今日の主人公はこちら。
「地球史上最強」とも呼ばれるあの生きものです。
（鳴き声）そう恐竜ティラノサウルスです。
（鳴き声）「ダーウィンが来た！」では２週にわたって恐竜を大特集！最新の恐竜研究が明らかにした驚くべき暮らしぶりに徹底的に迫ります！第１回の今日は「地球史上最強」と呼ばれる肉食恐竜ティラノサウルスが主人公です。
今残された化石を詳しく調べることで生きていたころの姿が次第に明らかになっています。
さらに現代の動物と比べることで恐竜たちの驚くべき暮らしぶりも次々にわかってきたんです。
ワ〜オ！例えばティラノサウルスの姿も最新研究をもとに再現すると…。
これまでのイメージを一新するティラノサウルスの姿とは？
（鳴き声）番組では世界中の科学者たちの協力を得てティラノサウルスの強さの秘密を徹底分析。
「超肉食恐竜」ということがわかっています。
「超肉食恐竜」ってどういうこと？集団で繰り出す信じられないほど巧みな狩りの技も大公開！史上最強の恐竜ティラノサウルス。
規格外の強さを誇る王者の真の姿に迫ります。
さあ早速ティラノサウルスが生きていた時代へ旅してみましょう。
ここは今から７，０００万年前の北米大陸です。
こちらはケツァルコアトルス。
空を飛ぶ爬虫類翼竜の仲間で翼を広げると１０メートルにもなります。
当時は恐竜たちが大繁栄していた時代。
この辺りにはさまざまな姿の恐竜たちが暮らしていました。
おや何かやってきましたよ。
巨大なツノが特徴の有名恐竜トリケラトプスです。
全長は９メートル。
アフリカゾウよりもはるかに大きな体をしています。
なんともいかめしい姿ですがその食べ物は…意外にも葉っぱ。
植物食の恐竜なんです。
こちらはトロオドン。
全長２メートルほどの小型の肉食恐竜です。
さまざまな姿に進化した恐竜たちの中でも最も強く最も有名な恐竜といえば…。
お待たせしました。
今日の主人公のお出ましです。
こちらが最新の研究成果をもとによみがえったティラノサウルスです。
全長はなんと１３メートル。
ゾウの２倍近くにも達する巨体を誇る世界最大級の肉食恐竜です。
さあ早速その強さの秘密をどんどん解き明かしていきますよ。
ちょっと待った！あヒゲじい。
やっぱり来ましたね。
そりゃ来ますよ。
ティラノサウルスってこんなに毛むくじゃらでしたっけ？私の知っているティラノサウルスはゴツゴツして毛なんて全然生えてなかった気がするんですけどねぇ。
確かに。
ティラノサウルスはトカゲなどと同じ爬虫類の仲間と考えられています。
そのため長い間毛ではなくて全身をウロコで覆われていたと考えられてきました。
でしょ！こんな毛むくじゃらのティラノサウルスやっぱり変ですぞ。
でもねティラノサウルスが毛むくじゃらだった可能性を示す重要な証拠が最近見つかったんですよ。
どんな証拠？それがこちら。
２０１２年に中国で見つかった恐竜の化石です。
全長９メートルにもなる巨大な肉食恐竜ユウティラヌス。
今回の主役ティラノサウルスの仲間の恐竜と考えられています。
ほうこの化石にどんな証拠があるんですか？実は尻尾のそばにすごい物が見つかったんですよ！この部分をよ〜く見て下さい。
あ〜はいはいはい。
細かな線が何本も見えますなぁ。
何ですか？これは。
へ〜！羽毛なんだ。
はい。
これまで小型の恐竜では羽毛を持つものが見つかっていたんですが今回初めて大型の肉食恐竜も羽毛を生やしていたことがわかったんです。
ほう！だから今回のティラノサウルスは全身に羽毛が生えてて毛むくじゃらだったんですな。
でも恐竜が羽毛を生やしてたなんて意外ですなぁ。
ですよね。
実は最近の研究でティラノサウルスは鳥と親戚関係にあることがわかってきたんです。
羽毛の存在はその関係性を示す証拠でもあるんですよ。
ほう！でもなんで空を飛ぶわけでもないのに羽毛が生えているんですかね？それはですね保温のためなんです。
保温？はい。
ティラノサウルスは体から出る熱を逃がさないため羽毛を生やしていたと考えられるんです。
は〜そうなんだ。
羽毛のおかげでティラノサウルスは常に高い体温を維持できました。
そのため気温が低い時でも高い運動能力を発揮でき獲物を追い回すことができたと考えられているんです。
なるほどね。
羽毛が生み出す運動能力の高さもティラノサウルスが最強と呼ばれる理由の１つなんですよ。
