎の王クフです。
その姿を今に伝えるのは僅か7センチの小さな像が一つだけ。
しかし大ピラミッドを建造できるばく大な富と権力を持っていた事は間違いありません。
大ピラミッドは建造当時真っ白な化粧石で全体が覆われ入り口はなかったといわれています。
現在の入り口は後の世に開けられた盗掘口。
その盗掘口は内部の空間につながっています。
通路の先にあるのは女王の間と呼ばれる部屋。
後の時代にそう呼ばれるようになっただけで何のための部屋かは全く分かっていません。
女王の間の上には長い通路が延びています。
高さ8メートル全長47メートル。
大回廊と呼ばれています。
壁面は7センチずつ内側にせり出しています。
これだけ巨大な空間を何のために造ったのかも謎のままです。
大回廊を上りきった先にあるのが地上50メートルの高さにある王の間です。
この部屋の奥にはひつぎのようなものが置かれています。
コンクリートより硬い花こう岩で出来ています。
当時の道具ではこの形に加工するのに10年かかったともいわれます。
しかしここからクフ王のミイラは見つかっていません。
この王の間の上側を19世紀イギリスの軍人がダイナマイトで爆破。
するとまるで五重塔のように幾重にも重なった部屋が見つかりました。
その部屋の一つです。
部屋に残されていたのは壁面に描かれた古代エジプト人の落書きでした。
さまざまな謎に彩られた大ピラミッド。
中でも最大の謎とされているのが一体どうやってこの巨大建造物が造られたのかという謎です。
数多くの仮説がある中最も有名なのが…ピラミッドに向かって石を運ぶためのまっすぐな傾斜路を造り段階的に積み上げていったというものです。
しかし3年前そこに疑問を投げかける重大な発見がありました。
紅海沿岸の遺跡から大ピラミッドについて書かれた当時の記録が初めて見つかったのです。
見つけたのはソルボンヌ大学の…この日誌を書いた人物はその最後の年に大ピラミッドの外側を覆うための化粧石を運んだと記しています。
この事から大ピラミッドはクフ王の死の前後に完成したと考えられます。
これは「大ピラミッドは20年で完成した」という古代の歴史家ヘロドトスの記述とも合致します。
しかし大ピラミッドは平均2.5トンの石が230万個積まれていると考えられています。
このような長い傾斜路を造るとなるとそのために更に230万個合計460万個の石が必要になるという計算もあります。
仮に20年間24時間体制で建造し続けたとしても460万個の石を積むためには2分に1個のペースで運ばなければなりません。
実際はどうやって造ったのか。
残念ながらその答えは日誌には書かれていませんでした。
大ピラミッド建造の謎。
その謎は大ピラミッドの内部をくまなく透視できればおのずと解けるはずだと主張している人物がいます。
フランス人建築家…ウーダンさんの仮説ではピラミッドの高さの1/3までは傾斜路を使って石を積み上げます。
そして残りの2/3は大ピラミッドの内部にらせん状のトンネルを造りそこを通って石を運び上げたと考えました。
この方法であれば外側に大規模な傾斜路を造る必要がないため建造にかかる時間を大幅に短縮できます。
ウーダンさんは今も大ピラミッドの中に内部トンネルが残されていると考えています。
ウーダンさんとは全く異なる説を唱える人もいます。
10年以上現地調査に取り組んできました。
河江さんの仮説も透視によって確認できるといいます。
河江さんは大ピラミッドの内部には隙間が多いと考えています。
その隙間にはがれきや小石などの充填剤を詰めているというのです。
この方法であれば230万個よりもずっと少ない石で建造できます。
大ピラミッドの謎は建造方法だけではありません。
ピラミッドのどこかにまだ知られていない秘密の部屋があるのではないか。
そこにはクフ王のミイラや特別な何かが隠されているのではないか。
その可能性を示唆する古い文献が残されています。
これがウェストカー・パピルスです。
クフ王の死後数百年のうちに書かれた貴重なパピルス。
その中に謎めいた一節があります。
4,500年もの間秘密の扉を固く閉ざしてきたクフ王の大ピラミッド。
あまたの謎の解明を目指し最新の科学技術で大ピラミッドの透視に挑みます。
エジプト考古学者でVTRにもご登場頂きました河江肖剰さんにスタジオにお越し頂いています。
