全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

セリフ書き起こし 探偵少女アリサの事件簿 2017.01.28

私たちかもしれない。
ああーっ!
(相良恭司)全員殺す。
あなた何か隠してません?
(奥野智美)有紗様!早く逃げて!
このあとすぐ!
(綾羅木孝三郎)この家の当主篠宮栄一氏を殺害した人間はこの中にいます。
(綾羅木)犯人はあなただ。
ねえ達也さん。

 

 


(篠宮達也)馬鹿な…。
なんで僕が父さんを…?あなたはこの鋼鉄の額縁で父上を殺害した。
(篠宮)僕は父のアトリエを見たいという友人を案内して一緒にこの絵を鑑賞してたんですよ。
そのあとはずっと彼らと一緒に自分の部屋にいました。
部屋を抜けたのはトイレに行った2〜3分だけ。
そんな短い時間でアトリエに戻りあの重い額縁の絵を持ち出し父を殺して戻るなんて不可能ですよ。
あなたはある魔法を使った。
絵は2枚あったんです。
(綾羅木有紗)一枚はあなたが殺しに使った本物。
そしてもう一枚は…。
あなたが得意のだまし絵で額縁ごと描いた偽物。
(綾羅木)あなたは今朝アトリエから持ち出した本物で父上を殺害した。
そのあとアトリエに偽物を飾りそれを友人に見せいかにも本物が飾られているように細工した。
トイレに行くと言って出たあなたはアトリエに戻り偽物をあっという間に始末。
あたかも父上が殺されたのは友人と一緒にいた時間だったので自分は関わっていないと思わせた。
単純な時間トリックだったわけです。
もう逃げられませんよ。
うわあ!父さんがいけないんだ!父さんが僕の才能を認めてくれないから!うう…!はい行くぞ。
立って。
うう〜っ!いやあありがとうございます。
いえいえ。
さすが名探偵綾羅木さん。
あなたのおかげで今回も無事に解決出来ました。
いやあ感謝するのはこっちですよ。
かのシャーロック・ホームズも言ってます。
「私にとって依頼そのものが報酬だ」と。
(刑事)失礼します。
ったく…。
シャーロック・ホームズ?どの口がそんな事言えるわけ?よくあのトリックわかったね。
パパ本当に助かったよ。
ホームズはこうも言ってる。
「不可能なことを消去していった時いかにあり得なく見えても残ったものこそが真実である」。
(携帯電話の着信音)
(携帯電話の着信音)
(綾羅木)おっ。
はいはい。
うん…うん。
ああわかった。
はい。
パパね明日からロンドンに行かなきゃならなくなっちゃって…。
有紗の面倒は…。
あっ瑤子叔母さんに見てもらおう。
随分会ってないもんね。
ママもまだ仕事があって帰国出来ないみたいだし…。
大丈夫?大丈夫。
別に寂しくなんかないよ。
私は綾羅木有紗11歳
パパもママも世界的に有名な探偵でほとんど家にはいない
私はいつも一人
でも私は普通の女の子なんかじゃないわ
寂しくなんか…ない
(アナウンサー)「番組の途中ですが報道スタジオから緊急のニュースをお伝えします」「昨日夜7時頃矢川刑務所から受刑者が脱走しました」「脱走したのは無差別連続殺人事件で矢川刑務所に服役していた相良恭司受刑者49歳です」「警視庁は相良受刑者が危害を加える可能性もあるとして周辺の住民に注意を呼びかけています」
(アナウンサー)「ニュースをお伝えします」「矢川刑務所から脱走した相良恭司受刑者は依然逃走を続けています」「谷山地区で相良受刑者を目撃したという情報があり警視庁は谷山地区一帯を…」相良恭司…。

(綾羅木瑤子)パパもママも海外でお仕事なんて残念ね。
でも叔母さんがその分遊んであげるからね。
ありがとう。
でも気ぃ使ってくれなくて大丈夫だよ。
あらそう?有紗ちゃんもしばらく会わない間に随分お姉さんっぽくなったのね。
この時はまだ知りませんでした

私はもうとっくにあの恐ろしい事件に迷い込んでいたのです

私が向かった鬼雷島は東京湾沖に浮かぶ0.8平方キロメートルの小さな島
持ち主である実業家の須崎史郎氏がレジャー施設の開発計画に取り組み始めたところでした
(奥野智美)お待ちしておりました綾羅木様。
須崎様のお手伝いをしております奥野智美と申します。
ご遠慮なくなんなりとお申し付けくださいませ。
ありがとう。
お世話になります。
こんにちは。
では3日後に迎えに来ます。
はい。
ではどうぞ中へ。
他のお客様は皆様ご到着なさっています。
須崎様は今島の外に出ておりますが夕方には戻る予定です。
あっちょっと待って。
有紗ちゃん写真撮らせて。
お母さんたちに送っておくから。
ねえ。
いいよそんなの…。
いいのよ照れなくて。
はいポーズ。
(風の音)やだまさか電波入らないんじゃ…。
申し訳ございません。
屋敷の中に電話はございます。
嘘でしょ。
日本じゃないみたい。

(雷鳴)
(松田翔子)長嶺さん。
(長嶺勇作)ああ?確か相良の取り調べ担当したんですよね。
どんな男だったんですか?あんな人間に会ったのは初めてだった。
いや人間とさえ呼べるのか…。
(相良恭司)私は探求者です。
人類史上初めての殺人事件をご存じですか?『旧約聖書』にしたためられているカインとアベルの兄弟殺しだ。
人の歴史にはいつも殺人が寄り添ってきた。
それほどまでに甘美で芳醇な禁断の果実。
だから私は誰も知らない殺人の方法と至高の味を探し求めた。
(長嶺)当時相良は新進気鋭の芸術家だった。
人々を魅了する絵画や彫刻を生み出したその手で…。
多くの命を奪い狂気の犯罪を重ねたんだ。
長嶺さん!ああ?どうした?行くぞ。

