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字幕書き起こし SWITCHインタビュー 達人達(たち)「室屋義秀×中野信子」 2017.01.14

シャ〜ッ!空のF1の異名をとる…僅か0.01秒の差が勝敗を決める。
体重の10倍もの重力がかかる過酷なレースだ。
戦うのは世界トップのパイロットたち。
その並み居る強豪に勝負を挑むのが…レースの舞台となったのは日本。
(実況)室屋リードしてさあ最後の難関です。
抜いてます!
(解説)いいですいいです。
(実況)機体1機分です。
(解説)リードしてますね。
(実況)いや〜リードしてます!この戦いで室屋は初の優勝を果たした。
更なる高みを目指し挑戦を続ける男が対談の相手に望んだのは…。
最先端の研究を分かりやすくひもとく科学の伝道者。
脳をいかにうまく使いこなすかそのヒントを教えてくれる。
例えばこの本。

 

 

 


成功する人は脳に騙されないとして脳の錯覚のメカニズムを紹介。
そしてこちらでは集中できないのは精神の安定に関わる物質セロトニンが不足しているかもしれないとアドバイス。
今やメディアで引っ張りだこの中野。
歴史や文学にも造詣が深く脳科学の見地から独自の分析を行う。
美しくない人であればあるほど自分が選んだからにはいい女に違いないと思いたい心理が働くので美しくない方がかえって愛着は強くなる。
そんな中野に室屋が聞きたい事は…。
本当の意味での集中力っていうかね…来年に生かしたいなと思って指名させてもらいました。
室屋が待つ福島市にやって来た中野。
よろしくお願いします。
室屋に会うのは初めて。
パイロットのレース中の精神状態に興味があるという。
あれは多分ノルアドレナリンが出ていて緊張が高まっているので研ぎ澄まされる感じって恐らくあると思うんですけども…ここが室屋の拠点。
エアショーなどのイベントも開催される飛行場だ。
スカイスポーツの振興に取り組むNPO団体が運営している。
ここ?並んでいるのは室屋の飛行機だ。
うわ〜!こんにちは。
初めまして。
初めまして。
室屋です。
あっ中野です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ここにあるのは全部エクストラっていう会社の機体でアクロバットの専用機なんですね。
ドイツ製の機体で。
すごいですね。
そんなに軽いんだ。
あれは?あれね僕のロゴマークで…。
ロゴマーク!名前義秀の「義」なんですけど…。
…ですね。
うわ〜!冷暖房もなし。
飛ぶためだけに造られてるやつですね。
あとはもう居住スペースはパイロットが入るだけ。
骨軽くするのに。
己の限界を超えたいレーサーと人間の可能性を探る科学者。
脳と心と体の不思議な関係に迫っていく。
すばらしいですね。
私も体験してみたいな。
景色の色がすごく…「私ダメかもしれない」。
中野に是非飛行機に乗ってもらいたかった室屋。
しかし12月の空は気まぐれだ。
雪ですね。
なので今日は残念ながら…。
あ〜残念だ。
まあでもね天気ばかりは…なので。
飛ぶはずだった飛行機の操縦席に座ってみる事にした。
本番さながらパラシュートもつける。
どうぞ。
大丈夫かな。
はい左足。
もう足入れる所もないので。
そのままズルズルと足を前に投げ出していって座っていきます。
そうですね。
うわっ。
こんな感じですね。
飛行機のコントロールには繊細な技術が必要だ。
例えば操縦桿を傾ければたちまち機体が360度回転してしまう。
操縦桿こっちに倒すと傾いていきます。
ロールしていきます。
動いてますね。
宙返りする時はそれをひっぱると上がっていきます。
うわ〜!レースとかで宙返りする時なんかは止める位置ってここら辺で決まってて。
でも…やっぱりだいぶ違っちゃうんですよ。
動かす時はもうこんな感じです。