よろしくお願いします。
今回ですね透視に挑むクフ王のピラミッド最も有名なピラミッドですけれどもなぜ今までこんなに多くの謎が残されたままになっているんでしょうか?VTRで見たような形で穴を開けて盗掘口ってあったと思うんですが今はもちろん穴を開けたりする事ができないです。
あと外側なんかも石があまりにも大きすぎてですねそういった詳細なデータというのをこれまでとる事ができなかった。
そういった理由から今現在でもピラミッドは非常に謎めいたデータの非常に少ない建造物になってます。
そうするとやはり内部を透視するというような方法しかない訳なんですね。
できたらすごいですね本当にそれは。
さあこのクフ王のピラミッドに使われている石ですけれどもどれくらい大きいものなのか分かっている中で一番大きいものとなりますとこのくらいあります。
スタジオ幅いっぱい。
どのくらいですか?これ。
相当大きいですね。
これは重さで言うと60トンぐらい。
60トン。
はい。
象10頭分ぐらいでしょうか。
そもそもですねこの巨大な一番大きな石はこのピラミッドの中のどこに使われているものなんでしょう?王様のひつぎがあった玄室と呼ばれる所なんですがこの天井部分の所に大きな石が…50トンから60トンぐらいのものがやぐらのように組まれているというのが分かってます。
この下から見てみますと相当高い所にあるようにも見えるんですけれども。
大体50メートルぐらいの高さ。
50メートル。
それをどうやってここまで運んだかというのも。
そうですね。
ピラミッドの大きな謎の一つとして50メートルの地点まで60トンもの石を…花こう岩で出来てるんですがそれをどのようにして運び上げたのかというのは大きな謎の一つになってます。
はい。
さあこの大きな期待がかかるピラミッド透視プロジェクト。
それは一体どんなものなのか一体どうやって石のピラミッドを透視していくのかご覧頂きます。
去年10月エジプトで今回の調査計画の詳細が発表されました。
カイロ大学とフランスのNPOが始めた計画に参加するのは3チーム。
カナダチームは赤外線カメラを用いてピラミッドを調査します。
温度変化の僅かな差を捉え内部構造の手がかりを得る作戦です。
フランスチームはドローンを使いピラミッドを空中からレーザースキャン。
精密な3次元測量図を作り新たな発見につなげようと試みます。
そして中核を担うのが2人の日本人研究者。
名古屋大学の森島邦博さんが日本の計画を会場で発表しました。
森島さんが発表したのはミュオンという素粒子を使ってピラミッドを透視するという計画でした。
物体を透かして見る透視。
最も有名なのはX線を使ったレントゲン写真です。
X線は物体や人体を通り抜けます。
しかし骨など密度の高いものに当たると通り抜けるX線の量が減ります。
その性質を利用して内部を映し出すのがレントゲン写真です。
今回のピラミッド透視も原理は同じ。
しかし100メートル以上もの厚みがある巨大な石組みはX線では透視できません。
そこで森島さんたちはミュオンという素粒子で挑戦するといいます。
ミュオンとは何なのでしょうか。
実はミュオンは目には見えませんがいつも私たちの周りに存在しています。
もともとは宇宙空間を飛び交う宇宙線。
それが地球の大気とぶつかった時大量のミュオンが生まれ地上に降り注ぎます。
ミュオンは極めて小さいため人間の体も何事もなかったかのようにすり抜けていきます。
しかしコンクリートや岩盤など密度の高い場所にぶつかると一部が遮断され通り抜ける数が減ります。
そのため地下街では地上に比べミュオンの数が大幅に減少します。
この特性を利用する事で巨大な石のピラミッドの透視に挑もうというのです。
まずミュオンを観測できる特殊なフィルムをピラミッド内部に設置します。
四方八方からピラミッドを通り抜けフィルムに降り注ぐミュオン。
フィルムはそれをこのように幅広く受け止めます。
観測できるミュオンの数はピラミッドの石に遮られるため多くはありません。
しかしもし途中に秘密の部屋があったらどうなるでしょうか。
その方向は遮る石が少なくなるためミュオンの数が増えます。
受け取るフィルムの側から見ると…。
ミュオンの数が多い方向少ない方向が分かります。
