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セリフ書き起こし 忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣14 初春の梅が運んだメッセージは愛 2017.01.20

元禄15年12月14日深夜。
赤穂浅野家浪士四十七名は主君の無念を晴らすべく本所・吉良邸へ討ち入り無事本懐を遂げた
・エイエイ!・オ〜!
(十郎左衛門)どうか息災で。
(條右衛門)ご一同は大名家へお預けになるそうだ。
恐らく切腹を仰せつかる事になるであろう。

 

 

 

 

 

 


(きよ)おじちゃん。
きよは…きよは…。
おじ様に背負われ家へ帰った私はその晩から高熱を出し床にふしたまま年を越しました。
けれど胸の内は同志の皆様そして十郎左様の行く末の事でいっぱいでした
おじ様。
兄様も。
元気が出るようだんご…。
(善左衛門)お前にだんごでも…。
白湯でも入れましょう。
(元哲)梅か…。
ええ。
つぼみが膨らみ始めていたので。
(條右衛門)おい聞いたか。
どうやらご公儀は浪士の処分でもめておるらしいぞ。
(善左衛門)ああ。
専らの評判だ。
どういう事です?年が明けたというのにご公儀からまだ何の沙汰もないであろう。
世間じゃ忠義の士の評判はうなぎ登りだ。
赤穂の塩まで高値を呼んでるらしい。
ご公儀もその忠臣をうかつに死罪になどさせられぬとさ。
こりゃひょっとすると赦免という事もあるやもしれんぞ。
ご赦免?そんな事が。
まああわよくばという話だがな。
きよ。
瑶泉院様のところには伺ったのか?いえ。
きよの事をお気にかけておられると先日つま殿が申しておったぞ。
おつま様が?早いうちにご挨拶に参るがよい。
(つま)ちょうど仙桂尼様も見えております。
仙桂尼様もいらしているのですか。
何やら瑶泉院様にご相談がおありになるとつい先ほど。
ご相談…。
助命の嘆願でございますか。
今や世間の情は浪士に傾き公方様でさえその忠義を褒めたたえておられるとか。
嘆願は今が好機かと思われます。
瑶泉院様。
大奥の力は侮れませぬ。
ここは是非とも桂昌院様にお口添えを頂き助命を願い出るのが最良の手かと。
(瑶泉院)桂昌院様か…。
桂昌院とは時の将軍徳川綱吉の生母。
将軍の意をも左右する隠然たる力を持っていた
そのようなつてがそなたにあるのか?本所五百羅漢寺の和尚様はいかがでしょう。
ああ…松雲禅師か。
和尚様は桂昌院様と懇意にしておられますゆえひと言お口添えを頂ければ…。
(瑶泉院)だが上杉と将軍家は関わりが深い。
そのような大それた事ができようか。
お言葉ながら今はどのような手を尽くしてでもご家臣のお命を救う事が第一と。
今ご公儀を動かす力がおありなのは桂昌院様。
さもなければ柳沢美濃守様。
そなたがそこまで望むのであれば思うとおりにすればよい。
はい。
ただ…赤穂浅野家はもうないのだ。
命を救うたところで家臣として再び迎え入れてやる事もできぬ。
瑶泉院様。
いやそなたの言うとおりじゃ。
松雲禅師にお口添え頂けるようわらわからも頼んでみよう。
きよ。
気を付けて戻るのじゃぞ。
そなたはまだ病み上がりじゃ。
はい。
林昌軒に堀内伝右衛門様と名乗るお方がいらしたのはその翌日の事でした。
そのお方は十郎左様がお預けとなっている細川様のご家来で浪士の世話役をされているというのです
(伝右衛門)いや実は先ほど金杉町の松平様のお屋敷へ行ってまいりましてな。
礒貝様の母君に会うてまいりました。
貞柳尼様のところへでございますか。
