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字幕書き起こし 歴史秘話ヒストリア選「愛と悲しみの大奥物語」 2017.03.03

(鈴の音)上様おな〜り〜!江戸城大奥。
それは絢爛豪華な女の園。
そこにあふれていたのは女たちの夢と希望。
江戸時代徳川将軍家を支えるため1,000人を超える女中が働く女の園がありました。
「大奥」です。
月光院さんはよろしなぁ。
さぞお楽な事やろなぁ。
ねたみそねみに嫌がらせ。
裏では怖〜い女の戦いが繰り広げられていました。
お吟味のほどよろしくお願い申し上げます。
そんな大奥の世界に飛び込んだ一人の女性絵島。
持ち前の才覚で大奥トップへと上り詰めていった絵島に突如思いも寄らぬ悲劇が襲いかかります。
身に覚えのない…やがてそれは大奥を揺るがす一大事件に発展していきます。
絶体絶命の窮地に陥った絵島の運命は…。
今夜の「ヒストリア」は一人の女性が見た愛と悲しみに満ちた大奥のお話です。
始まりました「歴史秘話ヒストリア」。
大奥というのは江戸城にあった将軍様のプライベート空間。
そこで働く女中たちには一つの厳しいルールがありました。
「大奥で見聞きしたことは決して外へもらしてはならない」。
そのため今も秘密のベールに包まれている大奥。
今宵皆様が見聞きした事は決して話さぬように。
「歴史秘話ヒストリア」。
江戸城大奥では今まさに奥女中たちのオーディションが開かれています。
大奥は当時の女子にとって憧れの職場。
武士の娘から庶民の娘まで実にさまざまな女の子がツテを頼ってやって来ました。
試験ではまず書道や裁縫の腕前を提出物でチェック。
更に器量を見る面接が行われます。
そなたはどのような思いでこれを縫いましたか?上手に縫えますようにと。
皆様方のお眼鏡にかないますようにとその一心で縫いました。
分かりました。
下がって結構です。
将軍家に仕える女中ですから審査基準もハイレベル。
大奥勤めはとても狭き門でした。
さあ続いてやって来たのがこの物語の主人公です。
みよと申します。
お吟味のほどよろしくお願い申し上げます。
みよそなたはどのような思いでこれを縫いましたか?はい。
決して針が折れて布に残らぬよう絶えず気を引き締めて縫い上げました。
針が残らぬようにと。
美しゅう仕立てようとは思わぬのですか?美しく仕上げるのは当然の事。
その前に袖を通す御方がおケガなどなさらぬよう心配りする事こそ何より大事と思っております。
みよ。
後に「絵島」という名で大奥のトップに立つ事になる女性。
美人で頭も良く何より機転が利いたと言われています。
みよは見事大奥に採用となりました。
大奥とは江戸城本丸にあった将軍の正室や側室たちの住まいです。
幕府が政治を行う「表」。
将軍が生活する「中奥」。
そして将軍の家族のためのプライベートな空間として一番奥に作られたのが「大奥」です。
広さはおよそ2万m^2。

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  ここに身の回りの世話をする奥女中たち1,000人以上が住み込みで働いていました。
みよは貧しい御家人の娘でした。
大奥で目に映るもの全てが驚きだった事でしょう。
ここが御鈴廊下です。
上様が大奥におなりの時にこの鈴を鳴らして合図をするのです。
ここを上様がお通りに…。
「御鈴廊下」とは中奥と大奥をつなぐ将軍専用の通路の事。
(鈴の音)着飾った女性たちが手をついて将軍様をお出迎えする。
そんなイメージがありませんか?でもこれ実際はちょっと違ったようです。
最新の研究によれば御鈴廊下の幅は2.7m。
女性たちがずらりと並ぶには少し窮屈です。
廊下はあくまでも通行のためのもの。
お迎えの挨拶は大奥内の座敷に入ってからだったと考えられています。
さて次に案内されたのは「呉服之間」。
ここは「呉服之間」。
上様や御台様のお召し物をお仕立てしています。
御台様の…。
「御台様」とは…なんと1日に5回もお召し替えをされたそうです。
そのため着物代に年間15億円もかかったといいますからなんとも贅沢なお話です。
まあ見ないお顔の方。
おまつ様新入りですか?おみよです。
これは呉服之間のお竹とお梅。
みよと申します。
よろしくお願いします。
おみよさんは幸せ者ね。
幸せ?ええ!だって初日からおまつ様に面倒見て頂いているんだもの。
そうよ!ここで一番大事なのはおまつ様のようにいつもお美しくお優しい方に気に入って頂く事よ。
これこれ。
まったくしょうがないですね。
(笑い声)白玉のように美しいお肌!大奥では上司に気に入られる事が一番大事!というのも大奥は仕事によって細かくランク分けされたピラミッド型組織で上司に評価されて上に上がれば上がるほどお給料も待遇もぐんぐんアップしていく仕組みでした。
例えば先ほど出てきたお竹とお梅はというと…。
(梅)私たちはここ呉服之間。
年収はおよそ800万円!これは普通のお侍さんより上でした。
(竹)私たちの先輩おまつ様は大奥の道具を管理する「御次」。
このクラスになると年収は1,000万円を突破!