これによって空間のある方向を感知しようというのです。
名古屋大学がミュオンを観測するために用いるのは厚さ0.3ミリの特殊なフィルム。
このフィルムを使いある場所で実際の透視に挑みました。
5年前東日本大震災の津波で甚大な事故を起こした…メルトダウンを起こした核燃料が今どこにあるのか。
それをミュオン透視で確認する事になったのです。
原子炉建屋の脇にフィルムを設置。
分厚い鋼鉄に覆われた原子炉内部の透視を試みたのです。
これがその透視画像。
左がメルトダウンを起こした2号機。
右は起こしていない5号機です。
5号機の炉心部にある赤い表示は核燃料です。
核燃料は特に密度が高いためミュオンはほとんどが遮られ赤く表示されます。
一方で2号機の炉心はミュオンが遮られておらず核燃料がほとんどない事を示していました。
画像は不鮮明ですが分厚い鋼鉄の向こう側が確かに捉えられたのです。
ミュオンという素粒子を使って見えないものを見る。
日本の最新技術に熱い期待が寄せられました。
ミュオンという素粒子を使ってピラミッドの内部を探ろうという挑戦。
考古学に応用するというのは私たちには少し意外な組み合わせのように感じるんですが考古学者というお立場からはどうなんでしょうか?実はもともとこの技術自体が50年ほど前にノーベル物理学賞を取ったアルヴァレズという科学者によってピラミッドを透視するために考えられたそういうアイデアから来ているものです。
それを実用レベルにまで高めたのが名古屋大学のチームというふうに聞いています。
さていよいよ動き出したピラミッド透視プロジェクト。
しかしその行く手にはいくつもの壁がありました。
去年11月調査チームはカイロから南へ40キロダハシュールという町に向かいました。
森島邦博さんをリーダーとする名古屋大学基本粒子研究室のメンバーです。
森島さんたちが担うミュオン透視技術。
実は準備段階でさまざまな問題が浮かび上がっていました。
その一つが日本とは大きく異なるエジプトの環境です。
砂漠地帯は夏には40度を超えます。
ピラミッド内部も時に30度前後まで温度が上がります。
ところがミュオン透視の生命線であるフィルムはそのような高温のもとでは急速に劣化し黒く変色してしまう事が判明したのです。
森島さんたちは高温にも耐えられるようフィルムに塗る乳剤の組成をさまざまに変え改良を試みました。
そしてピラミッド透視用の特別なフィルムを開発しました。
しかし本当に高温のエジプトの地でミュオンを捉える事ができるのか。
プロジェクトはクフ王のピラミッドに挑む前に別のピラミッドで透視実験を行う事にしました。
その舞台として選ばれたのが屈折ピラミッドです。
稜線が途中で折れ曲がっている事からその名が付けられました。
屈折ピラミッドは高さ105メートル。
内部には2つの部屋がある事が分かっています。
一つは地下にある第一玄室。
もう一つはその20メートル上にある第二玄室です。
この地下の部屋にフィルムを置き上の部屋が透視できるかどうかを確認しようと考えたのです。
森島さんたちの不安は温度だけではありません。
かつて透視に成功した福島第一原発では壁の厚さは数メートル。
しかしピラミッドでは厚さ100メートルを超える石組みが立ちはだかります。
それを通り抜ける間にミュオンの数は数百分の一以下に減る事が分かっています。
それほど僅かな素粒子を正確に検知できるのか。
全てはやってみなければ分かりません。
戦いの舞台屈折ピラミッド。
この日のために用意したミュオン透視フィルム。
それを保護用のアルミプレートに挟んで設置します。
屈折ピラミッドの中には大量のコウモリが住み着いています。
危険なウイルスを持っているおそれがあるため防護服を着て調査に臨みます。
よしじゃあ行きます。
フィルムを置く地下の部屋に向かって狭い通路をひたすら下りていきます。
(風の音)突然ごう音とともに猛烈な風が吹いてきました。
(風の音)屈折ピラミッドでは以前から強風が吹く事が報告されています。
原因はよく分かっていません。
(鳴き声)今度は不気味な鳴き声が聞こえてきました。
(鳴き声)コウモリです。
天井にびっしりと張り付いていました。
部屋にある杉の木の梁。
このピラミッドが建てられた4,500年前から腐る事なく残っていました。