うわ〜すごい!レースに向けて本番のコースをシミュレーションする。
何度も繰り返し行い操縦の感覚を体にしっかり覚え込ませる。
考える事なく瞬時に反応できるようにするためだ。
最高時速は370km。
1秒間に100m以上も進んでしまう。
加速によって最大10G。
自分の体重の10倍もの重力が体にのしかかる。
普通の人なら3秒で失神してしまうという過酷な状況だ。
まあそもそも飛んでいる時っていう状態はちょっと普通の状態とは違うと思うんですが…。
僕ら訓練途中から常に言われるのは…3割?はい。
例えばちょっと初期の訓練の時…負荷かけるんだ。
面白いな。
例えば3割ですよと。
実際やっぱりそういう感じが…。
実際そんな感じだと思います。
という事は…運動になるんで…そんなになるんですか?だから通常の曲技を続けている段階で…思いっきり走ってるぐらいの。
結構な強度の運動ですね。
そうか。
フライト中パイロットはどんな状態になっているのか。
映像を見てみる。
うわっ浮いた。
結構すごい!えっわっ!常にこう動いてる感じですけどね。
どこ見てどう見てっていうタイミングと…。
大丈夫なんですか?割とこうめまいがする感じになると思いますけど。
逆宙返りって血液がバ〜ッて入るやつはあんまりトレーニングしてないでやるとそれこそ三半規管…めまい。
あれを一回起こしちゃうと治んなくなっちゃうので。
次はエアレース本番の貴重な映像だ。
結構本当に限界っていう状態の…。
このゲートがあってこのゲートを通過しながらパ〜ンと行くと。
速い速い。
この間をラインを調整しながら風を調整しながら。
ここ止めたりするのもですね。
さっきからスッと回ってるんですけど…息吸いながらみたいなタイミングなんですよね。
何かもうこの機体の軽さといい何て言うんだろう…飛行機というより…そうですね。
こうなってくると完全に…怖い!動画ね回転される様子とかもっとこうフワッとやられるもんなのかと思ったらすごくピタッピタッと回転止まったりバレエみたい。
あ〜そうです。
合気道とかそういう感じですよね。
そういうのに似てる。
武道ですかね。
だから僕らやるのもこういう感じで動かしますからね操縦桿も。
やっぱ体の一部なんだ。
腕の動きがこうちゃんとパンって止まらないと。
本当に4分間の自由演技とかフリースタイルとか…「ハァー!」とか言ってるんですか?「ハァー!」とか言いながら。
そうなんだ!面白い!4分間叫ぶと喉がかれるんでちょっと勉強した。
時々ちょっと緩めて声ちっちゃくするとかしてますけど。
面白いですね。
あ〜思い出した思い出した。
あれノルアドレナリン高める効果確かにあるので。
曲技飛行の練習は一回15分ほどが肉体的な限界だという。
室屋はそのギリギリのところで訓練を積んできた。
速さを求め重力と闘う。
大会本番のフライトは更に過酷なものになる。
その時室屋の視覚には不思議な現象が起こる事がある。
演技はね3分から4分なんですよその曲技飛行の中でも大体通常は。
本当にこう…4分か…4分か。
その4分すごく長く感じませんか?4分は結構きついですね。
そうですよね。
普通の人が味わわないちょっとこう…例えばバンジージャンプを好きでやりますけどやる時に途中を落としてそれでコマごとに認知してるらしいという事がどうも分かってきていて…。
それは何で落としてしまうんですか?脳の入力レベルをなるべく落として精神の安定を保とうとする働きのようなんですね。
もしかして…あ〜…慣れた領域はできると思うんですけど。
でも世界戦とかレースチャンピオンシップに行くともっと限界の一歩先って感じなのでみんながそこに行くので。
なるほどな。
そうですね。
そうするとそういう感じは確かにありますね。
ちょっと遅れちゃうというか。
ああそうか。
遅れる感じはあるんだ。
ほんの0.1秒も満たない…はあ…あ〜そうかそれがあるんだ。
