読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

字幕書き起こし プロフェッショナル 仕事の流儀「いつだって、人間は面白い 脚本家 倉本聰」 2017.02.06

電気がない!?夜になったらどうするの。
夜になったら寝るんです。
その男の脚本は日本中を魅了してきた。
分かる?ああはい!82歳の今もドラマの現場に鋭い目を光らせる。
・「ラーラーラララララー」だがあのテーマ曲で促されるとおちゃめな素顔をのぞかせる。
・「ラーラーラララララーラー」・「ララララララララー」

 

 

 


(笑い声)数々の名作ドラマを生んできた…おい螢。
その創作の現場にカメラが初めて迫った。
脚本作りの最重要書類を公開。
39歳で東京を捨て北へ逃げた。
この冬ライフワークの舞台に特別な思いで臨んだ。
これで最後。
その舞台に込めたメッセージとは。
倉本の取材は去年夏に始まった。
(取材者)分かりました。
電気カートで向かうのは自宅から10分ほどの森だ。
生まれは東京。
だが40年前ある事情をきっかけにこの地に移り住んだ。
こんにちは。
この時倉本は今年春から放送が始まる大作に挑んでいた。
先生!ああお嬢!全130話に及ぶ連続テレビドラマ。
舞台は往年の名俳優などテレビ業界人ばかりが集まる老人ホーム。
意地と見栄がぶつかり合う。
これよ。
昨今のドラマの在り方に一石を投じたいと倉本が自らテレビ局に売り込んだ野心作だ。
ちょいと〜。
すいません。
今回撮影にあたって倉本は条件を付けた。
執筆中は絶対に自分の視界に入らない事。
これまで本当の創作の現場をカメラにさらした事は一度もない。
脚本作りの佳境を迎えた倉本。
まずタバコに火を付けここまでのページに目を通す。
執筆中そばにいる事が許されているのはメイサという名の愛犬だけだ。
机に向かって10分後。
倉本の集中力が高まるとメイサも動かなくなった。
そしてペンを動かし始めた。
…とタバコ以外の何かに火を付けた。
この研ぎ澄まされた時間を倉本は何より大切にする。
脚本を書く倉本の日常は極めて規則正しく進む。
この日書き始めたのは朝5時。
3時間ほどぶっ続けで書いては休憩や仮眠を取りまた机に向かう。
それを一日何度も繰り返す。
執筆は極度の集中を要する。
だが倉本は年間365日欠かさず机に向かう事を自らに課している。
倉本の書斎に必ず置いてあるものがある。
この履歴書こそ倉本の脚本作りの生命線だ。
主役の石坂浩二が演じるのは戦前生まれのシナリオライター。
その履歴には戦時中の疎開先から両親の亡くなった年までドラマでは描かれない経歴も細かく書かれている。
(取材者)やっぱりどこで例えば処女を失うとかっていう事が今後その人物に大きく…。
登場人物それぞれの人生を掘り下げる作業に倉本は執筆前の半年を費やす。
ドラマの深さは一人一人の履歴をどこまで練ったかで決まると倉本は言う。
ドラマ「北の国から」にもこの履歴書作りが存分に生かされている。
この度はとんでもないあれを…。
息子の純が女性を妊娠させ相手の両親に謝りにいくシーン。
誠につまらないものですが。
父五郎はかぼちゃをいくつも並べて謝る。
(五郎)名刺もないので。
このシーンは五郎の履歴書がもととなって発想されている。
ドラマでは明かされていないが五郎の青春時代は失敗続き。
学生の頃つきあっていた女性を妊娠させた経験が五郎にもある。
しかも1度ならず3度。
その時父親がなけなしのかぼちゃを持って頭を下げてくれた記憶が五郎の行動につながっている。
倉本は130話の脚本を4か月で書き終えた。
いよいよこの日テレビ局のプロデューサーに手渡す。
ベテラン倉本といえどこの瞬間は真剣勝負。
(倉本)それはもうほんとに…
(息を吐く音)ありがとうございました。
9月。
