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書き起こし ハートネットTV NHK障害福祉賞1▽“ヘン子”が見つけた本当の幸せ 2016.12.27

 

 

国でもかなり真剣に考え始めてるんですね。
そういうサービスが広がってますから是非利用して頂きたいんですけれどもやはり情報を正確に集めるっていう努力だけは怠らないようにして頂きたい。
こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日と明日は障害のある人や共に歩む人の体験談を募集したNHK障害福祉賞の入選作品をご紹介します。
51回目となる今回は応募総数383作品の中から10作品が選ばれました。
今回最優秀賞に選ばれたのは兵庫県姫路市の伊藤議代さんの作品「ヘン子の手紙」です。
幼い頃から周りに「ヘン子」変な子と呼ばれ苦しんできた伊藤さんの葛藤が丁寧に描かれています。
まずは伊藤さんの日々の生活からご覧頂きます。
兵庫県姫路市。

 

 

 

 


(チャイム)は〜い。
こんにちは。
作品を寄せてくれた専業主婦の…実は議代さんには発達障害があります。
そのため記憶するのが苦手で買い物前には必ずメモをとります。
いつも訪れるスーパーに到着。
まずは子どものためにポケットティッシュを買う事に。
ところが…。
いや〜いつも買う「妖怪ウォッチ」がないんです。
「妖怪ウォッチ」じゃないとよく分からないサイズが。
分かんない。
これ?大きさがよく分からないです。
う〜。
買わないです。
フフフ。
想定外の出来事が起こると頭が混乱してしまう議代さん。
買いたかった商品がなくどうしてよいか分からなくなってしまいました。
今日は難しいな。
いつもの…。
う〜ん…。
分からないなあ。
多分…多分これ。
色が何か違う気がする。
やめた方がいいかな?怒られたら怒られたで。
フフッ。
迷いながらもなんとか買い物を終えました。
そして一番苦労するのは料理。
議代さんは同時に2つの作業を進める事や適度な分量などを判断する事も苦手です。
シチューを作っていても…。
(取材者)あ〜ちょっと…。
フフフフフフ…。
こうかな?うわっわ〜わ〜わ〜わ〜。
やってもうたよ。
あらフフフフフ…。
ドタバタやん。
どうしようあふれる。
一品作るだけでヘトヘトです。
すいません。
議代さんが発達障害だと診断されたのは8年前。
幼い頃は人とは違う自分の行動が障害のせいだとは分からず誤解を受けてきました。
「ただし私自身は理解できている数少ない単語から指示された事を予測する事で脳をフル回転させて理解していました」。
小さい時はもう何か…ガ〜ッと言われたらもう何も言えないで口でパクパクパクパクしてるだけなんですよ。
しゃべるたんびに「変な子変な子」って言われてたからだんだんだんだん無口になるじゃないですか。
そしたら「何考えてるか分かんないこの人」みたいな。
余計変な子になっていって自分でもどうしていいのかもがくんだけどうまくならない。
理解するのが遅く自分の考えをうまく言葉にできない議代さん。
人づきあいも苦手でした。
一人自然の中で遊ぶ放課後だけはリラックスしていられました。
ところが小学5年生の時引っ越しでその生活が一変します。
「学校に行くことが毎日毎日激しい腹痛と頭痛吐き気と闘いながらだった」。
発達障害のため環境の変化に弱い議代さんは新しい学校になじめずノイローゼ気味になっていきました。
私はこれで生きてるのかなっていう…うん。
そういう生きるとかいう喜びも分からずずっときてたから苦しかったですうん。
スタジオには伊藤議代さんにお越し頂きました。
今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
いや子どもの頃本当につらい時期があったんですね。
はいつらかったです。
誰にも言えなかったですか?そのつらさというのは。
まずつらい事の…どう伝えていいかも分からなかったしまあつらい事自体も分からなかった感じです。
この苦しいような…苦しいっていうのがこういう事なのかどうなのかっていう感じで分からずず〜っといましたね悶々悶々と。
もっと分かってほしかった。
一緒にお友達とも遊びたかったっていう思いがあったんじゃないですか?ありましたねえ。
最初は仲間に入れてくれるんだけどだんだん何考えてんのか分かんない。
でする事が変だっていう…。
それでだんだん周りから人がいなくなっていつも一人で。
なんとか一緒に仲間にいなきゃいけないんだと。
友達はつくらなきゃいけないんだと思ってたんですよ。
でもそのつくらなきゃっていうものに縛られてて自分が苦しくなってた。
今はね発達障害っていう診断がついた訳ですけども当時は理由も分からなかった訳ですもんね。
