全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

字幕書き起こし クローズアップ現代+▽はやくて安いネット通販に危機が!?宅配サービス過酷な実態 2017.03.02

忙しくて買い物に行く時間もないあなた!もはやネット通販なしの生活は考えられないですよね。
一番最近買ったのはスカートで、セーターもネットで。
機種変更もネットでやりまして携帯ケースとチェーンも通販で一緒に買いました。
送料無料。
1時間で届く。
次々に新たなサービスを打ち出し急成長を続けるネット通販。
しかしその陰で宅配の荷物は年間37億個と過去最高に。
荷物を運ぶ宅配業界から悲鳴が上がっています。
先日も宅配最大手のヤマト運輸がサービスを抜本的に見直すことに。
番組が独自に入手した社長から社員へのメッセージ。
12時から14時までの時間指定を廃止する。
夜9時までの配達時間の変更を検討する。
早くて安いが当たり前だったネット通販に大きな変化が。
宅配危機の実態に迫ります。
急成長を続けるネット通販市場。
アマゾンや楽天、ヤフーといったIT企業だけでなく、家電のヨドバシカメラ、家具のニトリ、衣料品のユニクロなど、これまで足を運んで商品を買うのが普通だった店まで、ネット通販に次々と参入。
私たちの買い物のしかたを大きく変えました。
そして、消費者のニーズに応えようと、速さや安さといったサービスを巡る競争も激しさを増しています。
こうした中、今、宅配の荷物は急激に増加。
配送を担う宅配業者は、ドライバーの確保が追いつかず、悲鳴を上げています。
業界最大手のヤマトも今、危機に立たされているのです。
全国に4000あるヤマト運輸の配送拠点の一つです。
深刻な課題に直面しているのが配達を担うドライバー。
ここでは毎年1割ずつ荷物が増加。
現場は、忙しくなる一方です。
ドライバーの小川浩平さんです。
この日運ぶ荷物は150個。
入社した3年前に比べ1日当たり30個増えたといいます。
忙しさの要因の一つが決められた時間に届ける時間指定のサービス。
配達は一刻を争います。
時間指定は在宅率が高い午前中と夜間に集中します。
この日は午前だけで60個。
1個3分のペースで届けなければなりません。
3時間息つく暇もありません。
午前の配達を終えたのは正午直前でした。
さらにドライバーの大きな負担となっているのが再配達です。
荷物を届けに行っても…。
届け先は不在。
荷物は再び配達する必要があります。
荷物を渡すまで同じ家を1週間何度も訪ねることも。
再配達を依頼する電話もひっきりなしにかかってきます。
急きょ配達ルートを変更して依頼者のもとに向かいます。
それでも荷物はおよそ30個残りました。
再配達は宅配業界全体の大きな課題となっています。
国の調査ではすべての荷物のおよそ2割を占めるまでになりました。
増え続ける国内の宅配便。
今や37億個を超え過去最高となりました。
荷物の急増と手厚いサービスはドライバーの長時間労働につながっています。
運送業に携わる人の労働時間はほかの産業より年間430時間以上長いという統計結果も出ています。
中には心身に不調を来す人も。
この男性は7時半に出勤。
休みも取らず夜は10時過ぎまで。
サービス残業含めると1日15時間以上働くこともあります。
男性はネット通販の荷物が急激に増え始めたころ抑うつ状態と診断されました。
このままでは仕事を続けるのは難しいと感じています。
もう一つ見逃せない影響が。
ネット通販市場はスマートフォンの普及などもあり急速に拡大。
市場規模は13兆円を超え今後もさらに伸びていく見込みです。
ところが増え続ける荷物を運ぶ宅配会社の経営は逆に悪化しています。
業界最大手ヤマトホールディングスは2年連続で減益の見通しとなっているのです。
大きな理由の一つが通販会社などとの大口契約です。
大量の荷物を受注する代わりに配送料を引き下げるボリュームディスカウントを行っているからです。
荷物1個当たりの収入は10年前と比べて1割以上減っています。

スポンサーリンク
  ボリュームディスカウントの影響は、宅配業務を請け負う下請け会社の経営にも重くのしかかっています。
30人のドライバーを抱える運送会社の社長横田浩崇さんです。
5年前、宅配業に参入しましたが今はほとんど取り引きを行っていません。
1個当たりの配送料が大きく下落しているからです。
宅配を始めたころ配送料は100個配って1万8000円。
単価は180円でした。
しかし今は、20円下がって160円になっています。
荷物は増える一方なのに経営が圧迫される皮肉な事態に直面しているのです。
眞鍋さんは、この現場の悲鳴ともいえる状況、どう見ましたか?
