アルプスが舞台の懐かしいアニメ。
少女ハイジの近くに今日の主人公が登場します。
そうアルプスのリスマーモットです。
ほら実物もアニメと同じ立ち姿。
愛くるしいアルプスのアイドルとして人々に親しまれています。
でも…はっけよ〜いのこった!まるで相撲の立ち合い。
のこったのこった!今度は突っ張り!かわいい見た目とは正反対の「戦う動物」だったんです。
おっ豪快な押し倒し!なぜこれほど激しく戦うんでしょう?そこにはアルプスに生きる者の宿命がありました。
マーモットたちの熱き戦いに迫ります。
うわ〜雄大な景色ですね。
4,000メートルを超す山々が連なるアルプス山脈です。
今日の舞台はイタリアに位置するアルプス山脈の南西部。
あっあんなところに動物がいます。
標高3,000メートル付近の急斜面。
アイベックスです。
険しいアルプスに適応したヤギの仲間。
崖に生えるわずかな草を食べて暮らしています。
生後間もない子どもも近くにいます。
かわいいですねぇ。
と上空に現れたのはイヌワシ。
翼を広げると2メートル。
アルプスの空の王者です。
どうなるんでしょうか?あ〜1頭が犠牲になってしまいました。
アルプスで生きるのは厳しいことなのです。
標高2,300メートル地点にある草の生えた斜面。
地面から顔が現れました。
今日の主人公…体長は大きいもので50センチほど。
リスの仲間で世界最大です。
巣穴で冬眠していたマーモット。
長い冬を乗り越え続々と目を覚まします。
あれれまだ眠いんでしょうか。
モッフモフの体がぬいぐるみのよう。
早速芽吹いたばかりの青い草を食べています。
冬眠で失った体力を取り戻すため一日中食事をするんです。
前の年に生まれた子どもたちもいます。
親子で仲よく毛繕い。
マーモットは10匹ほどの家族で暮らします。
(鳴き声)おや?突然鳴きだしました。
慌てて巣穴へと戻っていきます。
一体どうしたんでしょう?うわっ!イヌワシです。
マーモットの最大の天敵。
鳴き声はイヌワシがやってきたことを家族に知らせる合図だったんです。
巣穴で危険が去るのを待ちます。
イヌワシは去っていきました。
よかった〜。
いざという時身を守ってくれる巣穴。
マーモットの大切な住みかです。
よく見ると巣穴はあちこちにたくさん開いています。
中はどうなっているんでしょう?研究者と共に観察してみます。
驚かさないよう暗闇でも撮影できるすぐれもの。
穴は直径20センチほど。
マーモット1匹がギリギリ通れる大きさです。
広い空間に出ました。
分かれ道が1つ2つそして3つ。
奥へ進むとマーモットを発見。
どうやら寝室のようです。
出入り口はみな地下でつながっていました。
巣穴はいくつもの部屋を持つ複雑な作りをしています。
別の部屋では巣穴の整備中。
土の壁は崩れやすいため日頃の手入れが欠かせません。
マーモットさんお邪魔しました。
ある日のこと。
突然取っ組み合いが始まりました。
戦っているのは隣り合う家族のメンバー同士。
「マーモットファイト」と呼ばれるケンカです。
2本足で立ち上がり相撲のように押し合うのが戦いの流儀。
鋭い歯も武器になります。
勝敗は相手の上をとるか遠くまで追い出すかのどちらかで決まります。
戦いがヒートアップすると命を落とす者もいます。
かわいい顔とは裏腹の荒々しい一面です。
ライバルを猛烈な勢いで追いかけます。
おっと!落っこちちゃいました。
一体どうしてここまで激しく戦うんでしょうか?アルプスで10年にわたりマーモットの調査をしているアハツ・ヴォン・ハーデンバーグ博士です。
博士はマーモットたちの耳に色のついたタグをつけて個体の識別をしています。
異なる家族同士の関係を解き明かすのがねらいです。
博士の調査フィールドはおよそ400メートル四方。
6つの家族が大小さまざまな縄張りを持って暮らしています。
中でも注目しているのが最も小さい縄張りを持つ「ブルー」と名付けた家族です。
こちらが「ブルー家」。
この家族にはたったの3匹しかいません。
家族を率いるのは「兄」と名付けられた2歳のオスです。
兄のパートナーの「メス」。
3年前別の家族からやってきました。
今は繁殖期。
2匹はラブラブです。
そしてこちらが「弟」。
兄と双子の兄弟です。
前の年までブルー家にはこの3匹以外にボスだった父母妹がいました。
ところが冬の寒さやライバルとの戦いで両親と妹が命を落としてしまいました。
たった3匹になってしまったブルー家。
博士は別のある家族との関係に注目しています。
ブルー家の隣に縄張りを持つ「オレンジ家」です。
博士の調査フィールドで最大・最強の勢力を誇る大家族。
こちらがそのボス。
4歳のオスです。
マーモットの寿命は7年ほどなので今まさに男盛り。
この家族には11匹ものマーモットがいます。
ボスの強い統率力のもと勢力を拡大してきました。
ブルー家とオレンジ家は食事場所が重なります。
