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書き起こし 歴史秘話ヒストリア「おんな城主 直虎のイロハ」 2017.01.06

 

戦国時代運命と闘った「おんな城主」がいました。
いざ!今年の大河ドラマの主人公…柴咲コウさん演じる井伊直虎。
でも一体どんな人?答えを求めて向かったのは直虎のふるさと静岡県浜松市。
ゆかりのお寺には直虎に関する古い記録が…。
そこにあったのは直虎の意外な過去!そうでしょ。
地元の山にそびえる高さ7メートルの巨大な岩。
この岩「おんな城主直虎」誕生と深〜いつながりがあるんです。
うお〜!直親を助けにまいります!今日は大河ドラマスタート直前。
見ればドラマがもっと楽しい!井伊直虎人生への旅にご案内します。
井伊直虎ただいま戻ってまいりました。

 

 

 


(小学生)はいっ!
(小学生たち)いえ〜い!すっかり夢中になってしまいました。
私がお邪魔しているのは静岡県浜松市にある井伊谷小学校です。
井伊谷という地名で分かるとおりここは今年の大河ドラマの主人公井伊直虎のふるさとなんです。
そして一緒にカルタをしているのは小学校の歴史クラブの皆さんです。
(小学生たち)いえ〜い!みんな直虎の事は知ってるよね?
(小学生たち)もちろん。
今日はいろいろ教えて下さいね。
(小学生たち)はい!今日の「ヒストリア」はお正月らしく「直虎カルタ」で直虎さんの事お話しします。
それでは早速次のカルタ!はい!
(小学生)はい!ほぼ同時。
いいかな私。
お〜。
井のマークをたどるとゆかりの地が分かるのかな?
(小学生たち)はい。
という事で早速井のマークを探してみると…。
あれです。
えっここ?これが井伊谷小のマークなんですけど。
あ本当だ。
井だね…の中に小学って書いてあるね。
このデザイン。
学校では100年前から使われているとか。
好きな人物歴史上の誰が好き?直虎じゃないんだね…。
あそこにもあります。
どこどこ?あっ井!井だ!大きい井だ。
更に…。
あっ井だね!井!この欄干の中に井が組み込まれてるね。
そこかしこにある井のマーク。
中でも特別なの見つけちゃいました。
それがこちら。
お寺のようですが…。
井上さん井上さんここにもあるんだに。
探してみてよ。
みんな見える?はい。
分かります。
見えます。
あああの屋根の上?右側に井ってあるね。
屋根の一番上!こんな所に井のマーク!こんにちは。
お邪魔してます。
はいこんにちは。
ここが龍潭寺です。
こちらが…ご覧になったでしょ。
井のマークを。
井伊家の家紋。
でもなぜ屋根の上に?とここで…。
(ししおどしの音)はいっ!く〜っ。
お寺に伝わるお宝?どんなものでしょう?
(武藤)これがお宝「井伊家伝記」になりますね。
これに戦国期の井伊家の歴史が書いてございましてね。
「井伊家伝記」。
肖像画すらない直虎について手がかりとなるほぼ唯一の書物です。
ここのところはですね……と書いてありますね。
(武藤)次郎というのは井伊家の跡継ぎだと。
これは代々決まっているわけです。
法師と名前を付けたのは直虎さんは出家をしておりますので。
坊さんになっておりますので。
お坊さんだったんですね。
そうですね。
でもそもそも直虎はどうして出家したんでしょうか?その答えはこのカルタにあります。
話は彼女の少女時代に遡ります。
戦国時代中頃井伊谷の里。
直虎はこの地を治める井伊谷城城主の家に生まれました。
一人娘だった直虎には許婚がいました。
同じ一族の…心の声直親様とめおとになって井伊のお家を守るのじゃ。
未来は定まっているはずでした。
ところが…。
直虎10歳の時事件が起こります。
父上直親様はどこですか?教えて下さい…。
直親はもう帰ってはこぬ…。
あやつの事は忘れよ。
誰も直親の行方について教えてくれません。
心の声直親様は死んでしまったのじゃ…。
そして…。
だからもう私の命はこの方ね…許婚の冥福を祈る日々。
ところが…10年ほどたった頃驚くべき事が起こります。
突然呼び出されるとそこには…。
死んだはずの許婚直親の姿が。
実は…愛する人と涙の再会…のはずですが。
心の声そうと知っておれば出家などせなんだものを…。
直虎は出家してしまったので結婚も恋も禁止の身。
しかも…。
直親は他の女性と結婚。
子供も生まれました。
心の声あの方の事などもはや関わりない。