地下にある第一玄室で透視フィルムの設置作業が始まりました。
正確な観測結果を得るためにはフィルムを完全な水平に設置する必要があります。
森島さんたちは木材を挟み込んで水平をとりながら慎重に設置していきます。
レーザーを使いミリ単位で調整します。
設置作業は3日間20時間に及びました。
ではここに設置されたフィルムがどんな画像を捉えたら透視成功と言えるのでしょうか。
フィルムが映し出すのはこのアングル。
ピラミッドの頂点が画面のほぼ中央。
そこから稜線が四方に伸びています。
フィルムは上を見上げた格好で降り注いでくるミュオンを受け止めます。
その結果得られるはずの画像をコンピューターでシミュレーションしてみます。
ミュオンの少ない部分は緑多い部分は赤で表示します。
フィルムから最も遠いのはピラミッドの頂点。
遮る石の量が多いためミュオンの数は少なくなり緑で表示されるはずです。
フィルムを設置した部屋はピラミッド中央よりも北側に位置しています。
北側斜面までの距離が近く石が少ないためこの斜面からはたくさんのミュオンがやって来ます。
その結果最もミュオンが多い事を示す濃い赤で表示されます。
それ以外の部分はより薄い赤や黄色になります。
透視する部屋は南東の方向20メートル上の位置にあります。
その方向からのミュオンは多くなるためもし透視に成功すればやや赤みを帯びてこの辺りに表示されるはずです。
観測期間は40日間。
果たしてピラミッドを透視する事ができるのでしょうか。
年が明けた1月名古屋大学にピラミッドから回収したフィルムが持ち込まれました。
ただちに読み取り作業が始まります。
フィルムの中を顕微鏡で見た映像です。
この黒い点が屈折ピラミッドの中で捉えた…これを読み取るのが研究室が独自に開発した世界に1台しかない…フィルムにはミュオンが通り抜けた跡が記録されています。
その膨大なデータを基にコンピューターで画像化します。
固唾をのんで見守る森島さんたち。
屈折ピラミッドで得られた透視画像です。
20メートル離れた上の部屋の姿が捉えられていました。
シミュレーションとも位置が重なります。
プロジェクトは世界で初めてピラミッド内部の空間の透視に成功したのです。
スタジオにはミュオンを使ったピラミッドの解析に当たっている森島邦博さんにもお越し頂きました。
よろしくお願いします。
福島第一原発だけではなくてエジプトの地でもミュオンで透視できるという事が確認されました。
実際にですねあの画像をご覧になった時はどんな感想をお持ちでしたか?今回実際のピラミッドの100メートルの岩盤を通して検知器を置いてそれでその上にある空洞それを実際にイメージングする画像化するという事を世界で初めて成功したのでその画像を見た時はやはりうれしかったです。
今回実際にピラミッドの内部に入って観測をした訳ですけれども途中コウモリがすごかったですねあれね。
さっきの映像にもありましたけどやっぱ風が強い所があったりコウモリが急に前からバッて何匹も出てきたりするので何かすごいアドベンチャー的な感じで。
初めて入った時はすごい驚きましたね。
河江さん遺跡の中ピラミッドの中っていうのはコウモリってどこでもいるもんなんですか?いますね。
ただ観光客が入っている…まあ一般公開されてる所はいないんですがそうではないまだ調査がそれほどされていない場所っていうのは結構コウモリが住み着いてます。
あんなにバ〜ッて飛び出てくるものなんですか?そうなんですね。
超音波でよけるのかなと思うんですけどよけずにバンバン当たってきたりするので意外と「えっ」ていう感じですよね。
そういう中でご苦労もありながら観測して画像が得られたという事なんですね。
さてこちらがですね今回のピラミッド透視に使ったフィルムです。
こんなに薄くて小さいフィルムで透視できる。
驚いたんですけれども…。
あそこまではっきりと実用レベルに使えるような形で上の部屋が見えたっていうのはこれはやっぱり非常にびっくりしました。
今後こういったものがどんどん使って頂くような事になるとミュオン考古学みたいな新しい分野も開けていったりすればいいなという今はそっちの期待がありますね。
さて次はいよいよクフ王のピラミッドです。
森島さんたちはクフ王のピラミッドの透視に挑戦する準備として試験的に僅かな数の透視装置をその内部に設置する事になりました。