いやまあこれは拙者がまあ何と言うか一存で行うておる事なのでございますが義士の皆様の文や言づてを是非ともお身内へお伝えしたくこうして隠密裏に。
そのような事を…。
きよ殿。
礒貝様も皆様も穏やかに時を過ごされておりますぞ。
さようで。
もともと細川家と浅野家は先々代からの親しき間柄。
それに加え我が殿は赤穂義士のお働きにいたく感銘し大層手厚くおもてなし致しておりまする。
はあ…。
書き物眼鏡酒風呂こたつ。
日々の料理など大石様には「皆これまで浪人暮らしが長く馳走を食べ慣れておらぬので胃がもたれてかなわぬ。
いま少し粗食を」と言われたほど。
その大石様は寒がりで眠る時にまでねずみ色の頭巾をかぶられそのご様子がおかしいと皆様がくすくすと。
まあ。
(2人の笑い声)
声を出して笑ったのはいつ以来だったでしょう
おかしいですかな。
いえ。
まさかお預けの身でそのようなお暮らしとは思いも寄りませんでしたので。
牢屋にでも入れられているかと。
いえ。
ご安心なされ。
我が殿は八方手を尽くし助命嘆願にも動いておられます。
え?今や江戸中が赤穂義士の味方。
よき風が吹いていると拙者は思うております。
礒貝様はさすがお育ちのよさもうかがえるまことにお優しき御仁。
一人考え事をされている事も多いが落ち着いたご様子でございます。
さようでございますか。
そうそれこそ肌身離さず懐に持っておられるものがあり何かと尋ねましたら大事なお守りと。
お守り?これを命と思うていると。
どうかこれをきよと思って…。
礒貝様に何かお伝えする事があれば拙者が。
いえ。
礒貝様が心穏やかに過ごされておいでならそれで十分でございます。
さようでござりますか。
はい。
あの梅はきよ殿が…。
ええ。
つぼみがようやく開きましたので。
おう礒貝殿ここにござったか。
浅草は唯念寺・林昌軒の梅でござる。
本日頂戴してまいりました。
梅の花のようなおきれいなお方でござりますな。
よき香りだ。
お心遣いまことに感謝致す。
回想
(伝右衛門)今や江戸中が赤穂義士の味方。
(仙桂尼)ご公儀を動かす力がおありなのは桂昌院様。
さもなければ柳沢美濃守様。
きよ殿。
そなたは柳沢様がどのようなお立場か知ってそのような事を申しておるのか。
無謀なお願いは百も承知。
されど細井様は柳沢様の学問の師とお聞き致しました。
何とぞ何とぞ柳沢様に皆様の助命をお願いして頂きたく…。
(広沢)ほり殿はどう思われる。
はい。
武士の妻としてまた娘として安兵衛や弥兵衛殿が命を長らえる事を望むと思うか。
私は父にも夫にも常々覚悟をしておくよう言われております。
お殿様のため命を捨てる覚悟でこれまで策を練り見事本望を達したのでございます。
私は潔く逝かせてやりとうございます。
おほり様…。
ほり殿の言うとおり同志の皆々はとうに命など捨てておる。
この期に及んで命が惜しいなどと思う者はおらぬであろう。
…とここまでは儒者細井広沢の理屈。
ほり殿。
お二人を潔く逝かせてさしあげたいというそなたの思いは本心からか。
私と安兵衛は堀内道場で共に剣を学び研さんを積んだ仲間。
友として堀部安兵衛武庸を死なせたくはない。
柳沢様がどう出るかこればかりは分からぬ。
だが人の心など気まぐれなもの。
現に公方様はご自分が内匠頭様を切腹に追い込んだ事などとうにお忘れだ。
浪人者が徒党を組んで屋敷に押し込んだのだ。
柳沢様は恐らくその罪を武士の鑑と見る世間の風潮公方様のお気持ちそして幕府としてのお裁きこれらが全て丸く収まる落としどころを探っておられるのであろう。
ここはひとつそなたの言うとおり手を尽くしてみるかの。
細井様…。
ありがとう存じまする。