これよりはみ仏にお仕えして生きるのみ!固く決意の直虎でしたが…。
(雷鳴)またもや運命に翻弄されます。
直虎に更なる悲しい知らせがもたらされます。
当時井伊家は駿河国の大大名今川義元に従っていました。
その義元の命で隣国尾張の織田信長との戦いに加わります。
この戦のさなか…跡を継いだ元許婚・直親も今川家に謀反を疑われ殺されます。
井伊家の男たちは誰もいなくなってしまいました。
そのため次の城主に担ぎ出されたのが城主の娘直虎でした。
しかし…。
心の声私はおなご。
しかも出家の身。
城主など無理じゃ。
到底務まらぬ。
不安いっぱいの直虎が城主就任を決心した訳とは?巨石?古代人?直虎が城主になる事と何の関係があるんでしょう?井上さん。
はい。
こんにちは。
こんにちは。
あカルタを持っていらっしゃいますね。
はい私辰巳と申します。
辰巳和弘さんは古代の遺跡や神話を研究。
長年井伊谷周辺も発掘調査してきました。
これに関する事で…ご案内したいと思います。
楽しみです。
辰巳さんについていくとあの龍潭寺近くの丘の上へ。
見えてきました。
ものすごい大きさですね。
え〜?これ5メートル以上ありますか?そうですね。
この大きさで7メートルを超えますから。
こちら右の方でも5メートルはありますから。
これは古墳時代1,600年ほど前の遺跡。
この岩に降り立った神に地元の権力者いわば「王」が豊作を祈った場所と言われています。
遺跡の発掘によって土器やまが玉つぼなどを発見。
分析の結果ある事が分かりました。
つまり祈りをささげていた「王」こそ直虎の先祖ではないか…。
井伊家の歴史を周りの戦国大名たちと比べるとご覧のとおり…。
井伊家は直虎の頃から更に1,000年以上遡る歴史ある一族でした。
直虎さんもここに立ってこの巨石を見ていたんでしょうか。
そうですね。
彼女も恐らくいつもこの巨石を見ていた。
しかも井伊谷にとってみたら非常な特別な聖地だったというふうに考えていたでしょうから己がいるその立場というものを考えれば…ここで終わらせてはいけないという気持ち。
なお続けなければならないという。
心の声私が城主となろう。
そして井伊の家と井伊谷を守る!こうして直虎は女性の城主となりました。
この時30歳。
長い歴史を持つ井伊家を守るため重い重い役目を引き受けたのです。
急ですね。
ほ〜…はぁ…やっと着きました!ここが直虎が城主だった井伊谷城。
その本丸跡です。
広さはテニスコート2面分ぐらいでしょうか。
そんなに大勢の人は過ごせそうにありませんのでわりとこぢんまりしたお城だったんですね。
ここからは井伊谷を一望できます。
ちょうど今見えている辺りが直虎の領地だったと言われています。
直虎さんもこのように同じ景色を見ていたんでしょうね。
それにしてもゆかりの地だけあって町の至る所にのぼりがあります。
ところで皆さん!「おんな城主」って直虎の他にもいたのか気になりませんか?戦国時代の城主はほぼ男性ですがいます!「おんな城主」。
筑前国今の福岡県にある立花山城主となり攻めてきた敵の大軍に一歩も引かず領地を守り抜いたつわものです。
「桶狭間の戦い」で有名な武将今川義元のお母さんです。
40年余りにわたって一切を取りしきり今川家を有力大名に押し上げたキレ者でした。
そんなおんな城主の一人が直虎。
男だとする説もありますがそれは今後の研究を見守るとして直虎は一体どんな城主だったんでしょう?ここは井伊谷城。
直虎の城主ぶりを当時の記録や専門家の研究から再現してみました。
朝。
早速お客さんのようです。
やって来たのは領民たち。
わしのとこの畑でこの者が勝手に菜や大根を植えてそれをとったり好き勝手やっておるんでございます。
何でたらめ言ってんだ!土地をめぐる争いがこじれ城主である直虎に裁いてもらおうと押しかけてきたようです。
で直虎さんは…。
どうじゃな。
ここはひとつ誰彼の物という事でなく村の皆で預かる事にしては。
(領民たち)へぇ。
うまく領民たちをとりなし村々の平和を保つのは城主の大切な務めでした。
やはりこたびも苦しいのう…。
あれ今度は悩み事?眺めているのは井伊家のお金の帳簿。
直虎が城主になった時井伊家はとても貧乏でした。
原因は戦にかかるばく大な費用。
今川家の命令で何度も戦に駆り出され大きな出費を強いられていました。
それを賄うためには領民から年貢を搾り取るか。
でもそんな事したら…。
田畑を捨てて逃げられてしまうか…。