(悲鳴)
お屋敷には須崎さんがレジャー施設開発に向けて協力を依頼した友人6人が招待されていました
絵画ギャラリーを経営している私の叔母綾羅木瑤子
その姪っ子の私
まあこの叔母と私はあまり親しくありませんが
だってめったに家にも来ないし
それから弁護士の安東さんと料理研究家の栗田さん
岩中さんは経営コンサルタント
神木さんは瑞上市の市会議員さんです
このお屋敷の持ち主須崎史郎さんは元病院の理事長
今は実業家です
(岩中)ドン!ええっ!ツーペア。
いやあ…また負けた。
ハハハ…さすが先生勝負強いですね。
たまたまですよ。
もう1回もう1回。
ええ。
今港に電話してみたんですが今晩は嵐で船が欠航になったそうです。
じゃあ須崎さん戻ってこれないんですか?なんだよそれ。
大変申し訳ございません。
ご主人様にも電話したんですが繋がりませんで…。
(安東)天候なら致し方ありませんね。
しかしなんとも奇妙な状況になりましたな。
主のいないこの屋敷で見も知らぬ皆さんと一夜を共にするというのは。
まあ飲みますか。
ああ…。
今なんて言った?おじさん耳悪いんですか?三流のイカサマはやめたらって言ったんです。
見てるこっちが恥ずかしくなる。
適当な事言うな。
いいか俺は配る前にちゃんとこの先生にもカード切ってもらってるんだよ。
それに勝ってるのは私のほうだが…。
おじさんも耳悪いんですか?えっ?それが手口。
まずはいい気分にさせてから頃合いを見計らってお金賭けて搾り取ろうとしたの。
しかし私は確かにカードを…。
切ったつもりになっただけです。
この人は配る直前に隠し持ってた5枚のカードを一番下に混ぜた。
で最初から役の出来上がった5枚をおじさんに配ってたの。
ボトム・ディール。
ポーカーの初歩的なイカサマの手口。
(岩中)ふざけるな。
おいおい証拠でもあるのか?あるよ。
見せてみろよ。
人間は四足歩行だった頃敵から逃げるために手から滑り止めの汗を出してたの。
だから今でも緊張すると手に汗をかくの。
こんなふうにね。
(岩中)このガキ!
(安東)やめたまえ。
(岩中)うるせえな。
じじいはすっこんでろよ。
私だけじゃない。
ここにいる皆さんも君のおかげで迷惑をしているんだ。
フン…。
気分悪い。
いいかよく覚えておけ。
おめえみたいな生意気なガキ今に必ず泣き見るからな。

(ため息)
(瑤子)あっすいません。
なんだかお騒がせしちゃって…。
いえ姪御さんのせいじゃありませんよ。
(栗田)そうですよ。
悪いのはあのペテン師ですよ。
(安東)いやあそれにしてもいささか驚きましたね。
姪御さん年齢の割には並外れた知識と聡明さをお持ちのようだ。
この子の両親は有名な探偵なんです。
探偵?その2人の才能を受け継いでかIQも観察力も昔から桁外れなんです。
でも両親が仕事で忙しいせいか寂しい思いをしてるのよね。
(雷鳴)
(雷鳴)有紗ちゃん1人でお風呂入れるわよね?うん。
ねえなんか変だよ。
どうしたの?トランクの位置が変わってる。
もっと右に置いたのに…。
間違いない。
誰かこの部屋に入ったんだ。
まさか。
気のせいでしょ。
別になくなってるものなんか何もないけど。

