(橘志帆)ひかりちゃんの病気が判明しました。
ウィリス動脈輪閉塞症もやもや病だったんです。
(田丸綾香)脳外科手術でしたら専門は橘先生ですけど…。
私がやる。
(雪野)今までオペしてこなかったのは幻覚を見てしまうからですよね。
なぜ急にオペするだなんて。
ひかりちゃんとの間に一体何があったんですか?2年前爆破事件があったの覚えてる?あの場所に私と真央はいたの。
そしてひかりちゃんも。
(真央)私より先にあの子を診てあげて。
あの子ほっといたら死んじゃう。
助けてあげて。
真央がつないだひかりちゃんの命。
もしひかりちゃんを死なせてしまえば真央の死が無駄になってしまう。
橘先生まだ来てないのかも。
(雪野)おかしいわね。
(夏海)橘先生わかりますか?血圧150脈拍90サチュレーション99です。
緊急採血。
ブドウ糖とサイアミン打って。
はい。
血算生化お願いします。
(渡辺)はい。
(岩倉葉子)状況は?意識消失です。
原因はわかりません。
レベル100瞳孔不同はありません。
CTを取りましょう。
(夏海)はい。
ひかりちゃんのほうは?新田先生が橘先生の代わりに執刀しています。
あちらはあちらで時間的に猶予がないので。
そうよね。
とにかく橘先生をCT室へ。
(夏海・綾香)はい!
(渡辺)ストレッチャー入ります。
(雪野)やっかいね。
・脳表血管が極端に細いですね。
コンマ3mmレベルです。
(雪野)血管造影で見える太さの血管じゃなかったとはいえここまで細いなんて。
この細さでは血管壁も恐らくかなりぜい弱です。
下手に触れれば破れます。
(雪野)直接バイパスは無理ね。
どうしますか?
(雪野)しかたない。
間接バイパスでできるとこまでやる。
・わかりました。
(雪野)メッツェン。
・はい。
ピッピッピッ…
(心電図の音)はぁ〜。
(雪野)藤原ひかりちゃんのもやもや病の直接バイパス術ですが開頭して術野を確認したところ脳表血管が極端に細くぜい弱で触れることもできませんでした。
応急処置として間接バイパス術を施しましたが急場しのぎに過ぎません。
他の病院に移すことも考えないといけないわね。
受け入れてくれるところがあるかどうかだけど。
私には無理でしたが橘先生なら。
橘先生ですか。
でもオペできるような状態じゃないわ。
橘先生の頭部画像です。
脳動脈瘤を抱えています。
(夏海)脳内の動脈の一部がこぶのように膨らんで血管壁が弱くなる病気。
(結衣)脳幹に沿って流れる脳底動脈の先端バジラートップに15mmの脳動脈瘤がありますね。
(藍)かなりの大きさね。
しかもこんな場所に動脈瘤が出来るなんて。
昨日今日出来たものじゃないわね。
橘先生は気付いていたんでしょうか。
(夏海)知ってたら処置してるはずでしょ。
今まで症状が出なかったってことですか?
(結衣)じゃあこの脳動脈瘤は一体いつから?・
(北畠)恐らく2年前。
北畠院長。
(北畠)そのときに受けた外傷が原因でしょう。
外傷性脳動脈瘤ですか?こんな頭の奥の血管に。
知ってたの?橘先生が脳動脈瘤を抱えていること。
いえ知りませんでした。
しかしそれを負ったであろう事件については。
事件って?三ツ井運動広場爆弾爆破事件。
(藍)多くの死傷者を出しましたよね。
テロをまねた犯行だって話題になった。
まさか。
橘先生はその場にいたんです。
(北畠)あの事件が橘先生から真央ちゃんを奪いその後の彼女の人生を大きく変えてしまったんです。
(北畠)爆破事件があったあの日真央ちゃんの10歳の誕生日でした。
(回想)おめでとう#1#0:Pね。
ありがと。
どういたしまして。
う!Aんかわいい!*ふふっ良かったね。
真央〜!真央!やだ!やだ!嫌!や〜だ〜!真央を助けて!真央〜!