(梅)そしてそしてトップの「御年寄」になれば…年収は3,000万円!300坪のお屋敷までもらえちゃいます!やるからにはトップを目指したい。
大奥は女たちの出世競争の場でもありました。
さてみよはというと随分下のこちら「御使番」からのスタートです。
御使番とは言ってみれば大奥の受付窓口。
大奥に入ってくる品々をチェックしたり注文を取りに来た商人たちに応対したりするのが仕事です。
みよの仕事ぶりはすばらしく記録によれば…上司の覚えめでたく異例のスピードで出世していきました。
大奥に入って5年目。
みよに運命の出会いが訪れます。
・面を上げよ。
6代将軍家宣の側室…みよは出産を控えた月光院のお付きに大抜擢。
将軍家のお世継ぎを守り育てるという大奥で最も重要な仕事を任されます。
手を。
御方様!そのまま。
そなたの世話になるのは私だけではない。
この子もです。
(2人)あっ!動きました。
きっと「そなたに頼む」と言っているのにちがいありません。
えっ…。
みよと申します。
ふつつか者にございますが何とぞよろしくお願い申し上げます。
ふふふ…。
月光院はみよと同じく元は女中でした。
年齢も近く共に和歌を詠む事が大好きだったという2人。
絆はだんだんと深まっていきました。
しかしその一方で大奥での暮らしは言いようのない息苦しさに満ちたものでもありました。
みよ。
このところそなたが笑うた顔を見ておらぬ。
え?何か思うところがあるのではないのか?私に話してみよ。
私が引き立てられた事をねたみ恨む者がおります。
聞きました?あの方また偉くなるんですって。
ええ!?何であの御方ばっかり!一体どんな手を使ったんだか…。
ちょっと上に気に入られたからってあの態度。
少し思い知らせてあげないと…。
女の園大奥では嫉妬や嫌がらせは当たり前。
すそを踏んで転ばせるなんていうのはかわいい方で相手の根も葉もない悪いうわさを流したり食事に毒を盛ったりなんて事も。
「出世する事は他人を蹴落とす事」でもありました。
これまで一心に勤めてまいりましたがそれが誰かを押しのけてきたのだと思うともうどうしてよいか分からず…。
そうでしたか。
(月光院)ご覧なさい。
よい月です。
みよそなたは月になりなさい。
月にございますか?そうです。
月は人の思いにかかわらず全てを明るく照らしてくれます。
そなたもねたみやそねみにかまわず皆をそっと優しく照らす月になればよいのです。
あの月のように私が…。
フフフッ。
やっと笑うた。
あ…。
あの月とみよの顔を見ていたら一首浮かびました。
「秋風が吹いて雲が散ると空には月が美しく輝いている」。
みよには暗い雲を吹き飛ばしいつも明るい笑顔でいてほしい。
そんな願いを込めたのかもしれません。
月光院は無事出産。
世継ぎとなる男の子が生まれます。
みよは我が事のように喜びました。
上様月光院様におかれましては本日もご機嫌麗しゅう…。
やがてその子は僅か4歳で将軍の座に。
月光院は将軍の母として大奥の中で大きな力を持つようになります。
みよは絵島という名を新たに授けられ大奥トップの役職「御年寄」に引き立てられました。
(雷鳴)ところが…。

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  このままでよろしいのですか天英院様!上りゆく月光院たちを快く思わない者がいました。
なぜあのような成り上がりの者たちに大きな顔をされなくてはならないのですか!そやかてお世継ぎを産まはったんは月光院さんや。
子のないわらわは身の不運を嘆くしかないんや。
京の公家出身で将軍との間に産まれた2人の子は早くに亡くなっていました。
大奥の主たる御台所は天英院様ただお一人!これ以上月光院をつけあがらせてはなりませぬ!まあそう怒らんと。
お月さんいうんは満ちたら必ず欠けていくもんや。
今は待ちましょ。
よろしな?何だか怖〜い人が出てきましたねえ。
将軍の正室天英院。
京都の名門の公家に生まれた高貴な身分の御方です。
一方月光院はもともと武家に仕えていた女中で必ずしも高い身分の出とは言えません。
公家と武家では言葉も習慣も違います。
例えば…天英院がたっぷりおしろいを塗っていたのに対し…月光院はいつもあっさり薄化粧。
何から何まで正反対のお二人。
さてさて女の戦いの行方は?「歴史秘話ヒストリア」。
月光院さんはよろしなぁ。
ほんによろしいですなぁ。
(2人)フッフッフッ…。