出演者が集まる「本読み」。
あ〜!倉本はこの場に必ず参加する。
脚本家として最後の大事な仕事がある。
倉本は語尾の上げ下げから一語一語の間に至るまで役者に意図を伝える。
人物の根っこを徹底的に掘り下げセリフの一語一語を突き詰める。
そうして倉本のドラマは生み出されていく。
なにしろ…ふるさと東京を離れて40年がたった。
昭和10年倉本さんは東京で4人きょうだいの次男として生まれた。
学生時代は戦後の混乱期。
ラジオドラマと新劇が唯一の楽しみだった。
人を幸せにする物語が作りたくて倉本さんは大学卒業後ラジオ局で働きながら副業でドラマの脚本を書き始める。
才能はすぐに開花した。
年間50本ものドラマを手がける圧倒的な仕事量で一躍売れっ子に。
しかし…。
大河ドラマ「勝海舟」の脚本に抜擢された39歳の時倉本さんの人生は大きく動く。
東京・杉並の書斎はその事件の時のまま残っている。
セリフの言い回しを倉本さんが指示する事を巡り制作スタッフと対立。
大げんかの末に倉本さんは飛行機に飛び乗り行方をくらませた。
全てを捨てる覚悟だった。
あの時はもう本当に。
結局ドラマは途中降板。
倉本さんはそのまま身よりもない札幌で暮らし始める。
その時倉本さんを黙って受け入れてくれた人たちがいた。
居酒屋で顔見知りになった男たちはトラック運転手になりたいと言うと本気で応援しつてを探してくれた。
コインランドリーで出会ったホステスの女性は「油を売ってないで仕事しなさい」と洗濯を代わってくれた。
そして何より倉本さんの心に響いたのは彼らが語る身の上だった。
仲間のホステスの自殺。
かなわない恋愛。
華やかな東京とは全く違う暮らしがそこにあった。
まもなく倉本さんは脚本の仕事を再開したが東京には戻らなかった。
北海道それも冬は極寒の地と化す富良野に定住を決めた。
自然は容赦なく牙をむき水道管もインク瓶も凍りついた。
なまはんかな知識など何の役にも立たない富良野で自分のひ弱さとここに生きる人のたくましさを痛感した。
そして3年目。
倉本さんはドラマの企画を書く。
それが「北の国から」。
企画書にはこうある。
「自然の片隅に都会で育ったものを放りこんだら彼らは一体どうするだろうか」。
そこにはか弱い倉本さんの姿がそのまま投影されていた。
大ヒットとなったこのドラマの執筆中に感じた感覚を倉本さんは忘れられない。
集中して書いたあとなぜか襲ってきた不思議な吐き気。
倉本さんは今こう思う。
「書く事に真摯にピュアであれ」。
それが倉本さんの信念となった。
(シャッターを切る音)
(笑い声)去年秋倉本はある舞台の制作発表に臨んでいた。
「走る」。
特別な思いを込めていた。
30年以上前から自ら塾を開き役者や脚本家を育ててきた倉本。
その集大成として3か月間に及ぶ全国公演に挑む。
今年82歳。
過酷な闘いが始まろうとしていた。
今回倉本が手がけるのは極めて特殊な作品だ。
90分ひたすら走る。
全員走る以外のしぐさはほぼなくセリフも走りながら言う。
なぜ人は走るのか。
そこから生きる事の意味を問う。
(男性1)「勝とうなんて夢は今は捨てるんだ」。
役者たちが走るマラソンは人生を象徴する。
一歩でも他人より前に出ようと競うレース。
だがその裏で誰もが思いや葛藤を抱えている。
卑怯な思惑不運が交錯する。
「わっ!」。
「あっごめん!」。
それでも走り通さねばならない人生とは何なのか。
役者は総勢40名。
多くが駆け出しだが体力には自信のあるメンバー。
この作品で倉本は脚本兼共同演出として最後の舞台に臨む。
倉本がこなさねばならない作業は膨大だ。
おはようございま〜す。
この日自宅に役者たちを招いた。
はい。
・はい失礼します。
役者一人一人の個性を観察しそれに合う台本を練り上げねばならない。
全員とじっくり語らい考え方を探っていく。