うん羽毛が強さの秘密だったとは「うもう」全然知りませんでした。
（鳴き声）なんてウワ〜怖い〜。
ティラノサウルスの強さの秘密まだまだあります。
続いてはこの巨大な口。
この口に驚異的なパワーが備わっていたこともわかってきたんです。
その驚きのパワーを教えてくれるのはワニです。
ワニは現代の動物の中で頭の構造がティラノサウルスに最も近いとされています。
フロリダ州立大学の古生物学者エリクソン博士です。
博士はワニを手がかりにティラノサウルスの強さの秘密に迫ろうとしています。
小型の圧力計を用意。
それをワニの口に入れかむ力を測定します。
オ〜！結果はこちら。
かむ力はなんと１トン以上にも達しました。
博士はこのデータをもとにティラノサウルスのかむ力をシミュレーション。
すると驚くべき数値が浮かび上がりました。
ワニのデータから…ティラノサウルスのかむ力は…果たして８トンとはどれほどの力なのか？金沢工業大学の佐藤隆一博士そして石川県の鉄工所のご協力で実験することにしました。
工業用のプレス機にティラノサウルスの牙に見立てた金属を取り付けました。
サイズは実際の牙とほぼ同じです。
８トンの力でさまざまな物をかむと果たしてどうなるんでしょうか？まずは厚さ１０センチの木の板。
ベニヤ板を何枚も重ね頑丈にしたものです。
（男性）４３２１。
うわ〜！スローで見てみると牙が分厚い板を難なく貫いています。
まさに文字どおりの木っ端みじんです。
ではこちらはどうでしょう？用意したのは鉄板で出来た自動車のドアです。
３２１。
何層にもなる鉄板を牙がいとも簡単に貫いてしまいました。
すさまじい破壊力です！鉄板をも貫く圧倒的なパワー。
ティラノサウルスはまさに生物史上最強の肉食動物だったのです。
強さの秘密まだあります。
最近ティラノサウルスの頭に恐竜界ナンバーワンのある能力が備わっていたこともわかってきました。
その能力を明らかにしたのは日本の研究者でした。
北海道大学の恐竜学者小林快次博士です。
小林さんたちはＣＴスキャンを使ってティラノサウルスの脳の形を細かく調べました。
その結果脳の一部が異様に巨大化していたことがわかったんです。
それが「嗅球」と呼ばれる部分。
嗅球にはにおいを感じ取る役割があります。
小林さんはティラノサウルスが抜群の嗅覚を頼りに狩りをしていたと考えています。
…というところで非常に有利に立つことができたと思います。
ハイパーな肉食恐竜僕らは「超肉食恐竜」って言うんですけども非常に肉食恐竜の中でも優れた肉食恐竜だったということがわかっています。
優れた嗅覚が最も役に立ったのは夜。
真っ暗な森の中多くの恐竜たちが眠りにつく時間です。
トリケラトプスが体を休める場所を探しています。
肉食恐竜に見つからないよう木の根元に身を隠して眠りにつきます。
やってきたのはティラノサウルス。
昼間に十分な食べ物にありつけなかったのか夜に獲物を探しています。
全身に羽毛をまとうティラノサウルスは気温の下がる夜でも問題なく動き回ることができます。
暗闇の中抜群の嗅覚で獲物のにおいを感じ取ったようです。
足音を忍ばせゆっくりと森の奥へ。
残されたかすかなにおいを頼りに迷うことなく進んでいきます。
ついに獲物の姿を見つけました。
トリケラトプスは危険に気付かず眠ったままです。
（鳴き声）まさに奇襲。
寝込みを襲われたトリケラトプスになすすべはありませんでした。
抜群の嗅覚で見えない獲物すら逃さない。
ティラノサウルスは規格外の能力を秘めた「超肉食恐竜」だったのです。
第２章ではさらにティラノサウルスの強さの秘密に迫ります。
最新研究が解き明かした大集団での狩り。
獲物を確実にしとめるための驚きのチームワークが明らかになります。
恐竜の暮らしぶりを教えてくれる化石。
実は今日本からも続々と見つかっています。
北海道では「日本初の恐竜の完全な全身骨格」と期待される化石が見つかりました！見つかったのはハドロサウルスと呼ばれる植物を食べる恐竜の仲間。
これはその太ももの骨です。
長さはなんと１メートル以上！大きいですねぇ。
これまでに全国２０か所以上からさまざまな恐竜の化石が見つかっているんです。
２０１６年群馬県で珍しい肉食恐竜の歯が見つかりました。
歯の持ち主はこちら。
スピノサウルスの仲間です。
獲物はなんと魚。
