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字幕書き起こし SWITCHインタビュー 達人達(たち)「小日向文世×服部隆之」 2017.01.28

本日は「大河ドラマ真田丸」の豊臣秀吉役小日向文世が登場!さすがに疲れたわ。
おめでとうございまする。
なぎゃー事気ぃ張っとったで肩がかっちんこっちんだわ。
軽やかで無邪気な陽の顔と狂気に満ちた陰の顔。
二面性を見事に表現した。
書いたやつを見つけ出し耳と鼻を削ぎ磔にした上で首をはねる!いやそれでも許せん!そいつの親類縁者ことごとく磔じゃ!これまでにない斬新な秀吉像は大きな反響を呼んだ。
そんな小日向が指名したのは作曲家服部隆之。
メインテーマをはじめ「真田丸」の音楽を全て手がけた人物だ。
祖父父共に作曲家という音楽一家に生まれた。
服部が得意とするのはドラマや映画で流れる伴奏音楽。
通称劇伴と呼ばれるもの。

 

 

 


顔は知らなくてもその音楽は皆さん一度は耳にした事があるのではないだろうか?壮大かつ重厚感のある音楽は人気作品のイメージを決定づける重要な役割を果たしている。
単純に聞いてみたいですね。
とてもお優しい方で。
何てったって…2人が初めて一緒に仕事をしたのは2000年に初演された…オーケストラピットを舞台に指揮者と12人の演奏者の人間模様が描かれている。
服部は作曲編曲そして音楽監督を務めた。
小日向は愛嬌たっぷりのとぼけたピアニスト役。
・「鼻がかゆいのです」・「なぜか鼻がかゆいのですなぜか」・「気になって気になって演奏どころじゃない」実際の演奏は服部が指揮しステージでの共演も果たした。

(拍手)小日向が向かったのはいつも服部が曲を収録するサウンドスタジオ。
実は2人じっくりと話をするのは初めてだという。
どうも隆之さんどうもお久しぶりです。
どうも。
ご無沙汰してます。
ほら。
帰り際に話しました?あのねちょっとだけ話したけども…かなり。
2人とも酔っ払ってた?ベロベロ?何かね抱き合ったと思います。
すごく2人でこうやって…。
そうですか。
お疲れとかって言って。
全然覚えてない。
ですから…いやいや何かもうすいません。
とんでもないです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
本当に。
わっこれすごいじゃないですかスコアじゃないですか。
これねそうなんですよ。
僕服部さんのスコアもしかして…。
これすごい「HERO」の。
これ「HERO」。
で「HERO」一番最初って確か2001年とかじゃないですか。
2001年。
ですよね。
それでそのあとに映画も…。
やりました。
それで書き直しをしたので…えっ?じゃあ最初の…。
あれと全くほぼ一緒。
もうそれは何でかっていうとそうしないとね…もったいない。
何言ってるんですか。
いやすごいな。
だからこれはちょっと新しくなってる。
それこそほら何だろう?モーツァルトや有名な昔のクラシックの譜面が残ってたらすごいお宝になるのに。
捨てるんだったら僕にくださいよ。
比較できない。
全然そんな事できないです。
すごい。
そうなんですよ。
ここで「オケピ!」の再演の時にものすごいシンプルな曲だったんですけど僕ねすぐずれちゃうんですよそのテンポに。
なぜかっていうとあのね違うんです。
僕いつも言われてたんですけど僕の書く曲ってブレスの位置がないって言われるんですよ。
ああ〜。
そう僕ね確かにね…。
・「演奏どころじゃない」って。
何かね…。
一回も吸うところがないんです。
ないんですよ。
だから当然歌ってる小日向さんは一回ブレス入れるじゃないですか。
そうですよね。
それで遅れちゃうんでしょ。
それで遅れるんです。
だからあれは僕のせいなんです。
いやいや僕のせいじゃない。
いきなり盛り上がる2人。
素面で初めましてな俳優と作曲家が交わす本音トークの行方は?隆之さんはピアノの…僕?え〜っとね…。
ソロコンサートやった事あるんですか?ないですよ。
あっないんですか。
僕ピアニストでも…ご自分で書斎か何かに籠もって1人で?いやいや書斎なんてないですから僕。
いや…。
それこそ寝室かパソコンの前で。
もう1人でやってますけどね。
いやいやありますよ。