(北畠)母一人子一人だったから橘先生は真央ちゃんにできるかぎりの愛情を傾けて育ててきた。
だから真央ちゃんのいない現実に耐えきれず彼女は勤めていた病院も辞めて家に引きこもってしまった。
外とのつながりを一切絶ってしまった。
たまに会ったときもまるで抜け殻のようだった。
真央ちゃんの死は自分のせいだと自分自身を責め続けていたんだ。
そんな時間が半年ほど続いてあるとき突然電話がかかってきた。
また医師として働きたいと。
橘先生に一体何が起こったのかはわからないが事件前の姿に戻ってた。
私は橘先生を白州会西東京総合病院に紹介した。
周りの影響を考え事件のことは伏せた。
半年間海外の病院に研修に行っていたということにした。
だから西東京総合病院の誰も知らなかった。
橘先生の過去も海外のどの病院に行っていたのかも。
でもどうやってそこまで回復したの?それはわからないんです。
橘先生がどうやって気力を取り戻したのかは謎のままです。
幻覚です。
橘先生は真央ちゃんの幻覚を見るようになったんです。
幻覚だということを本人もはっきり認識しています。
自分には必要だからって。
(結衣)真央ちゃんの幻覚と暮らしてるってこと?娘の幻覚を見たことで精神的に回復したのね。
だから医師として復帰もできた。
だったら解析診断部に来たときなぜオペしないのが条件だと言っていたのでしょうか。
その幻覚に真央ちゃん以外の何かを見始めたんじゃないかしら。
真央ちゃん以外の何か?真央ちゃんの幻覚だけならうまくやってたわけでしょ。
うまくいかなくなったっていうことはそれ以外に原因があるんじゃないかしら。
(北畠)それで医療行為に差し障りが出た。
医師を辞めるつもりだったのが私に引き止められた。
そんな不安を抱えながらひかりちゃんのオペを?それまでは自分からオペを避けてきたのに。
それは2年前の爆破事件のときひかりちゃんもその場にいたからです。
ひかりちゃんがですか?
(雪野)爆発後負傷した真央ちゃんを橘先生が診ようとしたときに自分の治療よりも近くに倒れていたひかりちゃんを優先するように真央ちゃんが頼んだらしいんです。
まさかそのせいで真央ちゃんは。
だから橘先生は…。
やらなきゃ真実が見極められないじゃない!私が絶対にひかりちゃんを助けないといけないの。
真央のためにも。
(雪野)ひかりちゃんの治療に必死になっていた。
再びメスを持とうと決意したのはそのせいか。
橘先生は良くも悪くも幻覚に支配されてるのね。
その幻覚をもたらしているのが恐らくこの脳動脈瘤です。
これが。
(雪野)ここ中脳大脳脚を圧迫している。
脳脚幻覚症。
幻覚を本人が自覚してる病気。
橘先生は優秀な脳神経外科医です。
幻覚を見始めたときにはもう脳動脈瘤に気付いていたはず。
でも真央ちゃんの幻覚を見続けるためにあえて治療をしなかった。
いつ悪化して破裂するかもしれない死ぬ危険性が高いこともわかっていて。
死ぬ覚悟をしていたってことですか。
(藍)それだけ娘さんを愛していたのね。
もしひかりちゃんのオペを橘先生が執刀するなら脳動脈瘤は摘出しなければならない。
オペ中に幻覚を見る可能性がありますから。
でも摘出すれば真央ちゃんの幻覚ともう会えなくなります。
そんな!どうすればいいんですか?橘先生が決めるしかない。
二者択一。
今ある状況を全て橘先生本人に話すしかありませんね。
ひかりちゃんの容体橘先生本人の容体ひかりちゃんのオペは橘先生にしかできないこともそのためには脳動脈瘤を摘出する必要があることも。
何でついてくるのよ。
橘先生は私にとって師匠のような存在ですから。
あら私が師匠じゃないの?いや岩倉先生を尊敬してるのは当たり前ですから。
どっちが正解とも言えないですね。
橘先生か岩倉先生かですか?違うわよ。
橘先生の選択。
そうね。
正解なんてないのかも。
