(蘭子)葬儀は中止です。
(治子)ちょっと。
危ないじゃないですか。
嘘泣きも中止で結構です。
(青山)すいません!警察です。
(青山)庵堂さん何やってるんですか。
(武藤)警察?狸穴勝利さんの死に不審な点がありますので調べさせていただきます。
(治子)はあ?狸穴勝利って先日亡くなった元大臣の?
(米村)はい。
私は父の代からかかりつけ医をしておりまして。
おととい狸穴議員が亡くなられたときもお宅に?奥さんから連絡があってすぐに伺ったんですが…。
(米村)《ご臨終です》《詳しく調べ…》《結構です》
《えっでも死因を調べないと》
(治子)《主人は心不全で亡くなりました》《死亡診断書にはそう書いてくだされば結構》
(米村)もしかしたら何か隠してるんじゃないかと。
庵堂さん?どうしましょう。
(浦部)におうな。
これは殺しですよ。
ねえ係長。
(半田)まあな。
(小宮山)でも相手が国会議員じゃ。
ねえ係長。
だよな。
(三宅)今ちょうど葬式の最中ですね。
密葬らしいですけど。
庵堂は?あっ!もしかして…。
(半田)確保だ!早く!
(浦部・小宮山)行け!はい!何なんですか。
狸穴勝利さんが殺されたとすればあなた方も容疑者です。
(治子)主人は病気で死んだんです。
(寿也)そうですよ。
何を言うんですか。
誰かが嘘をついています。
はあ?あの病気だって言うなら詳しく調べ…。
狸穴がどれだけ国民のために…。
ちょっちょっちょっ。
庵堂さん?えっ?この人とその棺帝都大学までお願いします。
(運転手)はあ?
(治子)あら。
ちょっと!冗談じゃありませんよ!あの人は勝手過ぎるんです。
今日は自由について考えるって話でしたよね。
教えてください。
あの自由過ぎる庵堂さんを理解するためにも。
(大文字)ではあなたにとって自由とは何ですか?ああそうですね…。
永遠の片思いとでも言いましょうか。
片思い?憧れだけど手には入りません。
どうしてですか?しがらみってやつがあるじゃないですか。
どこで何をしていても人間関係はついて回るし。
(大文字)なぜ人間関係が自由を奪うんでしょうね。
だって何でもかんでも自分の好きなようにやってたら嫌われちゃいますよあの人みたいに。
彼女はそれでいいと考えています。
えっ?自由とは他者から嫌われることです。
嫌われてまで自由を求めろってことですか?嫌われることを恐れるなということです。
いやそれは無理ですよ。
確かに嫌われることは苦しい。
しかし全ての人から嫌われないような生き方は不自由極まりないし同時に不可能なことなんです。
人は誰だって嫌われずむしろ認めてもらいたいって思う生き物なんじゃないですか?承認欲求ってやつです。
アドラーは他者から承認を求めることを否定しています。
他者から承認されることなど必要ないと。
いやそれはあり得ません。
誰だって既読スルーされたら不安になるし「いいね」押してもらえなかったらむなしいじゃないですか。
ではあなたは被害者に感謝されないんなら犯人を捕まえる必要はないと?それは…。
仕事だから捕まえますけど感謝されたいとは正直思っちゃいます。
承認欲求の危うさはそこです。
どういうことですか?
(大文字)われわれは他者の期待を満たすために生きているのではありません。
(土方)お取り込み中すみません。
大文字先生。
卒論のコピペ対策思い付きました。
(土方)卒論自体をやめてしまうんです。
今日はここまでにしましょう。
ありがとうございました。
(大文字)続きはまた。
(土方)大文字先生。
(めい子)直接の死因は虚血性心不全。
(めい子)この人確か心筋梗塞の既往があったでしょ。
はい。
1カ月ほど前に倒れて療養してました。
運悪く再発したのね。
じゃあ事件性はないってことですか?
(めい子)気になることが1つ。
右側頭部。
この辺りに内出血がある。
死亡前24時間以内にできたものね。
誰かに殴られたってことですか?内出血がどういう状況で生じたのか。
心筋梗塞と因果関係があるかどうか調べるのはあなたたちの仕事。
庵堂蘭子にそう伝えて。
はい。
(めい子)それとこれ。
鑑識に調べてもらって。
髪の毛に付いてた。
ガラスですかね?