(足音)
(足音)
(足音)
(雷鳴)
(雷鳴)
(雷鳴)
(物音)誰?そこで何してるの?タバコが吸いたくてね。
マッチかライターがないかと思って。
そうなの?さっきは一本も吸ってなかったみたいだけど。
禁煙中なんだ。
駄目だよね意志が弱くて。
君こそこんな時間にどうしたの?叔母さん心配するよ。
いないの。
えっ?叔母さんがどこにも。
そいつは妙だ。
一緒に捜そうか?いいです。
どうして?神木さんあなた何か隠してません?どういう事?本当に瑞上市の市議会議員?疑ってるの?心外だな。
瑞上市って確か1週間前に市長が不適切発言でトラブルを起こして退職申し出を受理されましたよね?そんな緊急時に市議会議員がのんきにバカンス?市長とは反対勢力に属していてね。
今は静観を決め込む方針なんだ。
以後お見知りおきを。
こう言ったらなんだけど叔母さん夢遊病だったりしない?今頃案外ベッドに戻ってるかも…。
それはない。
叔母さんはわざわざ着替えてから部屋を出てる。
一度パジャマに着替えたのは多分私にも気づかれずに部屋を出ようとしたから。
その上時計のアラームまで…。
うっかり眠った時のためにセットしてたんだと思う。
つまり…叔母さんは最初からこの時間に誰かと約束してて部屋を出てったの。
そして戻ってこない…。
誰かって?そこまではわからないけど…。
誰もいないみたいだね。
(雷鳴)
(悲鳴)叔母さん…!?
(安東)なんて事だ。
須崎さんの留守の中でこんな事が…。
おいおい。
警察には電話したんだろうな?はい。
でも嵐のせいか屋敷中の電話が通じなくなってしまって…。
じゃあ島の外に連絡出来ないって事ですか?申し訳ございません…。
あの…船は?ございません。
あったとしてもこの天候では…。
ふざけんなよ!どうすんだよこんな状況で。
落ち着きたまえ。
騒いでも事態は好転しない。
(岩中)のんきな事言ってんじゃねえ。
おめえらだって本当はわかってんだろ?
(岩中)はっきり言ってやるよ。
この女はな殺されたのかもしれない。
だったら犯人はこの中にいるって事だ。
(岩中)落ち着いてなんかいられるか!なんか犯人の手がかりねえのか?そうだ。
お前姪っ子だよな?この女からなんか聞いてんじゃねえのか?誰かに…ほら恨まれてるとか。
そういえば叔母さん誰かと約束してたって。
(岩中)そうなのか?なんとか言えよ。
おい。
おい!さっきまでの大人馬鹿にしたクソ生意気な態度どこいった!やめたまえ。
そうですよ。
落ち着きましょうよ。
(岩中)うるせえ!おい。
おいおめえが案外殺したんじゃねえのか!?悪魔みたいなガキだし。
おい!おなかがすいてらっしゃるんじゃありませんか?何かお作りしましょうか?
(岩中)いかれてんのか!?この状況で!この状況で私に出来るのはそれぐらいの事ですから。
どうか少し落ち着かれてください。
有紗様は叔母様を亡くされたんです。
これ以上有紗様を傷つけないでください。
くだらねえな。
どいつもこいつも善人ぶりやがって!人間の本性なんてな薄汚え欲望の塊なんだよ!とにかく!今日はもう寝ましょう。
それぞれの部屋でしっかりと鍵をかけて。
くれぐれも用心して…。
そうするより仕方がないようだね。
明日になったらこの嵐もやむだろう。
でも寝られるかな…。
有紗様。
よかったら私の部屋で一緒に休みませんか?
(岩中の笑い声)そりゃそうだろ。
優しい言葉かけといて案外あんたが殺人犯かもしれないんだからな。
おお怖い怖い…。
ハハッハハハハ…!
(岩中の笑い声)
(雷鳴)
(ノック)
(ドアの開く音)有紗様?まだ起きていらっしゃいますか?念のためお屋敷の周りを見てまいりましたら誰かいるような事はありませんでした。
ごめんなさい。
急に来たりして。
いいえ。
来てくださって嬉しいです。
あったかい…。
もう覚えてないからママと一緒に寝た時の事。
ゆっくりお休みくださいね。
クソッ…。
繋がらない…。
クソッ…!
(足音)おはようございます。
おはよう。
昨日はありがとう。
よくお休みになられてよかったです。
電話まだ繋がらないの?はい…。
叔母様本当にご不憫でした。
早く警察に来てもらいたいんですが…。
あとで念のため電話線を見ておきますね。
この嵐では船も欠航だと思いますし…。
有紗様。
ちょっとお手伝いをお願いしてもよろしいですか?こんな感じ?ええ。
結構難しい。
とってもお上手ですよ。
一度お料理やってみたかったんだ。
ねえみんなの分も作ろうか?皆様はもう缶詰やインスタント食品を召し上がられました。
私が料理に毒でも入れるんじゃないかって心配なさったようで。
安東様だけはまだお休みになってるようです。
安東さんが?はい。
何か?有紗様!?どうなさいました?気になるの。
年配の安東さんだけがこの時間になっても起きてこないのが。
(ドアをたたく音)安東さん!安東さん!安東さん?鍵は?ご主人様の部屋に合鍵が。
(ドアをたたく音)安東さん!どうかしましたか?安東様がお部屋から出てらっしゃらないものですから…。
えっ?安東さん!
(ノック)
(栗田)安東さん?
(ノック)安東さん!
(ドアノブを回す音)ちょっと下がって。
(蹴る音)
(栗田)安東さん。
安東さん…!息をしてない。
死んでる。
(栗田)これで2人目だ。
どうして…?こんな不自然な死に方事故死じゃあり得ない。
叔母さんの時だって変だし。
間違いない。
この屋敷の中に殺人犯がいる。
そんな…。
私の…。
(栗田)あっこれ。
まさか盗撮!?信じられない…。
こんな真面目そうな人が。
じゃあ有紗様の周りをうろついてたのは…。
なんか変だよ。
トランクの位置が変わってる。
(足音)
(雷鳴)
(栗田)なんてこった…。
さあ行こう。
有紗様。
やっぱりこのにおい…。
海水だよ。
何言ってんだよこんな時に。
おかしいよ。
どうしてこの部屋に海水があるの?このお屋敷には海水など保存しておりませんが。
だとしたら…犯人がわざわざ安東さんを海水で溺死させるためにくんできたのかもしれない。
昨日の叔母さんだって…。
あれは恐らく叔母さんの血痕。
叔母さんの頭には傷があった。
どこからか転落した可能性が高い。
そうすると犯人はあの脚立の上からわざわざ叔母さんを落として殺した事になる。
まさかそんな面倒な事を…。
考えすぎじゃないのか?血痕はひょっとしたら瑤子さんの血じゃないかもしれない。
海水だって安東さんがくんできたものが元々あそこにあったのかもしれない。
ホームズいわく「探偵術に必要なのはたくさんの事実の中から何が重大なのかを見分ける能力」。
この2つの事件には明確な殺意がある。
それなのに犯人は転落死や溺死という面倒な手法をあえて採ってる。
そこにはきっと意味がある。
それにわかった事が1つある。
少なくとも智美さんは犯人じゃない。
えっ…?だってそうでしょ。
脚立の上に叔母さんを持ち上げるなんて女性には不可能。
つまり犯人は男。
岩中さん。
神木さん。
そして…。
待ってくれよ!決めつけるのはまだ早いだろ。
いいか犯人が男だとしても俺たち以外にこの島に誰かが潜んでる可能性だってある。