橘先生何やってんですか?あっ!おはようございます岩倉先生。
田丸先生も新田先生も。
寝てなきゃだめじゃないですか。
だいぶ良くなったから仕事に戻ろうと思ってね。
ひかりちゃんは?私が橘先生の代わりに執刀しましたが脳表血管が細すぎて直接バイパス術はできませんでした。
できる範囲を間接バイパス術でカバーしています。
根本的な解決にはなってないわね。
はいやはり直接バイパス術が必要です。
わかったわやってみよう。
すぐオペの準備して。
だめよ。
オペは認めない。
岩倉先生。
橘先生あなたには脳動脈瘤があるのよ。
それが中脳大脳脚を圧迫して幻覚を見る原因になってる。
話したの?はい。
そのせいで今までオペを拒否してきたんじゃないの?確かにそうですがひかりちゃんのオペは私以外できません。
私がやるしかないんです。
あなたがオペ中に倒れたらひかりちゃんはどうなるの?真央ちゃん以外の幻覚も見ているんですよね?それは橘先生が望んでいないものまで見ているということです。
制御できないんですよ幻覚は。
ひかりちゃんのオペを執刀するなら脳動脈瘤摘出が必要よ。
(雪野)脳動脈瘤を摘出すれば幻覚の原因になっている脳脚幻覚症はなくなります。
幻覚を抱えたまま執刀させるわけにはいかない。
真央ちゃんの幻覚を捨ててひかりちゃんを助けるかひかりちゃんのオペを諦めて真央ちゃんの幻覚を取るか。
どちらかを選ばなければならないのよ。
田丸先生新田先生悪いけどひかりちゃんの様子を見てきてくれる?えっ?わかりました。
田丸先生。
あっはい。
ふふっ。
ここからは私個人として話すけどいいわね?私にも子供がいる。
だから子を亡くす親の気持ちを思うとはぁ〜胸が張り裂けそうになる。
あぁ…はぁ〜今あなたのそばに真央ちゃんがいて橘先生が幸せに暮らせているのなら…うんこのままでいいのかもしれない。
2度も子供を失うなんてそんな必要ない。
また別れの苦しみを味わうなんてつらすぎるもの。
佐々木事務長にはひかりちゃんの受け入れが可能な病院を当たってもらう。
だからあなたも後悔しないようによく考えて決めて。
新田先生はどう思いますか?橘先生はどっちを選ぶべきか。
田丸先生はどう思うの?目の前の患者を救うのが医師としての本分ですけどだからといって自分を犠牲にしろということではないと思います。
医師である前に1人の人間です。
譲れない思いや諦めきれない気持ちだってあります。
でも1人の人間だから前に進む必要もある。
過去にとらわれることなく未来に向けて。
(藤本)新田先生田丸先生!ひかりちゃんの容体急変です!
(夏海)手上げるね。
何が起こってるんですか?
(夏海)片まひを起こしてる。
意識は清明。
(雪野)また過換気を?
(結衣)…ではないみたい。
突然発症したって。
(渡辺)血圧162の87です。
(雪野)モニター付け替えてCT室に。
脳出血か確認するから。
はい。
ベッド動かします。
(渡辺)はい。
(夏海)ひかりちゃん検査するからね。
ひかりちゃんの片まひは脳虚血が原因でした。
血小板凝集抑制薬の点滴投与で症状は消失しています。
今回は一過性虚血発作で済んだけど脳梗塞への移行や脳出血を起こすのは時間の問題です。
かなり深刻ね。
(夏海)ひかりちゃんを受け入れてくれる病院は?難航してる。
(結衣)少なくともしばらくはうちで何とかしなければいけないってことですね。
一刻も早くオペしないと。
橘先生は?はぁ…まだ。
あんまり時間はありません。
わかってる。
とにかく今はひかりちゃんの状態をキープすることに専念しましょう。
(3人)はい。
(渡辺)はい橘先生取ってきました。
ありがとう。
ひかりちゃんの具合はどう?
(渡辺)一時容体が悪くなりましたが今は何とか落ち着いてるみたいです。
大丈夫です。
(藤本)でも早急にオペする必要があるって田丸先生たちが…。
(渡辺)おい!
