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書き起こし クローズアップ現代+▽“幸福”を探して 人類250万年の旅〜世界的ベストセラ〜 2017.01.04

 

 

8年間にわたって激動の世界をリードしてきた…実は今ある本に夢中になっています。
何でも未来を生きるヒントが詰まっているというのですが…。
その本は「サピエンス全史」。
人類250万年の歴史を斬新な視点でひもとく壮大なストーリー。
世界的ベストセラーとなっているんです。
世界のトップランナーたちも口々に称賛。
資本主義ってこの先どうなるの?科学の進歩は私たちを幸せにしてくれるの?そんな素朴だけど深〜い疑問に答えてくれるというんですが…。
「それでも難しそう!」と思ったあなた。
大丈夫。
この本に魅せられた一人池上彰さんが大事なポイントについて本の作者に直接疑問をぶつけてくれました。
2017年混とんとした時代を生き抜いて幸せをつかむ鍵を一緒に探してみませんか。
イギリスのEU離脱やトランプ次期大統領の登場。
異次元の金融緩和や資本主義の停滞。
そして人工知能やバイオテクノロジーなど科学の急速な進歩。
2017年の私たちは後の時代から見れば大きな歴史の岐路に立っているのかもしれません。

 

 

 

 


そうした混迷の時代を生き抜くヒントが詰まっているといわれているのがこちらの本。
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が書いた「サピエンス全史」です。
世界48か国で200万部以上を売り上げています。
世界中のそうそうたる知識人著名人たちがこの本にコメントを寄せているんですが皆さんこの本のどこに引かれているんでしょうか。
この本の特徴は人類250万年の歴史を全く新しい切り口で解釈している点です。
7万年前に起きた認知革命。
1万2,000年前の農業革命など人が発展を遂げたターニングポイントを4つの時代に分けているんですが作者が全ての時代において重要だと考えているのが私たち人間がフィクションを信じる力なんです。
一体人類の発展とどんな関係があるんでしょうか。
「今年の正月あっという間だったな…。
でも得意先も仕事始めだししょうがないか」。
…と正月明けから愚痴モードの鈴木さん。
都内の会社に勤めています。
でいきなりですが会社って何なんでしょうか?建物の事?社長や社員?株式や登記簿?どれも会社の一部ではあるけれど。
よく考えると会社って実体があるようでないですよね。
鈴木さんに昼が来た!「あ〜満腹満腹。
お会計」。
「ありがとうございます。
780円になります」。
ここにも!鈴木さんが払ったお金。
お札は紙だしコインもただの金属。
なぜ価値を持つんでしょうか?こうしたお金や会社は実は全てフィクション。
みんながあると信じているから成り立つもの。
国家や法律など私たちの社会はフィクションだらけ…と本には書かれているんです。
そしてこのフィクションを信じる力こそが人類が繁栄した鍵だというのです。
一体どういう事?もう少しご説明しましょう。
今からおよそ7万年前。
私たちの祖先ホモ・サピエンスです。
当時より力が強いネアンデルタール人という別の種族もいましたが生き残ったのはホモ・サピエンス。
一体どうして?ネアンデルタール人はリンゴなど実際に見えるものしか言葉にして周りに伝えられなかったそうです。
でもホモ・サピエンスは神様のようなフィクションを想像しそれを全く見知らぬ他人に伝える事ができたといいます。
フィクションを想像しみんながそれを信じる。
その事で多くの仲間と協力し大集団での作業が可能になったのです。
これが人類の最初のターニングポイント…私たちの祖先が集団で大きな力を発揮し地球上の覇者になった源です。
人類史研究の第一人者海部陽介さん。
フィクションを信じる力で人間が発展した証拠は古代遺跡にも残っているといいます。
この本の斬新な視点はこれだけではありません。
「文明の発展が人間を幸せにするとは限らない」とこの本は言うんです。
およそ1万2,000年前に始まった…集団で力を合わせて小麦を栽培する事で食料の安定確保ができ人口が増加。
社会は大きく発展した…というのが通説ですよね。
ところがこの本はここで全く新しい考え方を持ち出します。
集団としては発展したけれど人間一人一人は狩猟採集時代より働く時間が長くなり不幸になる人が増えた。
しかも貧富の差まで生まれたというのです。
作者は更に大胆な仮説を展開します。
小麦という植物から見れば人間を働かせて小麦を増やさせ生育範囲を世界中に広げた。
つまり農業革命とは小麦に人間が家畜化されたとも言えるというんです。
びっくりですね!今までの常識をひっくり返す考えの数々。
ホリエモンこと堀江貴文さんは人間の本質という点で自分自身の考えと共通する部分があると語ります。