2016年の「大河ドラマ真田丸」。
服部が手がけたテーマ曲で物語が始まる。
この曲は音楽配信サイトでのダウンロード数が7万を超える人気となった。
放送が始まる4か月前そのテーマ曲の収録が行われた。
スタジオには演奏を見守る服部の姿があった。
何やら落ち着かない様子。
気になるポイントがあるらしい。
もう一回だけやりましょうね。
指揮者や演奏者に細かい指示を出すのも作曲家の仕事の一つだ。
自分が作った音楽を理想の形にするため妥協は許さない。
もう今のでいいでしょう?駄目か。
いやいい。
あのね…。
でもやりたくないよなもうな。
部分録り。
このほらスタッカートあるじゃない。
このスタッカートは重いんですよやっぱり。
だから重い分だけそこが重くなるんだよね。
だからもう少し何だろう?鋭く短くしてもらってその重さが消えるとその停滞感がなくなるっていうそれだけ。
それはもう何?重箱の隅つつくような。
まずね…。
これ「真田丸」ですか?これ「真田丸」です。
こっちがね原本です。
原本っていうか…。
これで指揮の下野さんもこれを見てN響振ったんですね。
そこに行く前に…これの前ですね。
そうそうそう。
一回…どんな感じの曲かっていうのを作るんですね。
これもしかして三谷さんまで見てないでしょ?これはね僕しか見る事が…。
おお〜!という事は僕が出演者で唯一。
すごいな。
いやいやそんな別にお宝でも何でもないですからこれ本当に。
いや…。
何言ってるんですか。
そうですだからいろいろ何かメモがたくさんチョロチョロチョロチョロ書いてあります。
僕なんかがやっぱ見るとここにチェロがチェロ…トゥッティっていうのはここからチェロが入ってくるっていうやつね。
そうそうそう。
この辺も最後のバイオリンのバイオリンのソロで終わるじゃないですか。
そこも修正して。
ここでティンパニー足すんだっていうんでちょっと忘れないように丸してあったりとか。
いわゆるメロディーラインは思いついたとしてもそこに間にこういうのが例えば太鼓が入るとかそれこそクラリネットの低い音がふ〜っと入ってくるとかってそういうのは後から後から付け足していくものなのか同時に思いつくんですか?僕はね両方だと思うんですよね。
何か要するに今言った…要するに縦のここで入れるのかここからトランペットが入ってくる。
ここでやっぱりこう…尺八が鳴るとかこれコンマスこれ縦なんですけど…僕は結構メロディー…。
メロディー僕今あんまりはやりじゃないんですけど今の劇伴においては。
僕はやっぱり僕もそこそこ昔の人間なのでメロディーすごい大切なんです。
分かります分かります。
そのメロディーがちゃんとしていて…という事を信じているので。
それははやり廃りがあるんですか?やっぱり今は何だろうあんまり例えば…あれはもうまさにメロディーでしょ。
もうすぐ歌えるじゃないですか。
でも今はそういう事よりもサウンド感こんなサウンドとかリズムのダダダンダンダンとかっていう…だんだんそれもほらちょっと違う事をだんだん試したくなってくるじゃないですか。
そうすると今言ったサウンドっていうんですか。
それは「真田丸」のいわゆる新しい登場人物が出てくる度にテーマを考えたりしてそれは一緒に…来ますね。
今度ねNHKのその音響効果の方がまめで細かい人で…。
ハハハハッ。
これ1回目の録音の発注表。
劇伴制作において音響効果の担当者が作曲家のために作る発注表。
ドラマのシーンに合うキーワードや曲のテイスト使う楽器の種類など曲作りに関するオーダーが詳細に記されている。
「真田丸」では全120曲の劇伴が作られた。
例えば「聚楽第」。
秀吉の栄華を象徴する絢爛豪華なイメージを求められた。
服部はこれを頼りに曲を作り上げた。
ちょっと今聴いてみましょうか。
ええ。
えっ僕のテーマって…。
「聚楽第」。
そう。
はいありましたね。
要するに…
(「聚楽第」)これ?これこれこれ。
あっこれは確かに。
これはでもコヒさんの曲じゃないのよ。
待ってこれ大坂城見えた時じゃない。
大坂城に当ててたんだけど結局秀吉と重なる大坂城はほら秀吉の権力の証しじゃないですか。
そこひっくるめて大体…確か信繁がヒュッと見た時に大坂城の天守閣が見えてそれでこれが流れたんですよね。
「真田丸」第15話に「聚楽第」が使われている。
秀吉が初めて登場するシーンだ。