こんな大変なことになってたんですね。
うち今、毎日3、4社、荷物が来るんですよ。
それぐらいお世話になっているので、すごく心苦しいなと思ったんですけど、ただ、ネット通販、盛り上がっているから、業界はさぞかしもうかってるだろうなって思ってたんですよね。
逆だったんですね。
刈屋さん、このもうかりそうなのに、実は苦しい状況に宅配会社、宅配業者が追い詰められている状況、どうして生じてるんでしょうか。
ネット通販の業界で、サービス競争というのが非常に激化してまして、もともとは品揃えとか、価格、販売の価格ですね、そこで競争してたんですが、それではなかなか差別化にならないということで、今は注文からお届けするまでの配達のスピード、これが差別化要因になってきている。
速くてかつ安いと。
検索かけますもんね、翌日配送とかでもチェックして、同じ商品なら速いほうがなんて。
それで大量の荷物を請け負えば請け負うほど、安く請け負うという状況、ボリュームディスカウントというのも生じていると。
ボリュームディスカウントっていうのは、出す側ですね、ネット通販側が大量の荷物を出しますと、その代わりに1個当たりの単価を、宅配会社のほうに下げてくださいっていうことなんですけれども、その宅配便全体に占めるボリュームディスカウントが効いてる、大口割引のお客さんの割合が高まってることで、宅配会社の収益力っていうのが、だんだん低下しているというのが現状だと思います。
私、使っている側としては、送料とかそういうのって、ネット通販側が持ってくれてるんだと思ってたんですけれども、そうじゃなくて、宅配会社側にも、しわ寄せがいっちゃってるんですね。
送料無料というのをうたってるんですけども、実際には、販売価格の中に送料というものがインクルーズされてるわけですね。
含まれていると。
そこから宅配会社に運んでくれる料金をネット通販側が支払っているという形になってる、そういう仕組みになってるんですね。
現場とか経営が苦しいのであれば、じゃあ単価を上げるように交渉すればいいんじゃないかと思うんですけれども、そういったことは?
まあ実際に、過去もそうだったんですけど、例えばヤマトさんが、値上げをすると、そうすると、佐川さんだったり、日本郵便さんだったりが、値下げをしてヤマトの荷物を取りに行くと。
この逆もあって、佐川さんが値上げすると、今度逆にヤマトさんが値下げをして荷物を奪う、この繰り返しが行われてたんです。
なので、通販会社側に対して、値上げを要請するっていうのは、なかなか勇気のいることだったり、なかなか強いことが言えないっていうのが、これまでの宅配業界の現状だったと思います。
業界の中で、ちょっとルールを決めるじゃないですけれども、そうやって価格を守るっていうことはできないんですか?
なかなかそれは現実的には難しくて、そこはもう競争が働いてますので、うちはこれでできます、うちはこれではできませんと、こういうやり取りがあるんで、なかなか業界の足並みそろえるというのは、これまでは難しかった。
なるほど。
言ってみると、値段よりもそのシェアを大事にする、どれだけ荷物を運べるかを重視してきたことがあると。
そういうことですね。
あとは運ぶ人たちの人手不足が深刻になっている状況もありますけれども、その人手不足を解消するための策というのは、何かこれまで講じられてきたのでしょうか?