怒って一揆を起こされるか…。
困った事になります。
そこで直虎は…。
ご要望のお品持参つかまつりました。
(直虎)お〜それはそれは。
早速これへ。
はっ。
商人を呼んで…。
当座必要な分を借金したのです。
これでしばらく井伊の家も持ちこたえられよう。
利息は取られても家が潰れるよりマシ。
秋に年貢が入るまでの我慢です。
はぁ…いささか疲れた。
そこにまたまたお客さん。
村長と呼ばれる村の有力者たちです。
殿様にはいつもわしらの村が一方ならぬお世話になりまして厚く御礼申し上げます。
差し出されたのは取れたてのサトイモ。
城主への贈り物でした。
直虎さん大変な一日でしたけど最後にいい事ありましたね!すると…。
(直虎)あれを持て。
はっ。
えっ?贈り物もらったら何持ってくるの?
(侍女)お待たせいたしました。
ほ〜こんな立派な料理に酒まで。
ハハハッ!
(直虎)今日はゆるりと過ごせ。
始まったのは宴会。
しかも直虎自らお酌です。
城主様が何でここまで?村人たちがいろんないいものがとれたよっつって持ってきたような時にはそれを喜んでもらって…直虎は女性ならではの「気配りの城主」だったようです。
そんな直虎に最大の試練が訪れます。
直虎城主就任の翌年。
御所様のお言葉を伝え申す。
やって来たのは…用件は次の事。
承知いたしました。
早速徳政の事我が領民にも。
おかしな命令。
直虎さん納得がいきません。
確かに「徳政令」が出れば領民たちは借金ゼロとなり大喜びですが…お金を貸した商人たちは大きな損を出し破産してしまいます。
直虎も金を借りる先がなくなり破たんへ真っ逆さま!これこそ今川家の本当の目的。
井伊家の領地をうかがっていた今川家中の一派が直虎と井伊家を兵を動かす事なく潰そうとたくらんだ陰謀でした。
徳政令を出せば井伊家がピンチ。
出さなければ上司の命令無視に。
直虎さんどうする?その後直虎は一向に徳政令を出しませんでした。
どうなっておるのじゃ。
御所様の御意向をないがしろにされるおつもりか!いえさような事は決して。
領内の商人などはおのおの商いの都合もあり…。
領民の都合など知らぬ!とにかくいましばし…いましばしお待ちを…。
その裏で直虎が進めていたのは借金を帳消しにされ損する商人たちを救う対策でした。
これは徳政の触れが出てもそなたの品や銭金扱う商いについては関わりなしとする書きつけじゃ。
直虎が商人に手渡したのはたとえ徳政令が出ても…直虎は城主の権限で商人たちが丸損しないよう巧みに図ったのです。
自らが領地を…当時新興の商人たちとか…こうして直虎は今川家商人領民それぞれに対して細かく入念に策を講じました。
準備が全て整うと…。
(直虎)「井伊谷徳政の事…」。
ついに徳政令を出します。
直虎の緻密な対策によって今川家が期待した破たんは起こらず逆に直虎と領民たちの絆が強まりました。
直虎め!うまくやりおって!いや〜直虎さん。
見事な腕前恐れ入りました。
さて私は再び先ほどの龍潭寺に来ています。
というのもその後間もなく直虎はこの龍潭寺に戻ってきたからです。
実は直虎その巧みな政治手腕があだとなり今川家から警戒され城主の座を奪われてしまったんです。
井伊家を守ろうと城主になったのに逆にお家没落の危機を招いてしまった直虎。
でもこのピンチがあったからこそ直虎は歴史に名を残す事になるのです。
今川家に城を奪われ龍潭寺で無念の思いを抱いていた直虎。
心の声
(直虎)このまま井伊家を滅ぼしては亡き父上や直親様に顔向けできぬ…。
(いななき)ところがひと月後事態は一変します。
今川家が隣国の大名たちに攻められ瞬く間に滅亡。
井伊谷には当時急成長の大名松平後の徳川家康の軍勢が入ってきました。
今川家が滅亡した今こそ城主返り咲きのチャンス!しかし今は家臣もおらず城を奪い返す力はありません。
心の声やはり…これしか手はあるまい。
直虎が考えたのは…徳川家の一員となって城主の座を取り戻す。
いわば…とはいえ女性の直虎では恐らく仕官させてくれません。
…でこの子でした。
かつての許婚直親たった一人の男子…虎松はまだ8歳。
直虎はこの虎松に徳川家への就職と井伊家の復活をかけます。
直虎が幼い虎松を連れて向かったのは遠い三河国今の愛知県東部。
徳川家康の本拠です。
着いたのは鳳来寺というお寺。
もちろん就職活動のため。
当時の寺は武士の子供たちが優秀な家臣となれるよう勉学に励む場でもありました。
