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書き起こし クローズアップ現代+「窮地に立つパク・クネ大統領〜弾劾目前!韓国はどこへ?〜」 2016.12.07

国民の大きな期待を背に4年前、韓国大統領選に挑んだパク・クネ氏。
それが今、ネット上ではこんな動画が次々にアップされる事態に。
追い込まれたパク大統領は…。
しかし、辞任の時期を明らかにしなかったパク大統領に対し国民の怒りは頂点に達しています。
あさって、国会で弾劾を求める議案が可決されれば即時に職務停止となります。
「私は韓国と結婚した」とまで宣言したパク大統領。
なぜ、ここまで追い詰められたのか。
徹底検証します。
韓国のパク・クネ大統領の弾劾採決が、いよいよあさってに迫り、窮地に追い込まれています。
早速、最新状況を国会前にいるソウルの池畑支局長に聞きたいと思います。
池畑さん、今の韓国、どんな様子でしょうか?
全国民が弾劾議案の採決の行方を見守っています。
国会の敷地内でも、つい先ほどまで市民団体が、パク大統領の退陣を求める集会を開き、大統領を批判する訴えが、辺り一帯に響き渡っていました。
池畑さん、ずばり、あさっての採決なんですけれども、可決される見込み、どうですか?
議案を提出した野党3党に加えまして、与党の非主流派も基本的には弾劾に賛成でして、可決の可能性が高いという分析が、大勢を占めてはいます。
ただ、きょうになって、変数も一つ浮上しました。
鍵を握る与党の非主流派から、議案の文言に難色を示す声が相次いだのです。
野党側は議案の中におととし、旅客船セウォル号が沈没した当日のパク大統領の行動も問題があったとして、弾劾の理由に盛り込んだのですが、与党側は、あくまでチェ・スンシル被告らの事件に関する内容に絞るべきだとしています。
こうした声が、土壇場での投票行動に影響を与えるという見方も出ていまして、可決が確実な情勢とまではいえません。
ぎりぎりまで情勢は不透明だということなんですが、今夜はスタジオ、お2人の方をお迎えしております。
韓国政治に詳しい、奥薗秀樹さん、そして芸能界きっての韓国通、はるな愛さんと共にお伝えします。
よろしくお願いします。
お願いします。
はるなさん、つい数日まで前まで韓国に行ってらした?
4日前に行ってきました。
デモの様子などどうでした?
町並みは観光客もいらっしゃったんですけど、私の友達のマッサージ店はお店を休んで、やっぱりデモに参加してて、今こそ、声を上げて届けようという、そういう友達多いですね。
まさにその市民の怒りの根源には何があるのか、こちらご覧ください。
今夜はこの大きなパネルに、国民の怒りの原因、大きく4つにまとめました。
早速、1つ目いきます。
こちら。
異様ともいえるパク・クネ大統領のプルトン政治です。

 

 

 

 