じゃあ本当に世界レベルの戦いになったらそれもしっかり認知できてないといけないんだ。
途中が抜けずに。
ああそれが抜けてんだか力が入んないっていうそういう状態だったり。
どっちもありうるな。
アドレナリンは多分出過ぎてて感じとしては過緊張気味だと。
ちょっと手が震え気味になったりとかします?震えるとこまではいかないと思いますけど。
でも自分の中ではちょっと過緊張側に少し振れてるなっていうのがあって。
このバランスをちょっと緩めると届かなくなっちゃうし。
ほんのほんのこういうところが。
確かに。
確かにそうですね。
室屋は1973年奈良に生まれた。
父親はメーカー勤務。
飛行機とは特に縁のないサラリーマン家庭に育った。
空を飛ぶ事に憧れるようになったのは少年時代。
ロボットのテレビアニメなどがきっかけだった。
そして大学入学と同時に航空部に入部。
初めて自分の力で空を飛んだ。
その時の感動が室屋を飛行機にのめり込ませる事になった。
航空免許を取り大学卒業後職業としてパイロットを目指す。
まあ大学も卒業という段になったんですけど何かバブルが崩壊してっていう時代だったかと思うんですよね。
で就職難みたいな。
就職氷河期っていう。
旅客機のパイロットとかもその前の年までは結構100人ぐらいずつ各社取ってたんですけど。
ゼロになって。
あ〜あ…。
だからちょうどそっちも行く道もないと。
別に就職できなくても何かしょうがないじゃんっていう雰囲気もあったし。
アルバイトしながら。
そのころから…それを見て「うわっすげえ」。
初めて目の当たりにして知って。
それから…そこに…楽しくてもこれでいいのかって思ったりそこで食ってけるのかっていう不安の方が先に立ったりする…。
何か日々適当に。
そんなに…なるほどな〜。
一つの領域で高めるという事をやってる職業の人はそうですね。
そういう人はそうできない人の事が多分理解できないんですよね恐らく。
何でみんな辞めちゃうんだろうなって…。
思いますよね?飽きっぽくて辞めちゃうっていうタイプの人は注意がすごくほかに向くんです。
生存戦略の違いなのでどっちがいいという訳では本当はないんですけども。
努力できない人はなぜできないかっていうと脳における報酬とその努力の量を比べて努力の苦しさが際立っちゃうので辞めちゃうんですよね。
これもまたドーパミンの分解酵素とかそういうのによるんですけど…脳科学者にはなれないと思います。
いや〜最適なところを選ばれてると思います。
例えばこれがブラック企業に勤めちゃったらず〜っとでもこの仕事は楽しいといって…アルバイト時代。
そう思います。
夜な夜なそんなところでやってましたね。
そうなんですね。
これは間違いないな。
去年エアレースの世界優勝を果たした室屋。
その道のりは決して平たんではなかった。
26歳の時飛行練習ができる場所を求めて東京からここ福島に拠点を移した。
自由に練習するための飛行機が欲しかった。
飲食店やガソリンスタンドで日夜アルバイトを重ね貯金した。
3年後念願の飛行機を手に入れる。
その額3,000万円。
友人知人に借金もしてようやく買えたものだった。
しかし飛行機を手に入れても苦労が尽きる事はなかった。
2003年4年その間でも大会に行って成績を出すとかいっても苦しい中大会行くんでまた…負けるんで。
訓練してないから当然勝てる訳ないんですけど。
お〜つらい。
経験も積みに行かなきゃいけないんですよ。
だから行ってものすごいつらい思いして帰ってくるので。
飯食えないしそうじゃなくて今のこれを維持してショーとかでなんとかいいじゃん生活できればっていう状態がやっぱ2〜3年続いた事ありますね。
そういう時に…あ〜なるほど。
お前やらないからいいよねみたいなこう…。
気楽に言うよねみたいな。
でも…いろんな人が現れて結構僕は…ダメかなっていう時にひょいと上げてくれる感じの事はよく起きますね。