来い!え?早く!真田安房守の息子だな。
あの…。
後だ。
・殿下!殿下!こっち!オーケストラの重厚な音色が秀吉の華やかさを印象づけた。
三成は?うまくまきました。
見張っとれ。
はい!今回面白いのは要するに1年ドラマを通すので…朽ちゆく果てていくって事?そうそうそう。
そうするとその曲はですね要するに…なっていきますよね。
少し死へと向かうというその時にこの…聴かせて下さい。
僕聴いてるはずなんだけどな。

(「朽ちゆく黄金」)全然違いますね。
秀保はどうした?急病で倒れました。
お前たちはそろいもそろって何をやっておるのだ!こちらは秀吉晩年のシーン。
メロディーは「聚楽第」と同じ。
ピアノソロがメインだがグラスハープを重ねる事でもの悲しさをかきたてる。
・関白殿下。
秀吉の栄華の終わりをイメージさせる曲となった。
(秀次)叔母上…。
いやすごいな。
だからやっぱり何て言うのかな支えていく人たちの数というかあと音楽部門のこの大変さ。
だってこんな作業を…いや僕想像つかないですよやっぱり。
やっぱりまず1年でしょ。
ほとんどそれは番組の最初と終わりぐらいの…これ普通の民放のドラマだとできないんですよやっぱり。
まあできないでしょうね。
そういう何て言うんですか…だから最初に書いた…でもやりがいありますよね。
楽しいですね。
最初はちょっとつらいですけどあまりにも多いんで曲が。
でもだんだん動き出して…でも何て言うんだろうな僕ねいちいちいちいち何かっちゃあ…ぶっちゃけた話してしまえば。
でもね僕はやっぱり「真田丸」で秀吉が登場する直前のね「聚楽第」のさっきの音楽ですけど…まずは紹介してくれるっていうのかな。
秀吉が出る前に。
だからあとは僕はどんなに安い何かヒラヒラッと出てきてもズド〜ンとした世界をまずは提示してくれたっていうのは…だからいくらでも遊べたって言うとあれですけどあの音楽があるからこれだけ大坂というもののでかさっていうのがしっかり音楽でまずは表現して頂いたっていう感じがするんですけど。
僕だからすごくあの曲は好きでした。
とにかくテーマは「金」だったので。
ああ〜なるほどね。
僕らは結構ちゃんと…その方が最終的に完パケのものを見てこれがちゃんとあっこれ自分に向けられて書いてる曲かっていうふうに認識してるかどうかをなかなか聞く機会がないので今日はそれが聞けたのは非常にやる気が出ますよ。
作曲家生活間もなく30年。
服部がこれまで手がけた劇伴は70作を超える。
大ヒットとなった名作も数多い。
1997年には三谷幸喜の初監督映画に参加。
日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞し服部にとっても記念すべき作品となった。
ラジオ局を舞台に生放送のドラマがさまざまな人の思惑によって次々とストーリーを変えられていくドタバタ喜劇。
ほかの名前に変えてもよろしいですか?例えばですねこういうのはどうでしょう?何でしたっけ?よしえ。
よしえでは?よしえではいかがでしょう?ヒロインの名前がメアリー・ジェーンに変更になりました。
メアリー・ジェーン?そろそろスタンバイお願いします。
はいよ〜!監督の三谷は画面とピッタリはまった音楽を服部に求めた。
よろしくお願いします。
はいはい。
テープ頭出てんな。
大丈夫です。
それではノッコさんジョーさんよろしくお願いします。
お願いしま〜す。
結構僕三谷さん音楽発注する時にザクッとしてたなって印象があったんですけど結構見てるとこれも…このシーンからM33っていうのつけるんですけど。
これも三谷さんの指定で?そう指定です。
ここから少し盛り上がってでこれフォルテで音楽の。
フォルテになっていって。
ず〜っと流れてる。
ず〜っと流れてる。
ここも…役者さん保坂さんっていう役の役者さんがしゃべりだした時に静かになって静かになって…落とす落とすだけどだんだんワクワクワクワクなんですよねこれ。
スビト?ええすぐに小さくする。
まだ続いてる!進み〜の保坂さんっていうのが…盛り上がってまた最高潮。
最高潮の上の盛り上がりをフォルティッシモまでガ〜ッといってザ〜ッ!ハハハ。
長い。
そのシーンがこちら。
ワクワクの状態を続けながら最高潮の盛り上がりへと向かっていく。
