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字幕書き起こし クローズアップ現代+「フェイクニュース特集 “トランプの時代”真実はどこへ」 2017.02.06

アメリカ大統領がみずからの主張をツイッターで発信する時代。
そのつぶやきが連日、世界を揺るがしている。
時に感情的なことばが大手メディアを介さずに2000万人のフォロワーから世界へ拡散されていくのだ。
その一方で。
メディアをうそつきと呼び敵視する姿勢を隠さない。
大統領選で不正投票が行われていたとするみずからの主張に根拠がないと追及されると…。
何がうそで、何が真実なのか。
混乱するアメリカ。
こうした動きを加速させたのが去年の大統領選挙。
フェイクニュースと呼ばれる偽の情報がインターネット上にあふれ人々を惑わせた。
ローマ法王もトランプ氏を支持。

 

 

 


クリントン氏を捜査するFBI捜査官が無理心中。
フェイクニュースをきっかけに銃撃事件まで。
クリントン氏が児童売春組織に関与しているという偽のニュースを信じた男が拠点とされたレストランを襲撃した。
フェイクニュースは、なぜどのようにして生まれるのか。
社会は、どこへ向かうのか。
特集シリーズで迫る。
フェイクニュースによって、今、アメリカ、大変な混乱に陥っているように見えますけど、デーブさん、どうなんですか?
本当なんですよね、しゃれで済ませられないですね。
特に去年から、実際に選挙に影響を与えたわけですから、結果までかどうか別として、恐ろしいと思うんですよ。
前だったらおもしろくて見てたようなもの作って、パロディーとか、それだったらよかったんですけども、今回のものは違いますね、悪意がありますね。
だって、デーブ・スペクターさんが言ってることは冗談だなと思ってた人が多かったのに本当だと思う人が出てきたんじゃないですか。
きょう僕が呼ばれて、果たして説得力あるかどうか。
ちゃんと説得力持たせてください。
池上さんは、まあこれだけフェイクニュースがまん延して、それが社会を動かすまでになってる、この状況、どう見ますか?
去年の英語圏のいわゆる流行語として選ばれたのが、ポスト・トルゥース。
要するに、人は真実ではなくて、とにかく感情的に心が揺さぶられれば、それでいいと、真実は二の次だというようなことが広がっているという、これが去年の流行語に選ばれた。
もはや、そういう時代になっているのかということですよ。
真実じゃなくてもいいんだっていう時代になったんじゃないかと。
今回、アメリカ大統領選のさなかにフェイクニュースを発信し続けたサイトの制作者が取材に応じました。
そのサイトの名前なんですけれども、皮肉にもこちら、リアル・トゥルー・ニュース、本当の真実のニュースというんです。
面会の場所に指定されたのは地元の人でにぎわうバー。
フェイクニュースを作っているという男性だ。
このバーから発信しているのだという。
マルコ・チャコンさん。
ふだんは金融機関の重役を務めているという。
チャコンさんが仕事の合間を縫って、運営するサイトリアル・トゥルー・ニュース。
友達にジョークを楽しんでもらう目的で、3年前に開設した。
これまでに書いた数百本の記事すべてがフェイクニュースだ。
今では1本の記事に2万回以上のアクセスがあるという。
例えば「秘密の世論調査でトランプ氏がリード」いう去年8月の記事。
メディアは隠しているがトランプ氏が圧倒的に有利だと明らかな、うそを伝えた。
当時、大手メディアはクリントン氏がトランプ氏をリードしていると報じていた。
ところがこのフェイクニュースは数万アクセスを記録した。
チャコンさんのフェイクニュースは手の込んだものになっていく。
選挙戦を通して若者からの支持の伸び悩みが課題となっていたクリントン氏。
そこでチャコンさんはクリントン氏が非公開の講演で「若者は負け犬だ」と発言したといううそのニュースを流したのだ。
このフェイクニュースを大手メディアがニュース番組で引用し、報道。
その後、うそが明らかとなり謝罪する事態にまで発展した。
今も新たなフェイクニュースを発信し続けるチャコンさん。
うそを真に受ける社会に問題があると語る。
フェイクニュースが広がる背景には、SNSを通して自分が興味のある情報だけを受け取ろうとする人たちの増加がある。
東部・ニュージャージー州で非正規の仕事をしているジンジャー・ベルさん。
ふだん、テレビや新聞は全く見ない。
常に持ち歩くスマートフォンが唯一の情報源になっている。
ベルさんのスマートフォンに入ってくるのは関心があるリベラルな政治や環境問題のニュースがほとんど。
もともとフェイスブックを通じて、さまざまな立場の知人と情報のやり取りをしていたベルさん。
しかし自分の考えと異なる意見や見たくないニュースに煩わしさを感じるようになりSNSの設定を変えて情報が入らないようにした。
今、ベルさんは自分が好む情報だけを受け取るようにしている。
SNSに詳しい専門家は同じ考えの人から流れてくる情報ばかりに触れているとフェイクニュースが紛れ込んでも疑いを持たなくなると指摘する。
取材に当たった藪内記者がニューヨークにいます。
藪内さん、フェイクニュースによって、アメリカ社会というのは、どう変わってしまっているんでしょう?