そうですね。
だから親もなんとか普通にできるようにしようと思って「ちゃんとやりなさい」とかあと「どうしてできないの」って責められるんですよ。
どうしてできないかが分からない。
いまだに分からないです。
いまだに…ええ。
そんな議代さんなんですが実はある事をした事がきっかけで変わっていったといいます。
どんな事なんでしょうか。
打て!
(議代)あ〜ごめん。
いくよ。
議代さんは会社員の夫と2人の子どもに囲まれて暮らしています。
いつも一緒の仲よし家族。
しかしここに来るまでには長く苦しい日々がありました。
うわ〜。
懐かしい。
痩せてる。
フフフフ。
議代さんが夫の秀和さんと出会ったのは25歳の頃。
知人の紹介で知り合いすぐに引かれ合いました。
私が飲みながらお茶をこぼしたんですよね。
で怒られると思ったら大笑いしたんですよ。
今考えたら失礼な話なのに…。
「あ怒られなかった」って。
「すごくいい人だ」と思っちゃって。
それからなんですよ。
マイナスではなかったですね。
逆にそういう変わったとこのある子の方が好きやったんで。
まあのろけに…。
2年間の交際を経て結婚。
しかし新婚生活は思うようにはいきませんでした。
知り合いもいない嫁ぎ先での生活。
更に3度の流産で精神的に不安定になっていきます。
4年後ようやく長女を授かります。
ところがほかの子どもと違う面が多く心配した議代さんは病院を受診。
自閉症と診断されました。
その後生まれた長男も自閉症と診断されます。
あ〜もうここが取れたもう!チッむかつく!あ〜もう!あ〜!
(議代)テレビは消して。
え〜っ!ん〜!もう!この日折り紙がうまく折れない長女のイライラが爆発。
「や〜めて」って言っとるやん!人との距離感が分からない弟とも衝突してしまいました。
(議代)今日はこれ終わり。
やだ。
駄目。
やだ。
駄目。
やだ。
終わり。
置いとるやん!やめて。
感情をコントロールできなくなった長女。
自分の部屋に籠もってしまいました。
こんな時議代さんと秀和さんは心配しながらも静かに見守ります。
ああ見えて自分で立ち直る方法知ってるんであかんな思うたらああやって避難して落ち着いたらまたいつもどおり。
だからそっとしとくんが一番です。
今では子どもたちの特性を理解し対応できるようになってきました。
議代さんの障害が分かったのは31歳の時。
育児をする中で自分と重なるところが多いと感じ検査を受けたのです。
しかし当時は発達障害との向き合い方も分からず家事も育児もうまくいきませんでした。
一生懸命頑張って…グチャグチャ状態だったから。
ズンズンズンズン落ち込んじゃって。
何で私ってこんなにできないんだろう。
こんなに頑張ってるのに。
まだまだ頑張らなきゃいけないのかなと思ってた。
ごはんも食べてないし本人は家で何もできずにグタ〜ッと寝てるし。
それも理由も分からないし。
で自分のやり方が悪いんかなってすごい悩んでて…うん。
議代さんはもともとあったうつ病が悪化します。
母親に勧められるまま夫を一人残し子どもと広島の実家に戻る事に。
ところが母親ともうまくいかず更に病状が重くなります。
病院に入院する事になってしまいました。
その入院生活で議代さんはある事を始めます。
それは今の気持ちを紙に書き出す事。
心の奥にある怒りや悲しみそして諦め。
今まで気付かなかった思いが言葉や絵となりあふれてきました。
そして次第に自分へのエールに変わっていきます。
書く事で初めて自分自身を認める事ができた議代さん。
心が軽くなっていきました。
そして自分の心に問いかけます。
「あなたはどんな人生を生きたいの?」。
その時浮かんできた答えは「姫路で家族と一緒に暮らしたい」。
別居してたけどやっぱり私はもう一回一緒にこっちで生活して親の助けばかり借りるんじゃなくてやってみようっていうふうな自分の生きてくあれが見えてきたというか。
大事なものがピカ〜ッピカ〜ッて。
うん。
一時は議代さんから離婚話を切り出された秀和さん。
それでも妻と子どもを案じながら一人家族の帰りを信じ待ち続けていました。
正直周りからは「もう別れてもええんちゃうん」とか言われたりしました。
けど理屈じゃないんですけど…何か戻ってくる場所居場所がもう一つぐらいあってもいいんじゃないかなって。
いつでも帰ってきていいよっていう感じで。
よく見捨てずにいてくれたなと思いますね。
ハッて気付いたら私の事を一番理解してくれるのはやっぱりなぜか知らないけど主人だと…うん。
議代さんは今回の作品の最後に夫に宛てて手紙を書きました。
あの…今の気持ちを書きましたので読んでみて下さい。
「夫へ」。
ありがとう。
頑張ったな。
頑張ったな。
うれしいです。
僕自身が気持ちに応えてやれてなかったんで今まであんまり。