きょう開かれた韓国国会の聴聞会。
呼ばれたのは元秘書室長。
大統領を補佐する側近中の側近です。
パク大統領とどのくらいの頻度で会っていたのか問いただされました。
国民の大きな期待を背に韓国と結婚するとまで宣言したパク・クネ大統領。
しかし、就任直後から異例な政治スタイルが目立つようになります。
それは極めて限られた人間としか意思疎通をせず密室で物事を決めていくそのスタイル。
いつしかプルトンと呼ばれるようになりました。
パク大統領は長時間部屋に一人で閉じこもり重要な政策判断を行いました。
報告を受けるときも直接会うことを避けメールやファックスなど書面で行うよう指示したといいます。
なぜ、このような異様なスタイルを取るようになったのか。
パク・クネ氏を大統領になる前から取材してきた記者のペ・ビョンヒュさんです。
プルトン政治には大統領になる前の不幸な生い立ちが影響しているのではないかと見ています。
パク・クネ氏の父親パク・チョンヒ元大統領。
パク・クネ氏が22歳のとき母親は父親の暗殺未遂事件に巻き込まれ亡くなりました。
その5年後には父親も暗殺されました。
それ以降当時の側近や親しい人たちは手のひらを返したように次々に離れていきました。
パク大統領の政治スタイルの裏には根強い人間不信があるとペ氏は考えています。
周囲から人を排除し密室で政治を行ってきたパク大統領。
例外の一人が一連の事件で起訴されたチェ・スンシル被告でした。
宗教家の娘だったチェ被告。
40年以上前、親を亡くし孤独だったパク・クネ氏に近づき友人関係を築いたのです。
チェ被告は大統領と口をきける数少ない人物として絶大な権力を振るうようになります。
パク大統領の衣装を仕立てるための専用の部屋。
そこに設置されていた防犯カメラの映像です。
携帯電話を大統領府の職員に無造作に渡すチェ被告。
大統領の衣服について細かく指示を出す様子が映っています。
これまでの捜査でチェ被告は、70億円もの資金を財閥からみずからが深く関わる財団に出資させたという疑いが持たれています。
国民に選ばれた大統領が密室で一民間人に操られていたのではないか。
人々の怒りに火がついたのです。
はるなさん、どう見ましたか?
韓国のお友達も多くて、韓国のお友達って、友達でも、家族以上にオンニ、オッパといって、お兄さん、お姉さんと呼ぶ仲があるんですけど。
家族じゃなくても?
なくても。
時には家族よりもそれが深いつながりだったりすることもあるんですけど、なんかそういう存在だったんじゃないかなということをね、チェ被告とも。
政治に持ち込まれていたということですよね。
そうですよね。
このプルトン政治なんですけれども、詳しく見てまいりますと、それを象徴するのが、2014年に起きたセウォル号事件での対応といわれているんですね。
これ、空白の7時間、よく伝えられていますけれども、事故後7時間、大統領と連絡がつかなかった問題。
それから先ほどVTRにもありましたけれども、きょう、国会の聴聞会で、前の秘書室長、秘書室長ですよ。
その人が、このように証言したんです。
会うのは週に1回程度だということなんです。
こういったプルトン政治の一方で、逆に特別扱いされていたのが、このチェ・スンシル被告だということで、このチェ・スンシル被告に、大統領が公務上の秘密文書を渡していたかどうかが、今、まさにこれ、捜査の焦点の一つとなっているということなんですが、奥薗さん、これだけのプルトン政治、じゃあ、どうやって政治を動かしてたんですか?
結局これ、臆測が臆測を呼ぶ悪循環になっていると思うんですけれども、パク・クネ大統領のリーダーシップの発揮のしかたというのは非常に特徴的といわれてまして、必ずしも明確な指示をあまり下さない。
したがって、周囲の人たちは、大統領の心の中、パク心と、パクの心と書いてパク心といわれるんですけれども、大統領の心の中、パク心を、皆がそんたくしながら、やっていくしかないと。
結果これだと思ってる人がいる一方で、違う人は、いや違う、といったような形で、ある種の忠誠競争のようなものが、そこに起こって、その結果、大統領の求心力が維持されるというようなことになって、今回は結局、そういうリーダーシップの発揮のしかたが、側近をうまく管理できずに、一部が、忠誠競争が過熱して、暴走してしまったという可能性が十分考えられると思いますね。
続いて、国民の怒り、見てまいります。
ポイント2つ目、こちらです。
脱財閥の失敗です。