(浦部)じゃあガラス製の凶器で殴殺したんだな。
あっいやあくまで直接の死因は心不全だって。
(浦部)殴られたショックで心臓が止まったんだ。
(小宮山)係長。
例の医者に死体発見時の様子を聞いたんですが。
うつぶせで右手はこう伸びていたそうなんです。
心筋梗塞を起こしたときにもし1人だったとしたらドアの方に行こうとするかデスクのこの電話に手を伸ばしますよね。
これは人がいたという証拠ではないでしょうか。
助けを求めて手を。
自分のこと殴った相手に助け求めますかね。
(浦部)だから犯人は家族なんだよ。
係長。
どうします?捜査する…しかないよね。
はい。
(小宮山)令状です。
お宅の中を調べさせていただきます。
(武藤)こんなことしてただじゃ済みませんよ。
(寿也)もう一回見せてもらっていいですか。
どうぞ。
(浦部)おい。
(浦部)おい。
お前…おい。
(寿也)ちょっ…。
武藤さん。
党本部にお電話して。
(武藤)はい。
(梶)大丈夫?
(由稀菜)何がですか?
(梶)んっ?この間見ちゃったんだよね。
男に振られて君が泣いてるところ。
(梶)いつも話聞いてもらっちゃってるからさ何かあったら相談に乗るぞ。
(由稀菜)あれ嘘泣きです。
(梶)えっ?
(由稀菜)別れたいときは相手に罪悪感持たせるんです。
(梶)罪悪感?
(由稀菜)その方が後々逆恨みされなくて済みますから。
(梶)へえ〜。
ハハハッ。
勉強になります。
(梶)あっおい触るなよ。
(梶)庵堂。
庵堂蘭子!だから触るなって。
(由稀菜)何だろうこれ。
ご主人の頭部に内出血がありました。
何か心当たりはありますか。
奥さん。
捜査にご協力いただくのは市民の義務ですよ。
(武藤)こちらです。
(治子)藤沢先生。
(藤沢)藤沢です。
確かに捜査に協力するのは市民の義務かもしれませんが何事もなかったとなれば厳重に抗議させていただきますから。
そのつもりで。
(半田)いや藤沢功って改進党のナンバー2じゃない。
まずいよこれ。
(小宮山)まずいですよね。
もしシロなら係長の責任問題に。
何でうれしそうなの?
(小宮山)そんなことないですよ。
満面の笑みだけど。
(小宮山)失敬。
何でこうなるかな。
取りあえず報告始めていいですか?よろしく青年。
1月28日19時50分。
米村医師により狸穴勝利さんの死亡が確認されました。
死亡推定時刻は妻の治子と家政婦の吉川有美が居間でコーヒーを飲む狸穴氏を見た17時そこから治子が死体を発見した19時半の間です。
治子は2階奥にある部屋で夫が倒れてるのを発見。
当時家にいた長男寿也と第1秘書の武藤秀一郎その場に駆け付けたところ狸穴氏はすでに死亡していました。
(寿也)《お父さん?お父さん!?》しかし…おい。
(浦部)現場と狸穴氏の頭髪から微少なかけらを発見。
おい。
鑑識の結果どちらも同じ材質のガラスでした。
ガラスっていうかケイ酸ナトリウムだって梶さんが。
だからそれが要するにガラスなんだろ。
現場にはガラスの灰皿があったんですけど割れやかけは見つかりませんでした。
凶器は処分したに決まってんだろ。
で家族のアリバイは?《私と母と武藤さんはずっと家にいました》《その間は誰も狸穴先生には会っていません》《吉川さんは6時半ぐらいに買い物に出掛けて帰ってきたのは米村先生が来た後だったわ》
(有美)《その後でお嬢さまがいらして》
(さゆり)《確か20時すぎだったと思いますけど》《兄から連絡をもらって駆け付けました》
(半田)んっ?ちょっと待った。
娘はあれか。
結婚して家を出てたのか?