(パトカーのサイレン)ああこの男だよ。
間違いないですね?
(相良)すいません。
船出してくれないかな?
(翔子)でその男を鬼雷島へ連れていった?いや。
忙しいから断った。
そしたらその晩古い船が盗まれてな。
船が…?この男じゃないかと気になってたんだよ。
その鬼雷島に住民はいるんですか?確か屋敷を持ってる金持ちとそのお手伝いさんがいるらしい。
船を出してください。
馬鹿言うんじゃない。
この嵐の中で。
人の命が懸かってるんです!海をなめるな。
島に着く前に俺やあんたが死ぬぞ!それはつまり俺たち男3人の中にその殺人犯がいるっていうのか?まだわからない。
ただその可能性がある以上みんなで一緒にいるしかない。
犯人にこれ以上好き勝手させないために。
偉そうな口たたくな。
俺が犯人なわけねえだろ!って事はおめえらのどっちかだ。
俺は違いますよ。
私だって…!
(岩中)誰が信用するかよ。
横にいる奴が殺人鬼かもしれないんだ。
これ以上こんなところにいたらいつ殺されるかわかんねえ。
岩中様!どうなさるおつもりですか?
(岩中)屋敷を出るんだよ。
嵐が収まれば通りかかった船が見つけてくれるかもしれないからな。
駄目だよそんな!
(岩中)うるせえ!殺されるのじっと待ってなんかいられるか。
俺は選ばれた人間だ。
お前らなんかと違うんだよ。
どういう意味ですか?岩中様!岩中様…!放っておくしかないよ。
あんな事言ってあの男が犯人かもしれないんだ。
大変です!鍵が壊されてる!ここから誰かが自由に出入りしてた可能性がある。
まさか…!見て。
やっぱり誰かが出入りしてた。
(栗田)そんな…。
実は皆さんを不安にさせたくなくて黙ってたんですが今朝電話線を調べに行ったんです。
まるで鋭い刃物で切られたような…。
誰かが外部に連絡を取らせないようにした。
俺たちをこの島に閉じ込めるために。
もしその誰かが屋敷の外に潜んでいるんだとしたら…。
岩中さんが危ない!帰りてえなあ…。

(殴る音)岩中さーん!岩中さん!岩中さーん!岩中さーん!わあっ!大丈夫ですか?しっかり…離さないで。
岩中さん!ああ…。
どうしたの?遅かった…。
一体誰がこんなまねを…?やっぱり俺たち以外この島に誰かいるのか?頭に殴られた痕がある。
犯人にやられたんでしょうか?だとしたらやっぱり変だよ。
犯人は今度もわざわざ面倒な殺し方をしてる。
頭を殴って地中に埋めてから殺すなんて。
青酸カリかな…?彼の口元から血が。
恐らくこれを飲まされたんだ。

(有紗の声)綾羅木瑤子転落死。
安東喜一郎溺死。
岩中聡毒殺。
わかった。
これまでの3つの不思議な殺人事件には…ある共通点がある。
共通点?大人は気づかないかもしれない。
世界中で有名なある物語に登場する場面によーく似てるの。
ある物語って?1865年イギリスの数学者チャールズ・ラトウィッジがルイス・キャロルのペンネームで発表した児童小説。
『不思議の国のアリス』。
『アリス』の中に出てくる擬人化された卵のハンプティ・ダンプティは塀の上から転落した。
主人公アリスは涙の海で溺れた。
そしてアリスは小瓶に入った薬を飲み体が小さくなった。
アリスが手に入れた小瓶には「DRINKME」のラベルが貼られてた。
犯人はこの島で『アリス』になぞらえて事件を起こしてる。
きっと理由があるのよ。
理由?ホームズいわく「人の考え出した犯罪を解明できるのは人に他ならない」。
そこから犯人の正体がわかるはず。
それはどうかな?どういう意味?もし理由なんて何もなかったとしたら?確かに犯人は『アリス』になぞらえて事件を起こしてるのかもしれない。
でもただ単に殺人の快楽をむさぼってるんだとしたら?この次の犠牲者は私たちかもしれない。

(雷鳴)
(長嶺)今すぐ島に渡る必要があります。
なんとかヘリを!はい。
いや…この天候はわかっています。
しかし奴を逃がすわけにはいかないんです!お願いします。
お願いします!
(長嶺)はい。
はい…。
わかりました…。
ああっ!
(翔子)長嶺さん!昨日鬼雷島に行くと6人の男女が船で渡ったそうです。
中には子供までいたとか…。
なんだと!?まずいですよね?もし相良と遭遇したら…。
すぐ港の防犯カメラで身元をあたるぞ。
屋敷の持ち主とはまだ連絡つかないのか?はい…。
携帯もずっと繋がらなくて。
クソッ…こんな時に!何か別のものをお持ちしましょうか?いいえ…食欲がなくて。
当然ですよ。
たった2日の間にこの島で3人も殺されてるんだ。
こんな異常な状況下で食欲があるとしたら犯人ぐらいのもんだ。
申し訳ございません。
ちょっとおじさん!そういう言い方はないんじゃない?失礼。
そのお嬢さんの推理によると犯人は男らしい。
もしこの島に誰も隠れていないとしたら栗田さん俺かあなたのどちらかという事になる。
どう思います?俺は…。
いい加減にしてよ神木さん!前から思ってたけどやっぱりあなた怪しい。
なんだと?ねえ本当に政治家なの?メッキが剥がれてきたんじゃない?智美さん。
はい。
お願いがあるの。
須崎さんの部屋を見せて。
ご主人様のお部屋を?部屋の合鍵は須崎さんの部屋に置いてあったんでしょ?安東さんは自分の部屋で殺された。
という事は犯人は安東さんを殺す前に合鍵を盗みに須崎さんの部屋に侵入したはず…。
何か手がかりを残しているかもしれない。
鍵がありません!犯人が持ち去ったって事ですか?あっ…。
(栗田)どうかしたんですか?あっ…ご主人様の宝石と貴金属がありません!それも犯人が?ねえ智美さんこの金庫の事知ってた?いいえ…。
隠し金庫か…。
パスワード入れないと開かないみたい。
ねえ心当たりの6文字のアルファベット教えて。