各社とも、人材を確保するために、営業所の外に、人材募集してますっていう看板出したりして、一生懸命集めようとしているんですけれども、もともとトラック運送の世界っていうのは、きつい仕事なんだけど、稼げるっていう仕事だったんです、これがきついのに稼げないというふうに変わってきてしまったんですね。
その影響で、人材が集まらない、それが今の宅配の現状だと思うんですね。
その宅配会社の厳しい現状というのを、ネット通販側はどう見てるんでしょうか。
もちろん頑張ってくれてるということで、一定の評価っていうのはしているんですね。
自分たちは売ることは得意なんですけど、実際ものを運べないわけですよね、ネット通販側っていうのは。
なので、非常に頑張ってくれてありがたいなと思う中で、1円でも宅配便の料金は値下げしてほしい、これが本音だと思います。
ただこの状況が続くと、どうなってしまうのか、心配なんですけど。

スポンサーリンク
  なかなかね、これはもう、難しいことだと思うんですけれども、荷物が購入しても、ご自宅まで届かないというような事態が起こる可能性も、これからあるのかなということが考えられますね。
それは困りますよね。
今、やっぱりヤマトさんの例、出てましたけど、本当に各社、宅配業者さんどこを取っても皆、同じく苦しい状況なわけですか?
そうですね。
業界全体の問題だったんですね。
そんな現場の危機っていうのをここまで見てきましたけれども、今、宅配会社は、その負担を減らすために、私たち、消費者の側にも一定の協力を求め始めています。
利用者の利便性を高めることで再配達を減らす。
ヤマト運輸はそんな取り組みを始めています。
無料通信アプリLINEを通じてあらかじめ配達予定の日時を通知。
利用者が都合の悪い場合にはLINEで日時の変更を返信してもらいます。
利用者に連絡を密にしてもらうことで、荷物を一回で届くようにしたいというのがねらいです。
このサービスを利用している会社員の稲留雅人さんです。
1人暮らしのため家を空ける時間が長いといいます。
このサービスを利用することになったのは再配達の連絡をしなかったため荷物を1週間受け取れなかったことがきっかけでした。
この日、LINEに届いたのは午後2時から4時の間に荷物が届くというメッセージ。
しかしこの時間は家にいないため2日後の夜に変更しました。
使い慣れたLINEのやり取りだけで手続きできるため荷物が受け取れないことは大幅に減ったといいます。
ありがとうございました。
ご苦労さまです。
さらに利用者に自宅以外の場所まで荷物を取りに来てもらう取り組みも進めています。
通勤客が使いやすい駅などへの宅配ロッカーの設置です。
これまで進めてきたコンビニに加えて受け取り場所を増やそうとしています。
利用者にとっては荷物を持ち帰る手間は増えますが配達時間が終わった夜遅くでも受け取れます。
今後は駅だけでなくスーパーなどへの設置も検討しています。
現在、全国に170台あるロッカーを今後6年間で5000台にまで増やす計画です。
しかし、こうした積み重ねも宅配現場の危機を打開する決定打とはなっていません。
ヤマト運輸では今後さらに踏み込んだ対策が必要だとしています。
インタビューの中で、サービスもコストがかかるんだというお話がありましたけれども、この翌日、ヤマト運輸の社長が、社員に宛ててメッセージを出していました。
それが番組冒頭でご紹介した、こちらの文書です。
内容を整理しますと、このようになってます。
今は6つの時間帯で時間指定ができますが、そのうち比較的利用が少ない、正午から午後2時までの時間指定を廃止する。
現在午後9時までとなっている夜の配達時間帯の変更を検討する。
そして、大口の取り引き先と、引き受け量や値上げなどについて、交渉を始めるということなんですね。
ヤマトが今、こうした抜本的なサービスの見直しに踏み切ったのは、どういった意味があるんでしょうか。
ヤマト運輸は、宅急便のサービスを始めてから40年以上たつんですけども、これまでこのサービスの質を落とすという取り組みというのは、これはしたことがなかったんですね。
今回はそれだけ経営的に追い込まれているんじゃないかなっていうのが、この見直しの案によって分かってくるんじゃないかなと思ってます。
これ、他社もじゃあ、追随する動きは出てくるんですか?