その分…うれしいですね。
スタジオには夫の秀和さんにもお越し頂きました。
よろしくお願いします。
議代さんの姿改めてどういうふうに今ご覧になりました?当時はその理由も分からなくて不器用なところがあって。
でまあそういうのを見て歯がゆさを感じたりとか正直あったりもしたんですけども彼女にとっては人一倍やっぱり環境の変化にも弱いしすごくストレスだったと思うんです。
だからそこをもう少し気付いててやれたらなっていうのはあるんですけども…。
あ〜そうですか。
あと楽になったという事の理由の一つに発達障害という診断があったと。
すごく自分を知るっていうのは大事なんだなと思いました。
自分の事を知るっていうのは。
何をするにしても自分の事が分かってないとできない。
ただ今でも曖昧なんですけどね。
あとはどう共存して生きていくかっていうか…。
どう言ったらいいんですかね。
苦手な事をできるようになるのっていうのは人一倍つらいししんどいと思うんです。
だからそうではなくてやっぱり自分が苦手やって事を理解していれば苦手なりにじゃあ工夫をして…じゃあ私は苦手やからこういうふうに工夫して…。
方法が見えてくるんですよ。
ええ。
今の娘さんがちょうど議代さんがつらかった小学生の時期にまさに今さしかかっていて同じ発達障害っていうところもあってこう重ね合わせる事ってありますか?
(議代)あります。
昔の傷を一つ一つ治すように子どもに接してるようなところもあります。
そうですか。
でもすごく幸せだな娘はと思って…。
ああやってできない事でわ〜っとなるけどすごくできる事もいっぱいあるからそれを大事にして伸びてってほしいなと思います。
彼女がこういう思いしてつらかった事はじゃあ子どもも同じだから…。
やめとこうと…。
子どもに対しても例えば言ってる事がパッと聞いたら全然理屈に合ってなくてもまずは話は聞いてあげようとか。
で受け止めてあげた上でいや〜でもこういう考え方もあるんじゃないかなとか。
逆に子どもにこう接してあげたらいいかなって思う事がそのまま彼女に対しても通じるところもあって…。
受け止め方だけ気を付けてる感じですかね。
議代さんへの優しさの…こう何て言うかな…原点っていうんですかね源って何ですか?理屈じゃないんですけど…。
もう自分の中の…彼女は自分の中での一部になってるんですよね。
一心同体というか。
あ〜。
二人で一人なんですね。
やっぱりお互い足りないものを補い合ってるような夫婦なんですけどそれで今うまくいってるのかなって。
うれしいです。
私もそういう気持ちなので。
そうですか。
はい。
私の足りないとこが主人に頼んでやってもらったりしてるので。
別れなくてよかったですねそのままで。
う〜ん。
まだ分からないけど。
いやいや…そんな事言わずに。
お帰り。
ただいま。
はい。
あっそういえばさあポケットティッシュ買ってくれた?ごめん分からんかった。
「妖怪ウォッチ」がなかったんや。
買っといてくれる?あれば何でもいい。
ないから困っとんねん今。
何でもいいんやな?何でもいい。
とにかくあればいい。
議代さんは今自分の特性を理解しさまざまな工夫をしています。
メモをする事もその一つ。
何でもすぐ書く事ができるよう家中にメモ帳があります。
今日学校であった事とかさ教えてほしいんやけど書いて。
子どもとのやり取りでも大活躍。
書いてみて。
今までな「水」って「水」っていう字なこう書きよったんやけど先生に言われたら横に…ああ間違えた。
こうここを横に直さなあかんって言っとって。
う〜んなるほど!教えてもらったんやな。
うん。
へえ〜。
よく分かりました。
書いたらすごく…自分のパズルをキチッパチッパチッとはめれたような感じなんですよね。
確認もできるしはまった感覚も分かるというか。
あっ焦げた!うわ〜!そっちじゃない!パンよパン!丸焦げや!イエ〜イ!毎日が奮闘の日々。
終わりました。
あっあと風呂や。
ハハハハハ。
お風呂。
洗おうか?もう。
洗ってくるで。
いいよいいよ。
最近は子どもたちもお手伝いをしてくれるようになりました。
お互い支え合いながらゆっくりとした成長を感じる毎日です。
う〜んありがと。
休憩してますよ。
ちゃんと休憩してますよ。
フフフ。
2016/12/27(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV NHK障害福祉賞1▽“ヘン子”が見つけた本当の幸せ[解][字]

障害のある人の体験記を募集するNHK障害福祉賞。今年の最優秀賞に輝いた伊藤議代さん。“ヘンな子”と呼ばれ続けた一人の女性が、苦労の末に見つけた本当の幸せとは。

詳細情報
番組内容
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