(エラー音)
(エラー音)
(エラー音)
(エラー音)駄目だ…。
申し訳ありません。
心当たりはもうそれで全てで…。
須崎さん信心深い人なんだ。
はい。
キリスト関連の名前とか…。
信者にとって6文字の大事なワードがある。
EASTER。
イエスの復活祭。
(解錠音)「相良恭司」…?相良恭司ってまさかあの脱獄犯の?「須崎さん。
お手紙をありがとうございました」
(相良の声)「卑しい獄中から筆をとる御無礼をどうかお許しください」「思い起こせば病弱な私は人一倍生命力の弱い子供でした」「春になって桜を見る度に自身が来年まで生きられるのかという不安を胸に忍ばせておりました」「芸術家になった理由も無限の世界を見つめることで生きている意味を実感したかった」「しかし皮肉にも芸術の世界を知れば知るほど己の才能の儚さと無力さを知り絶望していきました」
(相良の声)「そんな私が生まれて初めて納得いく作品を生み出したのは人を殺めた直後でした」
(相良の声)「あの時の恍惚と高揚は今でも忘れられません」
(相良の声)「以来人の命を葬る度に蛍火のような創作イメージがともり芸術の深淵に近づける気がしました」
(相良の声)「今も人を殺したい」「これまでとは全く違う殺し方を実験したい」「須崎さんの屋敷があるあの美しい島で」まさかこの連続殺人の犯人はあの相良恭司?
(雷鳴)全て奴が仕組んだとしたら…。
ここは実験場?俺たちはおびき寄せられた…?
(雷鳴)「須崎さん。
私たちはともに罪びとです」「二十年前己の欲望に魅入られ悪魔に魂を売り渡した」「そして今その代償を悪魔に支払わなければならない」「この世に人間として訣別しともに悪魔となるために」「相良恭司」20年前?悪魔?あの相良恭司が犯人なの?ねえ教えて…。
私たち…生きて帰れるよね?ねえもうこれ以上誰も死なないでしょ?大人なんでしょ?答えて…お願い答えて…。
明日自分が生きていられるかもわからない。
もう二度と…大切な人に会えないかもしれない…。
なんで…?なんでこんな事になったの?どうして!?
(たたく音)
(すすり泣き)
(秒針の音)
(風の音)《帰りたい…》《帰りたい…!》《パパ!ママ!》《帰りたい!帰りたい!》ああーっ!ああっ…!ああーっ!ああーっ!あっ…。
(綾羅木)大丈夫か?有紗。
ママに電話して帰ってきてもらおうか?大丈夫。
ルナちゃんがいるから。
ママがプレゼントしてくれたんだもん。
うん。
おい!おい!おいしっかりしろ!おい!おい!!よかった…。
どこか痛むところは?どうした?いないの…ルナが。
ルナ!ルナ!ルナ?もういいよ。
潮の流れが変わってたら別のほうに流れちゃってる。
確かに君は頭がいい。
きっと天才ってやつなんだろう。
だけど…俺は諦めないっていうのも立派な才能だと思ってる。
えっ?世の中はきっと理屈や数字だけじゃない。
だから絶対に諦めるな。
俺たちは必ず生きて帰る。
ルナちゃんも必ず見つかる。
待ってろ。
あったぞ!ルナちゃん…。
よかったな。
ありがとう…。
どうかした?いや…。
さっさと帰ろう。
いつまでもこんなところにいると危ない。
あっ…ああ…。
す…須崎さん…!?まさか…ああ…。
どうして?須崎さんは島を出たんじゃなかったのか?須崎さんの時計が落ちてた。
日付は2日前で止まってる。
襲われた時のショックで壊れたんだと思う。
つまり2日前須崎さんは誰かに襲われ殺された…。
須崎さん島を出ていなかったのよ。
一体誰が!?アリスは物語の最後にトランプの兵隊に襲われそうになる。
須崎さんも同一犯に殺された…?じゃあ相良に?
(長嶺)確かにこの6人が島に渡ったんだな?はい。
現在身元確認を急いでいます。

(長嶺)どうしてこいつが?何してる?なあ何してる?おじさん市議会議員神木章介じゃないよね?橘良太さん。
なんか理由があるんでしょ?ちゃんと説明して。
ねえ!皆さん!船です!船が来ました!助かったのか…。
おかしい…。
ねえ方向が違うよ!来た港と別のほうに…。

(長嶺)なんだ?こりゃ…。
(翔子)長嶺さん駄目です。
誰もいません。
あるのは遺体だけで…。
そんなはずはない…。
じゃあ残りの人間はどこに消えたっていうんだよ!?早くしろ!私たちをどうするつもり!?一緒に来てもらう。
どうして?早くしろ!はい…。
(相良)どうした?震えてるのか?かわいいなあ。
ああーっ!ああっ…。
クソッ!来い!
(相良)クソッ!次は殺すぞ!
(栗田)うわっ…。
ああ…はあ…。
はあ…。
あっ…。
まったく…。
なんでお前があの島にいた?ちょっちょっちょっ…待ってくださいよ!ねえ。
長嶺さんこちらは?橘良太なじみの便利屋だ。
便利屋?
(長嶺)ああ。
今まで何度か事件に絡んできた。
依頼人のためにすぐ首を突っ込んでくるお人よし野郎だ。
どういう事だ?説明しろ。
実は電話があって…。
待ってください。
ちゃんと詳しい話を聞かせてください。
(神木章介)「お願いしますよ」「あなたしか頼れる人がいないんです」あなたは私神木章介としてあの島に行ってくれればいい。
まあなんとなくうさんくさい依頼だなってのは最初から見抜いてましたよ。
結局ギャラに負けたか。
でもちっとも割に合わなかったですよ。
まさかこんな怖い思いをするなんて…。
相良には会ったのか?あんな奴からよく逃げられたなって思いますよ。
日頃の行いいいのかな?で奴の船は?おい。
まだ見つかってません。
そうですか…。