しかも鳳来寺は徳川家とゆかりの深いところ。
学問好きな家康の目に留まるようここで虎松に猛勉強をさせたと言われています。
更に…。
直虎による虎松の就活作戦。
それだけではありません。
強力なサポートも展開。
虎松の実のお母さんの縁談をにわかに進め再婚させてしまいました。
実はこの方家康に厚く信頼されている徳川家の家臣でした。
一種の政略結婚ですね。
政略結婚で徳川家とのコネもつけいよいよ虎松の就活仕上げの段階です。
そして…。
立派な青年に成長していました。
心の声今こそ勝負の時!就職活動本番の日です。
その日は徳川家康が大好きな鷹狩りに出かける日でした。
鷹狩りを満喫し一休みしていた時。
(家臣)殿お目通りを願い出ている者がおりますが。
ほうわざわざこんなところまで?よかろう通せ。
入ってきたのは直虎と虎松。
ふだんなら大名の家康にアポなしで会うなんて絶対にできません。
直虎は前もって情報を収集。
鷹狩りの家康はご機嫌なのでハードルも下がると読んでいました。
名は何と申す?
(虎松)はっ!松下源太郎が子虎松にございます。
元気がよい。
着ている小袖もなかなかのものじゃ。
虎松の小袖は今で言うリクルートスーツ。
少しでも見栄えのするよう直虎が自分で縫い上げたと伝えられています。
更に直虎は勝負に出ます。
井伊家の名を確実に残すためでした。
実は虎松松下殿の実子ではありませぬ。
本当の父は我が井伊家先代直親。
(家康)何?井伊直親とな?直親も家康様にお仕えせんとしておりましたが今川の手にかかってあえない最期を。
徳川のお家にご奉公するは我が井伊家の悲願。
どうかどうかこの虎松を…。
心の声にわかに召し抱えろと言われてものう…。
はてどうしたものか…。
家康様!禄など少なくてかまいませぬ。
どのようなお役目でもかまいませぬ。
戦では敵をことごとく討ち取ってご覧にいれまする。
この時家康は虎松を「ただ者ではないと感じた」記録にはそう記されています。
これより我がもとにおれ。
(虎松)ありがたき幸せ!虎松は晴れて井伊の名で家康家臣となったのです。
心の声
(直虎)これで井伊家の行く末も安泰じゃ。
その後虎松は名を「井伊直政」と改めたちまち頭角を現します。
期待に応え合戦では力戦奮闘。
すさまじい戦いぶりは「井伊の赤鬼」と恐れられました。
そんな直政の活躍をふるさと井伊谷で見守っていた直虎。
天正10年47歳で静かに生涯を終えました。
龍潭寺にあるその墓はかつて愛した許婚直親に寄り添うように並んでいます。
20年後。
天下分け目の…徳川軍の先陣を切った直政が掲げた「井」の字の旗印。
井伊直虎が懸命に守った井伊家の誇り。
それは忘れられる事なく子孫に受け継がれました。
江戸時代彦根35万石の大名となった井伊家。
歴代の藩主たちは大老など徳川幕府の要職を務めます。
その一人が幕末の井伊直弼。
「桜田門外の変」で暗殺された直弼は直虎から数えて13代後の当主です。
ご存じですか?50年以上前に始まった…主人公は井伊直弼でした。
このドラマの成功がなかったら大河ドラマが現在まで続いていなかった事もありえます。
今年もこうして新しい大河ドラマをお送りできるのはおよそ400年前頑張ってくれた直虎さんのおかげかもしれません。
井伊直虎を演じます柴咲コウです。
城主として激動の戦国時代を生き抜いていく直虎。
その生涯を真心を込めて演じさせて頂きます。
大河ドラマ「おんな城主直虎」どうぞお楽しみに。
2017/01/06(金) 20:00〜20:43
NHK総合1・神戸
歴史秘話ヒストリア「おんな城主 直虎のイロハ」[解][字]

大河ドラマ「おんな城主 直虎」がスタート。そもそも直虎ってどんな人?なぜ女性なのに城主になったの?…など素朴なギモンに答えてドラマをより楽しむための入門編。

詳細情報
番組内容
今年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、戦国時代さまざまな困難と戦って領地を守り、井伊家を次の世代へとつなぐ女城主の物語。しかし「そもそも井伊直虎ってどんな人?」「どうして女性なのに城主になったの?」などの声も多い。そこで今回はそんなギモンを解消すべく、大河ドラマの入門編をお届け!番組特製の『直虎カルタ』でおもしろエピソードをご紹介。また井上アナが直虎のふるさと浜松でそのヒミツを解き明かしていく!
出演者
【キャスター】井上あさひ