（花田えみり）あ〜あいい男いないかな〜。
（阿部真理亜）あなたね男に出会いたかったら婚活パーティーに参加するとか少しは自分で動きなさいよ。
やっぱそうですよね。
今のあなたは漁師が家の中で「魚釣れねえなあ」ってぼやいてるようなもんよ。
確かに。
（藤川蘭）釣り堀行って餌垂らさなきゃ捕まえられるわけないわな。
あっ真理亜さんもやっぱりそうやってご主人釣り上げたんですか？モリで突き刺してやったわよ！おお〜…！
（有沢春希）たくましい…。
よし！私も婚活始めます！三田園さん…。
あっ…すごい！精算しながらシェイプアップをしている！
（三田園薫）婚活をしたいのならまず自分磨きですよ。
で…ですよね。
磨きなさい！そしていい男を釣り上げなさい！目指せセレブ婚ですね！
（結頼子）私も女磨こうかしら…。
これでよし…と。
（玉置美津子）私も。
（美津子）じゃあ私提出しておくから早く元気になって新婚生活楽しみましょう。
ああ…。
私仕事に戻るね。
（戸の開く音）親父。
（心電図モニターのアラーム）親父！しっかりしろ親父！お義父さん！ナースコールナースコール！おい目ぇ覚ましてくれ…親父！お義父さん！
（勅使河原忠）まあそういう事だ。
（勅使河原）これからはやはり妻の美津子と２人で暮らしていく。
すぐにとは言わんがお前たちはここから出ていってくれ。
（勅使河原章一）どうして俺たちが？
（勅使河原）こっちは新婚なんだ。
説明せんでも察してくれ。
（カメラのシャッター音）
（勅使河原）元々ここはわしの家だしな。
（美津子）なんかごめんなさい。
てっしーが２人きりで暮らしたいって言うもので…。
てっしー…？
（勅使河原真吾）てっしー？ねえ今日友達呼んでバーベキューやるんだけどてっしーも参加出来る？みんなに紹介したいの。
ああわかった。
顔を出そう。
ハハハハ…！
（美津子）嬉しい！なあ親父。
なんだ？やっぱりこんな事おかしいだろう。
まだ交際して間もないんでしょ？もっとお互いちゃんとよく知ってから…。
忠告は結構。
もう役所に届けは出した。
でも…。
（勅使河原益美）あなた失礼よ。
それじゃあまるでこの方が財産目当てで結婚したみたいな言い方じゃない。
ねえ。
（益美）ごめんなさいねこの人思った事すぐ口にしちゃうから。
勘はいいんだけどね。
くだらん心配してる暇があったらお前は仕事の事を考えてろ。
そうよ。
あなたも勅使河原グループの役員なんだから。
あなたにもお義父さんくらいの資産があればね。
ウフフ…。
美津子さんがうらやましいわ。
ウフフフ…！あっじゃあ私朝食お持ちしますね。
（益美）結構よ。
気になさらないで。
もう準備してありますので。
今日から私が作ります。
はっ！？あっむすび家政婦紹介所から参りました花田と申します。
こちら同じく家政夫の…。
三田園と申します。
家政婦？私が頼んだの。
美津子さんお仕事で忙しいでしょうから家事の事は気になさらないでちょうだい。
あの失礼ですが…。
勅使河原の妻の美津子です。
奥様？若い！２人とも早速だけど朝ご飯お願いしていい？美津子が作るって言ってるじゃないか。
（美津子）ハンバーグの準備が出来てますからすぐに…。
ハンバーグ！？あなたこんなお年寄りに朝からそんな高カロリーで塩分の高いもの…。
また血圧が上がって入院でもしたらどうするの？もう…そんなんだから財産目当てなんて言われちゃうんでしょ？ねえ？
（益美）２人ともお願い。
はあ…。
（勅使河原）時間がないんだよ。
９時から来客の予定がある。
私は彼女の料理を食べる。
そういうわけにはいきません。
なら朝食は結構！１０分ちょうだい出来ますか？お作り致します。
１０分…１０分？用意してあるものは捨ててちょうだいね。
何が入ってるかわからないから。
いくらなんでも奥様がかわいそうですよね。
