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字幕書き起こし ETV特集「人知れず 表現し続ける者たち」 2017.02.25

(紙を切る音)
(紙を切る音)
(紙を切る音)
(鉛筆の音)このパターンがこれ3枚目なんですよ。
恒星を描いてるつもりなんですけど。
宇宙の。
乗り物も大好きで飛行機から新幹線から列車からハハハッもういろいろですね。
あとは旗とか地図だとかあの辺関係も大好きで。

(松本一美)画用紙2枚で1つになってるんですよね。
真ん中のところがちょっとこうしっかり見るとここで分かれてるなって分かるんですけど。
よ〜く見ると線がこうスッスッてなってるような感じで全然違和感がないっていうか。
2枚くっつけてスッて描いたわけじゃないんですよ。
別々に描いていくんですよね。
それがなぜかこうパチッとこう合ってしまうというか線がつながってる。
みんなこの作品に限らずみんなそうなんですよね。
魚魚…みんな魚。
もう魚ばっかり。
フフフフッ。
大体描くのであらかじめ長いものを用意していたのでただ用意してれば描くので。
この人お話をしなかったので。
何がこの人興味があるんだろうかって。
こうやって見ても魚がすごく多かったり恐竜がいっぱい描いてあったり。
なんか絵を見ると思ってる事がこれで大体こうああこの人はこういう事が関心があるんだなっていうのとあとその関心に合わせてなんていうのかな…言葉の発達を促す事もできたかなって。
「へびにもどくをだすところが…」何とかかんとかって書いてありますね。
何て書いてあるのか分かんない。
「かまれるときけん」って書いてありますね。
「かまれるときけん」って書いてますね。
おはようございま〜す。
(チャイム)
(チャイム)おはようございます。
おはようございます。
会社の忘年会ですこれは。
(松本寛庸)ありゃ〜。
あれ?これは誰だっけ?スクープ写真。
フフフッ。
これはカバちゃん。
カバちゃん。
あそうだった。
送っとくね。
え?ほんとに人に関心がなかったんですよ。
もうほんとに。
全くなかったのに途中から人が登場するようになって絵に登場するようになったんですよね。
だんだんだんだんこう人との関わりっていうのが少しずつこう…前の感じとは変わってきてるような気がします。
名前は何するか?何するか?フフフッ。
何するか?何がいいだろうね。
う〜ん自分に関係があるところの名前つける?
(一美)アハハッ。
(寛庸)水泳クラブの名前「エクセレント」。
(一美)ああ「エクセレント」ね。
ああそうか。
(寛庸)会社の名前「コーシンスター」。
(一美)「コーシンスター」ハハハッ。
ほんとにオリジナルで。
(寛庸)あと「アールブリュット」とか「アールブリュットスター」。
(一美)ハハハハ…まあまだ検討しなくちゃいけないです。

(女性客1)こういう世界があったんだって改めて思いました。
(女性客2)潜在の能力のこの色の多さにねこんなにたくさん色使えるっていうのが心の色それ捕まえきれるこの人たちすごいなって思うね。

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  (鉛筆の音)
(取材者)こんにちは。
お久しぶりです。
富士子さんこんにちは。
こんにちは。
僕たちの顔描いてくれてるんですか?フフフッありがとうございます。
ありがとうございます。
(富士子)顔たち。
みんなの顔。
みんなの顔。
(板垣崇志)1つの空間にいるんですけどその人の半径50センチぐらいまで入るとその人の宇宙に入ってる感じがうん。
今日は伊勢さんに何を書いてみせようか?「レットイットビー」。
「レットイットビー」うん。
(板垣)じゃあ「レットイットビー」を書きましょうか。

(「LetItBe」)「レット」…集中力入れて。
「レットイットピ」。
「レットイットピ」。
「レットイットピイ」って書いた。
「レットイットピイ」。
「レットイットピイ」って書いた。
・「花はあるじ鳥は友」
(職員)今日はねコロッケな感じですよ。
(女性)コロッケだよはい。
コロッケだよ。
(女性)コロッケだよ。
ん?
(女性)コロッケだよ。
これだよ。
(女性)コロッケ…。
力さん整頓してるんですか?うん。
整理して…。