調査の本丸クフ王の大ピラミッド。
いよいよその現場へと向かいます。
まずは地上25メートルの高さにある女王の間にフィルムを設置します。
森島さんが率いる調査チームが大ピラミッドに入りました。
女王の間は磨き上げられた石で出来ています。
東側の壁には不思議な形をしたくぼみがあります。
そのくぼみの奥に進みます。
中は一転して乱雑に石が積まれていました。
精緻に石が組まれた女王の間とは対照的です。
石の表面から吹き出ていたのは綿状の塩です。
森島さんたちはここにフィルムを設置する事にしました。
今2枚目です。
更にもう一か所10メートル離れた部屋の壁際にも透視フィルムを設置します。
複数の場所から透視を行う事には大きな意味があります。
もしも未知の空間が見つかれば…その作業は…共同で進めていきます。
異なる複数の画像をコンピューターで解析。
その空間がどの位置にありどんな形をしているのか3次元的に映像化します。
今後は女王の間だけでなく大ピラミッドのあちこちにフィルムを設置し全体をくまなく透視する計画です。
ミュオン透視は大ピラミッドの謎を解く事ができるのか。
年内の発表を目指し調査は続けられます。
森島さん今後の調査これからどんどん進めていく訳ですけど抱負をお伺いしたいんですが手応えはどうでしょうか?まず今回のその屈折ピラミッドの観測で実際あるものをちゃんと見る事ができたので今後は我々のフィルムをこのクフ王のピラミッドであればさまざまな場所に大規模に展開してどこに部屋があるか分からないですけどもし仮に…そういうふうに確信してます。
(河江)それによって内部全体の構造というものが入手できれば建造の謎にも近づけるんじゃないかなと思ってます。
しかも透視ができるとなるとですよもしかしたらクフ王のミイラだったりお宝だったりとかそういうものが見つかる可能性っていうのもある訳ですよね。
例えばクフ王のミイラというのは伝承や伝説の中では見つかってるというような事がいわれてるんですがそれが実際に本当かどうかは分からないので。
そこにはもしかするとまだ見つかっていないミイラであるとか埋葬品であるとか何かそういったものがある可能性ももちろんあります。
期待が高まりますね。
プロジェクトはこれからクフ王のピラミッドに本格的に透視フィルムを設置し調査を進めていく事になります。
「NHKスペシャル」では大ピラミッドの透視プロジェクトを引き続きシリーズでお伝えしてまいります。
一体何が見えるのかまたお会いしましょう。
いよいよ本格的に始まった…名古屋大学チームは精力的にフィルムの設置を進めています。
最新型のミュオン透視装置も投入されます。
高エネルギー加速器研究機構が開発したこの装置はフィルムではなく最新の半導体センサーでミュオンを観測します。
フィルムと違い今何が透視できているのかをリアルタイムで画面に表示する事ができます。
最終目標は大ピラミッド全体の内部構造を明らかにする事。
その時長く謎とされてきた大ピラミッド建造のプロセスも浮かび上がるはずです。
日本の最新科学技術で古代史最大のミステリーに挑む。
その闘いの行く末に世界が注目しています。
2017/01/02(月) 05:10〜06:00
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル選 古代遺跡透視「プロローグ 大ピラミッド 永遠の謎に挑む」[字]

エジプト大ピラミッドの永遠の謎は解けるのか?NHKは研究機関と共にピラミッド内部を「透視」するミュオン透視装置の開発を進めてきた。この調査の最新結果を報告する。

詳細情報
番組内容
エジプト大ピラミッドの永遠の謎は解けるのか?最新技術で、考古学最大の謎に挑む!! NHKは研究機関と共にピラミッド内部を「透視」する「ミュオン透視装置」の開発を進めてきた。そしてついに、昨年秋から、エジプトの大ピラミッドを透視する挑戦が始まった。番組ではピラミッドに秘められた壮大なロマンを紹介しながら考古学最大の謎に挑む日本の研究者たちの奮闘を描き、世界の注目を集める透視調査の最新状況を伝える。
出演者
【出演】エジプト考古学者…河江肖剰,名古屋大学特任助教…森島邦博,【司会】武田真一,橋本奈穂子