毒なんか入れるわけない…。
えっちょっと本当に捨てちゃうんですか？まあそういうご指示ですもんね。
えーっどうしよう！これだけしかない。
卵がありますけどあとはレタスと…ヨーグルト。
これじゃあサラダしか作れませんね。
わあおいしそう！ヘルシーオムレタスになります。
オムレタス？ライスの代わりにレタスお肉の代わりにツナを使い卵をのせました。
ソースはプレーンヨーグルトをベースに粉チーズマヨネーズを少々粗挽きこしょうを混ぜたもので塩分カロリー控えめとなっております。
これはヘルシーだわ！うまい！うん！これは最高の朝食だ。
あんた大したもんだよ。
痛み入ります。
（益美）本当頼もしいわ。
これからもよろしくね。
美津子さんごめんなさいね。
肝心な胃袋つかみ損ねちゃったわね。
いいえ。
私も仕事がありますから助かります。
三田園さんこれからもよろしくね。
益美さんお気遣い感謝致します。
ううんどういたしまして。
（２人の笑い声）基本的に掃除洗濯食事の準備なんかをやって頂ければ十分ですから。
ここがお義父さん夫婦の部屋。
平日はみんなほとんど外出してるから気が楽だと思うわ。
あの部屋は…どうしようかしらね？
（真吾）そこは入らなくていい。
…ですって。
まあ自由に暮らしてる人ですから。
それからさっきの玉の輿女何かおかしな事してたらすぐに私に報告してちょうだい。
おかしな事…？放っておいたら何をするかわかりゃしないから。
お願い。
あなたの事頼りにしてるわ。
ご家族の身を案ずるのは家政夫の務め。
何かあればすぐにご報告させて頂きます。
そうしてちょうだい。
よいしょ。
ああ焦げちゃったなまた…。
お姉さんお姉さん。
ルービー。
ルービー？ビールっしょ？ああ…すいませんすいません。
はいはいはいはい…。
はいお待たせしました。
サンキュー！はいてっしー！ルービーお待たせ！ああありがとうありがとう。
てっしーイエーイ！
（せき込み）じゃあ改めて…はい乾杯！
（一同）イエーイ！てっしーってさ肉とかもガンガンいけちゃう系っすか？ハハハハ…！全然いけるでしょ。
ねえ？家政婦さんお肉おかわり！はいはいただ今！
（男性）当たり前だろっつうんだ。
はいはいはいはい…。
はいお肉お待たせしました！
（一同の歓声）でも美津子本当にいい相手見つけたよね。
夢かなったって感じじゃん！私もそう思う。
今本当に幸せ！
（一同）フゥー！ねえねえてっしーって不動産王なんですよね？勅使河原グループって超有名っすよね。
えっえっえっ？じゃあもしかして別荘とか持ってる感じですか？
（勅使河原）ああ。
（一同）すげ〜！マジすげえ！てっしー肉肉！もっと肉食べて！ああ…ありがとう。
（せき込み）
（美津子）大丈夫？てっしー落ち着いてもう！
（男性）あっそうだてっしー写真撮ろう！もうオヤジ狩りにしか見えないんですけど…。
（女性）家政婦さん撮って撮って！あっ…はいただ今！
（男性）「はいてっしー」で。
「はいてっしー」で。
了解です。
はいてっしー！
（カメラのシャッター音）
（男性）送って送って！玉置…。
（転ぶ音）
（益美）あーっ！イタタタタタ…！
（章一）おい大丈夫か！？階段で滑ったのよ。
何？ここ…。
なんか塗って滑りやすくなってるじゃない！誰かワックスでも塗った！？まだそちらの掃除はしておりません。
じゃあどうして…。
まさか…あの女！もしもこれが転んだのが親父だったとしたら…。
それよ！だってお義父さんがここを通るのわかってるもの。
絶対そうよ！
（勅使河原）今の悲鳴は？何事だ？
（益美）お義父さん…アイタタ…。
聞いてください！この階段が滑りやすくなってて私今転んだんです。
これがもしお義父さんだったら…。
なんだ…転んだぐらいで大げさに騒ぐんじゃない！戻ろうか。
ちょっとお義父さん！