ひと言で言いますと、フェイクニュースによって、社会の分断がより深まっていると感じます。
フェイクニュースは、今も日々、作られていまして、最近もオバマ前大統領が任期が終わるのに、ホワイトハウスから離れるのを拒否すると述べたなどといった、うその情報が広まりました。
私もどんな意図でフェイクニュースを作っているのかと、身構えて取材に臨んだんですが、実際には軽い気持ちで作られているという、その落差に驚きました。
アメリカでは今、多くの人が真実が何かよりも、自分が信じたい情報を信じるようになっています。
それぞれが自分の殻に閉じこもり、多様な意見が耳に入らなくなる、そんな状況に危うさを感じます。
フェイクニュースがどんな動機で作られているのか、今ありました、軽い気持ちで作っている人もいるっていう話、ありましたが、アメリカ大統領選のときに盛んに発信されたのが、こちら、政治的意図を持ったフェイクニュースなんですね。
プロパガンダによって、多くの人に影響を及ぼしたり、外国人、移民に対する差別や排斥に利用されたりもしているということなんですけれども、池上さん、フェイクニュースがこういうふうにまん延することは、社会にどういう作用があると?
これはね、例えば権力者というのは、なんとか世論操作をしたいという思いがあって、例えば事実を自分の都合のいいように解釈をちょっと変えるということは、これまでやってたんですけど、トランプ政権の場合は、そもそもうそを平然と言うと。
例えば、大統領就任式に集まった人の数を、実際よりずっと少ないのを多いと言ってみたりして、それはおかしいじゃないかって指摘されたら、出ました、このことばですね。
それはオルタナティブ・ファクト、もう一つ別の事実だと。
それって普通のことばで言えばうそなんですけど、うそと言わないで、オルタナティブ・ファクトと言い張るという、まさに今、トランプ政権のもとで、こういう事態になっているということですよ。
何かを指摘してただしたとしても、もう一つそっちが事実なんですと言われてしまうと。
池上さん、実は、先ほど日本時間の9時過ぎに、トランプ大統領がツイートしました。
その内容。
私に否定的な世論調査は、すべてフェイクニュースだというツイートがありましたよ。
なるほど。
つまりまたとにかく私に否定的なものはすべてフェイクだと言い張るっていう。
これ、大変分かりやすいツイートですね。
ネットメディアの最新状況を研究している藤代さんにお伺いしたいと思います。
今、私たちは一体どんな時代を生きてるんでしょう?
