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セリフ書き起こし 科捜研の女 #9 2017.01.12

お巡りさーん!お巡りさんこっちこっち!
(森隼人)どうしました!?
(榊マリコ)ご苦労さまです。

(呂太)うわあっ!
(涌田亜美)ちょっと!
(蒲原勇樹)近所に住む和田茂さん65歳です。
この辺では有名な資産家みたいですよ彼の話では。
(亜美)この近くの交番の人ですか?
(蒲原)うん。
あの学生たちが陸上部の朝練で走ってて死体を発見しそこをあの森巡査が通りかかったとか…。

 

 

 


(呂太)ねえ!この階段あちこちに血の痕があるよ。
その人階段から落っこちたんじゃない?いいから早くこっちへ来い!
(呂太)それはマジで無理。
早く!
(蒲原)マリコさん。
和田さんこんな物を所持していたんですが…。
(蒲原)これなんですかね?これは簡易血糖測定器ね。
(和田絵美子)それ夫は散歩の時いつも持ち歩いています。
(亜美)あっあの…ごめんなさい。
(土門薫)和田さんの奥さんだ。
(蒲原)ご主人はよく散歩をしてたんですか?ええ。
血糖の上がりやすい朝食後に…。
日課でした。
ご主人は糖尿病だったんですか?はい。
糖尿病性の昏睡を起こした事もあります。
ねえそれ知ってる。
急に高血糖になったり低血糖になったりすると昏睡状態になる事あるんだよね?でもそれほどの糖尿病なのにインスリンは持ち歩いてなかったんですか?インスリンっていうと血糖を下げるための薬ですよね?夫はいつもこういうインスリンを携帯していたはずですが…。
いえそういう物はありませんでしたけど…。
じゃあ今日はこれを忘れて…。
まさかそれでこの上で高血糖になって昏睡状態に…。
であそこからご主人は転落したというんですか?その結論は解剖するまで待って。
解剖!?はい。
検視のあとご遺体を洛北医大に。
病気による事故なら司法解剖は必要ないでしょ?病気によるものかどうかは司法解剖で明らかにします。
解剖するなら医師として立ち会います。
彼女は大学病院の内科医だ。
遺族が司法解剖に立ち会うなんてそんな事出来ません。
いいから確認させて。
それが解剖の条件よ。
確認って何をですか?それは…。
(携帯電話の振動音)すみません。
はい。
…バイタルは?…すぐ行く。
担当患者が急変しました。
失礼します。
(蒲原)あっ…えっ?行くんですか?とにかく解剖はしないで!いいわね。
行っちゃいましたよ…夫が死んだばかりなのに。
あの奥さん泣いたりしませんでしたね。
それになぜあそこまで解剖を嫌うんだろう?鼻や口に出血の痕。
(シャッター音)頬や…手の甲に生活反応のある擦過傷。
(シャッター音)下顎と頸部の硬直から死亡推定時刻は2時間以内。
彼らが死体を発見したのは1時間前です。
瞳孔が拡大してる…。
(呂太)瞳孔って死んだら開くよね?でも彼は瞳孔散大と言っていいほど開いている。
どういう事だ?もしこれが糖尿病のせいなら考えられるのは極度の低血糖状態にあった…。
奥さんは高血糖だった可能性が高いと言っていたが…。
ええ。
朝食後なら血糖は上がる。
でも高血糖だったら瞳孔はこんなに開かないはず。
病気じゃなく人為的に低血糖にされた可能性は?人為的に?例えばあの奥さんに。
(蒲原)ドクターならそういう事も出来そうですね。
待って。
その判断は解剖の結果が出てからにして。
(藤倉甚一)死亡した和田さんの妻から連絡があった。
事件性のない死体を解剖しようとしているそうだな?ご遺体には瞳孔散大がありました。
気になる所見です。
気になる?それは確実に事件性を示す所見か?いえ。