(板垣)この糸の仕事はアクシデントみたいなものから始まっててもともとここのアトリエで草木染めをやってた時期があってで力さんは糸を巻くっていう玉にするっていう作業を担当してもらってたんですね。
たまにこう絡んで取れなくなる事があってそれを力さんはどうしてもほどけない時はやむをえず一回切るんですね。
切ってもう一回その切った所を結ぶっていうのが力さん的に何かとても面白い事だったみたいなんです。
で絡んでなくてもこっそり切るようになったんですねはい。
(板垣)切ったなっていうのを見つけると職員が「あっ力さん今切ったでしょ」って「力さん切らないで下さい」って。
で力さんが「あ〜ごめんごめん」って言ってまた見てない時に切るって事を続けてて。
で何回やめてほしいって言っても力さんはその度分かったって言うんですけど決してやめなかったんでなんかそんなにやっちゃダメな事なのかなってこっちの方が考えるようになっていやそんなに切らなきゃいけないんだったら切ってもらっていいんじゃないかなって。
で「力さんもうこれは好きにしていいです」っていうふうにしたらこういう5ミリとか7ミリぐらいの間隔でびっしり結び目の並ぶ糸を作り始めたんですね。
(板垣)誰のためでもないですからね。
自分がなんか気持ちよかったっていうもうそれだけで7年間日々糸を結ぶっていう。
よし。
よいしょよいしょ。
またな。
またな。
ん?うん。
(板垣)生きてる事っていうのかなうん。
生きてる事…いるっていう事っていうかうん。
存在してるっていう事自体が表現なんだと思いますので。
存在っていう1つの表現としてもありますので。
それがそのままこうそこからあふれてくるいろんな形とか色とか音とか。
そういうすごい素直な形の表現がたくさんあるんだなって思いますね。
(藤本隆美)まあ職業はいろいろやりました。
ほんと鉄工所に勤めたり。
ただねあの…幻覚がありますからね。
現実って一応言われてる世界と自分の思い込んでる世界ですよね。
その区別が…つけるのが非常に難しい時期がありましたんでね。
仕事中にその…同僚をたたいてしまったりね急に。
まあ統合失調症だと思うんですけどね。
結局もうわけが分からなくなったというかねもう恐怖恐怖の世界ですよね。
自分でも分かんないし。
緊張していかんな。
緊張してるな。
ハハハッ。
こうやって飲もう。
あ〜熱い熱いです。
カメラ止めましょうか緊張…。
いや別にいいですよ。
大丈夫ですか?好きなようにやっていい。
その方がうん。
大体こういう時に絵を描き1本吸い終わったら絵を描き出すとか大体普通はそうなんです。
なんか嫌ですうん。
描く気しないです。
描く気しないとおかしいです。
ああ…。

(ベース)
(藤本)自分がどこにいるか分かんないっていう。
次から次へといろいろな事が出てきますね。
イメージが。
ものすごい人に住まわれとるような感じしますけどね。
すごい人にね。
僕はただ…ゼロでね。
ただ器という感じもしますけどね。

(藤本)たまってきたらもう吐き出すっていうかもうマスターベーションじゃないかなみたいな。
心理の精神の。
自分を見すぎていくとどうなるかっていうような世界ですよね。
自分をどんどんどんどん見ていくっていうか自分自身をね。
いい天気。
土木工事の日々でした。
フフフッ。
この山とこの大きな山はあの…手作りの山。
ここ掘れてるところの。
あ掘れた分の土を。
ここへ持ってくる。
ああ。
(東良子)最初からこう公共物として作ってるんだよっていう事は私によく言ってましたね。
(東)自分の中にあるものをこう芸術という形で出してそしてみんなにこうこの場所を提供しようっていうふうな。
(東)だからこの作品は皆さんにささげる花束だって。
これねあっちの「虹の泉」の塔立ってますやろ?あそこらは田んぼやったとこを埋め立ててこんな平地に。
(女性)何がどう出来るんかなあちゅう感じで見てましたけども。
何ていうんやろう一輪車で一人あれを引っ張って一生懸命してる姿見とるとね一人ででもあんだけ進んでいくんやと思て。
うん。
これに自分懸けとんかな大したもんやなこんな事できるんやなと思って見てましたけどさ。
うん。
人生を懸けた作品って聞いたんでちょっと惹かれちゃいました。
またB級スポットで有名ってネットで書いてあったんで。
アハハッ。
なんか写真だとちょっと…と思ってたんですけどやっぱ来てみるとびっくり。
そうですね…なんか不思議な感じ。
時間がかかりますね。
理解をされていくには。
最初の頃はB級アート?珍スポットとか。

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  それからアウトサイダー・アート。
今としてはアール・ブリュットの世界。
まだまだ貼りたかったタイルがいっぱいありますね。
(取材者)ああこれねぇまだ…。
作品もたくさんたくさん。
まだ夢の途中だったのかな。

