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セリフ書き起こし おんな城主 直虎(4)「女子(おなご)にこそあれ次郎法師」 2017.01.29

(直盛)「息女とわを人質として遣わす事。
この儀に背く事あらば成敗もやむなし」…。
井伊は命令に従わぬ事に怒った今川におとわを人質として差し出すように命ぜられた。
じゃがおとわの気骨南渓和尚の策も功を奏し無事井伊谷に戻れる事にあいなった。
それもつかの間…。
(南渓)「一女とわの出家をもって本領安堵」…。
(おとわ)井伊はよいのう。
(たけ)井伊だけにでございますね。
ハハハハハッ…。

 

 


(鶴丸)おとわ様。
鶴!おおじじ様に川名に連れ去られたのではなかったのか?おとわ様が帰ってくるのじゃから取り替えっこじゃと殿がおとりなし下さった。
そうか。
それはよかったのう!しかしおとわ様はよう戻してもらえたの。
うむ。
出家をする事と引き換えにの。
え?つまりは出家するのか?うむ。
どうしたのじゃ?いや出家をすれば戻ってこられたとしても亀とは夫婦になれぬのではないかと。
まさか考えておらなんだのか。

(直平)一女とわの出家をもって本領安堵。
本領安堵と引き換えとされては折を見てそろそろ還俗とはいきにくくなったな。
半ば成功で半ば失敗というところか。
今川も甘くないの。
(直平)じゃからわしは鶴丸を戻すなと言うたのじゃ!これでまた小野の押さえが効かんようになってしまうわ。
案ずべきは小野ではなく今川でございます。
陰で余計な事をしおるのは小野じゃ!
(左馬助)しかしおとわ様を戻さぬとなったら家督はどうなりましょう。
(南渓)まあ亀もなんとか泳いどるようだしの。
では亀之丞は。
まあまああまり先の事を考えてもの。
明日今川が消えてなくなるかもしれぬし。
(左馬助)こたびはおとわ様が無事戻られた。
それだけでよしとせねばならぬのかもしれませぬな。
(床をたたく音)まあ出家というても家にはおるわけであるし。
(南渓)その事じゃがの。
とわを寺に引き取りたいのじゃ。
尼暮らしはとわには退屈なのではないかと思うてな。
(直盛)出家したくない!?だって出家をしたら亀と一緒になれぬではないですか。
もとより覚悟の上ではなかったのか?だっていろいろ起こるし。
あれもこれもいっぺんになど。
(直盛)しかしのその…おとわの出家は本領安堵と引き換えになっておるゆえ。
本領安堵…?おとわが出家したならば井伊の領地をそのまま井伊のものだと認めてやるという事じゃ。
そんな…。
(千賀)おとわ。
母はあなたを誇りに思います。
己の身をていし井伊を救うなど誰にでもできる事ではありません。
それほどの事は…。
そなたのような立派な娘はほかにはおりませぬ。
まさに三国一の姫!そこまで。
うまい。
・お帰りなさいませ。
(鶴丸)父上。
お勤めご苦労さまでございます。
(政直)鶴丸。
人質にされておった事。
災難であったな。
ひとつお願いがございまする。
以後もかような事が起こらぬとも限りませぬしこの次は亥ノ介母上妹たちにも事が及ぶやもしれませぬ。
これ以上井伊の目の仇にされるような事はどうかおやめ下さいませ。
(ため息)父も困っておるのじゃ。
井伊の方々にあらぬ疑いをかけられ。
根も葉もない事で恨まれ。
全くどうしたものじゃろうのう。
ハハハハハッ!そして吉日。
おとわの得度式が行われたのじゃ。
(たけの泣き声)裏の寺へ行くだけなのですから。
(泣き声)殿。
これよりそなたの名を次郎法師とする。
次郎法師?
(南渓)次郎は井伊の家督を継ぐ者の幼名じゃ。
そなたの父も次郎であったしの。
そなたはかつて井伊の惣領娘じゃった。
女子にこそあれ次郎次郎法師じゃ。
(南渓)男の名は嫌か。
いえ。
そもそも我が本物の次郎であったら…亀もあのような目に遭わずとも済んだのではないかと。
父上母上。
とわは立派な次郎法師になります!昊天。
来たぞ。
(昊天)見れば分かります。
うわっ!うわっ…。
ここで入門を乞うて許されなければお寺へは入れませぬ。
えっ。
うわ〜っ!うわっ!…うわっ。
うわっ!…うわっ。
(南渓)おぬしは何しにここに来た。
は!?何をしに来たと聞いておる。
家の都合で出家せねばならなくなり。
ほう出家。
出家とは何ぞや。
お坊さんになる事ですか?僧。
僧とは何ぞや。
何って。
毛…毛のない者の事?毛。
では毛のない爺は僧か。
毛のない蛙は僧か!えっえっ!?僧とは何ぞや!え〜っ…。
ここがこれからそなたの寝泊まりする部屋になります。
皆と一緒なのか。
次郎。
私は兄弟子です。
言葉遣いに気を付けるよう。
細かい男じゃのう。
急ぎなさい。
作務があります。
作務?
(昊天)一日なさざれば一日食らわずです。
い…一日なさ…?禅宗では食事掃除畑仕事など日常の作務の全てを修行と見なします。
昊天。
我は何をすればよい…よいのですか?うわっ!
(読経)あれは何?…何ですか?あれは餓鬼に施すのです。
こんだけしかないのに!施餓鬼餓鬼道に落ちた衆生に施すのは僧の努めです。
(読経)・
(左馬助)釣れましたぞ!殿。
花が。
ああ…。
おとわ様がご心配ですか?少しな。