（益美）ちょっと待ちなさいよ！アイタタタ…！あの女狐…絶対本性暴いてやる！イタタタタ…！あっ！
（章一）真吾も手伝えよほら早く！ちょっと…！
（章一）いくぞ！せーの…。
（益美）ああっ…！おい！何してんだ！真吾お坊ちゃま。
ここのところが手垢で汚れておりましたので眼鏡拭きでお掃除を。
眼鏡拭き…？繊維が細かいので壁の汚れも落としやすく傷付けずに拭く事が出来るのでございます。
あっ…セスキ炭酸ソーダ水を吹きかけておりますのできれいに落ちます。
セ…セスキ？セスキ炭酸ソーダは皮脂や手垢の汚れを落とす効果が高いのですが水に溶けやすいのでこうしてスプレーで使うのが最適なのでございます。
（せき込み）
（ため息）どうぞ。
ああ…すまんな。
今日はお暑うございましたでしょう。
あんたも疑ってるんじゃないのか？美津子の事を。
財産目当てなんじゃないかって。
そういう女は結婚したら仕事も辞めるもんだろ。
だが彼女は看護師という大変な仕事を今も続けてる。
ご立派でございます。
彼女は天使だよ。
私が入院してから今の今までこんな老いぼれにたくさんの経験をさせてくれた。
財産に目のくらむような女じゃない。
あなた急患入っちゃって応援頼まれたので行ってきます。
おお…大変だな。
三田園さん私夕ご飯いりませんから。
かしこまりました。
（美津子）じゃあね！
（勅使河原）金を目当てに生きる人間は金によって駄目になる。
あんたもそれ覚えておくといい。
ご忠告痛み入ります。
（チャイム）はい。
（安達裕一）「弁護士の安達と申します」「勅使河原社長とお約束が」
（勅使河原）わざわざすまんな呼び出して。
（安達）いえ。
ご相談というのは？ああ大した話じゃないんだ。
仕事とは別で相談したい事があってな。
まあ入ってくれ。
（安達）失礼致します。
ああ三田園くん日本茶を２つ。
かしこまりました。
（戸の閉まる音）
（蘭）「安達裕一」勅使河原グループの顧問弁護士ねえ…。
「専門は企業法務」「遺言相続にも精通している」…。
あれ？眼鏡してたっけ？最近小さい文字がちょっと…。
休日に家まで呼ばれたって事はプライベートの用ですよね？それってやっぱり遺言ですよ！へえ〜若奥様やる事やってるわね。
やっぱり財産目当てなんでしょうか…？当然じゃないのよ。
だって４０歳差とかでしょ？じいさんが４０歳の時まだ生まれてなかったって事よ？春希ちゃんどう？ん？そんなじいさんのお相手出来る？お金もらえるなら出来ますよ。
えっ？私も！えっ！？それよ！結局それ！なんたって相手はあの勅使河原グループのオーナーなんだから！
（蘭）「勅使河原忠」「ホテルマンションペンションなどを多角的に経営する敏腕オーナー」「その個人資産は推定１０億」！？じゅ…１０億！？ああ〜抱かれた〜い！あっそこは言わないんだ…。
そんなじいさんと結婚して財産目当てじゃありませんなんてそんな事あるわけがないのよ。
私もう顔が札束に見えてきました…。
私の見立てが正しければその女…。
後妻業ね！
（春希）なんです？それ。
くたばりそうなじいさんとねんごろになって遺産をふんだくるってプロの女。
保険をかけるわけでもなく濃い味噌汁飲ませたり夜寝かせなかったりしてふんわり殺していくの。
ああ…！あ〜その手があったか！あんたは美人だからいいわよ。
あ〜あ私も美人だったらなあ…。
あらそんな事ないわよ。
熟年の男が結婚相手に求めるのは容姿じゃないの。
料理洗濯セックスこれよ！じゃあ頼子さんいけんじゃない？上手だもん。
ちょっと…何よ？見た事ないくせに。
（蘭）料理の話ですよ。
（真理亜）その女たたけばホコリが出てきそうね。
ホコリ掃除は家政婦の仕事じゃない。
三田園ちゃんどうする？たたいちゃう？でもなんか変じゃないです？遺産目当てならもう働く必要なくないですか？看護師なんて激務でしょうし…。