ニュースの流れが根本的に変わってしまったということを、まず自覚していく必要があると思うんですね。
さっきフィリップで紹介してもらいましたけれども、発信者と、拡散する人っていうのは別にいるんですね。
だからこそ、トランプは、トランプ政権というのは拡散、人々の拡散というのを力にして、オルタナ・ファクトを伝えることもできるようになっているという仕組み、インターネットの仕組みが実はあるんです。
このパワーを利用することにたけている。
実は、今のお話でいきますと、これ、フェイクニュース、意図はいろいろありますけれども、やはり拡散されることで、大きな影響力を持つんですが、こんな調査があります。
アメリカ人を対象にした調査で、フェイクニュースを拡散させてしまったことがある人の割合は23%、5人に1人に上っている。
デーブさん、アメリカ人はなぜフェイクニュース。
一つにはメールで来るものをよく転送したりしまして、よく見ないで送るんですよ。
知り合いの好みのニュースとかのものだったら、送っちゃうんですよ。
あとで見たら、自分でも見たら、これはうそっぽいなと、思うの遅いんですけど、そういうところもあるんですよ。
つまり慌ただしくて、ネットのユーザー、スマートフォンもそうですけども、とにかく錯そうしている。
回転ずし状態で、好きなものいっぱい取って、慌てて取るんですよ。
ですから、冷静に見てないんです。
前だったら媒体の数がとても少なかったんですよ。
今はもう数え切れない。
どんどん新しいので来て、それはちゃんとした媒体かどうか確認せずに見てると。
もう一つ情けないのは、訂正、前だったらちゃんとしたニュース媒体だったら、間違えました。
今は違います。
更新、アップデートですよ、間違ったことを平気で許される許容範囲が大きくなったこともまた問題です。
ますます正しさが分からなくなっている状況。
それから拡散させてしまう理由のもう一つが、情報の受け手の状態を表すことばとして、フィルターバブルということばがあるんですけれども、これ、インターネット上で、さまざまな友人、あるいは情報とつながっているようでも、実は利用者というのは、見えないバブル、泡に覆われていて、偏った情報に囲まれていて、真実が見えなくなってしまう状態にあると。
藤代さん、これがフェイクニュースとどう関連する?
いろんな情報が世の中にありますよね。
しかし、インターネットというのは、アルゴリズムというプログラミングの仕組みで、自分が、いいねをしたり見ているものばかりが表示されるようになるんですね。
かつ、例えばそれに、いいねがつく、さっきデーブさんがおっしゃったように、シェアされてくる、そしてシェアするというのがあると、それが正しいのかなと思い込んでしまう。
それがフィルターバブルだっていうことなんですね。
池上さん、いつのまにかわれわれ、フィルターバブルの中で情報を得ているという状況。
やっぱり結局、検索をしても、自分の見たいものだけを調べていく、結局、見たいものだけを見る、信じたいものだけを信じるというふうに、ある種のたこつぼ状況にみんな陥っているんじゃないか。
インターネットが始まったときは、あらゆる情報を見ることができる、夢のように語られたんですが、結局今は、みんな信じたいことだけを見るということによって、本当に個々に、ばらばらに分断されてるなと思うんですね。
こういった状況の中で、さらに新しい情報に基づいたニュースがフェイクニュースによって事実が塗り替えられてしまうという、深刻な事態も起きています。
先月一人のジャーナリストがツイッターを通じて助けを求めた。
「事実がウソに塗り替えられてしまう。
どうすればいいのか誰か教えて下さい」。
投稿したのは、ドイツの地方新聞紙のベテラン記者ペーター・バンダーマンさん。
去年の大みそかバンダーマンさんは年越しを祝う人々の取材に向かった。
バンダーマンさんが撮影した動画。
花火や爆竹を鳴らして年越しを祝う市民たちに交じって中東などからの移民が楽しむ姿も映っていた。
その夜、別の場所ではぼや騒ぎも。
工事中の教会のネットに花火の火がついたというものだ。
バンダーマンさんはインターネットに年越しの様子の記事と動画を掲載。
ぼや騒ぎはあったものの例年と変わらない光景だったと伝えた。
しかし、数時間後想像もしていなかった事態が。
みずからの記事が異なる形でオーストリアのニュースサイトに引用されていたのだ。
その記事には、シリア人が「アッラーは偉大なり」と叫び教会に火がつくと無関係な事柄を組み合わせ彼らが放火したかのように描かれていた。
しかし2日後、移民やイスラム教徒に排他的とされるブライトバートのロンドン支局も引用記事を掲載した。
タイトルは「1000人の暴徒が警察を襲撃。
ドイツ最古の教会に放火」。
移民たちがイスラミックステートなどの過激派組織と関連しているかのような描写もあった。