こんな恐竜が日本にいたんですね。
さらに極め付きは兵庫県。
日本史上最大級を誇る巨大恐竜の化石が見つかりました。
これがその恐竜のろっ骨です。
おなかの中に人間が６人も収まってしまうほどの大きさです。
その名は丹波竜。
なが〜い首ですねぇ。
全長は１０数メートルにも達したといいます。
一体こんなに大きな体でどんな生活をしていたんでしょう？来週はこの日本の丹波竜が主役。
超巨大恐竜の驚きに満ちた暮らしぶりに迫ります。
お楽しみに！次々と明らかになる超肉食恐竜ティラノサウルスの新事実。
最近カナダのある研究者がさらに驚きの説を唱えています。
恐竜研究の世界的な権威フィリップ・カリー博士です。
博士は長年カナダの荒野で発掘調査を続けてきました。
そこでティラノサウルスの新しい仮説を生み出す発見をしたんです。
それはティラノサウルスの仲間アルバートサウルスの集団化石の発見です。
１か所から１０頭以上がまとまって見つかったんです。
この群れこそがティラノサウルスの強さの秘密だとカリー博士は言います。
…と考えています。
皆さんはライオンが群れで行う狩りの方法をご存じですか？ある者は獲物を追い立てる役。
そしてある者は獲物を待ち伏せして襲いかかる役を担います。
群れのメンバーで役割を分担することでライオンは狩りの成功率を高めているんです。
カリー博士はティラノサウルスもこうした役割分担をして狩りをしていたと考えています。
ちょっと待った！どうしました？ヒゲじい。
いくら何でも役割分担って…。
化石からどうしてそこまでわかるんですか？確かに。
でもねちゃ〜んと根拠があるんですよ。
どんな？博士が注目したのはティラノサウルスの子どもの化石。
今手前に見えてきたこちらです。
ほ〜う。
この子どもはおよそ１０歳。
でねヒゲじい大人とは違う特徴があるんですがわかりますか？え何でしょうか？全然わかりませんが。
大人と子どもを重ねてみます。
すると…。
うんどれどれ。
子どもは細身でスラッとしていますな。
それに比べると大人はマッチョ。
太めの体型ですな。
そうそこです！カリー博士は子どもと大人の体型の違いに目を付けたんです。
私は速く動くことができる……と考えています。
ではそのカリー博士が考える狩りを見てみましょう。
おっカリー博士の想像するカリ！ドキドキしますなぁ。
ティラノサウルスの群れです。
ガッシリした大人の中に子どもが交じっています。
おなかをすかし獲物を探しているようです。
でも肝心の獲物はどこにも見当たりません。
子どもたちが森へ向かいます。
恐竜界一の嗅覚で森に潜む獲物に気付いたんです。
どんどん奥に分け入ります。
視線の先には…トリケラトプスです。
体の大きさは子どもたちをしのぎます。
子どもたちはあえて飛びかかろうとはしません。
必死に逃げるトリケラトプス。
追う子どもたち。
森の出口が見えてきました。
と突然トリケラトプスが足を止めました。
自分がわなにはまったことに気付いたのです。
目の前にはティラノサウルスの大人たち。
しめしめ。
ティラノサウルスはそんな気持ちだったでしょうか。
トリケラトプスは覚悟を決めざるをえません。
（鳴き声）トリケラトプスの武器は頭の鋭い角。
ティラノサウルスにとっても侮れない相手です。
必死に抵2017/01/08(日) 19:30〜20:00
ＮＨＫ総合１・神戸
ダーウィンが来た！「史上最強！ティラノサウルスの真実」[字]
番組史上初、二週連続の恐竜特集。第一回はティラノサウルス。真夜中の狩りや、大集団で獲物を追い込む驚異のワザなど、最新研究が解明したティラノサウルスの真実に迫る。
詳細情報
番組内容
番組史上初、二週にわたって恐竜を大特集。第一回は史上最強の恐竜・ティラノサウルスが主人公。最新研究から、その圧倒的な強さの秘密が明らかに。一撃で車を破壊するほどのパワーをもつ巨大な口。さらに、真っ暗な夜でも獲物を見つけられる特別な能力や、集団で獲物を追い込む狩りの技など、新たな暮らしぶりが次々に浮かび上がっている。超高精細ＣＧで恐竜時代へタイムトラベル、ティラノサウルスの真の姿に迫る。歌：平原綾香
出演者
【語り】近田雄一，龍田直樹，豊嶋真千子
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