その時だった!大空の彼方からメアリー・ジェ−ンの住むこのシカゴの街に1つの物体が飛来してきた!その物体は真っ赤に燃え盛りそしてその上には一人の男がまたがっているではないか!彼こそが我らがドナルド・マクドナルド!それ本当不思議なんですけど…服部さんの曲はいかにも…僕は音楽詳しくないから分かんないんですけども日本人の心にすごくフィットする何かがそこにあるんですよね。
休みとすれば。
多分それは今まで無音だったのにそこで流れる事によってガ〜ンと来る場合もあるし。
ありますね。
僕はサウンドトラックっていうか劇伴を書く事が多いんですけど常に絶対誰かとコラボな訳じゃないですか。
要するに…監督がいたり演出家がいたりってやっていくんで。
「それって何か自分のやりたい事をできなくてつまんなくないの?」って言われる事あるんですね。
要するに音楽家としてもうちょっとその…自分だけの自分のために…もちろんそれはそれですばらしいんですけど。
何かねすごい僕は自分の性格も含めてその感じがすごい俺の身の丈に合ってるんですよ。
それで監督とか例えば音効さんの手を介在して…まあその逆もありますね。
でもいい時が本当にほとんどで。
それってあれですか?例えば見て「せっかく俺の作ったこの曲にそんな芝居すんなよ!」って思う時もあるんですか?芝居はね芝居はね…。
これ小日向さんだからじゃないですけどないですよ。
分からないっていうのもありますけど芝居が。
それはでもどうだろう…何かねその感じで音楽が仕事としてそこに関わっていける感じっていうのは僕は何かいいですね。
もっと自分の音楽を前面に出すいわゆるだから…何だろう。
例えばコンサートを開いてという事ですよね?ですね。
それで服部隆之の音楽をそれこそ何だろうクラシックのようにオーケストラでダ〜ッとこう。
その発表のために曲を書くっていう事ですよね?要するに。
そういう事ですね。
でもこれからもそういうやってみようという気はあるんですか?あるんですよねそれはね。
あるんですけどもやらないで終わるかもしれませんしね。
何とも分かんないですねこれはね。
いやもう「オケピ!」をやってる時は隆之さん本当に振ってましたよね。
振ってましたね。
それでみんなで・「それはオケピ」って歌う時なんかねやってましたよね。
服部にとって特別な仕事の一つとなったのが…
(拍手)ふだんは表舞台に立たない服部が観客から大きな拍手を受けた。
(拍手と歓声)フィナーレでパ〜ンと最後僕らが本物のオーケストラの連中を紹介するじゃないですか。
あの時うれしそうに振ってましたよね隆之さん。
やっぱりああいうライブ好きなんだなっていうかやっぱりほら生の…現場に立ち会ってるっていう。
ものすごいうれしそうに。
またあれ評判よかったですからね。
録音したものっていうのはどっからか…ね?誰かが書いた事によってこれはいいと思ってるとかってあるんですけど…あれはやっぱりだからああいうのやったら…やったらってあれからあんまやってないんであれですけどあれ本当にやめられなくなるっていうの分かりますよね。
僕ねやっぱり音楽家すごいと思うのはソリストなんか見てると…。
セリフ僕ら間違えたらね…適当な事言っちゃえばいいんだし極端な事言うと。
あとは知らんぷりして俺は忘れてないぞというような顔してやってりゃいいんだもん。
でもピアノとかねバイオリンとかソリストは…ないの?基本はないんです。
じゃあほぼパーフェクトでやってるの?それはもういわゆるコンチェルティストは間違わないですやっぱり。
そのために切さたく磨してきてるから間違えない。
すごいな。
だって多分役者さんがシェークスピアかそういう古典やる時…あれ間違えられないでしょ?だって。
噛みますか?噛みますよ!僕なんか噛みまくりますよ!いやいやだからそれが嫌でねだからやっぱり僕らも…やらなきゃいけないんだけど多分…するんでしょうね多分。
おんなじだけですよきっと。
いやいや…音楽は怖い。
いやおもしろいんでしょ?だっておもしろくなかったらやらないですもんね絶対に。
ピアノ弾いてるより楽しいんでしょ?僕はそうです。
ですよね絶対。
やっぱりピアノ演奏するのは緊張するの?だからね俺ねあれですね人に厳しくて自分に甘いんですよ。
ここで服部が小日向の熱烈なリクエストに応えピアノを演奏する。
飲み物でもあると本当はね。
ああ酒でも飲みたいですね。