(浦部)いえ独身ですが4年前から実家には帰ってないようです。
レディ・リリーってアーティスト知ってます?ニューヨークで結構人気なんですけどそれがさゆりさんなんですよ。
こっちでの個展のために帰ってきてたみたいですよ。
あ〜あの人な!うん。
知ってたし。
お父さんの訃報は事件の前日から泊まっていたホテルで聞いたそうです。
で殺しだとして動機のある人間は?これですよ。
ひとつき前狸穴勝利が心筋梗塞で倒れてから党本部は誰を後釜候補に擁立するか検討に入っていたようなんです。
本命は第2秘書を務める息子の狸穴寿也。
幼いころから帝王学を授けられたプリンス。
対抗馬は第1秘書の武藤秀一郎。
たたき上げで政治センスは狸穴勝利もうなったといわれる平成の豊臣秀吉。
ん〜プリンスか平成の秀吉か。
2人とも動機はありますよね。
(浦部)秘書は自分を後継に指名してほしいと狸穴勝利に訴えたが断られて犯行に及んだ。
逆も考えられますよね。
次は自分だと思っていた寿也が武藤に譲ると言われてかっとなって。
秘書か息子か…。
その線で探ります。
くれぐれも慎重にな。
・
(割れる音)庵堂さん?
(小宮山)何やってんだあいつ。
(浦部)ちゃんと片付けとけよ。
ありがとうございます。
すみません。
このアルバムお借りしてもよろしいですか?
(有美)私はちょっと。
(治子)なぜ勝手にお通ししたの?
(有美)すみません。
僕らが吉川さんに無理を言って。
(治子)あなたたちの首を飛ばすぐらい簡単なことなのよ。
いただきます。
ハァ…。
いったいどういうお育ちなのかしら。
きっとまともなしつけもされなかったのね。
こちらの湯飲みはどちらの作家の物ですか?息子が遊びで作ったものですよ。
なるほど。
寿也さんは今工房に?えっ。
そんなの知りません。
嘘ですね。
はあ?私は嘘が大嫌いです。
あっちょっ…。
すいません。
失礼します。
いいかげんになさいよ!僕たちホントに首になるんじゃ…。
心配ならついてこなくて結構です。
いやそういうことじゃなくて。
あ〜そうですそうです。
うん。
いった〜。
いったっ…。
寒っ。
焼きはやっときますね。
釉薬は何を使うんですか?重曹を使ったソーダ釉です。
昔は塩を使った塩釉っていうのがあったんですけど環境的な問題で廃れてしまって。
その後に考えだされたのがソーダ釉なんです。
ソーダ釉。
(寿也)はい。
こちらは幾らですか?
(寿也)気に入ってくださったならどうぞお持ちください。
お代は払います。
(寿也)素人ですので頂けません。
じゃあ僕もらっていいですか?
(寿也)はいどうぞどれでも。
え〜やった。
プロになろうと思ったことは?私は生まれたときから政治の道に進むことが決められていましたから。
狸穴勝利の息子に生まれたことが私の運命です。
こうやって器を作るのも今日が最後かもしれませんね。
楽しかった。
んっ?楽しかったですとても。
あっ庵堂さん。
すいませんこれもらってきます。
ありがとうございました。
庵堂さん。
(さゆり)すいません。
打ち合わせが長引いてしまって。
どうぞ。
大変ですねこんなときに。
いえ。
中止も検討したんですが大勢のファンの方が待ってくれてますんで。
さゆりさんはどうしてニューヨークへ?アートの本場でもありますし知ってる人のいない場所で勝負したかったんです。
へえ〜すごい。
勇気ありますね。
(さゆり)いえ。
それで父のことは?お兄さんとお父さんの関係ってどうでした?まさか兄が?あっいえいえ。
そういうわけじゃないんですけど。
私は家を出た人間なので。
ただ出たから分かるんですけどあの家はやっぱり特殊なんです。
(さゆり)生まれたときから狸穴家の人間として生きることが義務付けられていて。
おかえりなさい。
(さゆり)全てが狸穴家のためで。
全てに家が優先するんです。
(半田)秘書の方はどうだ?昨日これを神社の裏に隠してたんですよ。
全然減ってないですよね。
(小宮山)ああ。
でも封は開けた形跡があるな。
賞味期限は1カ月先だな。
何を考えてるか分かりませんね金持ちは。
おい!