でも少しでも可能性があれば私は…。
所轄の捜査では現場に争った跡はなく死亡推定時刻に大声や悲鳴は聞かれていない。
事件性はあるか?捜査や検視で事件性が出ないのに解剖は許可出来ない。
何度も言わせるな。
わかりました…。
(藤倉)だから検視を続ける分には構わん。
えっ?いいか?日本の警察が扱う死体の中で解剖されるのはせいぜい12パーセント程度だ。
…にもかかわらず京都府だけは異常に解剖率が高い。
誰のせいだ?あっ…。
大体科捜研に検視の義務はない。
だがお前は勝手にやっている。
それならたまには検視で結果を出せ。
わかりました。
検視で事件性を見極めます。
(風丘早月)なんで私まで?検視出来る人が多いほうがいいってマリコさんが。
…毎度。
うわあ〜っ!ちょっと呂太くん!わかってる…わかってる!そろそろうざいよね。
でもどう思われても無理なんだって!うわあっ!この人こっち見てるなう!ちょっと呂太くん!使えない。
(ため息)体中に内出血がありますね。
(シャッター音)
(早月)見てこれ注射痕じゃない?それもこんなに。
ああ…。
彼はインスリン注射を常用していたので…。
っていう事は糖尿病?ええ。
でこの瞳孔散大が気になるんですが…。
糖尿病による低血糖を疑ってる?ええ。
でも病気ではあり得ないほど低血糖だったら事件性が出るかもしれません。
血液検査したいんですが…。
わかった。
血液を採取しておく。
事件性を見極めるため他に出来る事ありません?じゃあ解剖。
じゃなくて。
うーん…。
血液を採取していいって事は脳脊髄液を採取してもいいんだよね?ああ…後頭窩穿刺。
後頭窩穿刺?脳脊髄液を採取して脳出血の有無を調べる検査。
(早月)こういう注射針をここに…こんなふうに刺して。
ヒッ…!ちょい怖ですね!それで事件性がわかりますか?多分。
血液検査と併用すれば。
後頭窩穿刺の結果和田茂さんは脳出血の可能性が高い。
すみません。
転落でもその衝撃で脳出血するんじゃないですか?糖尿病の低血糖による脳出血も考えられる。
まあどっちにしろ事件性はなしって事ですか?でも血液検査の結果病気ではあり得ないほどの低血糖だったら?あっ…事件性が出る。
(ノック)はい。
失礼します。
あっマリコさん。
どうだった?
(蒲原)低血糖…病気でした?それとも…。
それが血液検査の結果和田茂さんはかなりの高血糖でした。
(蒲原・早月)高血糖?
(早月)確かにかなりの高血糖だわ。
じゃあやっぱりあの奥さんの言ったとおり…。
この上で高血糖になって昏睡状態に…。
やっぱり事件性はなしって事ですか?でもこんなに高血糖だったのにどうして瞳孔が拡大してたんだろう…。
現場近くのここに防犯カメラがありました。
階段を上り下りする人が必ず通る場所ですが和田さんは映っていませんでした。
(日野和正)じゃあ彼はどうやって階段を落ちたの?実はこのお寺…裏に坂道があるんです。
ここを通っても階段の上には行けます。
つまり和田さんは…。
自宅からこのルートで散歩したと思われます。
(呂太)うん。
それと誤差の範囲で一致したよ。
(呂太)この歩数とそこから割り出した距離。
(宇佐見裕也)じゃあやはり死亡現場はこのお寺。
それは現場の血痕からも証明出来た。
ほら。
こんな形してたりこれなんかかすれてたり。
血痕も筆文字の墨と一緒でね速度がつくとこうなるんだ。
つまり階段を落ちながら血が付着した。
だろうね。
で彼の着衣の鑑定は?ああ…。
(宇佐見)腹部の辺りに何かの薬物が付着していました。
鑑定の結果…。
インスリンでした。
和田さんがいつも使っているこれと同じ成分です。
えっ!?