(男性2)あ〜。

(女性1)いるいるいる。
40人分の個性を観察しキャラクターを練り上げる。
執筆作業は連日続いた。
12月。
倉本は全員の役を書き込んだ台本を配った。
(一同)おはようございます。
これから稽古を通して更にセリフとキャラクターを練り上げていく。
メンバーの多くがプロ志望だが経験豊富とは言えない。
倉本は脚本の意図を丁寧に伝えていく。
セリフの言い回しその時の表情。
連日5時間を超える指導を行う。
稽古3日目。
倉本の顔色がさえない。
40人の役者の指導は神経も体力も消耗する。
食欲がなく昼食はおかゆ。
それでも稽古を休もうとはしなかった。
(倉本)理解したけど理解できない「かごんま!?」。
体調不良の中稽古を続けた。
(女性2)「かごんま!?あぁ〜かごすま!」。
12月下旬。
倉本はもう一度全員のセリフを一から見直していた。
全神経を研ぎ澄まし机に向かう。
倉本が施した変更は数ページにも及んでいた。
この日倉本の顔がにわかに厳しくなった。
本番2週間前を迎えても芝居の精度が上がらない。
(シマハラ)「目立ち方を失敗しました」。
(シマハラ)「目立ち方」。
(シマハラ)「目立ち方」。
(猪子)「それが関東の考え方」。
(倉本)違う。
(猪子)「それが関東の考え方」。
違う。
(猪子)「それが関東の考え方」。
違う。
稽古のあと倉本が全員を集めた。
君はオペラの事か俺分かんないけど。
(一同)はい!体力の衰えを感じた数年前からは負担を減らすため経験のある役者だけを起用してきた。
だが今回若手に一から教える負担も承知で「走る」を選んだ。
82歳を駆り立てるものとは何か。
倉本は本番前日まで台本を直し続けた。
会場は満席となった。
(かしわ手)「いいかこれは普通のマラソンじゃない時のマラソンだ。
人生のマラソンだ」。
舞台の幕が上がった。
それは人生という名のマラソン。
一歩でも他人より前に出ようとする競争の中で本当は一人一人が悩みや葛藤を抱えている。
人生という名のマラソンを誰もが懸命に走る。
その価値とは何なのか?
(拍手)会場から大きな拍手が湧き上がった。
(拍手)倉本は深く頭を下げた。

(主題歌)公演後。
疲労はピークに達し階段を下りる事さえままならない。
だがまなざしは鋭かった。
それから沼田…1発目のやつ。
それからちょっと沼田のところね…倉本はまだ走る。
やっぱり一本道…自分にとっての道が一本であるっていう事がプロフェッショナルなんじゃないかなっていう感じはしますよね。
横道にそれないっていう。
じゃないかなっていう気がするんだけどあんまり自信ないです。
2017/02/06(月) 22:25〜23:15
NHK総合1・神戸
プロフェッショナル 仕事の流儀「いつだって、人間は面白い 脚本家 倉本聰」[解][字]

「北の国から」などテレビ史に残るヒット作を送り出してきた脚本家・倉本聰(82)。その執筆の現場に迫った!さらに過去の名作の秘話も大公開!TVドラマファン必見!

詳細情報
番組内容
「北の国から」をはじめ「前略おふくろ様」などテレビ史に残るヒット作品を世に送り出してきた脚本家・倉本聰(82)。その執筆の現場にカメラが入った!挑むのは、脚本家人生の集大成となる130話にも及ぶ連続ドラマ、そして「これが最後」と公言する舞台。番組では、ドラマづくりに絶対に欠かせない「履歴書」も公開する!人の心を打つ物語はいかにして生まれるのか、今ももがき続ける脚本家の真髄に迫る。
出演者
【出演】脚本家…倉本聰,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり