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字幕書き起こし クローズアップ現代+「ハーバードはもう古い!?〜エドテック“教育革命”最前線」 2017.01.26

市場規模6兆円。
世界のトップランナーたちが今熱い視線を注ぐ新たな分野。
その名もエドテック。
先端技術を使って教育に革命が起きているんです。
子どもたちが勉強に落ちこぼれないようにする画期的な仕組みって一体?
キャンパスを持たない大学?世界中から授業に参加できるんだとか。
世界の名門大学を蹴って学生たちが殺到しているんです。
日本にも押し寄せるエドテック。
教育革命の最前線にお連れします。

 

 

 


今夜のテーマはエドテック。
ちょっと聞き慣れないことばだと思いますが、これは英語でエデュケーションとテクノロジーを融合させたことばなんです。
このエドテックを使って、アメリカではこんな授業が行われているんです。
これまでの常識を覆すエドテックの世界。
一つ、例をご紹介しましょう。
こちら、シリコンバレーにある企業が開発した最新の教育ツールとは。
目の前に飛び出してきたのは3Dの心臓。
手元のペンで自在に操ることができるんです。
複雑な精密機械をいったん分解して組み立てるなんてこともできます。
このツール、物理や生物が苦手という子どもたちに大好評。
理解が深まるといいます。
ご覧いただきましたように、エドテックは教室の風景を一変させています。
パソコンやアプリだけでなく、人工知能などを活用することで、これまでにない新しい授業も可能になりました。
このエドテックは今、教育の最先端、大学の在り方さえも大きく変えようとしています。
大学の授業に物足りなさを感じる、そんな経験ありますよね。
大講堂で受ける授業は講師が一方的に話すだけ。
集中力も続きません。
せっかく授業料払ってもこれじゃあ、ね…。
ここで登場するのがエドテック。
アメリカ・サンフランシスコ。
オフィス街の一角に一風変わった大学が登場しました。
今、一部の学生にハーバードやケンブリッジをしのぐ人気を集めるミネルバ大学です。
何が変わっているかというと講堂や教室は一切なし。
授業はすべてオンライン。
学生たちは世界中から参加できるんです。
この日の授業は私たちの未来は予測できるのかというテーマ。
イスラエルやメキシコからも学生が参加しました。
学生の集中力が途切れないように、こんなシステムも。
一人一人の発言した秒数が記録され…消極的な学生は画面が緑に変わり、発言を促されます。
学生たちは互いの発言についても「いいね」や「絵文字」で評価することが求められます。
とっても濃密な90分間の授業です。
さらに、授業の映像やデータは、すべてオンラインのサーバーに保存されます。
講師が学生一人一人の授業のデータを検証。
理解を深めるためのアドバイスなどを送ります。
アフターケアも万全ですね。
テクノロジーを駆使して大学の概念を変えたミネルバ大学。
エドテックの象徴として世界中から学生たちが集まってきます。
学生の数は300人。
学生寮で共同生活をしています。
学生たちはキャンパスに行く必要がなくどこからでも授業を受けられます。
去年9月に入学した韓国人のキム・カンサンさんです。
名門のケンブリッジ大学などを辞退して、この大学を選びました。
キムさんはミネルバ大学に通いながらすでにベンチャー企業での活動も始めているんです。
この日、キムさんが向かったのはシリコンバレーの近くにあるIT企業。
耳の聞こえない人たちと会話ができるアプリの開発を提案するなど実践的な成果も上げています。
学生のときから卒業後のキャリア作りも進めるミネルバ大学。
経験や人脈を広げるため学生たちは半年ごとに住む場所を変え合わせて7つの都市に滞在します。
もちろん、それを可能にするのはオンライン授業、エドテックです。
尾木さん、この大学、まだ卒業生、出してないんですけれども、ケンブリッジを蹴ってでも優秀な学生が集まってくる、どう見られますか?
やっぱりね、一部の優れた学生は、そうやってしてケンブリッジ蹴ってでも行くと思いますね。
それはね、やっぱり今、Vでも紹介されていましたけれども、1年目はサンフランシスコで共同学習するんですけど、2年目からはドイツへいったり、インド行ったり、あるいはアルゼンチンですとか、どっか行ったりとかですね、世界7都市を回っていくわけでしょ。
そして半期ごとに、地元の人との交流もですよね。
午前中3時間は集中して授業をやりますけど、午後からと金曜日は丸1日、インターンシップや企業に行って、目の見えない人じゃない、耳の聞こえない人のために、あのアプリをね。
自分で企画して。
あれは本当にキャリアにつながっていく。
いわゆるスクールトゥーワークっていって、学校出て、ワークにどうつなげるかっていうのを、現実的に相互乗り入れみたいな感じです。
一方で、4年間、本当に休む間もなく、勉強して、それから発案して、中には起業するような人もいて、本当にぎゅうぎゅうな4年にも見えるんですけれども、そういう人材が結局、求められていくんですか?
今、やっぱりグローバル化とIT化の中ではね、そういう人材でなければ、企業サイドに立っていうわけではないですけれども、使い物にならないんだと思います。