(藤本)あっ…。
(渡辺)行くよ。
橘先生何かご用があればいつでもナースコールで呼んでください。
(藤本)あの…すいません。
(佐々木)藤原ひかりちゃんの受け入れ先ですが関西に1か所受け入れてもいいと言ってくれるところがありました。
関西…。
京都の洛北脳神経外科センターです。
センター長の桂木先生からじきじきに返信がありました。
そうですか。
わかりました。
もし移すのでしたら早急にその段取りを組みませんと。
明日中に橘先生が決断を出せない場合桂木先生に連絡しましょう。
はい。
・
(真央)だいぶ悩んでるね。
まあね。
来てくれると思った。
来てくれると思った。
自分で呼んだんでしょ。
そうだけど。
ほらね。
ふふっ…。
おいで。
真央はいっつも私のそばにいてくれるね。
娘だからね。
うん。
いただきます。
いただきま!Aす。
真央はいっつも私のそばにいて私を助けてくれた。
真央が亡くなって生きる気力をなくして落ち込んでいたときもあなたは私を助けてくれた。
事件のあと半年くらい過ぎたある日真央の部屋を見ていたら返却期日を過ぎたまま借りっ放しになっていた図書館の本を見つけたの。
あなたが生きた痕跡を見つけたみたいでとってもうれしかった。
久しぶりに外に出てみようと思った。
この本を返そうと思って。
真央を亡くしてから引きこもりになっていた私には久々の外出だった。
長い間すいませんでした。
はい少々お待ちください。
そんなときに…。
ううっ…ううっ!・だ…大丈夫ですか?ううっ…。
大丈夫ですか?・
(真央)あの?M6lしそうだね。
何かの病気かな。
真央?真央なの?どうしたの?本当に真央なの?
(真央)そうだよ。
もう何言ってるの?はぁ…。
苦しいよ放して。
真央。
ねえあの人を助けてあげて。
えっ!)苦しんでる人がいるんだよ。
助けてあげないと。
でも私はもう医者を辞めて…。
またやればいいよ。
人を助けることができるって特別なことなんだよ。
ねっ?たまたま心筋梗塞を起こした人と同じ場所に居合わせてあなたが姿を現した。
そして私に助けてあげてって言ったの。
あなたの言葉が私の背中を押した。
誰かを救うことで真央が喜んでくれるならもう1度医師に戻ろうと思った。
あの日初めて私の前にあなたが現れてから私はあなたのために今も医師を続けている。
そしてひかりちゃんが患者さんとしてやって来た。
2年前爆破事件の現場で真央が助けたひかりちゃん。
自分を犠牲にまでして助けた…。
(真央)私より先にあの子を診てあげて。
あの子ほっといたら死んじゃう。
助けてあげて。
大丈夫?すぐ戻ってくるからね。
あのときなぜ私は真央を先に診なかったんだろうってたまに思うの。
そしたらあなたはまだ…。
それはわかんないよ。
私もひかりちゃんも両方だめだったかもしれない。
でもひかりちゃんは助かってる。
それが現実でそれ以外は他にないし誰が悪いわけでもない。
真央…。
脳動脈瘤取って。
それでひかりちゃんの手術をして。
もう1度ひかりちゃんを救ってあげて。
ねっ?ひかりちゃん苦しんでる。
(真央)苦しんでるのはちゃんと生きてるからだよ。
ひかりちゃんは存在してる。
私とは違う。
(真央)私は幻覚。
私の言葉だって行動だって全部幻覚。
今こうやって話してることさえもね。
(真央)脳動脈瘤を取っても取らなくても最初っから私は存在してないんだよ。
わかってるでしょ?わかってるわよそんなことは。
(真央)目の前から消えることがそんなに怖いの?見えることがそんなに大事?私はいつもそばにいるんだよ。
これまでも。
そしてこれからもずっと。
でも…脳動脈瘤を取ったらもう…。
脳動脈瘤なんかに私はいないよ。
私がいるのはここ。
幻覚なんかじゃない本物の私がここにはずっといるんだよ。
はぁ…。
はぁ…。
苦しんでる人がいるんだよ。
助けてあげないと。
目の前にあるまだ確かな命を助けてあげて。
はぁ…。
真央…。
そうだね。
真央がいなくなることなんかないもんね。
真央はいつだって私の心の中にいるんだから。
うん。
はぁ…。
苦しんでいる人がいる。
助けてあげないとね。
うん。
はぁ〜。
ううっ…。
脳動脈瘤を取るわ。
ひかりちゃんを助けよう。
うん。
はぁ…真央。
ありがとう。
ママ。
うん。
ママ大好きだよ。
ううっ…。
ううっ…。
ううっ…。
ううっ…。
ううっ…。
ママも真央が大好きよ。
ううっ…ううっ…。
ううっ…。
ううっ…。
ひかりちゃんまた一時的な左の片まひを起こしました。
5分ほどで戻りましたが。
(藍)血小板凝集抑制薬を投与しましたが脳虚血発作を繰り返しています。
もう限界ですね。
(佐々木)京都への搬送準備をしましょう。
新田先生ご両親に病状の説明をお願いします。
いいんですか?岩倉先生。
・
(足音)あっ橘先生。
橘先生…。
脳動脈瘤の摘出をお願いします。
あなたの出した答えがそれ?はい。
後悔しないのね?はい。
新田先生。
はい。
執刀をお願いします。
はい。
ひかりちゃんは必ず私が助けます。
桂木先生に連絡してください。
うちの病院でオペすることにしたと。
(佐々木)はい。
いい?みんな。
橘先生が脳動脈瘤摘出後執刀できるようになるまで絶対にひかりちゃんの命を守るのよ。
(綾香・藍・結衣・夏海)はい。
変わりないわね。
はい。
時間3にしましょう。
はい。
(夏海)ひかりちゃん明るくなるね。
・
(高杉)橘先生の執刀するんだって。
(雪野)相変わらず情報が早いわね。
(高杉)看護師の子たちが教えてくれるんだ。
ふっあのさわざわざそんなこと言いにきたの?
(高杉)いやそういうわけじゃ。
大丈夫。
必ず成功する。
わかってる。
雪野ならできる。
うん。
(高杉)それだけ言いにきたんだ。
じゃあな。
高杉先生。
ありがとう。
橘先生の決断何て言ったらいいか解析診断部の仲間として誇りに思います。
仲間って!何よ。
(藍)橘先生は医者のかがみです。
これ心を込めて編んできました。
使ってください。
おぉありがとう。
(夏海)そんなのいらないわよ。
15mmの動脈瘤なのにてい毛なんてしなくて大丈夫なの。
(藍)えっ?そうなんですか?使う使う。
橘先生今度合コンセッティングしますんで好みのタイプ教えてくださいね。
もうわかったから。
ほんと面白いねあなたたち。
(藍)ふふふっ。
・お願いします。
はい。
そろそろね。
新田先生よろしくね。
橘先生。
ん?私がまだ研修医だった頃1度橘先生のオペを見たことがあります。
私の?はい。
スピードも正確性もそれまで見たことのないレベルでした。
ふっ。
その日から私は橘先生のオペを目標にやってきました。
だからうちの病院に橘先生が来たときは驚きました。
がっかりさせちゃったわねオペしないなんて言って。
いえオペより大切なものを教わりました。
気ぃ使っちゃって〜。
橘先生がもう1度メスを握れるように私は最高のオペをします。
うん。
橘先生。
うん?いやちょっと何で泣いてんの?これからオペなんだけど。
あはははっ。
真央ちゃんもきっと橘先生の決断を応援してますよね。
うん。
これからは私のことを娘だと思ってください。
いや思わないから。
はははっ。
ありがとう田丸先生。
解析診断部みんなの愛を感じるわ。
この病院に来て良かった。
では始めます。
今から開頭しバジラートップにある脳動脈瘤を摘出します。
脳のむくみを減らすためにステロイドの内服を併用します。
はい。
はい。
・麻酔導入開始します。
麻酔OKです。
(雪野)挿管してください。
はい。
橘先生。
はぁ〜良かった〜。
うん。
手術は成功です。
脳動脈瘤は摘出できました。
ひかりちゃんは?橘先生の回復を待つために抗凝固製剤を追加してる。
状態も安定してる。
(夏海)万全の体制を取ってます。
頭は痛みますか?少し。
でも大丈夫。
今は回復に努めて。
はい。
(宮部)田丸先生。
あっ宮部さん。
その後橘先生いかがですか?オペしてもうすぐ1週間ですよね。
処置したところも異常なさそうだし後遺症も出てないみたいですしひとまず一安心です。
そうですか良かった。
お祝いしないといけませんね。
どうですか?ランチ一緒に。
すいませんまだ仕事があるんで。
まあそう言わずにいいじゃないですか。
あっじゃあディナーは?おいしいジンギスカンのねお店見つけたんですよいかがですか?
(雪野)問題なさそうですね。
ええ。
じゃあ。
明日ひかりちゃんのオペをしましょう。
はい。
(ひかり)橘先生。
ひかりちゃん明日のオペ私が執刀するからね。
うん。
頑張ろうね。
ねえひかりちゃん。
ひかりちゃんの背中の傷って2年前の爆破事件で負ったものよね。
何で知ってるんですか?私もその場にいたの。
橘先生も?娘と一緒にね。
娘さんと。
うん。
(真央)私より先にあの子を診てあげて。
あの子ほっといたら死んじゃう。
助けてあげて。
大丈夫?救急車まで連れてくから。
(ひかり)あのとき私を診てくれたのは橘先生?そうよ。
何かそんな気がしてた。
えぇ〜?ははっ…。
あそこにいたのが橘先生の娘さん?そう真央っていうの。
真央ちゃん。
ひかりちゃんと同い年なんだよ。
真央ちゃんは元気ですか?元気だよ。
だからひかりちゃんも元気になんないとね。
うん。
私が絶対に治してあげるから。
うん。
頑張る約束。
ふふっ。
・うそついたら針千本
(2人)・のます
(雪野)バイポーラ。
はい。
お待たせ。
(雪野)スタンバイできてます。
新田先生田丸先生よろしくね。
(雪野)はい。
よろしくお願いします。
みんなもよろしく。
よろしくお願いします。
・お願いします。
じゃあ始めましょうか。
メス。
はい。
サクション。
(雪野)はい。
ガーゼ。
・はい。
ピッピッピッ…・
(足音)コンコン!ひかりちゃん。
手術は成功よ。
ふふっすぐ良くなるわ。
橘先生。
うん?私手術されてる間夢を見ていたの。
へぇ〜どんな夢?2年前の爆破事件のこと。
私がけがをして意識もうろうとしているときに真央ちゃんがずっと励ましてくれていたの。
(真央)しっかりして。
私のママがきっと助けてくれるから。
ママはお医者さんでどんな病気でもけがでも治してくれるから。
ママが言ってた。
苦しんでる人を助けるのが私の役目だって。
はぁはぁはぁ…。
絶対助けてくれるから。
絶対助けてくれるからって。
真央そんなこと言ってたの。
うん。
(真央)幻覚なんかじゃない本物の私がここにはずっといるんだよ。
苦しんでる人がいるんだよ。
助けてあげないと。
あの子はいっつも誰かを励ましてる。
(ひかり)えっ?ううん何でもない。
ふふっ。
ふふっ。
よく頑張ったね。
(ひかり)ははっ。
はははっ。
あっどうも。
ふふっどうも。
藤原ひかりちゃん無事に退院したんですって。
ええ。
将来の世界的なピアニストを救ったんですね。
ふふっそうね。
たまにはボーナスぐらい払いなさいよ。
あぁ〜すいませんこの病院赤字経営なんで。
院長が悪いのよ。
んんっ。
でどうですか?解析診断部は。
やっぱりこの病院には必要ないですかね?そうね原因不明の患者さんをチームで診るのよ。
1日で診療できる患者さんの数は限られてる。
もう最悪の赤字部門よ。
う〜ん…。
でもいいんじゃないうちの看板部門と考えれば。
テレビにCM出してるぐらいに思っとけば。
さすが岩倉先生考えが柔軟ですね。
当たり前よ。
(北畠)ふふふっ。
実は私院長を辞めようかと思っておりまして。
辞める?はい。
解析診断部も軌道に乗りました。
なので赤字経営の責任を取って新しい形で新しい院長に引き継ぎをしたいんです。
岩倉先生お願いできませんか?実はもう理事会での承認は得てるんです。
お断り。
はい?続けなさいよあなたが。
私は解析診断部の部長として注目を集めたいの。
あなたの尻拭いなんてごめんです。