両家の緊張関係は高まりつつあるんです。
ある日。
オレンジ家のボスがブルー家の縄張り付近にやってきました。
おや?地面を掘って顔をこすりつけています。
これは「におい付け」と呼ばれる行動。
縄張りの主張をしているんです。
次々とにおい付けをしていくオレンジボス。
そのそばには…。
同じようににおい付けをするマーモットの姿。
ブルー家のボス兄です。
こちらも必死でにおい付けをしています。
自分のにおいをあちこちに付けることで見えない壁を作りライバルの侵入を防ぐんです。
じりじりと2匹の距離が縮まります。
すると突然尻尾を上げたオレンジボス。
興奮しています。
両雄間合いを計ります。
一騎打ちの始まりか?と思いきや…あれれ?2匹はそれ以上近づきません。
この日は互いの力を計り合っただけでした。
しかしこうした小競り合いが増えています。
まさに一触即発の状態です。
数日後。
ブルー家が縄張りで食事をしていた時のことです。
弟は夢中になって草を食べています。
すると何かに気が付きました。
その先には…なんとオレンジ家の一員です。
ブルー家の縄張りに侵入していたんです。
よ〜く見ると背中を丸めて毛を逆立てています。
体を大きく見せることで相手を威嚇しているんです。
弟も同じように毛を逆立て敵を追い出しにかかります。
そしてついに!向かい合った両者!あ〜っと!弟が一瞬で倒されてしまいました。
何が起こったんでしょう?もう一度振り返ってみます。
始まりはまさに相撲の立ち合い。
先手を取ったのは弟。
相手に猛然と飛びかかります。
しかしそののど元に相手の突っ張りが命中!そのまま押し倒されて勝負あり。
決まり手は押し倒し。
弟は脇目も振らず逃げていきます。
弟の手痛い1敗でブルー家は大切な縄張りの一部をオレンジ家に奪われてしまいました。
すぐに兄がにおい付けで対抗。
これ以上縄張りを失うわけにはいきません。
ちょっと待った!おヒゲじいどうしましたか?マーモットたちなんでそんなに縄張りにこだわってるんですか?アルプスは広いんだしほかの場所に移ればいいんじゃないですか?いやいやそれはね高山でしか生きていけないマーモットにはできない相談なんです。
どういうこと?マーモットが生きるためには草を食べられ巣穴が掘れるなだらかな土の斜面が必要です。
でも彼らが暮らす2,000メートル付近の高山はほとんどが急な岩場のためそんな場所はわずかしかないんです。
あそうなんだ。
はい。
それにねもう一つ事情があります。
長く過酷な冬眠です。
冬眠?はい。
この辺りは10月には雪に覆われ食べ物の草がなくなってしまいます。
マーモットは半年ものつらい冬眠生活を送らなくてはならないんです。
でも冬眠ってただ寝てるだけですよね?いやいや。
へえ〜そんなに大変だったんだ。
はい。
冬眠中は命を落とすことだってあります。
だから春から秋まではとにかく食べてエネルギーを蓄えなければなりません。
マーモットにとって縄張りは命がけで守るべきものなんです。
アルプスに生きるマーモットの宿命よ〜くわかりましたぞ。
生き残れマーモット!マ〜モット食べて縄張りマ〜モッテね!なんちゃって。
第2章ではもう負けられない!兄がついにボス同士の一騎打ちに臨みます。
果たしてブルー家は生き残ることができるんでしょうか?動物界には激しい戦いを宿命づけられたファイターがたくさんいます。
その熱〜い戦いをこの方のスペシャル実況でお伝えします!はい。
実況担当福澤朗です。
さあまずはカンガルーのオス対オス。
お〜っと!ムキムキの肉体を見せつけ相手を威嚇しております。
さあバトル開始です!両者激しいパンチの応酬。
お〜っと!右のオスはキックも決めております!必殺!両足キック。
尻尾で体を支えながら両足に力を込めて繰り出します。
左のオスこれは効いているはずだ〜!おやここで戦いが中断?あ〜っ!左のオスが首を振っております。
出ました降参のポーズ!勝負あり〜!続いては日本の海に暮らすこわもての魚コブダイ。
縄張りを巡るオスの争いが始まりました。
さあ両者早速大きく口を開けて威嚇し合っております。
こわもて顔を突き合わせて顔面対決。
どちらも引き下がるそぶりを見せません。
お〜っと!電光石火の早業。
右のオスが相手の口元にかみつきました!左のオスは思わず後ずさり。
これで試合終了〜。
お次は南米アンデスの暴れん坊…オス同士がメスを巡って激しく興奮しております。
お〜っと!何かを吐き出した。
唾液と胃液を混ぜた強烈な液体。
相手の目にしみる陰湿な攻撃であります!さあ勝負は肉弾戦に突入。
激しく追い回して取っ組み合い〜!出ました!金メダル級の1本がさく裂!お見事!ファイヤ〜!福澤さん動物たちのバトル本当に熱いですね。
いや〜感動しました。
私の心にもジャストミ〜ト!舞台は再びアルプス山脈。
マーモットたちが縄張り争いに明け暮れています。