(東)あの当時の事を考えると苦しい毎日でしたねほんとに。
創作する事が楽しくない。
何で自分はこんな事をしているのかって。
なんかもう混沌の極みの中で生きてるっていう感じですね。
でも…いまだにアトリエに入るとこう…ああまだまだ作りたかったんだなって気持ちはよく分かりますね。
ほんとにチラチラッと見て頂ければ。
たまにケンカしてるとか私の事悪魔呼ばわりしてあるところもありますけど。
フフフッ。
(東)「1日力いっぱい」っていう事ですね。
働いたっていう事かな。
力いっぱい生きたっていう事なんでしょうね。
力いっぱいに生きるってね。

(東)私はなんか理想郷というか。
東健次の。
祈るような気持ちで作ったというか。
それが…主人の芸術の世界っていうのかな。
私はあれですよあの奴隷ですよもう芸術の。
フフフッ…。
もうやっぱりやり遂げたいと…思う人のために右に左に振り回されるというか。
まあ35年間全く自分がない人生だったんだけどでも振り返ってみればやっぱりこれほどこう…何ていうのかな…楽しい時はもう二度とないだろうなって。
人生の中で。
そう思いますね。
なんや?どないした?行こう。
これです。
いい写真ですね。
これ毎日の日課です。
ずっと撮ってますよ。
(藤岡浩子)ここで撮って娘に送る。
あそうなんですね。
で娘からコメント。
「今日は頑張ったね」とか「お母さん疲れてるみたいね」とか。
ハハハ…「やつれてない?」とか。
(浩子)はいただいま。

(テレビの音声)かわいい顔この人。
人気あるんでしょうね。
この人。
普通の日で1時半2時ですよ。
そして本人はあしたが土曜日休みって知っとる。
だけんですね夜更かしの時間ですよ。
先週は3時まで。
12時半ですよ。
祐機ちゃ〜ん降りろうか?
(声)
(声)
(紙を切る音)
(浩子)まさかこんなになるなんて思ってもいなかったんで。
まさかほんとですよ。
私にとってはなんかただただ息子の作ったものですよ。
かわいい息子の作ったものだからやっぱりこのひとたちもかわいい。
いろんな方に見てもらって。
いつも思うんです。
このひとたちもうれしいだろうなって思う。
展覧会とかねあったりすると祐機は行かないでしょ。
祐機は行かないけどでもこのひとたちは行くわけですよね。
だからなるべく今回はここが行ったから次はこっちねとか。
ハハハハッ。
でもそう言いながらもなんか箱の中にしまわれて底の方にいるのもいっぱいいるんですけどね。
すごい大作もあるんですよ。
真ん中にこう…。
すごいですねそれ。
これはなんか…フフフフッ。
両端から。
それはちょっと大作ものですね。
こんな無造作に入れてますけど。
大作。
(紙を切る音)
(ハサミの刃を鳴らす音)
(浩子)もうこれはなんかあの人の生きた証しだからですね。
作品は。
目立たな〜く毎日を暮らしてる。
ねえ普通の健常者だったらいろんなね業績残したりとかそういうのがあるかもしれんけど祐機たちはねそんなのあんまりないしだから毎日学校に行くとかそういう事がね日々の積み重ねで。
だから祐機はあれですよ。
小中高12年間無欠席です。
そういうのがなんかね親としてはとても…祐機が生きてる…生きた証しというか。