(携帯電話の着信音)もしもし?
(相良)「生きていたとはな」相良…。
(相良)「大したもんだ」「君は瞬時にあの子の意図を読み取った」「そして海を泳ぎきって助けを求めたという事か」あの子は?みんな無事なんだろうな?
(相良)「それは君次第だ」どういう事だよ。
6時間あげよう。
今から6時間以内に本物の神木議員を連れてきたまえ。
ただし警察に通報したり1分でも遅れたら…。
全員殺す。
そんな…俺が!?それに6時間だなんて…。
君が本物の神木じゃない事は最初からわかっていた。
だから君を人質にして神木をおびき寄せるつもりだった。
それなのに君は自分だけのこのこ助かろうというのか?あの子が死んでも平気なのか?俺ぶっちゃけあんたを見た瞬間ビビってすくんだよ。
今だってこうして話してるだけで怖くてたまんない。
頭から布団被って寝ちまいたい。
でもきっとぐっすり眠れない。
ここであのガキ見捨てたら夢見悪いからな。
フッ…。
要求をのむんだな?フフフフフ…。
ああ。

(足音)
(神木)で私をその相良っていう男の元へ連れてって引き渡すつもりなんですか?神木さん!俺だって馬鹿じゃない。
そんな事したらあなたが殺される事ぐらいはわかる。
人質だって帰ってくる保証はない。
今俺が出来る事は事件の真相を見つけて相良を止める事だけなんです!まあそうは言われても私は何も知りません。
そんなはずない!あなたはこの事件の真相を何か知ってる。
だからこそ危険を察知して俺を身代わりにあの島へ送り込んだ。
違いますか?誤解ですよ。
確かに私はあなたにあの島へ行くように依頼しました。
でもそれはあくまで私の代理としてです。
須崎さんとはもう古い仲だ。
いくら私の名前をかたっても会えば一発でわかってしまいますよ。
総務に。
でもあの時確かに電話で…!だから誤解だと申し上げてるんです。
せっかくのお招きを断るのも忍びなくてあなたに参加してもらっただけなんですよ。
それとも他に何か証拠でもあるんですか?なるほど。
初めからそんな言い訳を用意していたわけですか。
私も忙しい身なんです。
そろそろお引き取りください。
(ドアの開閉音)何か知っているんじゃありませんか?人の命が懸かってるんだ!もし何か隠してるような事があればあなただって罪になりますよ。
聞いてしまったんです。
3日前の事です。
(神木)どうして今さら20年前の事を…?聞いてるのか?
(舌打ち)聞いてるのか?相良さん!20年前何があったんです?そこまでは知りません…。
恐らく今回の一連の殺人事件は20年前の何かが関係してる。
相良は神木さんも殺したかったはずなんです。
えっ…?20年前神木さんはなんの仕事をされてたんですか?代議士秘書でした。
確か岩中義彦先生の。
岩中義彦って元幹事長の?
(秘書)はい。
岩中…?俺は選ばれた人間だ。
お前らなんかと違うんだよ。
あいつまさか…岩中幹事長の息子?
(荒い息遣い)困ります!先生はご親族にご不幸がございまして誰にも会いません。
そのご親族についてお話があるんです。
(秘書)困ります!
(岩中輝彦)どうした?あなたは?橘といいます。
聞きたい事があります。
あなたのお父さん岩中義彦さんと弟さんの20年前の事です。
岩中さん。
俺は相良恭司と今回の弟さんたち被害者が20年前の何かと関わりがあると考えています。
何かご存じありませんか?
(輝彦)私の父は3年前に亡くなりました。
末期がんに侵されていた父は私にだけ打ち明けてました。
死ぬのが怖い。
それは20年前悪魔のような所業をしたからだと。
悪魔のような所業?
(エレベーターの作動音)
(輝彦)弟は生まれつき腎臓が悪く透析を続けてました。
しかし腎臓は悪くなる一方でもう移植に踏み切るしかなかった。
そんな時ドナー探しを協力してくれたのが病院理事長の須崎さんでした。
やがて一人の少女の腎臓が弟と適合する事がわかりました。
少女の父親は最初断りましたが経済的に困っていた。
それで交渉役を買って出てくれたのが弁護士の安東さんです。
少女の父親というのは売れない芸術家でした。
そこで父は知り合いのギャラリー経営者に彼の作品を扱うよう依頼した。
綾羅木さんです。
そして当時父の手足となって相手と接触していたのが秘書だった神木さんです。
(輝彦)弟の移植は無事に成功しました。
しかし弟は助かりましたが術後ドナーの少女の容体が急変して亡くなってしまったんです。
しかも父たちはその危険性に最初から気がついていた。
(ため息)弟を助けるために一人の少女を犠牲にしてしまったんです。
そのドナーの少女の名前はなんていうんですか?親が芸術家ってまさか…。
相良美登里。
(輝彦)相良恭司の実の娘です。
ここは…アトリエ?「相良美登里」
(ドアの開く音)
(足音)相良の娘がそんな死に方をしてたなんて…。
(輝彦)恐らく相良は娘が死んだ時金のために子供の腎臓を売った自分を呪った。
そして心が壊れてあれほどの凶行を繰り返した。
(ため息)皮肉な事に人を殺すようになってから彼の芸術家としての評価はうなぎ登りだったそうです。
それが余計に相良をむしばみ狂気に目覚めたのかもしれない。
(足音)
(荒い息遣い)智美さん。
有紗様!よかった…。
ご無事だったんですね。
智美さん栗田さんは?わかりません。
別の部屋に閉じ込められてたんで。
ねえここを出て助けを呼ぼう。
はい。
(足音)
(男の笑い声)
(男の笑い声)智美さんこっち。
(男の笑い声)
(足音)フフ…ワインを開けてくれ。
乾杯といこう。
もう1人いる…。
誰?
(相良)乾杯の起源を知っているか?悪魔払いだ。
古来酒には悪魔が宿っていると恐れられたのだ。
しかし現実は皮肉なものだな。
あの孤島で悪魔のような所業を行った私とお前がこうして…。
(相良)フフフフ…。
ああ…。
こうも見事に『アリス』の世界を再現出来るとはな。
どこか懐かしい気がしたよ。
時を超えて弟子だったお前ともう一度共作出来たような…。
(瑤子)なんですか?大事なお話って。
(殴る音)
(落下音)
(相良の声)お前から娘の復讐を持ちかけられた時私はようやく己の生きる目的を見いだした気がした。
(雷鳴)
(相良の声)そして自分の中にそんな心のかけらが残っていた事に驚いたよ。
(刺す音)
(相良の声)だからお前には感謝してた。
(相良)なのにこれはなんだ?これがお前の本当の目的だったわけか。
私の道具の分際でこの私を裏切るとはな…。
(相良)うっ…。
(相良)ああ…あっ…。
(ワイングラスの割れる音)俺は道具じゃない。
地獄へ落ちろ…!知らなかったのか?ここが地獄だ。
ああ…あっ…。