(日野)おかえり。
今日彼はインスリンを忘れて散歩に出たはずです。
じゃあ散歩の前に打ったんでしょうね。
散歩の前に?緊急を要する場合は服の上から打つ事もあります…。
あっ…。
和田さんは死亡前にインスリンを打っていました。
それなのに昏睡状態になるほど…まして脳出血を起こすほど高血糖になったとは考えられません。
つまり何者かに高血糖にされたと?病気以外の作用があった事は確実です。
事件性が出たな。
司法解剖の許可をお願いします。
ねえそうやってずっと死体から逃げる気?あのね前にマリコさんに言われたんだ。
ご遺体は怖いものじゃない。
少し前まで私たちと同じように喜びや悲しみの感情があった人間だって。
そんな事言われたって…。
僕は理論的に否定してるんじゃなくて生理的に嫌なんだもん。
呂太くんこれが私たちの仕事なんだよ。
違うよ!僕は物理研究員だもん。
工学系の鑑定するのが仕事だもん。
そういう約束で入ったんだもん。
死体と接するなんて聞いてないし…。
大体死体なんか見なくたってちゃんと鑑定出来るもん!…そう。
(早月)これを見て。
この心臓の冠動脈…ほら閉塞してる。
心筋梗塞…。
じゃあ死因は脳出血じゃなく心筋梗塞。
きっとそのせいで瞳孔が拡大したのね。
さすが風丘先生。
瞳孔散大の謎が解けました。
死因の心筋梗塞は病気によるものですか?いやそれはわからない。
でも散歩の前にインスリンで血糖コントロールしてたのよね?ええ。
だから散歩中に心筋梗塞を起こすほど高血糖になる可能性は低いはずです。
つまり何者かによって高血糖にされた可能性が高い。
少なくとも病気以外の何かが体の中で起きたとしか…。
もう一度血液検査してみる。
(助手)ちょっと君!待ちなさい君!
(和田香保里)パパ!すぐにここから出てください!嫌!パパに会わせて!娘さんですね?少しお話を伺えますか?土門さんそのお話ご遺体と面会したあとでもいいですよね?先生…。
ご遺族が会いたいと言えば私たちは断れないはず。
パパ…。
ねえパパ!どうして!?私です…。
パパを殺したのは私なんです…。
どういう事ですか?今日学校へ行く時パパを見たんです。
(香保里の声)朝の散歩はいつもママと一緒なのに今日は1人だったから…。
あの時私がパパのとこまで行って一緒に散歩してあげればパパは死ななかったんです!その時お父さんは普通に歩いてました?頻繁に立ち止まったりよろけたりしてませんでした?そんなだったら私すぐに駆けつけてました!外でもう少し話を聞かせてもらえるかな?さあ…。
死亡する直前まで普通に歩いていたんなら心筋梗塞を起こすほど高血糖状態じゃなかったって事にならない?つまり死ぬ直前に彼に何かがあった。
例えば待ち伏せしていた誰かに高血糖になる薬物を…。
それを奥さんがしたっていうの?奥さんはいつも彼と一緒に散歩していたのに今日に限っていなかった。
もしお母さんが犯人ならあの娘さんきっと今以上に傷つくわね…。
たとえどんな残酷な真実でも人は知らなければ前には進めない。
私はそう思っています。
マリコさんは警察の人だもんね…。
私とは違うわね。
いいえ。
鑑定に情は持ち込まない。
そこは同じはず。
マリコさん次の血液検査私にさせて。
(蒲原)彼女は医者を辞めたいと言っていたそうです。
彼の家は代々資産家ですからいつでも辞められると。
奥さんってご主人の朝の散歩にいつも付き添ってたって聞いたんだけど。
ええ。
近所の人もそう言ってました。
それといつもの散歩コースにこの寺は入っていない事もわかりました。
これが被害者のいつもの散歩コースです。
(宇佐見)じゃあ今日に限って散歩コースを変えた?
(蒲原)ええ。
そして今日に限ってインスリンを忘れ今日に限って彼女は散歩に同行しなかった。
(早月)マリコさん。
血液検査の結果が出た。
(呂太)あれ?いつものスイーツは?今日はねそれどころじゃなくて。
(呂太)え〜?なんで?先生はおいしいの持ってくる人でしょ。
呂太くん私は差し入れ係じゃないから。
ねっ?えっ?
(早月)えっ?血中から薬物は出なかった?うん。
奥さんが血糖値を上げる薬物を投与したのに血液から薬物が出ないなんて事あるんですか?本当に奥さんが薬物を投与したのかな?