いい感じですね。
そういう感じそれぐらいのラフな感じ。
分かりました?まだ分かんない。
分かんないか。
ああ〜…。

(拍手)いやすばらしい。
てれくさいです。
いやいやいやいや…いやいや!ほらやだ!ほら!そういうお客さんが嫌なんです。
アハハ…!いやいやすばらしい。
いやぜいたくな時間だな〜。
僕ウルトラマンとおんなじで…これで終わりにしません?ありがとうございます。
ありがとうございました。
いやもう何かこれだけでこの番組十分ですね。
駄目駄目…。
いやすごい。
最近何かの…僕何でそれを知ったのかテレビだったかインターネットか忘れたけど遺伝のあれで音楽家の遺伝はご両親の圧倒的な…。
ご両親って僕じっちゃんまでですからね。
そうなんですよ。
祖父まで。
だからものすごい遺伝を受け継いでる。
ただ一つ…僕がどういう仕事を選ぶかっていう時には例えば小学校の頃だったらね僕歌手になりたい時もあったしあとトラックのミニカーでよく遊んでたもんだからトラックのドライバーもなりたかったりとかしてたんですね。
だからそれも入ってました。
なりたいものの候補に。
でもその中に親父がほら作曲やってますから…それはもう無意識に入ってた?無意識に。
だって自分の親やってるんですよ。
でも普通多分自分が仕事何するっていう時に作曲って言うと親御さんに怒られるでしょ。
「お前何言ってるんだ」って。
そりゃそうですよ。
だって…。
「ふざけるな」。
「ふざけるな」とは言わないけど「そりゃ無理でしょ」と。
…というふうになりますよね。
でもそれは親が作曲をやっていたので…隆之さんはもともとはピアノから始めたんですか?ピアノやってましたね小さい頃から。
あとシンプルな指の練習とかあるからそれは何かいわゆるクリエーティブな感じとは違うでしょ?指使いが決まってるんですね。
それはもうクラシックっていうのはもう本当にこの300年400年かけて…もうそれがベストなんですよ。
そういう…つまんないですからサボるしやらないでしょ。
そうするとまず最初に出てきて怒るのはおふくろですね。
おふくろにもうガミガミガミガミずっともうしぼられる。
それでもうおふくろが言ってきても僕がもうやらないって事になると…でも絶対怒らないからだから最近思うんですけど本当に音楽を何かこう頭ごなしに怒って音楽を僕が嫌いになっちゃうのが嫌みたい。
嫌だったみたいです。
いやそれ正解だと思いますよ。
だから僕がもし…親父と話もまあ多分できるしっていう事を親父も考えたのか。
だから…という事はやっぱり隆之さんに将来は音楽に携わる仕事にまあできる事ならば…。
だから作曲…。
いや大した事ない以下ですから。
ピアニストでも……ぐらい。
本当に。
後半は舞台をスイッチ。
2人がやって来たのは眠らない街六本木。
ここにはかつて小日向が若かりし時を過ごした場所があった。
あっこんなところに…。
1階がこのガラス屋さんがこのビルのオーナーさんでこの地下なんですよ。
ほう。
当時はここに鐘があって開演前にここ引っ張るとガラ〜ンガラ〜ンガラ〜ンって鳴ってお客さんここでチケットをお金払って入っていくっていう。
何か情緒がまたありますね。
今こう色がついてるけれども元は真っ黒なんですよ。
でもこういう感じ自由劇場と名前は…?自由劇場っていうのはついてました。
オンシアター自由劇場の伝説的舞台「上海バンスキング」。
小日向が入団した2年後に初演を迎え400回以上上演された。
昭和初期の上海で時代に翻弄されるジャズマンが描かれた作品だ。
軽快にサックスを吹き鳴らす小日向。
この作品が俳優人生の出発点となった。
こうなってるんです。
あら深いですな。
そうなんです。
地下なんですよ。
本当だ。
…でお客さんがいっぱいの時はここまで座って見ましたから。
声だけ聞いたりしてましたって。
天井桟敷ならぬ階段桟敷ですよね。
そうです。
うわ〜久しぶりだな。
うわ〜。
へえ〜。
あら本当だ。
え〜とね…。
えっ舞台の…。
舞台がねこっから向こう側舞台だったんです。
あっそうなんですか。
それでこっち側は客席だったんです。
あの…ガ〜ッて引っ張り出す客席があってそれであっちの奥に調光室があってこっち側…それで今これ本来は平面だったんです。
