全文書き起こしサイト

地上波テレビの字幕を全文書き起こします

スポンサードリンク

字幕書き起こし クローズアップ現代+「トランプ新大統領誕生〜“過激発言”の真意はどこに〜」 2017.01.19

ついに、アメリカ第45代大統領に就任するドナルド・トランプ氏。
大統領になる前からツイッターでみずからの主張を展開。
巨大企業を名指しで攻撃しています。
これに対し企業のトップが釈明に追われる異例の事態が相次ぎました。
さらに、攻撃の矛先はあの大国にも。
過激な発言を繰り返し世界を翻弄しているトランプ氏の真意は、一体どこにあるのか。
トランプ大統領で、アメリカそして世界はどうなるのか。
徹底予測します。
トランプ氏がつぶやいてきたツイッターの数々です。
大統領になることが決まったあとも、過激なことばで、みずからの主張を、毎日発信し続けています。
そのつぶやきに世界中が翻弄されています。
こうした過激な発言の真意を探るため、日本政府も情報収集に追われています。

 

 

 


今月初め。
首都ワシントンには日本政府高官の姿がありました。
トランプ氏が日々発信するツイッターを欠かさず見ています。
この日、訪れたのはトランプ政権移行チームを支える保守系のシンクタンク。
会ったのは、新政権の人事にも影響力を持つといわれるトランプ氏のアドバイザーです。
スタジオ、政策アナリストの横江公美さんです。
横江さん、トランプ政権を支えるシンクタンクで、以前、研究員をされていて、先ほどもVTRに出てきたトランプ氏のアドバイザーを務める人は、元上司だということ?
あそこの建物の中で働いてました。
上級研究員してました。
つい先週まで、ワシントンにいらっしゃったそうですけど、今、どんな空気感なんですか?
ちょうど先ほどの部屋にも行ったんですけど、ヘリテージ財団を例えば例に出しますと、勝ったという、その共和党が大統領になったっていう喜びもありますけどね、今みたいに、各国の要人が大挙して、押し寄せてきているみたいです。
みんな情報を求めて?
それが違うんですね。
情報を求めてっていうよりも、自分たちの気持ちですよね。
今もそうでしたけど、日米同盟の重要さを訴えていると。
だから、私たちの国は、こういう状況なんです、トランプさんに言ってくださいねというようなことで。
情報収集というより、伝えてくださいという、陳情が続いているような。
ちょうど、その場所なんですよ。
トランプ政権への窓口の場所ということになってるんです。
今夜はその、どんな真意があるのかということで、トランプ氏の発言の裏のねらいを探っていきたいと思いますけれども、テーマは2つ、経済と外交です。
まずは経済ですね。
トランプ氏の最も重要な経済政策は、アメリカ人の雇用を守ること。
そこに今、大きな期待が寄せられています。
今月大手自動車メーカーのフォードはメキシコの新工場建設計画を撤回。
トランプ氏の攻撃に屈した形になりました。
人口およそ1万人のミシガン州フラットロック。
フォードの主力工場で3000人以上が働いています。
フォードはメキシコ工場の計画を撤回する代わりにこの工場の設備を拡大し従業員を700人増やすことにしたのです。
雇用をフォードに頼る街の人たちはこの決定を歓迎しています。
ダン・ボッシュさん57歳です。
30年にわたってフォードの工場で働いてきました。
20代の息子も工場で働き始めたというボッシュさん。
今回の決定によって、安定した将来が約束されたといいます。
さらに。
今、エネルギー産業でも雇用拡大への期待が高まっています。
原油や天然ガスの採掘が盛んなニューメキシコ州。
エネルギー関連企業の役員ジョージ・シャープさんです。
シャープさんの会社では環境保護を重視したオバマ政権が採掘に規制を課したこともあり井戸の数を3割減らしました。
しかし、トランプ氏がその規制を緩和しようとしていることを受けて新たな井戸の採掘に乗り出そうとしています。
ここからは、アメリカの経済政策に詳しい、吉崎達彦さんにも加わっていただきます。
さてご覧いただきましたように、トランプさんの政策によって、雇用が確保できるんではないかという期待が高まっているというのは、分かるんですが、しかし吉崎さん、ツイッターを通じて、特定の企業の名前を挙げて、まるで圧力をかけるような発言、これってどうなんですか?
政治的パフォーマンスとしては、ありなんだと思いますね。
パフォーマンスとしては?
ですから、水戸黄門の世直しみたいな感じで、悪い企業がいると、工場を海外に移転しようとしている、そこへ大統領が行って、叱りつけると、まいりましたっていう。
でも、それで雇用が増えるかっていうと、悪いけど、1000人、2000人じゃだめで、アメリカ、3億2000万人の国で、働いている人も1億4000万ぐらいいて、その中で製造業が1200万人という国なんで、政策としてはそれは成り立たないですね。
あくまで、一部の雇用が確保できるということ、それが全体となると、未知数だと。
もう一つ気になるのは、企業はなぜ、名だたる企業が、ひれ伏すかのように、工場を戻す、投資しますって言ってしまっているのか。
やっぱり何をされるか分かんないっていう怖さがあるということと、あとやっぱり、もう大統領になるということがやっぱり重いんで、これ、来週以降も、本当に大統領になってくると、少し感じは変わってくるかもしれないですね。
とりあえず、では、そのパフォーマンスに対して、企業側もパフォーマンスで応えてる?
というところが、ちょっとあると思いますね。
横江さん、それからもう一つ、この政策の中で、注目こちら、大胆な減税をしながら、同時に、巨額のインフラ投資をすると言っているんですけれども、これ、常識的に考えて、減税してインフラ投資って、財源はどうするんですかっていう、これまたちょっと、矛盾するようにも見えるんですけれども、トランプさんは、どういう意図なんですか?
できないことをやるかもしれないというふうに思わせるのが、トランプ氏の真骨頂ということもありますが、同時に、これ、実際にできるかっていうことと同じように、減税というのは共和党の、今所属している共和党の考え方ですけど、インフラ投資、1兆ドルするというのは、共和党的な考え方ではないんですね。
そこにも矛盾があるんですよ。
でも後者が、トランプ氏のすごく、トランプ次期大統領のやりたいことなので、一応、上はね、共和党に気を遣っていると。
トランプ流のバランス感覚ともいえると思います。
矛盾というよりは、バランスを取って、やっているんだ。
でも、やっぱり矛盾はしてますよね?
ただね、彼はビジネスマンなんですよ。
政治家でもなく、官僚でもなく、ビジネスマンだということがあって、今までも、できないと言われていることを、実際にできたっていう例があるんですよ。
ニューヨーク市でそういう例がありましてね。
ですから、そういうのもあって、自分自身にね、俺はできるんだっていうふうに思い込ませてるみたいな、そこから突破口を探していくというのが、彼のやり方だというふうに、共和党の重鎮たちも理解しています。
常識的に考えて、誰もやってこなかった、やらないであろうことを、自分ならば不可能が可能にできるんじゃないかっていう、その経験に裏打ちされた発言なんですか。
ーそうなんです。
なるほど。
そして、トランプ氏の政策の中で、これ、経済的にマイナスになるのではないかと懸念されているのが、不法移民に対する厳しい姿勢なんですね。
これ、労働力不足を招くのではないかという懸念もあるんですが、どうなんでしょうか?
トランプ氏の移民政策に不安が広がっているのが建設業界です。
労働者の多くはメキシコなどからの移民。
中には不法移民も少なくないと見られています。
メキシコと国境を接するニューメキシコ州。
建設会社を経営するマイク・ロフティンさんです。
建設現場で働く人の9割が移民。
今や、彼らの力なしに住宅は建設できないといいます。
さらに不法移民を排除すればトランプ氏が掲げる巨額のインフラ投資の実現に支障を来すのではないかとロフティンさんは言います。
一方、高度な技術を持った人材確保への懸念も広がっています。
世界最先端のIT企業が集積するシリコンバレー。
海外から多くの外国人技術者を集めることで成長を続けています。
人工知能を開発している会社です。
インド人の社長カーティック・シュリッダーさん。
インドをはじめ海外から優秀な人材を採用したいと考えていますが不安を感じています。
選挙中にトランプ氏が一部の就労ビザを廃止すると発言したからです。
実際にそうなれば会社にとって成長の足かせになりかねません。
吉崎さん、自国の雇用のためにですよね、さまざまな内向きな政策を取っているわけなんですけれども、これで、じゃあ、アメリカ経済全体は、本当によい方向に上がっていくのかどうなのか。
トランプさんっていうのは、敵を作って戦って、勝った勝ったって言いたい人なんだけど、ただ、それが全体、局地戦に勝っても、全体でいいかどうかというのは、よく分かってなくて、今の例で言うと、シリコンバレーの人たちから見たら、世界中の優秀な人材を集めて、それですごい発明、発見をやりたい。
でも、そういうことっていうのは、トランプさんを支持してたような、弱い人たちから見ると、全然いいことはなくて、だから、トランプさんとしては、むしろブルーカラーの職をいっぱい作りたい、製造業のほうを守りたい。
だから、変な話なんですけど、オールドエコノミーを守って、ニューエコノミーと対抗してるっていう、そういうそういう不思議な図式が今、出来てるんですね。
でもシリコンバレーというのは、この近年のアメリカの成長を支えてきている産業ですよね。
それも敵に回す?
そう、ただ、少し深読みするとね、もうじき人工知能が、普通の人の雇用を奪う時代が来るかもしれない。
と言われますね。
そういうときに、トランプさんは実はね、人間の側に立ってくれる優しい人かもしれない。
最後のガードマンみたいな存在にも?
ただ経済政策として、それいいかっていうと、私は賛成しないですね。
なるほど。
いろいろ、本当に未知数なところもありますけれども、話はじゃあ、外交にいきましょう。
もう一つのテーマです。
トランプ氏はこれまで、外交面でも、たびたび強硬な発言をしてきました。
注目されるのが、ロシアと中国という2つの大国との関係です。
トランプ政権は今後、どう向き合おうとしているのでしょうか。
トランプ氏がオバマ政権の政策から大きな転換を図ろうとしているのが対ロシア政策です。
3年前のクリミア併合でアメリカはロシアに対して厳しい制裁を科してきました。
両国の関係は冷戦後最悪ともいわれています。
トランプ氏はプーチン大統領に対し、たびたび好意的なメッセージを発し関係改善に強い意欲を示しています。
トランプ氏の対ロシア政策。
その要となる国務長官に指名されたのが大手エネルギー企業エクソンモービルの前CEOレックス・ティラーソン氏です。
ロシアで長年、石油事業を手がけプーチン大統領から直接勲章を授与されました。
エクソンモービルの元幹部でティラーソン氏をよく知るエドワード・ベローナ氏です。
ティラーソン氏の交渉力にトランプ氏が目をつけたのではないかと語ります。
議会の公聴会でティラーソン氏は現在のロシアは脅威だとしながらも対話には前向きな姿勢を示しました。
一方、対中国政策。
トランプ氏はこれまでと一転厳しい姿勢で臨む構えを見せています。
1979年にアメリカが台湾との国交を断って以来双方の首脳による電話会談が明らかになったのは初めてです。
これに対して、中国は激しく反発。
しかしトランプ氏はこうした中国の反発も意に介しません。
ティラーソン氏も中国への厳しい姿勢を鮮明にしています。
強硬姿勢のねらいは何か。
トランプ政権移行チームを支えるヘリテージ財団のウォルター・ローマン氏は国益を意識したトランプ氏の交渉術だと説明します。
ロシアとは関係改善を進めることで、ISの壊滅を目指す。
しかし、一方で、クリミア併合を巡って、国際社会と協調して、ロシアに制裁を科していますよね。
トランプ氏は、自国のテロ対策のためであれば、この国際的な秩序を放棄してもいいと考えているのか?そして、中国に対してなんですけれども、中国に対しては、強硬姿勢。
これ、拡大する中国をけん制する意味は当然ありますけれども、でも、これは南シナ海での中国との緊張を招く可能性もあって、そうなると、日本にも影響が出るかもしれない。
横江さん、トランプ氏の真意は?どこに?
外交についても、アメリカファーストですので、まずはアメリカの国内雇用の敵である、中国と対じするんだっていうことが第一ですよね。
ですから、中国に揺さぶりをかけていく、けれども、絶対に中国とぶつかる気はないという。
それはやはりヘリテージ財団にいたのと、最近、中国の中の人とか、取材しましたけど、言い切れます。
事を構えるつもりはなくって、だけど、ぎりぎりまで。
国内雇用のためにいきますね。
そんな中で日本に対してなんですけれども、同盟国、日本。
公正な関係ではないといって、在日アメリカ軍に対して、もっと負担しろと言っていると。
トランプ氏、あす誕生しますけれども、日本はどう向き合えばいいのか。
ひと言ずつ、ちょっと短いですけど、横江さん。
外交に対しても、アメリカ第一ですからね。
アメリカ第一の中で、日米同盟というのは、どういうふうになっていくのか。
アメリカという国が、アメリカ第一と言うようになった意味はなんなのかを見ていかないといけないと思います。
もう、そういう国になったんだということを、覚悟する必要がある。
吉崎さんは?
あんまり慌てる必要はないと思うんですが、ただ、一方で、いろんな選択肢を、日本として増やしていったほうがいい。
(拍手)さあ始まりました!人生という名のコント番組2017/01/19(木) 22:00〜22:25
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代+「トランプ新大統領誕生〜“過激発言”の真意はどこに〜」[字]

就任が目前に迫ったトランプ新大統領。連日ツイッターでの“過激発言”に世界中が右往左往している。新政権に近い人物たちへの取材から、トランプ氏の真意を探っていく。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】政策アナリスト…横江公美,双日総研チーフエコノミスト…吉崎達彦,【キャスター】鎌倉千秋
出演者
【ゲスト】政策アナリスト…横江公美,双日総研チーフエコノミスト…吉崎達彦,【キャスター】鎌倉千秋