馬鹿ね相手はプロよ。
もう次の事見据えてんのよ。
病院なんてじじい選び放題じゃない。
（真理亜）その女にとっちゃ職場はカモの飼育場ね。
カモが持病持ってやってくるわけね。
今日は夜勤でございますか？ううん。
急患が入らなければそんなに遅くはならないと思う。
お忙しいですね。
三田園さん今度一緒にお買い物しましょうよ。
三田園さんおしゃれなお店い〜っぱい知ってそうだし。
ご用命とあらばお付き合い致します。
フフフ！堅苦しい言い方。
（足音）いってらっしゃいませ。
あっ章一さん。
ちょっと持ってて。
ネクタイが…。
はい。
お仕事頑張ってくださいね。
じゃあ私もいってきます。
お気をつけて。
恐れ入ります。
看護師の勅使河原様のお忘れ物を届けに伺ったんですが。
勅使河原？そのような看護師はいませんけど…。
ねえうちに勅使河原なんてナースいないわよね？うーんいないと思いますけど。
あら失礼致しました。
玉置様でございました。
ああ玉置さんですか。
結婚前の旧姓で働いてらっしゃるんですね。
結婚？玉置さんがですか？はい。
ご存じありません？いやあ…何かの間違いじゃないですか？ねえ玉置さん独身よね？
（職員）…と思いますけどね。
美津子様。
あれ？三田園さんどうして…？こちらお忘れじゃございません？ありがとう！わざわざ持ってきてくれたの？お困りではないかと。
助かった！さすが三田園さん。
ご結婚されてる事皆様には伝えてらっしゃらないんですね。
あっ…受付でお聞きしたら勅使河原という看護師はいないと言われて病院を間違えてしまったのかと…。
そうなの。
名前変えるといろいろややこしいでしょ。
でも変ですよね。
あっ…。
何？ああいえ…戸籍上の本名を知らないと給与など手続きがお困りでは？誰にも言わないでね。
実は私たち婚姻届出してないの。
あらま！結婚なんて制度に縛られたくないの。
もうそういうの古いでしょ？家族のみんなにも内緒にしてるから言わないでね。
承知致しました。
旦那様にも…でございますか？あなた私の事探ろうとしてる？まさか。
まあ好きにしたらいいけど。
ただ私の邪魔はしないでね。
邪魔と申されますと？内緒。
（美津子）あれ？田中さんどうしたんですか？美津子ちゃん…。
（美津子）ん？お手洗い？
（田中）うんお手洗い。
（美津子）こっちですよ。
では本日は失礼致します。
（章一）ああご苦労さん。
あら。
おかえりなさいませ。
今日はわざわざありがとう。
本当助かった。
ではわたくしはこれで。
ご苦労さま。
（ガスコンロの着火音）あっこんばんは。
ん？
（ノック）
（美津子）お待たせ〜。
夜食にとんこつラーメン！？親父こってりしたもの好きだからな。
そういう問題じゃないでしょ！あの女無理やり毎日食べさせてじわじわ殺そうってんじゃないの？下手したら毒盛ってる可能性あるわよ。
いくらなんでもそれはないだろう。
あなたまさかあの女に気許してるんじゃないでしょうね？えっ！？馬鹿言うなよ！いやただほらそこまで悪人には見えないっていうか…。
（益美）現実見なさいよ！お義父さん家に弁護士呼んでたの。
弁護士？なんでまた…。
鈍いわね…。
遺言の相談に決まってるでしょ。
（益美の声）このままじゃあの女に全財産奪われてお義父さんも殺されておしまいよ。
探る…と申しますと？あの女の本当の顔をのぞき見てほしいの。
わたくしにのぞけと？あなただって感づいてるでしょ？あの女財産目当てよ。
昨日の夜お義父さんに何食べさせたと思う？とんこつラーメン。
私はお金の事なんてどうでもいいの。
このままじゃお義父さんが早死にさせられるかもしれない。
それが心配なのよ。
ねっ？あなたたちなら部屋を探れるでしょ？なんでもいいから何か証拠を…。
お断り致します。