(千賀)よいから追い返してしまいなさい!
(たけ)姫様がおかわいそうで。
出家したその日に戻ってくるなど辛抱が足りないにもほどがあります。
あんな所で暮らすのは無理じゃ!死んでしまう!
(千賀)立派な僧になるのではなかったのですか。
(千賀)そなたの出家は本領安堵と引き換えなのです。
戻ってこられては困ります。
そなたは結局この井伊の家を潰す気ですか。
かような家こっちから出ていってやるわ!裏の寺へ戻るだけなのですから。
きつい女子じゃのう。
お方様は。
兄上らがふがいないからではないですか?お下知一つうまくあしらえずあげくの果てに十の娘の出家で本領安堵!情けない!ふがいないにもほどがあります!そう怒れば…何か変わるのでしょうか?とわを戻して頂けるのでしょうか?ご無礼を。
傑山。
待っていてくれたのか?
(傑山)寺は去る者は追わぬ。
出ていきたければ出ていかれればよい。
戻る所があるならな。
(南渓)とわは戻ったか?
(昊天)はい。
あの何故寺にお引き取りに?在家として館に置く手もございましたのに。
あの子はたった十やそこらで今川の下知をひっくり返したのじゃぞ。
ご初代様を拾った神主が一目見て「これはただならぬ子」と思うたらしいがわしはあの時ただならぬ子とはこういう者かと思うたのじゃ。
形こそ女子であれあれは次郎。
向後どんな道を歩むかは分からぬが少なくとも蝶よ花よと育てるものではないと。
そう思うたのじゃ。
おとわは出家したものの井伊家の火種はまだくすぶっておったのじゃ。
直満よ。
元凶は小野であるという事が分かっておるのに。
直盛の弱腰にはもう言葉も出んわ!直満のお知り合いか?
(左馬助)何故直満殿の所領がそなたのものになる!先ほどからご説明申し上げておりますとおり太守様よりのお下知がこちらに。
(左馬助)しかしこちらは本領安堵とのお達しを頂いておるのじゃぞ!
(政直)これも太守様のお達しです。
こたびは井伊の申し立てを受け入れたが決して謀反の事は忘れたわけではない。
ゆえにそれがしにしっかり目付せよとこのお下知にはそういう心が含まれているような気が致します。
(直由)ぬけぬけと。
どうせおぬしが乞い願ったのであろう!
(政直)それはあまりなおっしゃりよう。
こたびの事私も尽力致しましたものを。
(直由)はあ!?
(政直)新野様に先駆け今川館へ参り太守様に人質だけはお許し下さいませとお願い申し上げておりましたものを。
どなたにも信じては頂けぬようですが。
(直由)おぬしは。
では殿。
直満様の家来どもに急ぎいとまをお出し下さいますよう。
のむしかないのかの。
お悔しくはないのですか殿!直満様が殺されたのも亀之丞が追われたのもおとわ様が出家に追い込まれたのも元はと言えば全て和泉のせいではないですか!わしらはただこらえるしかないわけでございますか!・
(足音)
(弥吉)お取り込み中ご無礼つかまつる。
ご隠居様がいらっしゃいました。
何じゃ何じゃ皆暗い顔をしおって。
そのような顔をしておるとツキが逃げるぞ。
ご隠居様にはご機嫌麗しく。
実はな父の仇を探しておるという男がおるのじゃ。
仇?その仇とはな和泉じゃ。
洞窟に捨てられておったという北条の密使の息子じゃ。
つまりその男に仇は和泉だという事を教えさえすれば放っておいても和泉は殺されるというわけじゃ。
ハハハハハッ…!どうじゃ。
その男に名を告げれば北条方に力を貸した事になりましょう。
今川からおとがめがござるのでは?さような事。
村人を使い噂を流せばよい。
殿!
(朝利)殿!これは二度とない好機ぞ!この後もずっと小野によいようにされるつもりか?うわっ。
しっかりせえ。
何やっとるんじゃ。
どうかしたかおとわ。
皆何故耐えられるのですか?あのような食事で。
そんなに腹がすいておるならもらいに行けばよいのではないか?もらいに行く?
(南渓)そうじゃ。
さような事をしてよいのですか?もちろんじゃ。
欲しいものはもらえばよい。
托鉢といってな。