ははははっ。
今度密着取材が入るのよこの私に。
そうですか。
てっきり引き受けてくださるかと思ってましたが。
嫌よ。
ふふっ。
岩倉先生ワインはお好きですか?良かったらこのあとに。
そんな暇ないの。
えぇ〜?・「ミラクル」患者は57歳女性。
3日前からの激しいおう吐と腹部の発疹で紹介されました。
(夏海)おう吐と腹部の発疹ね。
(雪野)消化管拡張がひどいですね。
消化管拡張の原因はどこにも映ってないわねどういうこと?う〜ん…。
(真央)中じゃなきゃ外じゃない?な…何よ急に?いえ。
腹部の発疹は片側だけじゃない?はい左側だけです。
わかりました。
この消化管拡張は内臓に原因があるんじゃありません。
帯状疱疹ウイルスによるオギルヴィー症候群です。
(藍)消化管にいく神経のまひ。
発疹が片側だけにしか出ていない。
それが証拠。
なるほど。
田丸先生。
はい。
お願いがあるんだけど。
必ず私が助けます。
(ナレーション)
詳しくは番組ホームページで。
2016/12/13(火) 21:00〜21:54
関西テレビ1
[終]レディ・ダ・ヴィンチの診断 #10[字][デ]【天才外科医ついに復活】
「天才外科医ついに復活!」
吉田羊 相武紗季 吉岡里帆 高橋克典 伊藤蘭
詳細情報
番組内容
藤原ひかり(根岸姫奈)は、2年前に亡くなった娘の真央(藤澤遥)が、自らの命に代えて助けた患者——それに気付いた志帆(吉田羊)はひかりのオペの執刀を申し出るが、手術当日、突然頭痛に襲われ倒れてしまう。志帆に代わり、モヤモヤ病の手術を執刀したのは雪野(相武紗季)。しかし、実際には手の施しようがなく、助けるには手術可能な病院に転院するか、脳神経外科医として腕の立つ志帆が執刀するしかない。
番組内容2
一方、志帆が脳動脈瘤を抱えていることが分かり、ついに北畠(高橋克典)は2年前に志帆の身に起きた出来事を解析診断部のメンバーに打ち明ける。雪野もまた、志帆が幻覚を見ていることを明かす。たとえ幻覚でも愛する娘との生活を続けるため、脳動脈瘤に気付きながら放置していた志帆。一同は、そんな志帆の思いに胸を痛めるが、それでも葉子(伊藤蘭)は「オペを執刀するなら脳動脈瘤の摘出が必要」と断言。
番組内容3
それは、もう真央の幻覚を見られなくなることを意味する。ひかりの命を救うか、真央の幻覚を取るか—。葉子からその選択を一任された志帆は、この2年間の奇跡のような日々を真央と語り合い、やがて一つの答えを導き出して……。
出演者
吉田羊
相武紗季
吉岡里帆
白鳥久美子(たんぽぽ)
滝沢沙織
庄野崎謙
小林且弥
池岡亮介
五十嵐健人
笛木優子
戸次重幸
・
高橋克典
伊藤蘭
スタッフ
【脚本】
田中眞一(『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』、「チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸」「GTO」他)
【演出】
星野和成(「チーム・バチスタ」シリーズ、映画「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」他)
【プロデューサー】
安藤和久(カンテレ)
豊福陽子(カンテレ)
遠田孝一(メディアミックス・ジャパン)
布施等(メディアミックス・ジャパン)
スタッフ2
【制作】
カンテレ
メディアミックス・ジャパン