それは…ランダムにやって来る運の善しあしっていうのは実はみんな一緒なんですよね。
これは宝くじの当たり率がみんな実は変わらなかったっていうデータから。
外向性って何かっていうと社交的であるっていうのに加えて自分の所属している社会とか外に向く目がすごくある。
情報を得ようとするとかよりチャレンジしましょうとかそういう気持ちが強くて。
そういう人は何ができるかっていうと新しい人に出会って結果的によい方向にその人が持っていってくれるという事が多いと推測されてるんですね研究者たちの見解では。
恐らく…それはもう間違いなくいろんなシーンでいっぱい今まであまたいらっしゃるんですけど。
周囲に支えられながらトレーニングを続けてきた室屋。
曲技飛行の大会に出場し実績を積んでいった。
そして2009年エアレース世界選手権に初めて参戦する。
アブダビでのデビュー戦ではライバルたちとの技術の差にがく然とした。
選手には元空軍のベテランパイロットもいた。
練習環境にも大きな差があった。
しかし室屋は諦めなかった。
フライトの解析担当など新たな技術スタッフをチームに加えた。
彼らに支えられ次第に順位を上げていき3度の3位入賞を果たす。
そして迎えた2016年6月レースの舞台は日本。
唯一の日本人パイロットにいやがおうでも地元の期待が高まった。
室屋に大きなプレッシャーがのしかかる。
その半年ぐらい前からいろいろ機体とかいろんな準備してきてポテンシャルとしては勝てる可能性が出てきたっていうのがシーズンの頭ぐらいからあったんです。
データとしては。
機体のスピードとかいろんな事。
それがないと絶対届かないのでいくら頑張っても。
それがそろってきて「よし行くぞ」という時に…ちょっと想像がつかなかったのがあります。
そういう中で千葉戦5月6月ですね迎えて日本で準備をする中でついに優勝かみたいな。
その前のレース14位で失格なので。
うわ〜。
何でそういう話になるのかなとか思いながらですねまあそういう報道がいっぱいあり…。
一躍有名な…注目されて。
そうですね。
まあうれしい…もちろんうれしい反面何か冷静に見れば強大なプレッシャーにもなり。
確かに。
そういう中で迎えたレースで…。
エアレースはトーナメント戦で行われる。
タイムを競って3回勝ち抜けば優勝だ。
フライトには厳しいルールがある。
例えばコースに立てられたパイロンにぶつかるとプラス3秒のペナルティーがつく。
室屋1回目のフライト。
思いも寄らぬハプニングが起こった。
(実況)スモークが出てくるといよいよスタートという事…スタート態勢整うという事になりますがスモークがまだ出てきてませんか…。
(解説)まだ出てこないですね。
(実況)うん?スモークまだ出てこない?うん?これは1秒のペナルティーになってしまう!飛行中にはスモークを出す事がルール。
室屋はスモークが出ずプラス1秒のペナルティーをつけられてしまった。
しかし勝負の行方はまだ分からない。
バックヤードでは必死の修理が始まった。
何かいろんな難しい状況が煙が出ないとかいろんな不具合がある中で…煙が出ない時点で…ミスしてくれないと。
でも終わった瞬間何か行けそうな気もしてたり。
へえ〜。
対戦相手がペナルティーを負った事もあり室屋はなんとか決勝進出を決めた。
シャ〜ッ!
(解説)いや〜1分4秒台欲しいですね室屋選手。
さあ行け行け!
(実況)スピード上がってる感があります。
(解説)さあいいですよ。
(実況)今スタート!
(解説)おっいいですよ。
完璧!完璧です。
完璧なスタート!さあ次のターン。
(実況)はいここです。
(解説)オーバーGだけ気を付けて。
難関とされる垂直のターンも難なくクリア。
その後もスピードは衰えない。
(実況)機体1機分です。
(解説)シケイン美しい。
(実況)いやこれは接戦です。
(解説)いいセットアップですよ。
(実況)第7から第8ゲート。
(解説)さあここ!