バンダーマンさんが取材した事実とは異なる2つの記事は世界中に拡散。
分析ソフトを使って検証するとオーストリアの記事はヨーロッパを中心にSNSで2万5000件ものシェアなどがあった。
また、各国に読者を持つブライトバートでも2万件以上の反応があり少なくとも世界28か国に広がっていった。
バンダーマンさんのもとには誤った記事を信じた人たちから1000通を超える非難のメッセージが届いた。
なぜ、移民の放火事件を隠していたのか。
絞首台の画像まで送りつけられてきた。
社内で対応を協議したバンダーマンさん。
反論記事を書いて誤った情報を正していけば事態は収まると考えた。
反論記事に書いたのは移民が集まっていた広場とぼや騒ぎが起きた教会は別の場所であること。
「アッラーは偉大なり」ということばはイスラム教徒が日常的に使うことばであることなど詳細に説明する記事を掲載した。
しかし、この反論記事に対する書き込みやシェアなどは国内を中心に僅か500件余り。
世界に拡散された誤った情報を打ち消すことはできなかった。
事実をねじ曲げた記事は今も、さまざまな形で引用され続けている。
シリア人が教会に放火をしたという、このフェイクニュースを拡散させた、アメリカの保守系サイトのブライトバートなんですけれども、経営責任者だったのが、スティーブ・バノン氏、この人、現在ですね、政権運営全般にわたってトランプ大統領に助言する上級顧問の役にあるということなんですけど、デーブさん。
確信犯ですね。
本来ならば、とんでもない人を閣僚に入れたんですよね。
トランプ大統領ならばまだなんとか我慢しても、こういう人たちが背景にいるというのは、もう歩くヘイトスピーチに近いんですよね。
今はいろんなカモフラージュを使って、例えばオルト・ライトとかいろんな表現使ってるんですけれども、基本的にやってることは、本当はとんでもないんですよね。
今回、トランプ政権がイスラム圏の7万人を一時入国を拒否しましたね。
その大統領令の下書きを書いたのがこの人だと言われていますよね。
というと、結局、事実が塗り替えられて、民族間、あるいは宗教間の負の感情を湧き起こさせられるとしたら、それは本当に問題にもなりますよね。
だとしたら、池上さん、では既存メディアは何ができるのか。
これ本当に難しいことですよね。
つまりこれまでどおりのやり方ではだめだということです。
ニューヨークタイムズも、それこそフェイクニュースだとずっと非難され続けましたね。
ニューヨークタイムズも初期のころは、こういうことを述べた、でもそれは事実と違うという言いかたしてたんですが、最近は態度を変えまして、トランプ大統領がこういううそをついたというのを見出しに書くようになったんですね。
真っ向から?
真っ向から対決するようになった。
そうしたら、去年の10月から12月までの3か月間に、ニューヨークタイムズの電子版の購読者が、27万6000人増えたんですよ。
つまりきちんと反論すると、それを見てくれる人もまたいるということです。
最終的にメディアリテラシーですよ。
見る側、判断できないならば、見る側の問題になるんですよ。
藤代さんはどう思われますか?つまり先ほど正しい情報を出したとしても、それがフェイクの拡散のスピードに、全く追いつかない現状もありましたよね。
だけれども一方で、ニューヨークタイムズをもう一回読もうという人も増えている、今、どういう状況にあるんですかね?
やっぱり拡散部分というのが、社会に大きな影響を与えるようになってきているわけですよね。
そこを担ってるネット企業が、やっぱり情報に責任を持つ、そういうことも非常に重要になってくるんじゃないでしょうか。
つまり、こういう情報を出しているインターネット企業、そこにどれぐらい責任があるのか。
あるいはその情報を全部、そもそも出している、いわゆるプラットホームというんですけど、それぞれインターネット企業、情報を乗せている企業の責任ということも問われてくると。
2017/02/06(月) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「フェイクニュース特集 “トランプの時代”真実はどこへ」[字]

連日ツイッターで発信を続けるトランプ大統領。一方で新聞やテレビをフェイクニュースと決めつける異例の事態に。いま真実とは何かを巡り、社会に亀裂が生じている。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】ジャーナリスト…池上彰,放送プロデューサー…デーブ・スペクター,法政大学准教授…藤代裕之,【キャスター】鎌倉千秋
出演者
【ゲスト】ジャーナリスト…池上彰,放送プロデューサー…デーブ・スペクター,法政大学准教授…藤代裕之,【キャスター】鎌倉千秋