(蒲原)いや他にそんな事出来る人…。
でもこういう結果が出た以上薬物を投与したっていう線は考え直すべきなんじゃない?
(宇佐見)先生我々が捜査に口を出すのは…。
ええ。
なんかいつもの先生らしくないです。
いや私はただ…。
和田さんの娘さん同い年ぐらいでしたね。
えっ?風丘先生の娘さんの亜矢ちゃんと。
だから何?娘さんに同情をしていましたよね。
だから彼女の母親が犯人だと思いたくない。
マリコくん。
違いますか?風丘先生。
うん。
思いたくないそんな事。
先生。
同情もした娘さんに。
そりゃするでしょああいう状況見たら。
先生もう…。
でも鑑定に情は持ち込まない。
それは私も同じよマリコさん。
もう一度検査する必要があります。
マリコくん!そんなに私の検査結果信用出来ない?いいえ。
先生を信用しているから。
えっ?私の検査でも先生の検査でも血糖を極端に上げる薬物は出なかった。
だとすれば…。
そうか。
極端に血糖を上げかつ代謝の早い薬物。
教えて。
あなたの体の中で一体何が起きていたのかを…。
(携帯電話の着信音)はい。
ああうんまだ大学。
ご飯は?待たなくていいから早く寝なさい。
うん。
ごめんね亜矢。
(助手)こちらです。
先生奥さんがご遺体を返してほしいと…。
先生…。
じゃああなたね?夫を勝手に解剖したのは。
勝手に?あの…ちゃんと令状も出て…。
妻である私は許可していません!司法解剖にご遺族の許可は必要ないんです。
ご存じですよね?ドクターなんですから。
警察からご遺族の事は聞いています。
それにそのスニーカーナースシューズですよね?ドクターが履いているのは珍しいけど。
このほうが動けるし介護しやすいから。
介護?ご主人のですか?そんな事より今すぐ夫を返してください。
いえ。
ご主人にはまだ聞かなきゃならない事があります。
聞くって…。
とにかく返してもらいます。
それは許可出来ません。
ご主人の朝の散歩いつもは一緒だったとか。
…それが何か?なぜ今日に限ってご主人を1人で行かせたんですか?行かせたって…。
たまには1人で行くって夫が…。
なぜ今日に限ってご主人はそんな事を?…知りません。
ではなぜ今日に限ってご主人は散歩のコースを変えたんでしょうか?知りません。
ではなぜ今日に限ってご主人はインスリンを忘れたんでしょう?知りません!大体インスリンを忘れても交番に行けばなんとかなったはずなんです。
交番?
(森)ええ。
うちの交番がちょうどいつもの散歩コースの中間地点らしくて…。
(蒲原)こんなに預けてあったんですか?
(森)奥さんが心配性で交番を通って僕がいるとよく預けていくからたまっちゃって…。
あっ!
(班長)どうも。
あっうちの班長です。
本部の捜査一課の方々です。
あっ…。
で今何を隠した?えっ?いえ別に何も。
別に隠してないですよねインスリンなんだから。
インスリン?いや重い糖尿病の人がここを通るんで預かってあげてるんですよね?森お前そんな事してたんか?あかんやろお前こんな事してもしなんかあったらどない責任取るんや?それは君の一存でやっていたのか?いつもここを通る和田さんが心配でつい…。
(早月)実はちょっと気になる事があって。
あっ代謝の早い薬物の検査法見つかりました?…じゃなくて和田茂さんの血液の検査した時にねかなり多かったのよエンドルフィンの量が。
エンドルフィン?脳神経伝達物質よ。
幸福な時に出るっていう。
幸福?被害者は死ぬ直前幸せだったって事?いいえ。
エンドルフィンは鎮静作用や鎮痛作用があるから危険を察知したり苦痛を感じた時にも出る。
そう。
つまり和田さんは死ぬ間際死ぬかもしれないという危機感や痛いという苦痛を感じていた。
でもエンドルフィンは死因にはなり得ませんよね。
わかってる。
だから昨日は言わなかったんだけど…。
でも…彼はよほど怖い目に遭ったんだろうなあって…。
(呂太)そんな事までわかるの?鑑定で死んだ人がどんな気持ちだったかわかるの?