わたくしたちはプロの家政婦として誇りを持って仕事をしております。
お客様のプライベートをのぞくなんてもってのほか。
考えた事もございません。
（ため息）そう…。
そうよね。
ごめんなさい。
忘れてちょうだい。
ただ…。
例えばある場所を入念に掃除してほしいというのはよくちょうだいするご用命ではございます。
わたくしたちはご依頼者のご家族のためのご用命には精いっぱいお応え致します。
私はあの家の汚れを落としたいだけなの。
彼女の部屋入念に掃除してちょうだい。
では入念に。
えっそんなのオッケーしちゃったんですか！？いくらなんでもそんな素性を探るような事…。
私はただ念入りに掃除をすると言っただけです。
いやあ…。
あっちょっと待ってくださいよ！じゃあ改めて掃除しますか。
（ノイズ）三田園さんなんでラジオなんか聞いてるんですか？
（ノイズ）
（ハウリング）
（手をたたく音）
（真吾）うわっ！もうなんですか！さあ掃除始めましょう。
「ちょっと三田園さんそんなとこまでやっちゃうんですか？」これはとんでもないものを発見してしまいました。
えっ何かありました？これです。
この派手な下着。
今こんな事してる場合…いやでもこれは本当にすごい！スケスケ！こんなに表面積の小さい下着なんてあるんですね。
「これをあの美津子奥様がはくわけですよね」いやいや三田園さんそんな話はいいですから…。
他の下着も本当にセクシーだわ。
見てこのブラジャーなんかどう？「こんなエロいブラ初めて見た」本当よね。
あっこっちのブラもすごい。
一体何カップあるのかしら？「私なんてペチャパイなんでうらやましいです」かわいそうにね。
三田園さんどういう事です？誰が盗聴なんて。
あとなんで下着トーク？昔から言うじゃない。
「クズとハサミは使いよう」だって。
ちょっと意味がわからないんですけど。
っていうかペチャパイのくだり本当に必要でした？ねえ三田園さん！おお〜！お帰りなさいませ美津子様。
婚姻届ってどういう事よ！いや俺だってよくわかんないけどタンスの中に何枚も何枚も入ってて…。
親父のもあった。
（２人）えっ！？本当に見たのか？ああ。
俺このままじゃまずいと思ってさで部屋探ってみたんだよ。
やるじゃない。
お手柄よ。
これであの女の本性つかんだわね！
（勅使河原）お前たち。
（益美）お義父さんお帰りなさい。
明日の夜予定を空けておいてくれ。
弁護士立ち会いのもと話がある。
（章一）弁護士？
（益美）お話というのは？私の財産についてだ。
（美津子）てっしーお帰り。
おおただいま。
頼んだぞ。
（章一）ちょ…ちょっと親父！
（章一）親父！
（シャッター音）
（２人）多重結婚！？そりゃあ婚姻届提出出来ないわけだ。
そんなもの隠しているとは…。
ゴリゴリのプロね。
多分すでに２〜３人は殺してると思うわ。
じゃあすでにたんまりとお金を…。
その上今回さらに１０億がドドーンと…。
このまま放っておいていいんですかね？これもう警察に相談したほうがいいんじゃ…。
本職の女が簡単に尻尾つかませると思う？どうしたもんかしらねえ。
犯罪が絡んでるなら見過ごすわけにはいかないけどまあ干渉しないのが家政婦の…。
（手をたたく音）皆さんこんばんは家政夫の三田園でございます。
皆さん女性って本当に怖いですね。
さて本日の家事振り返ってみましょうか。
その１。
ツナとレタスの上にふわとろの卵をのせますとヘルシーオムレタスの完成。
ソースもヨーグルトをベースにする事でカロリーを抑える事が出来ます。
その２。
壁紙などの手垢の汚れはセスキ炭酸ソーダ水を含ませたこの…。
眼鏡拭きで拭き取るのがオススメ。
細かい繊維が汚れをかき出し傷を付ける事なく拭き取ります。
それともう１つ…あっ失礼。
それはまたのちほど。
それでは今回も偽りだらけの仮面を引っぺがしてしまいましょうか。