(実況)ここが彼の腕の見せどころ。
(解説)すばらしいですね。
(実況)後半に入りました。
僅かな差です。
(解説)リードしてますね。
(実況)いや〜リードしてます。
(解説)行け行け!
(実況)さあシケインから…。
(解説)きちっとセットアップ入れて…。
(実況)今リードしています。
室屋リードしてさあ最後の難関です。
(解説)さあオーバーG気を付けて!レースも終盤。
ほんの僅かなタイムの差を争う。
(実況)13ゲートにはいい勝負で入ってくるか。
4秒5秒…4秒台出した!
(解説)よし!よし!やった!いや〜よかった〜。
(実況)地元でよくやりました室屋。
念願の初優勝となった。
飛行機に乗り始めて25年ついに手にした世界一の座。
その時室屋の心と体にはどんな事が起こっていたのか。
まあ最後のレース…非常にこう印象としては実はトントントントンとパイロットは行っててでも周りの状況はいろんなのが煙が出ないとかギリギリまで直してるとかもう大騒ぎのすごいドラマだったんですけど。
そうなんですね。
コックピットの中は意外とそういう感じでトントンと…。
心は平静で。
すばらしいですね。
私も体験してみたいな。
悪い時っていうのは…例えばちょっとトイレに行きたくなるような感じとか手にほんのちょっと力が入りにくいような状態とかっていう事を認識できるんですけどその時は何も。
正常っていう感じなので何も感じない。
悪いとこない。
はい。
あとは…景色の色がすごく…その日はずっと…。
まあその日というかその週1週間ぐらいずっとそういう状態は続いてはいたかもしれない。
レースでは特にこうクリアに見えてた感じはしますね。
面白いですね。
色が…目がよく見える感じって…。
目っていうか色かな。
多分瞳孔がちょっと開くんですよね。
ドーパミン出てると。
へえ〜。
その時の例えばね目を撮らせて頂いてたとすると今室屋さんの目の瞳孔そうですね直径5mmぐらい開いてる感じですかね。
これがもっとこう少し開いて光がいっぱい入る状態になるんですね。
それで色彩がよく見えるって事あるかもしれない。
その興奮状態を示す感覚じゃないですかね。
へえ〜。
普通はそうだな…すごく好きな相手がいてその人とようやくデートできますみたいな時とかですかね。
…にちょっとそうなったりする事がありますね。
すごいカラフルに見えましたね。
明るく見えるっていうか。
「あっこんなに世界っていうのは明るいんだ!」みたいな感じが恐らくすると思います。
いい状態です。
いい興奮状態ですねそれは。
初優勝のあと室屋は5つのレースを戦いシリーズの総合順位を6位とした。
今年2017年は総合優勝を目指したい。
体のトレーニングはもちろんメンタルも鍛えている。
専門書を読んだり座禅断食などを試したり。
興味を持ったらとりあえずやってみる。
優勝した時に経験したクリアな究極の集中状態。
いわゆるゾーンと呼ばれる境地に入りたい。
そのためにはどうしたらいいのか試行錯誤が続いている。
次の大会行くとやっぱ「よし!次もゾーンに入ろう」って思うじゃない?うん。
おんなじようにして行くとその辺に…そのあと今年うまくいってないんですよ。
来年はだからそこを…。
強化する感じですね。
その間はオフにしていいと思うんですけど。
そこに持ってくっていうのがやっぱ非常に大きな課題かなと。
そうですね自然に入れるようにするためにはもともとの本当に…例えばどういう行動…。
例えば私が何かやるとしたら学会発表の大きな場があったりとかプレッシャーが与えられるような事があったとします。
そういう時に周りから評価される事がすごく気になってあがっちゃいけないいい状態じゃなきゃいけないという意思が生じますよね自分を抑えようとする。
だけど本当に自分がやりたいのはみんなの前で自分の成果を発表する事であって自分がこれを発見したという事が大事なんだっていうとこに戻る。