(昊天)それで作法も何も教えずに送り出したのですか?ハハハハッどうなるか楽しみじゃ。
(昊天)いやしかしそれで施しを受けたなら托鉢を勘違い致しませぬか。
あれは施す側と施される側双方ともに見返りを求めてはならぬ行でございますのに。
まあまああの子はあの子なりの答えを出せばよいのじゃ。
おい何かくれ。
熱いから熱いから…。
何かくれ。
ありがとうございます。
何かくれ。
何もない。
しっしっ!何かくれ。
しっしっ。
商売の邪魔だにぃ。
しっ。
これは托鉢じゃ。
何かくれ。
今忙しいでえ。
あっち行けったら行きせえもう!しっしっ。
だ〜っ!回想この後もずっと小野によいようにされるつもりか?
(千賀)お花そろそろ替えねばなりませぬね。
うむ。
変えねばの。
ちと出てくる。

(女)今年は本当によう育ったやぁ。
ほれ!
(男)おお!
(男)そろそろひと休みするにぃし。
(女)あいよ。
おとわ?こんな所で何を。
おとわ。
おぬしもしや。
もう嫌じゃ…出家などもう嫌じゃ!もう嫌じゃああ!
(泣き声)
(鶴丸)出家というのはそういうものだと思わなかったのか。
寺に住んで手習いをするようなものだと。
(鶴丸)阿呆じゃのう。
相変わらず。
こんな事なら鶴と夫婦約束をしておった方がよかった。
亀は戻ってくるかどうか分からぬし戻ってきたとしてもこれでは約束も果たせぬし。
約束?亀の竜宮小僧になると約束したのじゃ。
回想もしこのまま体が強うならねば我が亀の手足となる。
(亀之丞)俺の竜宮小僧になってくれるのか。
亀は丈夫でないゆえ妻となったら我が助けると。
それももうできぬのに…。
修行だけは押しつけられ我ばかり貧乏くじをひいておる!
(鶴丸)なにが貧乏くじじゃ。
己でまいた種であろうが。
じゃが。
(鶴丸)それに竜宮小僧はできるのではないか?妻とならずとも僧として竜宮小僧をすればどうじゃ。
寺にはご領主を助ける役目もある。
妻としてよりも僧としての方が亀を助けられる事は多いくらいではないのか?ではな。
鶴!鶴ありがとう!和尚様!おお。
どうじゃった?托鉢は。
和尚様。
我は亀の竜宮小僧になる!もし亀が戻ってきたら手伝いができるような。
そういう僧になっておきたいのじゃ!それには何をすればよい?竜宮小僧になりたければ竜宮小僧のように振る舞えばよいのではないか?分かった!
(直盛)和尚様。
私に傑山をお貸し頂けませぬか?私も変わらねばなりませぬ。
おい!何でぇ。
ええからちょっと来てくりょ。
俺今から水くみ行くだにぃ。
ええからええから!早う早う!早う!全く!いつまでたっても分かんねえんだからな。
あれっ!?一体誰でぇ。
何でぇ。
さっきのガキじゃねえけえ。
ただのガキではない。
ふんじゃあ何者でえ。
竜宮小僧じゃ。
はあ!?アハハハハハッ…!参った〜!…小僧ね。
あっ。
ほれ。
食べっせ。
頂きます!う〜ん!ばかうまいらぁ。
殿!
(傑山)和泉守を狙っておる若者が。
足元お気を付け下され。
小野和泉守覚悟!大事ないか。
和泉。
と…殿。
これは。
どのような噂を聞きつけたか知らぬが和泉守におぬしの恨みを買ういわれはない。
直満の謀反の書状を奪いおぬしの父を殺したのは駿河の間者じゃ。
和泉は何もしておらぬ。
それでもかの者を斬るというならわしはこの場でおぬしを討ち取らねばならぬ!立て!何故そこまでしてこの卑劣な男をかばわれる。
(直盛)かばってなどおらぬ。
和泉は何もしておらぬ。
武勇で聞こえた井伊も地に落ちたものじゃ。
かようなふぬけが井伊の主とは。
これでは今川の言いなりになるはずじゃ。
行け!お門違いも甚だしき事でございますな。
殿。
かたじけのう存じまする。
和泉。
直満殿の所領の半分は諦めよ。
は?半分でよい。
諦めよ。
いやしかしそれでは太守様のお下知に逆らう事に。
あの男はわしの心であったという事が分からぬか!あくまでと言うならばもう容赦はせぬ。