(栗田)うわっ…!有紗様逃げて!でも…。
早く逃げて…!うっ…。
早く逃げて!ぐっ…!離せ!うっ…。
うわーっ!ぐっ…ううっ!
(切りつける音)うわっ…うう…。
(栗田)もう…!ああーっ!やめてっ!やめて!あっ…!栗田馬鹿なまねはやめろ!やめて!智美さんを離して!来るな!来たらこの女をぶっ殺すぞ。
ああ…あっ…ああっ…。

(鳥の鳴き声)どうぞ。
おい傷はどうだ?かすり傷ですよ。
労災おりないのが残念です。
勝手なまねした罰だ…。
栗田の事は知ってるか?新聞で読みました。

(長嶺)待て!おい!
(落下音)今回の首謀者は恐らく栗田だ。
奴はここ最近で相良に何度も面会をしている。
そこで20年前の真相を伝え脱獄を決意させたんだろう。
あとは相良を利用して大金を手に入れるつもりだった。
相良を殺した毒も須崎の家から盗んだ宝石も奴が隠し持ってた。
奥野智美はどうなったんですか?車から彼女の血痕と靴が…。
(翔子)栗田の所持していたナイフから奥野智美の血液反応が出ました。
恐らく逃亡中に彼女を…。
どこかに遺棄したんだろう。
現在も捜索は続けられてるが…。
あの子に教えてやらないと…。
あれからずっと心配してるんです。
つらいな…。

(携帯電話の着信音)ふう…。
もしもし?連れてってほしいところがあるの。
いいけど…。
急にどうしたの?事件はまだ終わってないから。
えっ?なあどういう事だよ?事件が終わってないって。
ホームズいわく「不可能なことを消去していった時いかにあり得なく見えても残ったものこそが真実である」。
私たちは今からあり得なく見えた真相に向き合うのよ。
意味がわかんないよ…。
見て。
えっ?どうして!?あなたは…!ここに来ると思ってた。
ここには彼女が眠ってるから。
相良美登里ちゃん。
智美さんあなたの娘さんですね。
この本に挟まってた。
「ママだいすき」って…。
ママ?どういう事ですか?美登里ちゃんは父子家庭で育ったはず。
全て私のせいなんです…。
当時夫の相良は芸術家として世の中から認められずにいつも苛立ってました。
子供が生まれても私も美登里も籍に入れようともせずただ暴力を振るい続けました。
このままじゃ2人共殺される!そう思って私は生まれたばかりの美登里を連れて彼のもとを逃げようとしました。
でも相良に見つかって美登里は連れ去られ私は捨てられました。
私は何度も美登里を取り戻そうとしました。
でも出来なかった…。
どこに隠れても相良は私たち2人の居場所を突き止めて美登里を連れ去った。
そんな事の繰り返しに私はもう…疲れ切ってしまって。
相良が美登里を自分の戸籍に入れたと聞いてどこかで安心してました。
あの人にも人並みの父親らしい気持ちが残ってたんだ…。
これで美登里もいつかは幸せになれる…。
あんな男でも一度は愛した人ですからそう信じたかったのかもしれません。
でもそれは間違いだった。
ええ…。
やがて美登里が死んだと聞かされました。
理由は知らなかったんですね?はい。
ただ病気で死んだと。
でも栗田さんが…。
あなたに打ち明けるかどうか迷いました。
でも真実を伝えるべきだと思ったんです。
どういう事ですか!?美登里は…病気で死んだんじゃないんですか?相良さんは金と引き換えに美登里ちゃんの腎臓を売った。
えっ!?
(栗田)それで彼女は死んでしまった。
(智美の声)それから私は美登里の死の真相を調べ始めました。
一人でコツコツと…。
そして美登里の死に関係した人たちが見えてきたんです。
それであなたは関係者の一人須崎さんの家で働き始めたんですね?はい。
(須崎史郎)まさか相良が連続殺人を起こすとは…。
しょせん愚かな芸術家崩れですよ。
大丈夫です!
(須崎)奴の娘を犠牲にした事はばれていません。
もちろん岩中先生にご迷惑はおかけしません。
ハハハッ…。
毎晩夢を見ました。
夢の中で娘が言うんです。
ママつらいよ…ママ苦しいよ…。
あなたは計画を練り始めた。
美登里ちゃんの無念を晴らすため。
美登里ちゃんが大好きだった『アリス』の物語になぞらえて。
そのために栗田を使って相良を脱獄させたんですね。
ええ。
あの日が私たちの復讐の物語の幕開けでした。