それから今の若者は、ITの中で育ってきてますから、こういうのが好きなんですよ。
ゲーム感覚で、どんどん深入りしていきますから。
だから僕ら、古い世代は、ぎゅうぎゅう詰めと思うけれども、そんなことない、楽しんでいると思いますよ。
学ぶほうも、どんどん変化していますし。
変化してますから。
もうひと方、ゲストいらっしゃいます。
アメリカ在住で、エドテックのこの事情を研究している、上杉周作さんです。
上杉さん、アメリカではエドテックがまあ、広まっているということですけれども、その背景、どんなふうに分析されますか?
ミネルバ大学の例で言うと、一つの理由は、学費がとても高騰していると、アメリカの大学は、ハーバードとかは日本の何倍も学費がかかっていて、そういうの卒業したとしても、いい仕事に就けないという率もどんどん高まっていると。
そういうふうな状況になったときに、もう一回、大学というものを考え直してもいいんじゃないかっていう人たちが現れてきてて、テクノロジーを使って教えることができないかというふうなことで、試行錯誤した結果、ミネルバ大学のようなものが出てきて、学費も結構抑えられてというのですね。
そして、あと2つ理由がありまして、IT企業を、サイバーフロンティアって書かれてますけど、身の回りにこれだけたくさんテクノロジーが増えている中で、普通の教室とかに行くと、一昔前の教室とかと全く変わらないような状況が広がってる中で、ここにもう少しテクノロジーを導入して、生徒の学びを促進できないかっていう考え方があると思います。
そして最後に、そういうふうに身の回りにたくさんITがあふれている中で、これを誰が開発するのかと、そういう人たち、イノベーションを支える人材とかを育てるためには、テクノロジーを使った学びをやることがいいんじゃないかというふうに思います。
そういった複合的な理由があって、今、わっとエドテックは広まってるということですけど。
だからやっぱり日本なんかも今、貧困のね、経済的な格差が学歴格差を生んだり、学力格差を生んだりという、そういう中では、すごいそこを埋めていくのに、役に立つと思うんですよ。
本人のやる気と、そのツールさえあれば、どこまでも入っていけるんですよね、学習のほうも。
例えば、キャンパスがないってことも?
キャンパスがなくても、積極的な意思さえあれば、やっぱり学びのダイバーシティーとしてのツールになってきているということが、ひとつのぽいんとかなっていうきがしますよね。
そうですね。
学びのダイバーシティーという点で言うと、例えばアメリカの例で言うと、エドテックについて、昔だったら、例えば国語の授業でエドテックとかやったとしたら、エドテックについて作文を書いてくださいというのが、一つ前の授業かもしれないですけれども、今だったらエドテックについて、こういう番組みたいな、ドキュメンタリーを、例えばiPadとかを使って、作ってみてくださいって生徒に出すことができますよね。
そうすると、今までだと、作文だけだったのが、いろんな学び方を通じて、物事に対しての理解が深めることができるんじゃないかと。
それが小学校の時点で?
できると思います。
つまり、それは大人になったらやればいいんじゃないの、ドキュメンタリー作ったりするものも、テクノロジーがあれば、どんどんどんどん学びたいんであれば、突き進んでいけるじゃないかと。
やらせてみたらいいんじゃないというのがあると思います。
というエドテックは、先ほどご覧いただいたように、大学の在り方を変えているわけなんですけれども、それだけでなく、一方で、一般の小中学校では、落ちこぼれてしまう生徒を減らすことにも一役買っているんです。
高校1年生のB君。
最近、数学の授業についていけなくなりました。
なんだか授業のペースも速くなったし授業を遮って質問もしにくいし。
再びここでエドテックの登場です。
今、全米で注目を集める奇跡の高校。
公立のクリントンデール高校はかつて多くの生徒が落ちこぼれ5人に1人が中退していました。
でも、エドテックを取り入れたことで落ちこぼれる生徒が激減したんです。
一体どんな取り組みなんでしょうか。
これから授業を受ける生徒たち。
あれ?向かっているのは家ですよ。
高校2年生のマデリンさんです。
自宅のパソコンをインターネットにつないで…。
実は動画サイトにアップされているのは学校の授業。
自宅で受けるため反転授業と呼ばれています。
授業の動画は、アメリカの優秀な教師たちが行うとっても分かりやすいものもあります。
しかも学校とは違って分からない部分を何度も巻き戻して見ることができるため落ちこぼれることがありません。
では、学校では何をするのかというと…。
それは宿題です。
学校で宿題をやりながら分からない問題があるとそのつど教師が教えてくれるんです。
数学が大の苦手だったマデリンさん。
反転授業で成績がなんとトップクラスになりました。
エドテックが可能にした反転授業。
高校では中退する生徒が20%から8%にまで減り大きな注目を集めているんです。
落ちこぼれをなくそう。
そんな取り組みは子どもたちが幼い段階から始まっています。
サンフランシスコ近郊にあるこの公立の小学校ではエドテック専門の教員を配置。
生徒用のパソコンを運んでクラスを回ります。
特に子どもたちがつまずきがちな算数や理科はエドテックの出番。