4年前のパク・クネ氏が大統領選に挑んだときのテレビコマーシャルです。
少数の財閥グループに富が集中する韓国経済。
パク・クネ氏は選挙戦で政治と財界の癒着を断ち切り庶民の暮らしを豊かにしたいと訴えていました。
ところが…。
パク大統領の人形とともに縛り上げられているのは財閥のロゴマーク。
今回の事件によってパク大統領と財閥の癒着が疑惑として持ち上がっているのです。
きのう開かれた財閥のトップに対する国会での聴聞会。
呼び出されたのは韓国10大財閥のトップたち。
パク大統領とチェ・スンシル被告との疑惑に関与していたのではないか厳しく問いただされました。
財閥中心の経済を変えると宣言していたパク大統領。
なぜ、財閥に頼るような結果になったのか。
韓国の政治を長年取材してきたペ・ビョンヒュさんは財閥中心のシステムが韓国経済に深く根づいていて、改革は容易ではなかったのではないかと見ています。
パク・クネ氏は、大統領の選挙期間中は、財閥中心の経済の改革、いわば脱財閥を目指していたわけなんですね。
しかし、就任後は結局、財閥に頼った経済政策を行わざるをえなくなっていったということなんです。
そんな中で、むしろ、大統領と財閥の癒着があったのではとされる、挙げられている疑惑、それがこちらなんですね。
チェ被告と政府が作った財団に、チェ被告らがこの財閥に圧力をかけて、70億円を拠出させたのではないかと、検察は見ている、ここが捜査の大きなポイントの一つなんです。
はるなさん、韓国行かれていて、韓国社会における財閥って、本当に大きいんですか?
空港降りてから、ここにあるロゴはもう至る所で見るので、大きな看板から、おえちっちゃなお店でもここの財閥のロゴが入ってて。
そういう所で、なんかお買い物する人が増えちゃって、海外の方が、なんか、ちっちゃなその財閥の息のかからないところで商売をやってる人が、全然お客さんが来ないとかがあったりとか、私は化粧品の仕事をしてるんですけれども、向こうで、なんかそうやってやっぱり免税店、大きな財閥の免税店に入ることが、やっぱり商売の成功につながるっていうから、やっぱり、一番力を持っているのが財閥なんじゃないかなって感じますよね。
奥薗さん、どうですか、韓国の経済そのもの、財閥がないと、回らないんじゃないかっていう。
ずばり、財閥経済といわれるんですね。
韓国の経済は。
ですから、財閥が目覚しい経済発展を韓国がしてくる過程で、大きな役割を果たしたことは、これ、事実なんです。
しかし、もう韓国も先進国も、入り口まで来てますので、低成長時代に入って、もはや財閥の役割というものが、今までのままじゃだめだと、むしろ、社会の格差がどんどん広がってきている。
それに対する不満が爆発寸前に来てるということですね。
それを変えようとしたんだけれども、結局変えられず、しかもこんな疑惑まで出ているということが、今、特に若い人たちの大きな怒りの根源なんですね。
変わるのかな?でも。
脱財閥ってできるのかなと思うくらい。
そうですよね。
議論進めてまいりたいと思います。
さらに怒りの3つ目にいきましょう。
パク大統領と、大きすぎる父親とのギャップがあるんです。
30万人以上に膨れ上がった大統領の即時辞任を求める大規模デモ。
一時60%以上に上っていた大統領の支持率はいまや4%にまで急落しています。
その大きな要因はコンクリート支持層と呼ばれる高齢者の支持基盤が崩壊したことです。
高齢者の多くは、パク・クネ氏に父親の姿を重ね合わせ期待していました。
父親のパク・チョンヒ元大統領はハンガンの奇跡といわれた経済成長をもたらし今の韓国の礎を作りました。
父親がパク・チョンヒ元大統領だからこそパク・クネ氏を支持していたというキム・ブウンさんです。
パク親子を慕う気持ちから関連書籍を収集してきましたが一連のスキャンダルで、すべてを踏みにじられたと感じています。
韓国のベテラン政治ジャーナリストは偉大な父親の娘という期待がかえって国民の怒りを増幅させたのではないかと見ています。
この大きすぎる父親の存在。
それがパク・クネ大統領にとって、どうだったのかということ、理想を追い求めて失敗したという見方か、それとも、そもそも父親の存在が重荷だったのか。
奥薗さん、どう見ますか?
パク・クネさんは、父親から帝王学を学んでいるんですね。
ですからパク・クネさんにとっての大統領のお手本というのは、間違いなくお父さんだったということはいえると思います。