(一同)おい!うんおいしいです。
で息子の方は?動機はあると思います。
本当は政治家になりたくないみたいで。
(小宮山)陶芸家になるのを反対されて…。
(浦部)かっとなって殺した。
(半田)決め付けるなよ。
秘書が地盤を継いで息子は陶芸家になればうまく収まったのにな。
(浦部)認めてやれば親父も殺されずに済んだろうに。
でも結局息子が担ぎ出されるんだろ?計算外だったんですよ。
親父がいなくなっても誰を候補に立てるかは党の幹部連中が決めることですから。
(由稀菜)蘭子さん。
これ一致しましたよ。
あれそれ僕がもらった…。
(由稀菜)表面の釉薬が現場と被害者の頭髪から採取したかけらの成分とまったく同じものでした。
それ陶器でしょ。
凶器はガラスだって。
陶器に釉薬をかけて焼くと表面がガラス質で覆われるそうです。
寿也さんが釉薬に使っていた重曹が熱によって化学変化した炭酸ナトリウム。
それと陶器の素地に含まれる二酸化ケイ素。
それらが化合すると…。
ケイ酸ナトリウムが生じます。
あっ!ケイ酸ナトリウム。
(梶)だからケイ酸ナトリウムだって言ったじゃんよ。
じゃあ凶器はそれだ!息子が陶器で親父を殴った。
(三宅)あの…。
吉川さん。
すみません私嘘をついていました。
(有美)あの日の午後6時すぎくらいに2階から言い争うような声が聞こえて。
それ誰の声でした?心配しないでホントのことを話してください。
あなたから聞いたとは決して誰にも言いません。
旦那さまと…。
・《僕は陶芸家として生きていきたいんです》《お願いします!お父さん。
お願いします!》寿也さんです。
やっぱり。
でも寿也さんはホントにいい方なんです。
きっと何か事情が…。
分かりますよ。
大丈夫。
係長。
(半田)うん。
もう一つお聞きしたいことがあります。
あんたがやったんだろ。
親父と言い争ってる声を聞いた人がいるんだよ。
政治家になりたくなくて陶器で親父を殴ったんだろ!正直に話してもらえませんかね。
話してもらえないとこちらも困るんですよ。
勝手に持ってきてヤバいですよ。
何だ?どうした。
あっいや何でもありません。
あの。
(半田)はい?秘書の武藤秀一郎って狸穴勝利の愛人の子でした。
えっ!?何で分かったんですか?ちょっと週刊誌につてがあって。
いや〜さすが過ぎるよ三宅君。
ホントありがとう。
母親と息子は最近までそのことは知らなかったそうです。
知ったのは狸穴勝利が死んだ日の朝だとか。
ちょっと待った。
ということは母親は夫に愛人がいたことをその日に知ったってことか。
それって動機になりませんか?武藤さんは家族同然だって言ってましたけど治子さんからしてみれば夫の隠し子と家族同然に。
母親にも事情を聞く必要がありますね。
そうだね。
・・はい半田。
はい。
はい。
えっ?どうして黙ってんだよ。
(小宮山)あのね黙ってても誰も助けてくれませんよ。
・
(ノック)
(小宮山)はい。
帰ってもらえ。
捜査はおしまい。
(小宮山・浦部)えっ!?君が係長の半田君か。
(半田)はい。
首を洗って待っていたまえ。
くそ!あと少しで落ちたのに。
(小宮山)係長。
大丈夫ですか。
駄目かもしれない。
(大文字)思い出す?はい。
寿也さんを見てると何だか自分の兄のことを。
(大文字)お兄さんがいるんですか。
文武両道両親の言うことはちゃんと聞く。
真面目を絵に描いたような人で。
それに引き換え僕は…。
僕は何でしょうか。
劣等感にまみれて生きてきました。
何をやっても兄には勝てないし両親は僕を認めようとしないし。
「認めてもらいたい」承認欲求ですね。
あれから考えました。
確かに感謝されるために何かをするのは違いますけど認めてほしいって思うのはいいんじゃないでしょうか。
いいえ。
それは他者の期待をなぞって生きることでありひいては他者の人生を生きることになります。
では寿也さんは政治家にという親の期待を無視すればよかったってことですか?そのとおりです。
自分のことだけを考えて生きればいいんです。
自己中に生きろっていうんですか?いいえ。
自分が自分のために自分の人生を生きていないのであればいったい誰が自分のために生きてくれるのだろうか。
これはユダヤ教の教えにある言葉でありアドラーの考えとも通じるところです。
それはそのとおりだとは思いますが…。
承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり自分の生き方を貫くことはできない。
つまり…。
自由にはなれない。
嫌われることを恐れずに自由に生きる。
それってまさに庵堂さんの生き方そのものですね。
(道子)蘭子さん。
急いでください。
ありがとうございます。
早く。
早く早く。
(道子)ほら。
あっすごい。
すいません。
すいません。
あれ?相馬先生。
何してるの?