ところが僕ら…キャパ何人だったんですか?キャパはね「上海バンスキング」の時ものすごくお客さん入るようになって130人ぐらい入りました。
見てる最中ちょっと具合悪くなってる人がいたりして。
130人。
す…すさまじい。
すごいパワーですね。
すごいです。
ここも芝居場なんですよ。
だからここでこうやってバッて登場して。
ああなるほど。
これ全く昔のままですからここ。
はあ〜!それでこうやってここが裏でみんなスタンバイしてる訳ですよ。
はいはいはいはい…。
こうやってほら。
もうちょっと上があるんですね。
そうなの。
上は何?稽古場なんですか?稽古場じゃないですよ。
これが…これが出口なんです。
あっ出口ですか。
なるほど。
これが昔のまんま。
ここ全く昔のまま。
これほら。
開いた。
ほら。
これどこに…?ああ!裏っ側出るんだね。
こうなってるんですよ。
はいはいはい。
舞台やってる最中自分が出番ない時はここに来て夏なんかもう暑いからここで風当たって。
へえ〜。
まあという感じで。
すごいね。
ちょっともう一度中をこう…。
いや僕はもっと何か…。
ちっちゃいでしょ?小さい。
だから人が通るとまあこの辺に座ってると邪魔なんでみんな全員ここでこういうふうにして自分の出番を待ってる訳ですよ。
なるほど。
みんな1列でこういうふうにして。
たばここうやって当時こう吸いながら。
こっちは空いてる訳ですね。
そうそう。
出番になると自分の衣装か何かをちょっとこっから取ったりみんな…こういうとこの隙間にハンガー掛けて。
いや近っ!近いでしょ?近い。
やっぱりもうあっという間にタイムスリップします?やっぱり。
しますね。
これちょっと中入ってみますか?ええ入ってみます。
ここからは昔のままの奈落でトーク。
この中でねこうやって奥の方にお客さんみんな奥の方にこうやって隠れてる訳です。
う〜ん狭い!まさかここにいるなとは思ってないからこっからお客さんの方が見えるんですよ。
客席の方が。
あっ見えますね。
見える見える見える。
確かに。
この狭さで客席があそこでしょ。
多分面白かったんでしょうね。
僕今見てみたいなと思いますよ。
こんな間近で…。
僕は本当にそんなにライブのあれがないですけどでも…いやいやこっから僕は始まったんですよ。
僕は自由劇場に願書を出しに行った時に確かここだと思って開けたら暗くて…。
下で稽古してたらしいんだけど今思うと。
しかも黒いんですよね。
真っ黒ですから。
ところがまあね…小日向は1954年北海道に生まれた。
小学2年生の時に演じた「こぶとりじいさん」。
意地悪なおじいさん役で注目される気持ちよさを味わった。
高校では美術部に所属。
油絵を描くもの静かな青年だった。
その後は写真の専門学校に入るもいまひとつ夢中になれないまま2年後に卒業。
そして23歳の時オンシアター自由劇場に入団。
本格的に俳優の道に進む事になった。
二十歳から22までは写真学校にいましたからね。
写真の方をやってみたいと思ってましたね。
撮る側に?ええ。
でも何かね卒業近くなってみんな就職決まっていく中でいや何かね…だからどうしたらいいんだろうと思った時にやっぱり被写体の方……っていう事をアピールできる。
僕それまで本当にねパッとしない若者で。
自信なかったんですよ本当に。
自分っていうものを人に…。
いやでもね僕のやっぱりイメージは…まるでない。
本当に自然体。
いつも力が抜けていて。
それはそういう役をやってるとかいう事じゃないですよ。
何かね何だろう…。
何でこんなに肩のいつも力が抜けた感じで自然にしかも…その何だろう。
う〜ん…。
それね危ない役をやっていてもなんですよ。
だから逆に何だろうその…。
本当にそういう方だなっていうやっぱりこう…。
印象っていうのが僕は強くて。
だから今の話を聞いてると少し意外です。
だからむしろ撮る側にいたいってずっと思う小日向さんの方が何となく…。
あ〜しっくり来ますね。
そうなんですけどそこはやっぱり…。
表現したいっていう欲求は…。
あああるんですよ。
結局写真を撮ってもその撮れた写真が人の目に触れた時に「あ〜きれいな写真だな」とか「面白い写真だな」と思ってもらえても…う〜ん!悔しい。
だからもっと…なるほど。
何がいいっていったらずっと考えたら…恥ずかしいんだけど自由劇場に入って演じるっていう事をいろいろ教わった時に全てが新鮮だったし人前で何かをやってみせるなんていう事はそれまでない訳じゃないですか。