（手をたたく音）モットーですからね。
あ〜なんか乗ってる！聞いてるのかしら？まあ。
びっくりした。
すまんが外してくれ。
はい。
お前たちにきちんと伝えておこうと思ってな。
私の財産の分配についてだ。
私の財産は…。
（益美）その前に！ちょっとよろしいかしら。
あんな大事なもの家に隠してちゃ駄目よ。
（美津子）益美さん！ちょっと…何を！
（美津子）ちょっと！ただ事じゃなさそうですね。
はしたないですよ。
ほらこっちへ。
あっ！ちょ…えっ？
（美津子）ちょっとやめてください！あんたはすっこんでなさいよ！あ…あった！うっ…！んーっ！返してよ！
（益美）ああーっ！あっ…ああっ！なんだ！お義父さんに知っといてもらいたいの。
この女の正体を。
あっ…！？なんだよ！今のこいつとの写真はなんなんだよ！
（益美）知らないわよ！あんたなんなのよこれ！話と違うじゃないよ！知らねえよ…。
とぼけんじゃないわよ！こんな事するのあんたしかいないでしょう！
（真吾）はあ！？いいから説明するんだ益美！今の写真はなんなんだ？あのえっとこれはその…えっと情報を得ようと…。
（刻む音）お前どういうつもりなんだ！俺の妻たぶらかして遺産の分け前もらうつもりか！そんなつもりはまったく…。
自分のした事がわかってんのかーっ！私に言い寄ってきたのは奥様のほうです！
（章一）なんだって！？いい加減な事言わないでよ！嘘よ！この人が私を利用しようとしてたの！
（真吾の笑い声）
（章一）なんだよ？兄貴はなんもわかってねえんだな。
この女もただの遺産目当てだったって事だよ。
この女は兄貴と結婚したんじゃない。
この家と親父の財産と結婚したんだ。
黙れ。
そんな事最初からわかれよ。
黙れ寄生虫。
寄生虫はどっちだよ？兄貴にも弁護士にも取り入ってそんなに金が欲しいのか？
（真吾の声）わざわざ階段で滑って転んだ小芝居まで打ってよ。
（益美）だから何よ！私はずーっと我慢してきたの！こんな家で年寄りと情けない男どもの世話をして…。
これで遺産がもらえなかったらなんのために我慢してきたってのよー！？あの…。
あの…違うの…。
違うの…。
違うんです。
あなたごめんなさい。
違うの。
今のは…その…。
もういい！遺産遺産と騒ぐんじゃない。
私はまだ生きている。
これ以上醜態をさらすんじゃない！
（せき込み）あなた！大丈夫？フンッ！フンッ！お義父さんもお義父さんよ。
目を覚ましてよ。
だって一番悪いのはこの女でしょ！この女はお義父さんを殺そうとしてるのよ。
そうとしか考えられないでしょ。
いい加減にしろ！皆様少し早いですが夕食に致しましょう。
（益美）ちょっと…そんな事言ってる場合じゃないでしょ。
おいちょっと…。
奥様の調理法をまねさせて頂きました。
豆腐で作ったとんこつ風ラーメンでございます。
豆腐？なんだよ？それ。
（三田園の声）まずお鍋に水と重曹そしてカットした豆腐を入れ加熱します。
１０分もすればトロトロのコクのあるスープになりますので鶏ガラスープのもとを加えしょうゆとごま油で味を調えればとんこつ風スープが完成するのです。
ちなみにチャーシューも豚肉の代わりに鶏むね肉で作る事でより低カロリーに仕上げる事が出来ます。
これが美津子奥様流塩分控えめのとんこつ風ラーメン。
…でございますわよね？これだ。
まさにこの味だ。
そういえば先日お作りになっていたハンバーグも肉のミンチではなく豆腐で出来ておりました。
いくらなんでも奥様がかわいそうですよね。
毒なんか入れるわけない…。
奥様はヘルシー料理を研究なさってるようで…。
そんな工夫をしてくれていたのか…。
どういう事なの？体を気遣っていたって事か？彼女は財産目当ての女なんかじゃない。
全ては私のためにしてくれた事だ。
なんだよ？それ…。