(早月)そうだね。
ご遺体の所見は生きてる時の感情と密接に繋がってるから。
これって血糖を上げて代謝が早い薬物…。
一般の人が大量に手に入れるのは難しいものばかりです。
でもドクターの奥さんなら…。
手に入れられる。
でもこれは食事や点滴で使っても問題ない薬物のはず。
もっと条件が合うならこれ。
インスリン分泌を抑えるから血糖は上がるわね。
でも心臓の血管を拡張させるから心筋梗塞にはならない。
(宇佐見)でも経口投与なら血中へ行く前に代謝されやすい。
それなら消化管や消化管壁を調べてみれば検出出来るかも。
これはインスリンの効能を下げます。
つまり血糖値を上げる可能性がありますね。
投与の仕方によっては心臓に負担もかかる。
体外に排出されるスピードが速いものもあります。
いくら代謝が早くても尿を調べれば検出出来る。
膀胱だけじゃなく他の内臓や血管も検査して…。
そうね。
全ての内臓や血管を検査してみよう。
ええ。
私たち3人で。
賀茂大橋付近でペン型インスリンが見つかった。
今亜美ちゃんたちが回収に行った。
届いたら宇佐見くんすぐに鑑定して。
わかりました。
先生私たちは…。
うん。
(亜美)どうも。
あっこれです。

(宇佐見)壊れたこれに入り込んでいた川のプランクトン検査から賀茂川じゃなく高野川を流れてきた事がわかった。
(亜美)この川岸の道被害者のいつもの散歩コースですよね。
(呂太)うん。
じゃあ行ってみよう。
えっ?これ落とした場所わかるかも。
ああいや呂太くんそれは刑事さんがやるから。
ううん自分で実際にたどってみたい。
(亜美)あっち。
ん?ねえどの臓器も体の正面側の出血や炎症が多くない?発見されたこのインスリン濡れていましたが複数の指紋が採取出来ました。
うち2つの指紋は被害者のものでした。
じゃあやはり被害者のインスリンだったのね。
ええ。
でも残り2つの指紋に前歴はありませんでした。
ねえ自宅から事件現場のお寺に行くまででインスリンを川に落とすとしたらこの辺り?あっそれは無理です。
実際に歩いてみたところ放り投げない限り川には落ちないはずです。
はーい!僕ね気づいた事があるんだ。
何?和田さんって当日歩いたここからここまではいつもの散歩コースだったんだよね?そう。
それは娘さんも目撃してる。
間違いない。
でいつもならこの交番まで行くはずなのに突然コースを変えてこの坂を上ってこのお寺まで来た。
なぜかその日に限って。
それ実際歩いてみたんだけどちょっと変だよ。
(呂太の声)だってあの坂かなり急なんだもん。
なんであの日に限ってあんなハードな運動をしたんだろう?僕だってハアハアしちゃうぐらいなのに。
それは君が運動不足なだけでは?でも和田さんって重い糖尿病だったんだよね?ええ。
朝食の散歩も血糖値を上げないための軽い運動だったはずです。
しかし軽い運動のレベルは人それぞれですよ。
そうだよね。
和田さんの筋力がどのくらいかわかんないし…。
ちゃんとご遺体を見とかないからでしょ。
うん…。
ちゃんと死体見とけばよかったな…。
呂太くんが見つけたこれだけどねやっぱゲソ痕だったよ。
(呂太)あっそれって僕がここで見つけたやつ?
(日野)うん。
複数のゲソ痕があったけどもその1つが…。
あったあったあった。
えー…被害者が死亡時に履いてた靴だった。
(一同)えっ!?和田さんはここを通ったんですか?
(日野)だろうね。
(蒲原)いつもの散歩コースなら通るルートだけど…。
でも今回のコースだと1回戻る事になるよ。
どうしてわざわざ戻ってまでこのお寺に…?そのゲソ痕ALSで発光してたって事は何かの体液が付着してたって事ですよね?ああその付着物ならマリコさんに鑑定頼んどいたよ。
ねえ?えっ?あれってそういう体液だったの?そうだよ。
言わなかったっけ?現場近くで採取した体液だとしか!よかったちゃんと伝わってた。
説明が足りん!その体液被害者和田さんの血液でした。
(一同)えっ?
(蒲原)そこに被害者の血ってどういう事ですか?だとしたら被害者はお寺の階段より前にここで血を流した。
じゃあなぜか怪我した和田さんはここに戻ってお寺に行ったって事?所長この残りのゲソ痕は?ああ。
それも同じ場所にあった血液ゲソ痕だね。
だけど被害者のじゃなかった。
つまり被害者のあとからその道を通った人のゲソ痕。
もしくは被害者に怪我させた人のゲソ痕。
(蒲原)それって女性の靴でした?複数のゲソ痕が重なってる上に部分的すぎてね男か女かわからなかった。
スニーカーだね。
スニーカー?あっ奥さんが履いてましたね。
そういえば…。
(蒲原)奥さんが持ってる靴を押収します。
照合してください。
了解。
…でマリコくん早月先生との鑑定結果は?血糖値を上げて代謝の早い薬物は検出出来ませんでした。
本当に内臓や血液になんの痕跡もなかったんですか?うーん…薬物の痕跡はなかった。
ただ気になるのは…そうほとんどの内臓が体の正面にあたる部分に損傷が多かった。
体の正面に損傷が多かった…?転落死の場合人は反射的に守りやすい体の正面をかばいながら落ちるのに。
きっと心筋梗塞ですでに死亡してたか気を失ってたんですね。
だから階段を落ちてる時にかばえなかった。
なんで?エンドルフィンがたくさん出てたんでしょ?それって死んじゃう時に痛いとか怖いって感じてたって事なんでしょ?そうよマリコさん。
ええ。
被害者は死ぬ直前まで意識があった。
だとすると…。
(宇佐見)えっ…なんですか?被害者の血糖値が高かったのは高血糖になる薬を打たれたからじゃないかもしれない。
ええ。
そんな薬物どんな検査でも出なかった。
そして内臓の正面が特に損傷がひどかった。
そしてエンドルフィン。
これはきっと…。
うん?ちょっとなんなの!?暴行。
暴行?人間はね暴行されて死ぬ場合死ぬ直前のほんのわずかな瞬間に生き残るための最後の手段として肝臓から糖分を放出させる事がまれにあるの。
それが高血糖の原因…。
そう。
暴行の肉体的苦痛や死に直面した心理的恐怖によって心拍や血圧の上昇瞳孔の拡大や筋肉の損傷による心臓への負担。
そしてエンドルフィンの分泌。
さらに肝臓から糖分の放出。
その現象こそ和田さんがどれほど怖かったかどれほど生きたいと思ったかその証拠なんです。
その現象こそ和田さんがどれほど怖かったかどれほど生きたいと思ったかその証拠なんです。
被害者の血が付着した被害者のゲソ痕がここから採取された。
このゲソ痕と一緒にな。
このゲソ痕同じメーカーのスニーカーだったため何人分かわからなかったんですがこの商品でした。
調べたら長距離選手用の靴らしい。
このゲソ痕とあなた方の靴を照合させてください。
さらに川に捨てられていたこのインスリン採取された指紋とあなた方の指紋を照合させてください。
ちっ違うんだ!何が違う。
あのおっさんがあんまうざい事言うから…。
(和田茂)コラ!何やってんだこんなところに捨てて。
(舌打ち)いい行こう。
(和田)待ちなさい!なんだようぜえな。
君たちは洛中大の運動部か?それがこんなところでタバコ吸って…。
関係ねえだろ。
いや大学に通報する。
はあ!?おい大会前にやべえぞ。
おっさん待てよ!
(和田)何…放せ!放せ!おい誰か!誰か!ほらちゃんと拾ったからもういいだろ。
誰か…!うっせえ!誰か…!
(和田)誰か…!
(注射器が壊れる音)なんてひどい…。
それで?それで気がついたら…。
おい。
おい!バカ触るな指紋が付く。
おい。
(学生の声)それで警察に捜査されないように…。

(学生の声)その時警官が見えてこのままだと死体が見つかると思って…。
お巡りさーん!お巡りさんこっちこっち!それで森巡査を呼び止め第一発見者を装ったそうです。
(早月)私たちはどうしても亡くなった方の病気と解剖や鑑定の結果を関連付けて考えてしまいます。
それがなければもっと早くわかったかもしれません。
でもおかげで犯人を逮捕出来たのよね。
それは…そうおっしゃって頂けると…。
でも解剖した事は許せないけど。
あの…なぜそれほど司法解剖に敵意を持つんです?昔司法解剖を見学した事があった。
研修医だった時に死体を乱暴に切り刻んでるのを。
切り刻むって…?切り刻んでたのよ。
それこそ計量の終わった内臓なんてむちゃくちゃに切り刻んでそのままお腹に戻して…。
そういう解剖医もいる。
内臓は丁寧に戻さないとそのままの形では収まらないから。
(絵美子)そして今度はお腹の隙間に…。
新聞紙!はい!早く!はい。
(絵美子の声)そうやって乱暴に縫ったお腹の隙間からその新聞紙がはみ出ていて…。
もしこれを遺族が見てたら失神するって思った。
自分の家族だけはあんな事されてたまるかって…。
(助手)失礼します。
奥さんご遺体の縫合の痕を確認してください。
これは…。
きれいですよね。
内臓はちゃんと時間をかけて丁寧に戻されている事がわかりますよね。
こんな…こんな解剖医がいたなんて…。
それが解剖医である私の仕事ですから。
ありがとうございました。
医者を辞めたいと言っていたのは本当です。
えっ?本当は夫の介護に専念したかった。
なのにあの日は夜勤明けで疲れてしまって…。
(絵美子の声)きっとそれを見た夫は私を気遣って1人で散歩に行ったんです。
日々の忙しさにかまけて最後の最後に私は夫を1人で散歩に行かせて夫を見殺しにしたんです!
(早月)いいえ!あなたは少しも悪くない。
本当の悪人は別にいたんです。
決してあなたや娘さんのせいじゃない。
そうか。
あの奥さんそんな事を…。
被害者遺族って似てるわね。
ん?あの時自分がああすれば助かったんじゃないかこうすれば死なずに済んだんじゃないかって。
うん…特に懸命に生きてきた人ほどそう思う。
あの奥さんのように人を救うプロとして生きてきたならなおさらそうね。
そのプロが今回の事件を解決したんじゃないか。
えっ?その意味じゃ風丘先生もお前も人を救うプロだ。
土門さん…。
被害者はなぜ嘘の内容を書いていたのかしら?
(平塚沙耶)必死で幸せアピールしちゃって。
(牧京子)マリー!私の物語のヒロインにあんまりそっくりなものだから。
彼女は何かを隠してるように見える。
あなたの脳に尋ねさせて頂けませんか?2017/01/12(木) 20:00〜20:54
ABCテレビ1
科捜研の女 #9[字]

マリコvs疑惑の女医!重い持病を持つ男性が、神社の階段から転落死…だが医師である妻は解剖を何故か拒否!!違和感を覚えたマリコは“検視”のみで真相を暴こうとするが…!?

詳細情報
◇番組内容
資産家の和田(小倉一郎)が神社の階段から転落死。彼は重度の糖尿病患者で、所持品に薬がなかったことから高血糖状態になり昏睡し、転落したのではと考えられたが、検視の状況は急性低血糖症状とも見られ…!?真相解明のために解剖を望むも、和田の妻で医師の絵美子(濱田マリ)が頑なに拒否!やむなく検視のみで事件性を見極めようとするマリコ(沢口靖子)だったが…和田の娘・香保里(森日菜美)が「殺したのは私です」と告白し…!?
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、渡部秀、山本ひかる、石井一彰
【ゲスト】濱田マリ、小倉一郎、森日菜美、細山田隆人 ほか
◇脚本
櫻井武晴
◇監督
森本浩史
◇音楽
川井憲次
◇主題歌
K『シャイン』(ビクターエンタテインメント)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】関拓也(テレビ朝日)
【プロデューサー】藤本一彦(テレビ朝日)、藤崎絵三(テレビ朝日)、塚田英明(東映)、中尾亜由子(東映)