恐れながらよろしいとは何を指しての仰せにございましょうか?皆様方はお化粧に手間もかけずゆうゆうと御城内を歩けるやなんてお羨ましい事やと申しておったのです。
私たちにはそのような立ち居振る舞い到底できませぬゆえさぞお楽な事やろなぁ?さあ参りましょう。
絵島。
また月に雲がかかっていますよ。
え…あっ…。
このころ大奥には月光院についてよからぬうわさが流れていました。
月光院様とあの間部様が何だか怪しいんですって。
え!?なんと月光院が将軍の側近とあろう事か恋愛関係にあるというのです。
月光院様もまだお若いですしねえ。
(絵島)おやめなさい!絵島様!そのような話全く根も葉もない事。
妙なうわさ話に踊らされてはなりません。
さあ早くお勤めに戻りなさい。
月光院をおとしめようとする者がいる。
絵島の胸中は穏やかではありませんでした。
(月光院)ふふふふふ。
お笑いになっている場合ではありません月光院様。
うわさ話が何より好きな奥の者たちです。
どんなにばかばかしいうわさでもたちまち広がり信じられましょう。
そうね。
うわさを流した者もまさにそれがねらいなのでしょう。
よいのですか?
(月光院)もう慣れました。
それに事を荒だてればそれこそ向こうの思うツボ。
それゆえ笑っておきましょう。
月光院様はまことお月様のような御方にございます。
そなたもな。
絵島は奥女中たち5名ほどを伴って将軍家の菩提寺増上寺に出かけました。
正室や側室の代わりに歴代将軍のお墓参りをする「代参」のためです。
境内の墓所でつつがなく参拝を済ませた一行。
帰り道にはちょっとしたお楽しみがありました。
ふだんお城の奥に住み込みで働く女中たちにとってこの芝居見物は貴重な息抜きの機会でした。
女中たちのお目当ては…当時大人気だったイケメン歌舞伎役者です。
きゃ〜待ってました!新五郎!芝居のあとには生島新五郎たち歌舞伎役者も加わって接待の宴が開かれました。
この度はわざわざのお運びまことにありがとうございました。
芝居の方はお楽しみ頂けましたでしょうか?ええとても。
それにみんなのあんなに楽しそうな顔が見られてまこと来てよかったと思うております。
…ってぇ事は芝居よりもお供の方々のお顔ばかりをご覧になってたってわけですかい?あっいやそうではありません!お芝居も見ておりましたよちゃんと…。
絵島様冗談でございます。
ご無礼を申し上げました。
もう…からかうものではありません。
さっご機嫌直しにお一つ。
楽しい時間はあっという間。
奥女中たちは久しぶりの外出を大いに満喫しました。
しかしこの時絵島はささいなミスを犯してしまいます。
宴の席につい長居してしまったのかあるいは帰り道で何かトラブルがあったのか江戸城の門限に僅かに遅れてしまったのです。
この遅刻が大奥最大のスキャンダルに発展するとはこの時の絵島には知る由もありませんでした。
(天英院)門限破りとな。
フフフフ…。
さようかぁ。
代参の日にお芝居見物をしてあげくの果てに門限破りとはなぁ。
まこと絵島がそれを?御代参に共に参った者平川門の門番いずれもはっきりとそう申しております。
お月さんが欠けてきはったみたいやなぁ。
芝居見物の3週間後事態は思わぬ展開を迎えます。
絵島は突如役人から呼び出しを受けたのです。
御代参の折遊興にふけり門限に遅れし事不届きに思し召し候う。
これによりお暇を下されお預けとするものなり。
申し渡されたのは門限破りを理由とした…追って取り調べが始まるまで謹慎を命じられました。
果たして絵島の運命やいかに。

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  ただの遅刻で大奥追放に。
なぜ事態はここまで大きくなったんでしょう。
一説には月光院と対立する天英院が関与していたとも言われます。
天英院としてはですね…それに気に入られて自分たちの頭を押さえてる絵島というのは一番気に入らない存在なんですね。
だから彼女を攻撃して失脚させる事によって天英院の女中たちが大奥の中で非常に勢力を持ってくるというそういうねらいというか気持ちはあったんだと思うんですね。
さあ罪を問われた絵島は一体どうなってしまうんでしょうか?「歴史秘話ヒストリア」。
絵島が謹慎している間に事件の関係者への取り調べが進められました。
呼び出されたのは芝居のあとの宴に同席した歌舞伎役者たちです。
ところがこの時役者たちが追及されたのは絵島の門限破りについてではありませんでした。