これまでの歴史書は国家や権力者を描いたものが多くこの本のように個人の幸せから歴史を見るのは新鮮だと感じています。
会社やお金だけでなく宗教法律国家もそうです。
これらは全て人間が生み出したフィクション。
それをみんなが信じる事で人間は発展してきたという驚きの発想ですね。
また一人一人の幸せから歴史を考える視点も新鮮でした。
農業革命で確かに人間の集団全体や一部の権力者たちは豊かになりましたが一人一人はむしろ不幸になった。
これだけ文明が発展した現代でも過労死だとか貧困が問題になっている事もこの本を読むと納得がいく気がします。
さて気になるのは私たちが暮らす2017年の今。
世界はどこへ向かうんでしょうか。
産業革命を経て飛躍的に発展した私たち。
今世界を動かしている大きな仕組みが資本主義ですよね。
でもここにもフィクションが。
資本主義では経済成長が無限に続き幸せになるという考えをみんなが信じているだけだとこの本では言うのですが…。
実は今多くの国で資本主義経済が限界に来ているといわれています。
2010年をピークに世界全体の経済成長率は上向かず停滞し続けているのです。
資本主義経済がどんどんグローバル化する一方で格差はますます広がっていく。
この本が指摘するとおり世界は今後資本主義によって分断や対立を深めていくと見ています。
資本主義に代わるフィクションを探す事が必要だという人もいます。
トランプ次期大統領の登場で政治や経済社会が根底から変わろうとしているアメリカ。
これまで資本主義のリーダーとして世界を引っ張ってきました。
しかし世界経済が停滞する中アメリカ中心の資本主義は限界に来ていて新たなフィクションが求められているとブレマーさんは言うのです。
でも資本主義に代わる新たな仕組みといわれてもピンと来ませんよね?池上さんが再び本を書いたハラリさんに聞きました。
新たなイノベーションが必要だというこの本の考えは経営者たちの間にも広がっています。
インターネットの証券会社をいち早く設立するなど革新的なビジネスモデルを生み出してきた松本大さんです。
私たち人類は人口減少や低成長格差の拡大などに対応した経済の新たなフィクションを考える時期に来ていると考え始めています。
資本主義に代わる新たな仕組み…なかなか想像できませんが今よりも幸せになれるなら歓迎したいですね。
さあ最後に「サピエンス全史」は私たちの未来を展望します。
人間の能力をはるかに超えたコンピューターの登場。
遺伝子を思いのままに操作したデザイナーベビーの可能性など科学技術の進歩で人間を取り巻く環境は急速に変化しています。
私たちホモ・サピエンスは一体どこへ行くんでしょうか?SF映画ではよくロボットやコンピューターに人間が支配される未来が描かれますよね。
この本では近い将来科学の進歩によって人類は今の姿と変わってしまうと驚きの指摘をしているんです。
「マイネームイズワトソン」。
一体どういう事なのでしょうか?更に著者のハラリさんはこんな衝撃的な予測を。
人間の能力を超える人工知能の登場。
生命を自在に操るバイオテクノロジーの進化。
科学が猛烈な勢いで発展する。
一方でそのスピードを人間がコントロールできなくなるのではないか。
ロボットと人工知能の開発で世界をリードする山海嘉之さんです。
私たちはどんな社会を作りたいのか。
そのために必要な科学技術は何か。
未来を想像する力が今こそ人間に求められていると山海さんは指摘します。
この先私たちはどんな未来を選択していくのか。
2人が重要だと考えるのは科学技術と政治や社会の関わり方です。
iPS細胞などの生命科学の発展は私たち人間という種そのものを変えてしまう可能性があります。
またAI人工知能が進化していった時私たち自身はどう変化するんでしょうか?そうした将来の人間の事をこの本の中では超ホモ・サピエンスと呼んでいます。
そうした未来ちょっと想像がつきません。
この先人間は自分たちが作った科学にのみ込まれてしまうのか。
それともうまくコントロールできるのか。
作者のハラリさんは本の最後で「未来を切り開く鍵は私たち人間が欲望をコントロールできるかどうかだ」と説いています。
今夜は一冊の世界的ベストセラーを通して私たちの未来を開くヒントを考えました。
2017/01/04(水) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+▽“幸福”を探して 人類250万年の旅〜世界的ベストセラ〜[字]

オバマ大統領やビル・ゲイツ氏など世界の指導者が絶賛している一冊「サピエンス全史」。人類史を新たな視点で描いたこの本を読み解き混迷の時代を幸福に生きるヒントを探る

詳細情報
番組内容
「“幸福”を探して 人類250万年の旅〜リーダーたちも注目!世界的ベストセラ〜」【キャスター】鎌倉千秋
出演者
【キャスター】鎌倉千秋