(道子)何って…。
日本でレディ・リリーのパフォーマンスが見れるなんてレアじゃないですか。
あなたは彼女のアートに詳しいんですか?まあ一応デビューのころからチェックしてるけど。
(道子)斬新過ぎてしばらくは売れずに苦労したって聞きました。
(めい子)そう。
でもあるとき「ALONE」っていう作品が誰かの目に留まって10万ドルの値で買われてそこから彼女のキャリアは始まったのよ。
ほ〜「ALONE」ですか。
(めい子)一見ただのオブジェなんだけど見る角度を変えて初めてテーマが浮かび上がる。
今では幻の作品と呼ばれてるの。
(道子)ふ〜ん。
詳しいですね。
天才は天才に引かれるものよ。
(道子)へえ〜。
(さゆり)この作品を父に捧げます。
(道子)ブラボー!すいません警察ですけど。
はい。
最近狸穴家の人でこれを買いに来た人いますか?あっそれでしたら…。
ホントにこれでいいんですか?遺族がいいって言ってんだからしょうがねえだろ。
娘は夕方の便でニューヨークに戻るみたいです。
(英語)あいつどこに電話してんですかね。
(小宮山)嫌な予感がする。
(浦部)英語ですか?
(小宮山)英語だろ。
いいんすか?あいつらほっといて。
いいわけないだろ。
1本下さいよ。
(半田)やめたんじゃないのか?係長。
(半田)んっ?
(小宮山)俺たち組織の人間ですよね?
(半田)そう。
だから上からの命令は絶対です。
(小宮山)ですよね。
飛ばされたくないですもんね。
(半田)ないよな。
(小宮山)何なんすかねあいつ。
(半田)自由でいいよな。
(小宮山)そこがムカつくんですけどね。
自分の力でどこまでできるか試したかったんです。
日本にいるとどうしても周りに甘えちゃうんで。
そうですね…でもきっかけはきっかけなんで。
ただそれだけだと思ってます。
(武藤)《こんなことしてただじゃ済みませんよ》
(治子)《武藤さん。
党本部にお電話して》
(さゆり)《あの家は特殊なんです》
(治子)《息子が遊びで作ったものですよ》《そんなの知りません》
(寿也)《生まれたときから政治の道に進むことが決められていましたから》
(さゆり)《この作品を父に捧げます》
(寿也)《狸穴勝利の息子に生まれたことが私の運命です》
(さゆり)《全てが狸穴家のためで全てに家が優先するんです》見つけた。
(三宅)車だと渋滞にはまります。
地下鉄乗り継いでも間に合いませんよ。
分かりました。
そのネクタイ…。
そっか。
そういうこと。
うん。
(武藤)寿也君が次の補選に立つことになりました。
そうなんだ。
頑張ってね。
ストップ!危ない危ない!何何?8係の庵堂蘭子です。
お借りします。
何何何…。
ちょっと!ちょっと!ねえ!ちょっと!三宅さんどうしました?
(武藤)もう帰られるんですか?