今の小日向さんが演じてるいわゆる何て言うんですか…。
メソッドっていうか…そうなんですよ。
それまで演劇学校行ってませんからね。
劇団入団から30年以上キャリアを重ね2011年小日向は初めて演劇の賞を受賞した。
演じたのは第2次世界大戦下のドイツで宣伝大臣を務めたゲッペルス。
うわ〜!しかしこの時小日向は俳優人生で最もつらい経験をしたという。
違う…。
違う違う話が違う!これからいよいよ喜々としてゲッペルスがパーティーに呼んだ人たちの前でうわ〜っと長ゼリの演説を打つ。
その時にね…考えるだけで嫌ですねそれは。
でももう舞台の方では芝居は行われてていよいよ…裏でスタンバイしてて怖くて怖くて怖くて怖くて…。
まあちょっとね…。
それでもっと悪いイメージがどんどん出てくるんですよ。
もうそうなったら僕…そのぐらい追い込まれた。
もう怖いんですよどうしようどうしようって…。
でも明らかにあと1分とかって迫ってきた時に裏でね…何かとがったもの探して…。
気をそらすって事ですかそれは?自分のこっち側…。
それでこっち側を気にする事によって芝居の方は冷静になれると思って。
なるほど。
で何かないかって探した。
すごいなそれ!いやもう本当にそのぐらい…。
だけど結局持った時には出る時間になっちゃってそれで出ていったんですね。
まあなんとかやりきりましたけどそのぐらい追い詰められたっていうか…。
怖かったです。
小日向を苦しめる事になった問題のシーン。
この国の映画製作の一切を管理する立場にあります。
皆さんもご存じのように私はこの国で作られる全ての映画を芸術的に価値があるか否か国家政治的に価値があるか否か等々によって5段階に分けています。
そしてその中で特に選ばれた作品にだけ名誉ある国民の映画の称号が与えられます。
今我が国は大きな戦争の中にいます。
この演説は3分にも及んだ。
我ら映画人も立ち上がる時が来たのです。
かのアメリカ映画「風と共に去りぬ」を見た時私は泣いた。
作品のすばらしさにではない。
なぜこのような映画を私たちは作れないのか。
それが悔しかった。
あの「国民の映画」という作品はとにかく…昔から黒小日向白小日向っていう言い方をしてたんですけども…。
もう一つはすごく天真らんまんなどっちかっていうとちょっと抜けてる感じの明るいおじさんかみたいな。
ここに来て…どっちも行き来するグレーの引き出しがもう一個出てきたような感じがしますね。
少しずつ慣れていくんだろうって思ったけど…だから多分小日向さんはすごいんですねきっと。
慢心した状況っていうのを結局自分の中に作っちゃってそこに安穏としてるっていうのが多分駄目なんですよね。
ただねお客さんの前で楽しんで演じたいんですよ。
もちろんそうだけど…。
それはやっぱりすごいですね。
でもやっぱり僕は…「逃げるなよ」っていう…。
だからやっていかなくちゃって思ってます。
あともう一つはですねこれ僕もちょっと特別に見させて頂いたんですけども「サバイバルファミリー」。
ああ。
映画の。
はい。
あれはまあそのちょっとね音楽的な事を言えば本当に映画の中に大変音楽の少ない抑制された…まああれは多分コントロールされてるんだと思いますけどそういう形ですごくあの映画の世界観がよく作られてたなと思うんですけども。
小日向の最新主演映画…ドキュメンタリーのように描きたいという監督の意向で劇中ではほとんど音楽が使われていない。
ある日目が覚めると電気もガスも水道も全てが止まっている。
今何時だ?それが分かんないのよ。
何で?停電。
(駅員)全ての列車ストップしております。
現在ホームへの入場は制限させて頂いてます。
小日向は家族から頼りにされていない駄目な父親役。
よ〜しへばんなよ!え〜っ!?東京から脱出するため一家はサバイバル生活を余儀なくされる。
何不自由ない暮らしから一転ライフラインが途絶えた世界で生き延びる事ができるのか?家族の団結力が試される。
お父さんやめなって。
ほらこんなにきれいじゃんか。
全くお前らって本当ヤワだよな〜。
うめえ〜!40年に及ぶ俳優人生の中で小日向が初めて挑む体当たり演技の連続だったという。
よ〜いスタート!もっとかいてる手を水面に出して下さい。
え?