(左馬助)何故にお助けになったのでござりますか。
わしは小心じゃからの。
あれが精いっぱいじゃ。
それだけでござりますか?鶴から父を奪いたくなかった。
殿の花はお優しうござりますな。
次郎法師様ご苦労さまでえ。
ご苦労さまです。
その後おとわは…。
亀之丞の竜宮小僧となるべく修行を続け…。
(昊天)鶴丸!鶴丸は一人その才を磨いていった。
(たけ)姫様。
たけ。
(たけ)お屋敷にこのようなお便りが届きました。
瀬名姫じゃ。
(瀬名)「おとわあねさまのてだてにならいかち候。
今川のつまのざはわれのものになり候」。
おお〜!「こたびは文を賜りありがたく思いまいらせ候。
妻になられた折には井伊の事もよしなにお願い申し上げ候」。
じゃが肝心の亀之丞からは何の便りもなかった。
(読経)
(笛)
(読経)もはやその生死すら分からぬまま9年の月日が過ぎていったのじゃ。
(読経)
(直平)亀之丞を呼び戻すぞ!まことにございますか!?しかし楽しみじゃのう。
亀がどうなっておるか。
もう一度生きておとわに会うのだと。
己の煩悩を取り去るのじゃ〜!伯父上〜!
(直盛)今川の勢いは増すばかり。
(政直)井伊はお前のものも同然じゃ。
亀。
久しいのおとわ。
直虎の曽祖父井伊直平が建立した寺…
井伊の館とは目と鼻の先の所にありました
黙宗瑞淵。
初代住職として直平が招いたといわれています
直虎は出家して次郎法師と名乗り俗世から離れた身となりました。
この次郎という名は井伊家を継ぐ者に付ける通称でした
直虎が生涯にわたって師事した龍潭寺の二代目住職南渓瑞聞。
南渓和尚自らが彼女に次郎という名を授けました
南渓和尚はこの寺で井伊家の受難の時代を支え続けました
戦国の荒波はやがて南渓和尚とこの龍潭寺をも巻き込んでいく事になるのです
2017/01/29(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
おんな城主 直虎(4)「女子(おなご)にこそあれ次郎法師」[解][字][デ]

本領安堵の条件としておとわ(新井美羽)は正式に出家することになり、「次郎法師」という名を与えられる。「次郎」とは井伊家の家督を継ぐ男子の名であった。

詳細情報
番組内容
井伊家の本領安堵の条件としておとわ(新井美羽)は正式に出家することになり、「次郎法師」という名を与えられる。「次郎」とは井伊家の家督を継ぐ男子の名であった。翌日から兄弟子である昊天(小松和重)と傑山(市原隼人)による厳しい修行が始まる。一方、今川の目付となった小野政直(吹越満)は井伊家中における発言権をますます高めていた。そんなある日、政直の命を狙う北条の手の者が井伊谷にやってくる。
出演者
【出演】柴咲コウ,杉本哲太,新井美羽,財前直見,吹越満,苅谷俊介,でんでん,筧利夫,市原隼人,小松和重,梅沢昌代,蔵本康文,藤本哉汰,小林颯,前田吟,小林薫
原作・脚本
【作】森下佳子
音楽
【音楽】菅野よう子