ただ、今のVTRにもありましたけれども、パク・クネさんを支持しているコンクリート支持層と呼ばれていた人たちは、何があってもパク・クネさんから離れていかない人たちといわれたんですね。
どんなことがあっても、今まで。
それが30%いるといわれたんですけれども、それが今回、支持率5%に落ちてる。
それはやはり、パク・クネさんのコンクリート支持層ではなくて、実は、パク・チョンヒさんのコンクリート支持層だったんだと。
お父さんの支持層だった。
ですから、そういった方々からすると、今回のスキャンダルというのは、父親の顔に泥を塗るような行為をされたと。
それは、許し難いということになってるんだと思うんですね。
それだからこそ、その岩盤のような支持までも今、剥がれ落ちてしまっている状況だと。
そうですね。
そして、怒りの4つ目、最後なんですけれども、これ、結局、韓国社会、コネなのか?これ、若者、怒ってるんですよね。
コネ社会といいますと、歴代の大統領、ほぼ必ずといっていいほど、身内や関係者のスキャンダルが噴出しているんですね。
こちらご覧ください。
韓国の民主化で、大統領の直接選挙が導入された1987年以降、歴代の大統領の在任中に、その親族や側近などが絡む事件、これ、毎回繰り返されてきているわけなんです。
そして支持率、こちらご覧いただきましょうか。
就任当初は高いんですけれども、これ、おしなべてみんな右肩下がりに。
下がってますね。
なっていくと。
奥薗さん、なぜ、毎回これが繰り返されるのか。
いろいろな要素があると思うんですが、一つ挙げさせていただくとすると、やはり韓国の大統領っていうのは非常に強すぎるということがよくいわれるんですね。
権力が強い?
権力が強すぎる。
いろいろな権限、人事権をはじめとしたいろいろな権限が集中していると。
それはやはり、韓国は分断国家ですので、何かいざ、有事に備えて、大統領に強い権限が与えられることが必要であるという考え方が、もともと根っこにあるんですね。
そういうベースもあってということなんですけれども、さあ、はるなさん、若者の怒りの声を聞いてますか?
友達の20代の子たちも、やっぱりデモに参加しているんですけれども、今回やっぱり、コネと政治とカネというのが、あからさまに大きく取り上げられて、スキャンダルになって、やっぱりここを変えないといけないから、あれだけの人たちが集まってると思うんですけど、次の大統領にも、やっぱりまだあるんじゃないかという不安もみんな持っているわけなんですよね。
ではここで、ソウルにいる池畑支局長に再び聞きたいと思います。
はるなさんからずばり質問、ぶつけてください。
韓国の政治って、本当に変わりますかね?
国の仕組みを抜本的に変えなければならないという声が、かつてなく高まっていることは確かです。
急速な経済成長をもたらした大統領と財閥の、いってみれば二人三脚の体制というのも、もはや単なる政治と経済の癒着でしかなく、国内の格差を広げる一方だと見なされています。
また大統領制をやめて、議院内閣制に変わるべきだという主張も出ています。
もちろん、国の在り方を変えるのは簡単ではありません。
しかし、朝鮮戦争や経済危機など、いくつもの試練をくぐり抜けてきた韓国の人たちは、決断をすると、実行は迅速かつ大胆です。
大統領の進退問題が決着すれば、人々のエネルギーは、国をどう変革するのかというテーマに向けられるのではないかと思っています。
こういう状況で、いよいよあさってが弾劾を求める採決なんですけれども、仮に可決されますと、このようなスケジュールで政治が進んでいくということなんですけれども、奥薗さん、ポイントとしてはどう見ていけばいいですか?
恐らく弾劾が可決される可能性がかなり高まってるとは思うんですけれども、それに伴って、大統領選挙が憲法裁判所の判断を経て、いつ行われることになるのかというのが、2016/12/07(水) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「窮地に立つパク・クネ大統領〜弾劾目前!韓国はどこへ?〜」[字]

弾劾が目前となった韓国のパク大統領。前代未聞の疑惑を招いた背景には「誰とも会わず自分で何でも決める」密室政治があった。関係者の証言などから疑惑の深層に迫る。

詳細情報
番組内容
【出演】静岡県立大学准教授…奥薗秀樹,韓国観光名誉広報大使…はるな愛,【キャスター】鎌倉千秋
出演者
【出演】静岡県立大学准教授…奥薗秀樹,韓国観光名誉広報大使…はるな愛,【キャスター】鎌倉千秋