(スタッフ)かいてる手を水面に出して下さい!とにかく台本頂いてねサバイバルをしていく中で空腹のあまり草むらの葉っぱについてる青虫を手でつまんで食べようとするシーンがあるんですよ。
これ絶対無理だと思いましたからね。
ここはもう僕無理だからって言ったら…でも作り物ったってぐ〜っと動いてる虫からこうやってワンカットでもし撮るんだったらそれ作り物無理じゃないかって思う訳ですよ。
そしたら…僕の洋服…手が行って違う人が触るって。
でもどう考えてもばれるんじゃないかって。
どうもね…案の定本番で本物捕まえさせられましたからね。
いや僕はだから覚悟してたんですよ。
もうね「アゲハの幼虫を捕まえてくれ」と。
アゲハの幼虫なんてもうねあんな大きいやつ。
だからず〜っとスマホでねアゲハの幼虫をいつもこう見てね少しでも慣れるようにと思ってず〜っとアゲハの幼虫見てましたよ。
そのうちにねだんだん「これもかわいいじゃない何か目に見える模様がここにあって」なんて「うんこれならいけるこれならいけるぞ」とかって随分自分に言い聞かせて。
話したらきりないですよ。
ほかにもいっぱいありますから。
ブタにしがみついたりとか。
ありましたね。
ブタ捕まえる。
捕まえろって言うんですよ。
もう一発勝負ですよ。
あれでも捕まえたんですよね。
捕まえたけど監督は…「馬乗りになってくれ」とか。
でもね何て言うのはじき飛ばされましたよ。
いやもう本当にしんどかったです。
本当大変でした。
まだまだいっぱいあります。
例えば今度の映画の「サバイバルファミリー」。
主演をやってらっしゃるしある意味…何かあるんでしょうか?いや全くないですね。
まあでもとにかく何かこうこの人を演じてみたいなと思える役が来ればそれは脇であろうともちろん主役であろうと。
常々僕は「この俳優さんって本質はどうなんだろう」っていうのを惑わすぐらいのいろんな役やっぱりやってる方が面白いですよね。
これから先ねまだまだやっていきたいんであの…面白い役に巡り合いたいなと思ってますけどね。
どれだけあと…見れるだけ見たいですねコヒさんのねいろんな芝居をね。
僕ちょっと一つ質問あるんですけどひょっとするとそれはお答えになれないかもしれないけど…これやっても俺全然駄目っていうそういう役って…。
ありますよ。
あります?だって大竹しのぶさんがエディット・ピアフの役やったでしょ。
それめちゃくちゃ歌…僕は見てないんですけど評判を聞きますよ。
「愛の讃歌」とかね。
それ僕無理ですね。
あ〜…。
多分無理。
なるほど〜。
あとはそれこそ…無理ですね。
何で音楽…。
音楽がかぶってきちゃうじゃないですか。
そうですよ。
音楽苦手ですもん。
う〜ん。
何かでも…アル・パチーノ歌歌った事あります?あのね何かね最近一回だけあったはずなんですけど。
ご覧になりました?見てないです。
ただそれも歌のシーンがあるんで何か撮影まですごいすったもんだしたって…。
やっぱり?本人的には歌が全然…。
あ〜うれしいな。
役者にとっての歌っていうのは…でもそれが本当にいわゆる…もちろん歌専門にしてる人よりも本当にリズムもよくてっていう事もあって。
だから何でしょうちょっと声を出す事について練習してるとか。
でもそれがちょっとあればあとは…。
「気になって気になって演奏ができない」っていうあの歌はでもあれ小日向さんしか歌えないんですよ。
小日向さんの声とあの間であれを歌われた日にはもう…「鼻がかゆいのです」って歌う時の…もう小日向さんでしかない。
・「鼻がかゆいのです」・「なぜか気になって気になって演奏どころじゃない」まあお呼びがかかる限りは…あっ舞台は無理かな。
映像に立ってる。
口パクで?諦めない。
口パクやだ。
2017/01/28(土) 22:00〜23:00
NHKEテレ1大阪
SWITCHインタビュー 達人達(たち)「小日向文世×服部隆之」[字]

主役・脇役と多面的な活躍を続ける俳優・小日向文世と、大河ドラマ『真田丸』など数々のドラマや映画で印象的なテーマ音楽を手がける服部隆之が語り合う“仕事術”。

詳細情報
番組内容
去年は大河ドラマ『真田丸』で陰陽二面ある斬新な秀吉役で話題となった小日向。服部とは何度も同じ作品に関わっているが、2人がじっくり仕事の話をするのは初めてという。前半は小日向が服部の仕事場を訪ね、『真田丸』の秀吉のテーマなどを例に、作品を支える音楽作りの神髄を聞く。後半は服部が小日向の出発点である劇団がかつてあったスタジオを訪ね、セリフの覚え方や作品に臨むスタンスなど、小日向の“俳優術”に迫る。
出演者
【出演】俳優…小日向文世,作曲家…服部隆之,【インタビュー出演】劇作家、演出家…三谷幸喜,【語り】吉田羊,六角精児