私が入院中に出会った彼女は患者たちのマドンナだった。
みんな慕っていてな。
遊び半分に結婚を申し込む奴もいた。
そんな奴らに彼女は優しい嘘をついてくれた。
それが婚姻届だ。
それで病気に打ち勝つ現金な奴もいたし…。
そうでない奴もいた。
…がみんな幸せそうだった。
私も彼女に元気づけられた患者の一人だ。
（勅使河原の声）形だけでも判を押すと不思議と生きる気力が湧いてきた。
彼女の婚姻届はいわばセラピーみたいなもんだ。
うん…。
結婚セラピーってところかな。
後妻業じゃなかったんですね。
（益美）どうしてそんな女が家に？私が無理を言って頼んだんだ。
彼女を妻としてこの家へ招けば息子たちを追い出す口実が出来る。
そうすれば自立させる事が出来るだろうって。
結果はこのとおりだ。
彼女のおかげでお前たちの私利私欲が見事にあぶり出された。
改めて言う。
お前たちはここにいたら駄目になる！出ていけ！この家を出ていい加減に自立しろ！うっ…。
あなた！
（益美）お義父さん！
（章一）親父！
（益美）ちょっと…救急車救急車！
（勅使河原）美津子さん。
あんたを利用してすまなかったね。
そのせいで嫌な思いをたくさんしただろう。
あなたの望みかなえられてよかった。
こんな老いぼれに付き合ってくれた。
本当にありがとう。
あんたとの新婚生活幸せだった…。
私も幸せだった。
（せき込み）てっしー大丈夫？
（看護師）元気でね。
（看護師）ありがとうございました。
ご退職なさるそうで。
三田園さん！わざわざ来てくれたの？勅使河原様には生前大変お世話になりましたので。
そうね。
請求書をお持ちしました。
どうして私に？あちらのご家族は皆様生活が崩壊なさってしまいましたので代わりに美津子様に。
ご遺産相続なさったんですよね？あの人はねあのあとすぐ逝ってしまって遺言を書く暇もなかったの。
だから私に…。
だから急いで婚姻届を提出なさった…という事ですわね。
（ため息）フフフッ…。
三田園さんあなた家政婦に収まる器じゃないんじゃない？一番嘘がうまいのは…。
あなた。
（警察官）連続空き巣事件が発生してまして。
（新田和臣）うわあ〜！
（安藤アイリ）キャーッ！誰か家の中に入ったみたいですね。
（アイリ）いきなり逃げようとしたら警察に言っちゃうから。
お父さん。
えっ？大変な事になりかけてるんです！2016/11/12(土) 00:26〜01:26
ＡＢＣテレビ１
家政夫のミタゾノ ＃４／後妻業のオンナ現る!?財産を狙う４０歳下のぶりっこ妻[字]
三田園（松岡昌宏）が派遣された豪邸にいたのは、４０歳下の若妻（中村静香）に財産を狙われた不動産王の一族。魔性のぶりっこ妻に、なんとミタゾノの秘密まで暴かれる!?
詳細情報
◇番組内容
松岡昌宏が“女装”家政夫に！史上最恐のダークヒーロー誕生！
家事スキルはプロ級、神出鬼没で不気味な女装家政夫・三田園薫（松岡昌宏）は、派遣先の事情を覗き見するのが大好き。誰にも気付かれないうちに、周到に罠を張り巡らせ、依頼人の化けの皮をはがし、その家庭に巣食う“根深い汚れ”をスッキリと落としてゆく。ひと度、彼に“覗かれた”家庭は、崩壊への道をまっしぐら…！痛快“覗き見”ヒューマンドラマ。
◇出演者
松岡昌宏、清水富美加、柴本幸、堀田茜、平田敦子、余貴美子
◇脚本
小峯裕之
◇監督
片山修（テレビ朝日）
◇主題歌
ＴＯＫＩＯ『愛！ｗａｎｎａ ｂｅ ｗｉｔｈ ｙｏｕ…』（Ｊ ｓｔｏｒｍ）
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】内山聖子（テレビ朝日）
【プロデューサー】秋山貴人（テレビ朝日）、木曽貴美子（ＭＭＪ）
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