という作業が一つのトレーニングとしてはありうるかもしれません。
ふだんからですね。
でも一度体験されてるからきっとそれもトレーニングなんだと思いますねそれすらも。
体験するまではやっぱ知らない世界だったのでやっぱこう味わってみないと。
ああこんなもんかとも思いつつ…作ろうと思うとなかなか難しいかもしれないな。
ふだんからいろいろやんなきゃいけないから。
ピッていうのがあるといいなと思うんですけど。
そうはうまくいかない。
それ出来たら売れるでしょうね。
売れますよね。
後半は舞台をスイッチ。
テレビをはじめメディアで幅広く活躍する脳科学者の中野信子。
人気の秘密は専門的な脳科学の話を身近に引き寄せ分かりやすく説いている事。
詐欺師感情という感情があるんですね。
自分が何の努力もしてなくてだけれどもある程度の評価だったり結果だったりっていうものを得てしまうという時に人は後ろめたさを持つ。
中野が現在授業を受け持っている大学。
室屋がその仕事場を訪ねた。
メンタルを鍛えるための中野ならではのアドバイスをもっともらいたいと考えている。
(ノック)おはようございます。
よろしくお願いします。
失礼します。
お邪魔します。
脳科学の本はあんまり置いてないですね。
っていうか何で漫画が一番近くにあるんですか?並んでいるのは人気の社会派コミック。
でもただ楽しんでいるだけではないようだ。
これは関係あるんですか?あるといえば。
例えば「MONSTER」も「BILLYBAT」も…作家漫画家の目から見るとこういうふうに見えてるんだなと一つのヒントになるので。
結構面白いですね。
高杉晋作…この辺何ですか?この辺は何か…全て実験が終わっているものの蓄積なので。
更に美術にも興味があるという。
脳科学に歴史にアート。
膨大な知識を操る脳科学者中野信子は一体どんな人間なのか。
中野さんはどこをどうしたら今の中野信子さんになったんですか?話は長くなると思いますけど。
いくつかの理由が複合的にあって一つは自分のもともとの性質がちょっとやっぱり…いつごろですか?子どもの割に…何かちょっとおかしい感じだったんですよね。
何となく小学校ぐらいから「あの人ちょっと違うね」という雰囲気が周りにあって。
私も…1975年中野は東京に生まれた。
幼い頃から勉強の能力が人並み外れて高かった。
例えば本を読むのが異常に速い。
ページの写真を撮る感覚で読み記憶した。
学校の授業も一度聞けば十分。
成績は抜群だった。
その一方で周囲の人たちの行動が理解できずなかなかなじめなかったという。
何が嫌かというと班行動が嫌でしたね。
全く面白くないのにね。
そう。
思ってました。
その事で職員室に呼ばれたりもしました。
「何でみんなとしゃべらないの?」っていう。
ただ雑談が好きでないからしゃべらないだけなんですけれど。
頑張ってしゃべろうとすると…事件があってですね定期的にその中学校で試験がありますよね。
その試験の時に…。
試験というのは大体やった事が出るんですよね普通。
記憶力のよかった当時の私は…するのかな?「あんたは何点よ」「今回60点ね」みたいな。
それを聞いたらですねすごい凍りつく雰囲気があって。
それでこれは私はきっともう脳がおかしいんだと思って「ニューロン」っていう本を買いに本屋に…。
その事件がきっかけで?そうです。
行ったんです。
「私おかしい」と思って。
おかしいと思って。
それでみんなの事をもっと…。
脳がきっと違うに違いないのでみんなの脳に近づけるようにせめてそのフリだけでもしたいと思ってですね勉強しようと思ったんです。
自分は他人と違うのか?中野は自らを分析してみた。
どこが私は欠けているかというとですね…。
(笑い声)このしわの中にある部分が…。
俗に言う「空気を読む」っていう事がありますよね。
みんなの言ってる事の裏とかこういう事言ってるけど本心はこうだとかそういう事を推測するために使われるんですけど。
なるほど。
それが研究でついに…。
分かってきたんですね。
そうなんですよ。
これは多分私はここがきっとあんまり発達がよくなかったんだろうと。
中野は現役で東京大学に入学。
脳を詳細に検査するための機械を作りたいと工学部に進んだ。
しかし大学院の時目指していた機械が開発された。
ならばその機械を使って脳の研究をしたいと工学部から医学部に移った。
専攻としたのは認知科学。
知の働きや仕組みを脳科学や心理学などから総合的に研究する。
中野は大学で過ごした時間が一番楽しかったと振り返る。
あの時は楽しかったな。
高校生までのみんなから浮いた感じっていうのがもう…仲間がそこにいっぱいいた。
そう。
だから変人の楽園として取って置いてほしい。
ちょっと変なサークルに入ったっていうのもあったんですけど。
時代錯誤社っていうサークルに入っていて。
そこは夏学期と冬学期の2学期…出席点だけで単位をくれる仏みたいな先生もいれば出席はものすごい厳しくてその評定も辛いけれども頑張れば必ずAをくれる鬼みたいな人もいてですね。
売るんですか?売るんです。
結構買いますよね多分ね。
あこぎな商売ですよね。
へえ〜。
ますます分かんなくなってきたんですけど。
中野さんの本性が。
すいません。
全然脳科学と全くつながってこない。
結構そういう感じなんだね。
そうですね。
幸せな時代でしたね。
へえ〜。
何で大学教授に…?これも本当に成り行きというか…。
やっぱり一般的な仕事でなかなか…こういう個体は本当に適応的ではないんでしょうね。
何で今まで生き延びてきたんだろうこの遺伝子がと思うぐらい。
でもテレビとか出てますよね。
一般的な人たち…ここの話がベースにあると…今でもあるんですか?だいぶ気にならなくはなってきたんですけどね昔に比べると。
意外と…
(笑い声)演じきれるって事ですか?そう。
こんにちは。
(一同)こんにちは。
脳科学を一般の人にも分かりやすく伝えたいと願う中野。
授業でも身近な話を引きながら学生たちの興味を引き付ける。
この世界地図見て頂くと日本を含む東アジアだけちょっと赤くなってるの分かります?この部分に心配性であるっていう性質を強くする遺伝子を持った人がたくさんいるという事を示す絵なんですけれども…。
脳を知れば人はもっと生きやすくなるはずだ。
それを伝えたくて本を執筆しメディアにも積極的に出演する。
しかしその中野がこんな事を言った。
中野の興味は今何に向いているのか。
「脳科学もうあんまり興味がなくなってきちゃったんで」って言ってませんでした?ああそうそう。
あれはもう…。
だから歴史のああいうの…書籍が並んでくる訳ですよね。
これはまだアイデアなので論文になるかどうか分かりませんけど。
多くの人はなりますよね。
でこの時に何が起こってるかというと仲間意識が高まる。
オキシトシンっていう物質の濃度が上がるんですよね。
でその時に同時に起きる現象内集団バイアスというのが強くなる。
内集団バイアス何かっていうと…という意識が高まります。
そうすると…大災害が起きた時にまあそう遠くない期間をおいて戦争が起きてる確率を調べると…経済的な要素とかそういう要因が交絡しているのでちょっとそこも丁寧に見ないといけないはいけないんですが。
何らかのその自分たちは…震災以来みんなが一つになる時代だから「なのに?」っていうふうに言われるかもしれないけど…そういうところをやりたいと思ってます。
面白そうですね。
すごい興味がありますけどね。
うん役に立つと思うんですよねすごく。
さてここからは室屋だけでなく私たちにもきっと役立つ話。
努力のしかた。
高みを目指す時努力は必要欠くべからざるもの。
しかし中野は努力にも加減がいると言う。