ヤマトがこういうふうな取り組みをするとなれば、佐川であったり、日本郵便であったり、そういったプレーヤーたちも、サービスの見直しっていうのに踏み切ってくる可能性はあると思います。
番組には多くの視聴者の方から意見を寄せていただいてまして、その中では、再配達を有料にしたり、届ける時間も夜7時までにしては?という声ですとか、今のサービスは、至れり尽くせりだという声もあるんですね。
これ、眞鍋さんからするとどう思いますか?
確かにそうですよね。
なんかちょっと、優しすぎる彼氏みたいなもんで、やってもらってると、それが当たり前になってしまうというか。

スポンサーリンク
  でもよく考えてみたら、すごく今のサービスは、確かに便利すぎるところはあるなっていうのは思いますね。
刈屋さんはいかがですか?
再配達、これ有料化という話なんですけれども、これは現実的には実現するのは難しいんじゃないかなと思ってます。
というのも、この再配達のコストを誰が負担するかっていうところが、一つ、ポイントだと思うんですけど、それが通販会社が負担するのか、それとも利用者、消費者が負担するのかと、この問題が一つと、あとは不在であるのか在宅であるのかっていう線引きですよね。
例えば、とんとんってドアノックして、ヤマトさんは配達に行ったと。
しかしながら、受け手の側は在宅しているのにもかかわらず、出なかった、これ水掛け論じゃないですけど、いた、いないとか、誰がコストを負担するかっていう問題と一緒ですけど、難しい問題になってくるんじゃないかなと思ってます。
抜本的な見直しは必要だとは思うんですけど、ただそのLINEのサービスとか、さっきあった、私も使ってるんですけど、消費者側も協力できることはありますよね。
あとやっぱり、今頼んであした届かなくてもいいんだけれども、あした届きますっていうサービスがあったりとか。
たまにびっくりするときあります。
そこまでしなくてもいいんだけどなっていうこともあったりもするんですけれども、そのあたりは?
確かに日本の宅配サービスっていうのは、海外と比較すると、海外の場合は注文から2、3日たったりとか、ヨーロッパの場合は1週間たつということもある、1週間たってから配達されるということもあるんですけれども、そのぐらい日本と海外では、宅配便のサービスのレベルが違っていると。
より質の高いサービスが日本では行われてるっていうことが言えると思うんですよね。
やっぱり見直すってなると、消費者側にはちょっと料金とか速さとかの部分で、これまでよりも不便になる部分も出るかもしれないけど、それはでも、受け入れなければいけないのかもしれないですよね。
例えば配送料、今、無料っていうのを打ち出してますけれども、これが例えば運賃の値上げによって、送料無料を打ち出せる通販の会社の数が減ったりとか、逆にその、送料無料の線引きですね、今までは2000円以上購入すれば無料にしますよっていってたのが、値上げによって、3000円以上とか、5000円以上と、こういう形でハードルがどんどん上がっていくと、こういうことが想定されるかなと思います。
消費者側としては、安くて速ければ、それはうれしいですけど、でもね、業者さん側が立ち行かなくなってしまったら、結果的に私たち、困ってしまうので。
やっぱり体制はちゃんと整えてほしいなと思いました。
2017/03/02(木) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+▽はやくて安いネット通販に危機が!?宅配サービス過酷な実態[字]

急成長を続けるネット通販。利便性の一方で、深刻なドライバー不足により、年末には遅配が相次ぐなど“宅配危機”も指摘されている。現場で何が起きているのか、探る。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】物流コンサルタント…刈屋大輔,タレント…真鍋かをり,【キャスター】松村正代
出演者
【ゲスト】物流コンサルタント…刈屋大輔,タレント…真鍋かをり,【キャスター】松村正代