さあ申せい!年寄絵島と生島新五郎は情を通じておったな!疑われたのはなんと…奥女中にとって恋愛は御法度。
もしこれが事実であれば大奥始まって以来の一大スキャンダルです。
尋問は熾烈を極めました。
やれ!生島新五郎は激しい拷問にかけられます。
そのあまりの厳しさに耐えかね絵島と情を通じていたとありもしない事実を認めたのです。
続いて絵島の取り調べが始まります。
いいかげん認めたらどうじゃ。
生島新五郎との間に不義があったのであろう!ございませぬ。
そのような事は一度もございませぬ。
もし罪を認めてしまえば絵島の大奥追放だけで事は済みません。
主である月光院までも責任を問われかねない事態となります。
月光院に累を及ぼしてはならない。
絵島はどんなに厳しく問われても屈しませんでした。
月光院さん何や大変な事になりましたなぁ。
しかし当然の報いでしょう。
大奥御年寄ともあろう者が役者風情とあのような事をしてしまったのですから。
まあこれからまだまだ大変やろうけど御身お大切に。
心の声絵島…。
取り調べは連日連夜絵島に一睡も許さず続けられました。
終わりのない執拗な尋問。
それでも絵島はじっと前を見据え続けます。
心の支えとなったのは月光院と過ごした日々の事。
面を上げよ。
御方様!そのまま。
「そなたに頼む」と言っているのにちがいありません。
そなたは月になりなさい。
絵島また月に雲がかかっていますよ。
(笑い声)大奥で自分を導いてくれた月光院。
その信頼を裏切るような事だけは決してできない。
絵島は一人戦い続けました。
なんじゃと!絵島が死罪?はい。
間もなくそのようにご沙汰が下ると。
そのような事があってよいはずがない!直ちに老中へ使いを出しなさい!「私が自らそちらに行き絵島の疑いを晴らす」とな!月光院もまた絵島を守るべく老中たちへ懸命の説得を続けていました。
判決の日。
「その行い正しからずその罪重く候えどもお慈悲をもって命を助け置かれ永く遠流に行われ候うものなり」。
下された判決は「遠流」。
江戸から遠く離れた土地に流し生きては二度と帰さぬ刑です。
極めて厳しい処分でしたが生島との密通という罪にはついに問われなかったのです。
絵島は静かに判決を受け入れました。
ただ一つの心残りは月光院に一目会ってお詫びできなかった事。
この時詠んだ歌が残されています。
「大奥にはもう帰る事はできないでしょう。
月の光のように自分を照らしてくれた月光院様にただただ申し訳なく思います」。
最後まで信念を貫き通した絵島。
こうして絵島は大奥という舞台を去りました。
しかし彼女の凛とした生き方の物語には更なる続きがありました。
絵島が流された地信州…ここに絵島が過ごした屋敷が復元されています。
与えられたのはこの小さな8畳間の一室のみ。
周囲には格子戸が巡らされ屋敷の外に出る事は許されませんでした。
筆や紙は与えられず言葉を交わせるのも身の回りの世話をする下女だけに限られました。
絵島はこの地で27年の時を過ごした後その生涯を閉じました。
絵島の死後幕府の役人が高遠に派遣され生前の様子について聞き取りが行われました。
その記録の中にはこんなやり取りが残されています。
(下女)絵島様やはり駄目でしょうか?大奥の事をお伺いするのは。
何度も申しました。
話す事は許されておらぬと。
そうですね一つだけ教えてあげましょうか。
まことですか?大奥からもここからも同じ月が見えるという事です。
心の声月光院様見ていらっしゃいますか?今宵もよい月にございます。
2017/03/03(金) 20:00〜20:43
NHK総合1・神戸
歴史秘話ヒストリア選「愛と悲しみの大奥物語」[解][字]

江戸城・大奥。言わずと知れた女の園。そこは夢と希望、そして嫉妬と権力闘争が渦巻く。大奥最大のスキャンダルに巻き込まれた一人の女性の愛と悲しみの物語が、よみがえる

詳細情報
番組内容
江戸時代、大奥で一大スキャンダルが勃発する。「絵島・生島事件」。大奥トップの絵島と歌舞伎役者の生島新五郎が“情を通じた”というのだ。事件の主役、絵島は事実無根を強く主張したが、大奥を追放される。謎の多いこの事件の背後には、女同士の激しい勢力争いと幕府内の権力闘争があった、と噂される。貧乏旗本の娘から大奥のトップへと上り詰め、そして悲劇の最期を迎えた絵島。NMB48メンバーの出演で、事件の真相を描く
出演者
【出演】NMB48,山本彩,【キャスター】井上あさひ