(松本一美)あれはあのこないだ「君の名は。
」の映画を2人でちょっと行った時になんか感動したみたいで急にこれ描くって言い始めて描きたいって言ってすぐ描き始めたんですけど。
(一美)絵はなんかですねう〜ん…この人こだわりがあるじゃないですか。
だから私その延長線かなって自分では思ってたんですけどこだわりというかもう生活の中の一部になってて続いてるというか。
ただ絵を描いてる時はなんか楽しそうに描いてるので気持ちが落ち着くんじゃないかなと思うんですよね。
見てて。
う〜ん何ていうのかな…。
まあ自閉症さん独特のいろんなちょっとこう症状というか。
この人わりと昔の記憶とかが結構頭の中に映像が浮かぶらしいんですよね。
嫌な記憶とかいろんなものが。
それがどんどんどんどん浮かんでそれが自分の意思ではなんかこう制御できない時がたまに出てくるんですよね。
フラッシュバック?そうですね。
そうです。
何が浮かぶかっていうのは具体的には教えてくれないもんですからもしかしたらちょっと怖い事かなとかいろいろ思いながら。
私にそういう事言うと私が悲しい思いをするんじゃないかって思ってるのかな…って思って。
一時期はちょっとほんとに「僕は生まれてこなければよかった」とかですねいろいろこう言った時もあったんですけど。
ほんとに優しい子なんですよね。
う〜ん…だから余計また感受性も強いのかなと思うんですけど。
(一美)本人は嫌な映像だったらやっぱり嫌だろうなあとは思うんですけど。
ばあちゃんも。
ばあちゃんもっかい。
ばあちゃんもっかい。
(テレビの音声)
(一美)自分がやってない事が浮かぶとか言うんですよね。
(一美)自分の気持ちを書いた事によってリセットするっていうか落ち着かせるというか。
(一美)いっぱい書いてる時もありますけど書くだけ書いたらちょっと落ち着いてるかなっていう事が最近多くて。
(一美)この人の中でやっぱり一番の喜びっていうのはこの頭のモヤモヤがなくなる事なんですよね。
(一美)これからもずっと続いていくのかなと思うんですけどお母さんは同じようには寛庸と一緒のような状態にはなれないけど寛庸を理解するようにっていうか一緒にねなんかこうどうしたらいいかっていうのを考える事はできるから。
(鉛筆の音)
(紙を切る音)

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  (祐一)比較的少ないですよ昼間に切るのは。
じゃあ珍しいですか。
へぇ〜。
気ぃ遣いよったかもしれんけどね。
ああ…。
ありがとうございます。
ハハハハハッ。
あの歩き行くでしょ。
たいがい寒かったですよ。
そしたら風も強かったからだけん毛糸の帽子をね祐機にかぶせて私はもう頭は帽子かぶらんででこう歩きよって。
あんま風寒かったもんだけん今度ネックウォーマーばこっから耳にかけて頭にこうバンダナみたいにこう…してから歩きよったんですよ。
そしたら後ろからですねこうしよっとですよ。
私が歩きよったらこう。
だけんその何ていうかなその…寒かけんネックウォーマーばもう一回俺にやれっていうふうに取り上げよるのかなと思ってからですね「ああ寒かもんね」ってパッて後ろば見たらですね自分の帽子ば毛糸の帽子ば取って後ろからこう私にかぶせてやろうとしてるんですよ。
「ああごめんね」って「ありがとうね」って言うて2人でまた歩いていった。
先に取り上げるっていうふうに私が思った事自体がなんか祐機に対してね申し訳なかったかなって思った事がありました。
「ごめんねありがとうね」って言ったらもうニコニコしてからですね一緒にまた歩く。
本人もニコニコして声出して笑いながら。
だけん多分おやじが分かったって思っとったのかもしれんですよ。
そんな出来事がありましたね。
何とも言えん。
意外と気ぃ遣いやさんかもしれん。
分からないだけでこっちが。
何でも黙ってこういう話も聞いてるのかもしれんしね。
(祐機の声)
(祐一)お利口だもんね。
(声)何を探してる?紙。
紙?なんかお気に入りの紙がねもう無くなっとったもんね。
これ?はぁ…。
自分でもああやって切って落ち着かせてる…。
そういうのもあるかもしれないですね。
やっぱあんだけ切るとねすごい集中せんとダメですよね。
集中するとなんかほらね。
切った後はフッとなるだろうし。
ああよかった。
もうドキドキ。
理由がね分かってる時はいいけどですね。
本人が一番嫌だろうけどね。
うんかわいそうにと思うけど。
ねえ祐機だってねなりたくないだろうねあんなには。
苦しいだろうなぁと思うね。
「ニッポンのジレンマ元日SP」。
2017/02/25(土) 23:00〜00:00
NHKEテレ1大阪
ETV特集「人知れず 表現し続ける者たち」[字]

正規の美術教育を受けていない人々が創る独創的な美術作品=アール・ブリュット。日本各地の作家たちの暮らしと創作の現場に分け入り、作品がもつ圧倒的な力の秘密に迫る。

詳細情報
番組内容
「アール・ブリュット(生の芸術)」正規の美術教育を受けた経験のない人々が創る、何ものにもとらわれない独創的な美術作品のことで、近年世界的に注目が集まっている。担い手の中には知的障害や精神障害のある人も多く、作品はなかなか世に出てこないが、圧倒的な迫力に満ちている。誰のためでもなく、黙々と表現し続ける人たちが放つ凄(すご)み日本各地の作家たちの暮らしと創作の現場に分け入り、作品がもつ力の源泉に迫る