3匹しかいないブルー家。
1か所に固まって食事をしています。
弟が強豪オレンジ家に負け縄張りの一部を奪われてしまいました。
まさに存亡の危機です。
一方数で圧倒するオレンジ家。
このままブルー家の縄張りを全て奪い取るんでしょうか?おや?こちらの1匹何かに気付きました。
ブルー家の兄が縄張りの境界付近でにおい付けをしていたんです。
近くではメスもにおい付けをしています。
さらに前回負けた弟も加わり一家総動員です。
これ以上縄張りを失うことは何としても避けなければなりません。
その様子を見ていたオレンジ家のボス。
兄に近づいていきます。
ついにボス同士の一騎打ちが始まりました。
おっと身を引いたのは兄。
ここは一旦相手から距離をとる作戦です。
兄をよ〜く見ると…口元を震わせています。
闘争心が高まっている証拠です。
走りだした!と次の瞬間オレンジボスに背後から飛びかかった!奇襲作戦成功です。
しかしオレンジボスも立ち上がり両者がっぷり四つ。
互いに譲りません!激しい攻防。
兄がジャンプ!上をとりました。
勢いそのまま柔道の寝技のように相手を押さえ込みます。
猛烈な攻撃でオレンジボスを圧倒しています。
勢いに押され逃げ出そうとするオレンジボス。
しかし兄はそれを許しません。
背後から執ように攻撃!兄が完全に上をとりました。
オレンジボスに戦う気力はもう残っていません。
見事最大のライバルを打ちのめした兄。
そのもとにブルー家の家族が駆け寄ります。
奪われた縄張りをついに取り戻したんです。
ある日私たちは高山で生きることの厳しさを目の当たりにしました。
こちらのマーモット。
絶えずそわそわして落ち着きのない様子。
ほかの場所からやってきた…限られた食べ物を確保するため家族の中でも弱い者は縄張りから追い出されることがあるんです。
においを付けて自分の縄張りを作ろうとしています。
しかしここはよその家族の縄張りの中。
そのボスに見つかってしまいました。
慌てて逃げ出すはぐれマーモット。
縄張りのボスが見逃すはずはありません。
容赦ない攻撃で追い出しにかかります。
はぐれマーモットはひたすら逃げます。
草も生えていない荒れ地へと追いやられてしまいました。
それから数日後。
地面に命を落としたはぐれマーモットが横たわっていました。
おなかには痛々しいかみ痕が残っています。
縄張りを持たない者がたどる厳しい運命です。
初夏。
天空にお花畑が現れます。
おや?マーモットがタンポポの花を食べています。
これはこの季節だけのごちそう。
タンポポの花には脂肪分がたっぷり含まれています。
この時期メスは出産に備えて栄養を蓄えなければならないんです。
つかの間の夏が終わり季節は秋。
たった3匹だったブルー家はどうしているでしょうか?あっ兄です。
まるまると太っています。
体重は春のおよそ2倍もあります。
近くにはメス。
しかも子どもを2匹連れています。
夏の間に生まれていたんです。
子どもはさらにもう1匹。
合わせて3匹もいます。
ブルー家は春の2倍6匹に膨れ上がりました。
これだけいれば一安心です。
こちらでは…子どもたちが立ち上がって戦いごっこ。
こうした遊びを通して子どもたちは戦いの腕を磨きます。
来年にはブルー家の一員として立派に活躍することでしょう。
大人が枯れ草をくわえています。
巣の中に敷き詰めて間もなく始まる冬眠のためのベッドにするんです。
子どもたちもお手伝い。
でも…あらららら落としちゃいました。
今度はうまく運べるかな?前足を使いくわえ直して…。
無事に運び込みました。
家族を増やし存亡の危機を乗り越えたブルー家。
巣穴の中一家そろって長い長い冬眠に入ります。
アルプスは再び雪と氷に閉ざされます。
愛らしい姿に似合わず戦いに明け暮れるマーモット。
家族で力を合わせ立ち向かっていた本当の相手は厳しい「アルプスの宿命」だったのです。
井伊家当主の一人娘おとわには2017/02/05(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「アルプスのリス 天空の大決闘!」[字]
アルプス山脈にすむリス、マーモット。ぬいぐるみのような愛らしい姿で、命を落とすほど激しく戦い続ける。高山で生きるため、戦いを宿命づけられたマーモットに密着する。
詳細情報
番組内容
アルプス山脈にすむリス、マーモット。もふもふの毛に覆われたぬいぐるみのような姿で人々に親しまれている。でもその素顔は、愛らしい姿とは正反対の荒々しいファイター。ライバルの家族同士、いつもケンカばかり。あまりの激しさに命を落とす者も出るほどだ。なぜ彼らは戦うのか?そこにはアルプスで生きる者が背負う宿命があった。天空のアルプスを舞台に、生き残りを賭けた戦いに明け暮れるマーモットに密着する。歌:平原綾香
出演者
【語り】龍田直樹,豊嶋真千子,近田雄一,福澤朗