(相良)よ〜く味わうがいい。
最後の晩餐だ。
お前らももう人間じゃなくなる。
復讐にとりつかれ加担する悪魔になるんだからな。
後悔しないわあの子のためだったらたとえ地獄の底まで真っ逆さまに落ちても…。
相良を利用したのは彼への復讐でもあったの?あの男が娘の命を奪った元凶です。
殺しても殺し足りませんでした。
しかしあなたの唯一の計算外が栗田さんだった。
まさか彼が裏切り者のユダになるなんて。
えっ?はあ…。
今でもわからないんです。
彼がどうしてあんな事をしたのか…。
(栗田)言うとおりにしろ。
何をするつもり!?あーっ!
(切りつける音)栗田さんが亡くなった時の事を聞きました。
警官に追い詰められ飛び降りて死んだ。
でも…。
栗田さんは笑っていたそうです。
安らかな顔をして…。
その意味がやっとわかった気がします。
栗田さんは智美さんの事がずっとずっと好きだった。
だから嬉しかった。
栗田さんは全部の罪を一人で被って飛び降りたんです。
智美さんには生きてほしい!あの安らかな死に顔は智美さんへの最後のメッセージだと私は思います。
はあ…。
(すすり泣き)栗田さんが…。
嘘…嘘です!嘘です!私は栗田さんに愛されるような女じゃない!美登里!美登里…。
なんとしてもあなたを取り戻すべきだったわ。
たとえ殺されたってあなたを相良のもとに置いておくべきじゃなかった。
でも私は逃げたの…。
自分が傷つくのが怖くて…あなたを置いて逃げた。
最低の母親…。
あなた気づいてたでしょう?私の事恨んだでしょう?どうしてママは私に会いに来てくれないの?どうして助けに来てくれないの?恨みながら死んでったんでしょう?そんなあなたが不憫で…。
まさか青酸カリ!?やめろ!許して…。
私にはもうこうするしかないの。
やめて!お願い…もうやめて!私智美さんに会えて嬉しかったの…。
一緒にベッドで寝て2人でお料理して手繋いで…。
あんな恐ろしい状況だったのに智美さんと一緒にいるといつもどこか安心出来てあったかい気がしたの…。
その理由がやっとわかった。
お母さんのにおいがしたから。
甘くて優しくて全部包み込んでくれるような…。
ママがそばにいてくれたらこんな感じだったのかな?って。
有紗様…。
それなのにどうして!?智美さんお願い死なないで!私は許されない事をしました。
死んだら…会えない二度と。
もう私やだ!お願い…!美登里ちゃんは言うよ「ママが大好き!」って。
死んじゃ嫌だよ!お願い…!お願い…お願い…。
死んじゃ嫌だよ!
(相良美登里の声)死んじゃ嫌だよ!死んじゃ嫌だ…。
(美登里の声)死んじゃ嫌だよ!死んじゃ嫌だよ!お願いします。
もうこれ以上この子たちを悲しませないであげてください。
(泣き声)
(美登里の声)ママありがとう!ずっと宝物にするね。
ごめんね…。
ごめんなさい…。
ごめんね…。
そして私は不思議の国から帰ってきたアリスのように日常に戻りました
(携帯電話の着信音)あっパパ!?
(綾羅木)「大丈夫?寂しくないか?」「お土産たくさん買って帰るから」もう子供扱いしないで。
私は大丈夫。
「パパのほうこそお仕事頑張ってよね」フフッ…そうだね。
「ねえパパ」探偵のお仕事って…すごいね。
どうしたんだ?急に。
「フフッ…なんでもない!じゃあね頑張ってね〜」は〜い。

(チャイム)よっ!元気?何?いきなり。
担々麺好き?はっ?近くに美味しい店があってさ。
そっか〜。
お子様にはまだ早いか。
でもそこ塩ラーメンもいけるらしいから。
よかったら行かない?言っとくけど担々麺は大好きです。
よし!じゃあ行こう。
ちょっと待って…。
レディーはね準備があるの。
何言ってんの?準備があるの…。
いやもう行こうよ。
えっと塩ラーメンと担々麺。
(店員)はい。
あざーっす。
でも本当によかったの?担々麺美味しいのに。
今日はたまたまそんな気分じゃなかっただけ。
それよりさなんでいきなり来たわけ?なんでそんな事聞くわけ?えっ?だって俺らもう友達だろう?まあそれとあれだ。
君の推理力は大したもんだしもしよかったら俺の助手になってくれないかなって。
嫌。
絶対に嫌。
あんたが私の助手だから。
えっ?あんたがワトソン。
私がホームズなんだからね。
アッハハハ…!
(店員)はいお待ち。
(2人)いただきます。
う〜ん美味しい。
フフフッ…。
2017/01/28(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
ドラマスペシャル 探偵少女アリサの事件簿[字]

本田望結初主演!天才少女・本田望結×怪しい家政婦・名取裕子…事件の鍵は、あの有名な童話「不思議の国のアリス」。“オトナなのに、こんな簡単な謎も解けないの?”

詳細情報
◇番組内容
綾羅木有紗(本田望結)は、両親ともに探偵業を営み、自身も抜群の洞察力、IQの高さで、時には父親を手伝うほどの探偵能力を持つ少女。休暇で、叔母の瑤子(大河内奈々子)と絶海の孤島にある屋敷にやってきた有紗。到着翌日、瑤子が転落死体となって発見され、連続殺人事件に発展…。屋敷の家政婦・奥野智美(名取裕子)や市議会議員を名乗る男(田中圭)と共に、犯人に追い詰められていく…。
◇出演者
本田望結、田中圭、岩城滉一、神保悟志、大河内奈々子、矢野浩二、内藤理沙、高杉瑞穂、寺田農、名取裕子
◇原作
東川篤哉『探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて』(幻冬舎文庫刊)
◇脚本
谷口純一郎
◇監督
星田良子
◇企画
古賀誠一
◇スタッフ
飯田爽(テレビ朝日)、浦井孝行(オスカープロモーション)