(笑い声)十郎左飲め。
はい。
(内蔵助)おうこれは堀内殿。
どうです?貴殿もご一緒に。
いやいや拙者はそういう訳には。
(原)まあまあそうかたい事はおっしゃらずに。
さあさあさあどうぞ。
こちらへこちらへ。
さあさあ一献。
(伝右衛門)これはかたじけない。
(弥兵衛)今宵は一段と冷えますのでな皆で一杯飲んで温まろうかと。
とはいえ吉田殿とわしは甘酒。
これなら何杯でもいけますからな。
どうです?甘酒は。
いやいや拙者はもうこれで。
よろしいではござらんか。
堀内殿にはいつも世話になっておるのですから。
さあさあ。
このように酒を勧められるとは一体どういう風の吹き回しで。
よき知らせでござりますか。
ああ。
よき知らせよ。
さようにござりますか。
堀内殿のこれまでのまことに行き届いたお心遣い感謝の言葉もござらぬ。
いやいやとんでもない事。
頂戴つかまつる。
アハハハハ!
(せきこみ)
(一同の笑い声)きよ。
ちと…。
さえを送った日お前はいくつだったか。
え?あれから11年か…。
早いな。
父様。
細井様から知らせがあった。
ご浪士方の処分が決まったそうだ。
本日ご切腹と相なる。
助命はかなわなんだが武士としてこの上ない名誉の死。
おのおの方ご満足の事であろう。
いずこで。
ご切腹はいずこで…。
おのおのお預けの屋敷。
行ってまいります。
きよ!中へは入れぬぞ。
構いませぬ。
せめて最期の刻を共に。
心の声十郎左様。
回想そなたは生きよ。
生きてくれ。
生きて母を看取ってくれ。
我が妻として。
義母上様。
(貞柳尼)ご沙汰が下ったのじゃな。
本日お預けとなった細川様のお屋敷にてご切腹との知らせが。
さようか。
ご切腹とは…なんと名誉な。
わしは…。
安兵衛という婿を得て幸せであった。
大石内蔵助殿おいでなされ。
お先に。

(読経)・礒貝十郎左衛門殿おいでなされ。
十郎左衛門は我が礒貝家の誇り。
仙桂尼様…。
せめて一目お亡骸を見てからお別れしとうございました。
いいえ。
見ない方がようございました。
え?見なければ夢枕に立つ旦那様のお顔も穏やかなものであったでしょうに…。
人の死はきれい事にあらず。
本日吉良家の断絶が決まったそうです。
ご当主左兵衛義周様はお預けの身となりました。
大石様は念願かないさぞ晴れ晴れとしたお気持ちでお腹を召された事でしょう。
されど浪士の皆様は一人としてこの世にはおられぬ。
共に笑う事も泣く事もかないませぬ。
内匠頭様も。
吉良様とて。
遺児たちの流刑が決まりました。
(仙桂尼)きよ。
悲しみに暮れている暇はありませぬ。
残された私たちにできる事はこの子らの命を救う事。
これは終わりではない。
始まりなのです。
2017/01/20(金) 03:10〜03:45
NHK総合1・神戸
土曜時代劇忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣14 初春の梅が運んだメッセージは愛[解][字][再]

赤穂浪士の助命嘆願に動くきよ(武井咲)だが、全員に切腹の処分が。お預け先でも、そして死に向かう最後まで十郎左衛門(福士誠治)はある物を片時も離さない。それは…

詳細情報
番組内容
吉良邸討ち入りから年が明けても、赤穂浪士の処分は下されない。きよ(武井咲)は助命嘆願に動く。そんな時、きよを訪ねてきたのは、十郎左衛門(福士誠治)がお預けとなっている細川家の家来、堀内だった。堀内は十郎左衛門が大石らと共に過ごしている様子を伝える。大事なお守りと称すあるものを肌身離さず持っているとも。互いの存在を感じあう二人だが、ついに切腹の処分が下された。最後まで離さなかった物とは…きよは…
出演者
【出演】武井咲,福士誠治,田中麗奈,皆川猿時,大東駿介,吉田栄作,笹野高史,石丸幹二,平田満,北見敏之,風祭ゆき,陽月華,三輪ひとみ
原作・脚本
【原作】諸田玲子,【脚本】吉田紀子