子どもたちはパソコンでかけ算のゲームを始めました。
3人1組のチームに分かれて遊び感覚で、どれだけ早く解けるか競い合います。
エドテックの真骨頂はここから。
なんと子ども一人一人のレベルに合わせたオーダーメイドの授業もあるんです。
学校に併設された幼稚園です。
子どもたちがパソコン上で取り組んでいるのは簡単な算数のゲームです。
上にあるボールと同じ数を右側から選んで並べます。
1足す32足す25引く1。
さまざまなやり方があります。
この子どもは、5つをまとめて持ってきました。
でも1を引く方法が見つけられません。
子どもがどこでつまずいたか試行錯誤のデータがサーバーに送られコンピューターが分析します。
どのような問題が得意でどのような問題が苦手なのか集中力が何分くらい続くのか子どもの能力が分かってきます。
今度はその子どものレベルに合わせた最適な問題をパソコンが出すというわけです。
そのエドテックのオーダーメイドに授業をすることで勉強についていけなくなる子を減らす、もう少しこれを詳しく。
今回、ちょっと模型をご用意させていただきました。
例えば今までの算数の授業ですと、足し算、引き算、かけ算、割り算、そして分数と、生徒が分かる分からないにかかわらず、一斉に皆、階段を上っていくというイメージだと思うんですけれども、それだともちろん途中でつまずいてしまう生徒も出てくると。
そういうときに、こういうふうに大きい一段の階段ではなく、それを3段、4段に分けた小さな階段を用意してあげれば、つまずいてる生徒でも、上っていけると。
ここがですね、オーダーメイドのエドテックの見せどころと思います。
テクノロジーによって、どこでつまずいたのかっていうのが分かる。
そうですね。
人工知能が生徒がここで何回もやってたら、ここは難しいんだなと思って、このような小さな階段を用意してあげたり、またこれでもちょっと難しかったら、じゃあもうちょっと、ちっちゃい階段を用意してあげて、ステップ・バイ・ステップで、最終的には優秀な生徒と同じ所に到達できるというふうな感じだと思います。
なるほど。
ありがとうございます。
尾木さん、そこがまさに言ってみれば今までは、階段の所を教師の力量だとか経験というもので。
だから小さな階段を自分で組み立てることができる先生が有能な先生で、やっぱり学力も、子どもたち引き付ける力もあったわけですよね。
あれだったらば、本当に新任の先生でも、あるいは算数が苦手な先生でも上手に子どもたちをレベルアップしていくことができるかなということで、非常にすばらしいと思いますよね。
ただちょっと僕、不満なのはなんで人工知能にすべてリードされてと、自分で発見する力もつけてほしいなと、欲張った考えもあります。
最近はたぶん、トレンドとして人工知能がすべて階段とかも用意してあげるのではなく先生にここでつまずいてるよというのを教えてあげて、階段は先生ご自身が用意してくださいっていうパターンのやつも出てきてますね。
それいいですね。
それがないと。
つまり、オーダーメイドを画一的に導入するのではなくて、先生が生徒とコミュニケーションを取るパターンのものも、もう今、始まってるということですね。
そういう手助けがあれば、インクルーシブ教育というのを今、日本でも売りにしようとしているんですけれども、それなんかうまく進むと思いますよね。
まさに今、その日本という話もありましたけれども、今後、では日本の教育現場にエドテックというものが、拡大するのか、あるいはどのように拡大していくのか、お二方、それぞれポイントを挙げていただきましたけれども、上杉さんは?
テクノロジーは目的ではなく手段というふうに書かせていただきましたけれども、テクノロジーをただ導入するだけではなくて、現場にどのようなニーズがあって、どのような問題をテクノロジーで解決できるかということをまず知ったうえで、じゃあ、どういうのを選べばいいのかっていうのを考えたほうがいいと思います。
まさに今、画一的でないというものもありますからね。
そして尾木さんは?
僕のほうは、使われるのではなくて、使いこなすと。
そのためには今、小学校も中学校も忙しくて、時間足りませんので、専門家によるサポートチームっていうか、そういう体制が必要だと思うわけです。
今、文科省もチーム学校というので、いろんな力を結集しようとしているんですけれども、ぜひやっぱりチーム学校の力で、こういう導入もしていってほしいなと思います。
今からコントの維新「LIFE!」をお届けするでごわす!ゲストは先週に引き続き綾瀬はるか殿。
2017/01/26(木) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「ハーバードはもう古い!?〜エドテック“教育革命”最前線」[字]

「授業が退屈」などと学校を脱落する子どもが増える中、米国のIT企業が最新技術を駆使した「エドテック」と呼ばれる手法を開発。劇的に変わる教育現場の現状を取材する。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】法政大学教授…尾木直樹,エドテック専門家…上杉周作,【キャスター】鎌倉千秋
出演者
【ゲスト】法政大学教授…尾木直樹,エドテック専門家…上杉周作,【キャスター】鎌倉千秋