昔2009年10年ぐらいというのはパイロンにバンバンぶつかったりして多かったんですねぶつかるイメージがあって。
当たらないようにって行くと当たるじゃないですか。
そうそうそれが…まさにもう。
まさに。
必ずその欲求だとかこうしたいっていう事に目が向いてしまって自分がもともと…そっちの方にむしろ引っ張られる方向に行くので。
すごくざっくりした話に置き換えると例えばダイエットしたいっていう人がいたとしますよね。
ダイエットしたいっていう人が自分の体を絞るのに…これはさっきの努力逆転の法則が働くからですね。
これはあまりよろしくない。
むしろ…ちょっとずつ減らそうかっていうぐらいの方がよい。
体にも負担が少ないですね。
そういうやり方でないと長期にわたる自分を作るっていうのはやっぱり難しいんだと思います。
エアレース歴戦のパイロット室屋はいわば心と体をコントロールする達人でもある。
しかしそんな室屋でもレースの時にはいつも緊張するのだという。
その大きな課題緊張の解き方を中野に聞く。
中野先生もいろいろあると思うんですけど。
自分自身はどう何か…。
もし私が人と違うやり方してるとすれば…緊張している事にはやっぱりそれなりの意味があって体を準備するっていう役割があるので…緊張している状態をまず認知してそのメタ認知ができる事によって既にもう落ち着くので…。
もう一つは弱音を吐くっていう事を重要視していて…。
これは弱音を吐く人の方がストレスに対する耐性が高いというデータに基づく事でもあるんですけど。
言語化して私は今こういうストレスを抱えてますという事をやっぱりメタ認知できる。
あと共有してもらえているという安心感を得る事もできるのでこれはとても実はみっともないようなんだけども意外とよい方法と言えますね。
ふ〜ん。
これもいくつかやっぱり実験があってアメリカのシカゴの高校でこれを落としたら留年ですっていう試験数学の試験があってですねその試験の前に10分間時間を取って次の数学のテスト何が不安ですかっていう不安を書き出させる。
具体的に書いて下さいっていう事を言うんです。
で10分間終わって試験を終えてその点数どうなったかっていうとなんと不安を書き出させた方が平均点で10%高い。
10%?かなりの差がある。
ふ〜ん。
言語化するという事。
うん言語化する。
やっぱり来年から…飛ぶ前は。
でもそうですね口ではネガティブな事があってもいいんですけれどポーズは弱気ではない方がよくて末梢がパフォーマンスに影響を与えるっていうのはよくご存じだと思うんですが強いポーズをとった時の具体的には両手を挙げるポーズですね。
これ2分間とらせたグループとこういう背を縮めるポーズとらせたグループでテストステロンとそれからコルチゾールの濃度変わってくるというデータありますよね。
末梢は強気で。
体は強気で言葉は弱気。
ダメかもしれない!面白い。
同時にやるとすごい面白いですね。
2017/01/14(土) 22:00〜23:00
NHKEテレ1大阪
SWITCHインタビュー 達人達(たち)「室屋義秀×中野信子」[字]

エアレースの世界大会で日本人初優勝に輝いたパイロット・室屋義秀と気鋭の脳科学者・中野信子が、極限状態の脳から天才の頭の中まで、人間の脳・心・身体の不思議に迫る。

詳細情報
番組内容
最高時速370キロ、最大重力加速度10Gがかかるエアレース。パイロットたちは知力、体力、精神力の限りを尽くしてコンマ01秒のタイム差を競う。過酷な状況下でパイロットの脳・心・身体はどうなっているのか?室屋の頭の中に中野が迫る。一方、幼い頃から抜群の成績だった中野は、それゆえ自分の考え方などが周囲と異なるという状況に悩み、それが脳科学を志す動機になった。中野の知られざる内面がトークで明かされてゆく。
出演者
【出演】エアレースパイロット…室屋義秀,脳科学者…中野信子,【語り】吉田羊,六角精児