(さゆり)仕事があるんで。
(治子)次はいつ帰ってくるやら。
(寿也)まあまあ。
さゆりは自由なんだよ。
お兄ちゃんとお母さんのことお願いしますね。
はい。
これでよかったんです。
これで。
タクシー1台お願いしたいんですけど。
はい。
住所は港区…。
(さゆり)いってきます。
(治子)気を付けて。
庵堂さん…。
またあなた?嘘をついている人を見つけました。
はあ?嘘つきは1人ではなかったんです。
もう時間ないんですけど。
まずはっきりさせておきたいことがあります。
寿也さんの陶器が凶器なのかどうか。
寿也さん。
あなたは事件の日の夜陶芸家になりたいと言いだしてお父さんとここで口論になったんですよね?《僕は陶芸家として生きていきたいんです》《お願いします認めてください!》
(勝利)《選挙に勝つための地盤看板かばん》《お前には全てあるんだぞ》《それを全部捨てる気か!》《すみません》そのときはまだ勝利さんに異常はなかった。
そうですよね?だから主人が亡くなったのは病気のせいだって言ったじゃありませんか。
そのとおりです。
ですが間違ってもいます。
寿也さんの後にこの部屋に入った人物がいます。
手付かずで隠されたこのクッキーの箱が証明してくれました。
《狸穴先生がわざわざご自分で買いに来られたんです》《久しぶりにさゆりさんが来るから好物のうちのクッキーを好きなだけ食べさせてやるんだってお忍びで》さゆりさん。
あなたはここにいたんですね。
皆さんに内緒で勝利さんに会いに来たのはいったい何のためだったのか。
これのホントの見方はこうですよね?これがあなたの幻の作品「ALONE」だったんですね。
えっニューヨークで買われたはずの作品がどうしてここにあるんですか?《さゆりさんは渡米前どんな方でしたか?》《昔から何でもできる方だったと聞いています》《近所でも狸穴さんちのお嬢さんって慕われていて》狸穴さんちのお嬢さん。
日本にいる間ずっとそう呼ばれ続けてきたんでしょ?一人の人間として認められたくて日本から逃げ狸穴の名を捨てた。
「ALONE」家族との決別の意味を込めた作品が売れてようやく狸穴家の呪縛から逃れられ喜んだ。
しかしギャラリーのオーナーが亡くなり秘密にされていた「ALONE」の購入者が明らかになったときその意味は全て変わってしまった。
3年前に大金を出して買ったのは親バカなお父さんだったんですね。
そう聞かされてもとても信じられなかった。
だから確かめに来た。
《おかえり》《どうして?》《気に入っているんだ》《向こうでもすごく人気があるんだってね》《さあほらお前の大好きなこのクッキーでお祝いしよう。
ほら》《何遠慮なんかするんじゃない》《お前はいつまでたっても私の娘なんだから》あの人はずっとそうだった。
(勝利)《はい…》
(勝利・さゆり)《チーズ》
(さゆり)あの手がずっと…。
ずっと邪魔だったの。
(さゆり)《もうやめてよ!》《私は狸穴さんのお嬢さんじゃないの!》《狸穴さゆりなの!》《うっ…》《お父さん?》《えっ…救急車救急車。
今呼ぶからちょっと待って》
(さゆり)私はあの人に守られたかったんじゃない。
一人の人間として認められたかっただけなの。
だから見殺しにした。
この子のしたことって罪になるの?救急車を呼んでいれば助かったものを家族が放置した場合保護責任者遺棄致死罪に問われます。
そんな。
だってこの子何もしてないじゃない。
もうやめてお母さん。
私はやっとこれで狸穴から解放されたの。
その考え明確に否定します。
言ったじゃないですか。
嘘つきは1人じゃないって。
何の話?治子さんはこれを見てあなたが来たのを悟った。
それを隠すために武藤さんが持ちだした。
何で?寿也さんもあなたがいたことに気付いていたからこそ容疑者として取り調べを受けても何も話そうとしなかったんです。
あなたと勝利さんの間に何があったかは分かっていたわけではないでしょう。
それなのに全員あなたの罪を隠そうと嘘をついた。
私はこの人たちに守られてたの?いいえ。
この方々は狸穴の家を守ろうとしただけです。
(大文字)《自分が自分のために自分の人生を生きていないのであればいったい誰が自分のために生きてくれるのだろうか》あなたは狸穴家のお嬢さんという立場から逃れたかったんですよね?でも逃れようと思うこと自体家にとらわれてる証拠じゃないですか?自由になりたければ他の人にどう思われるか気にするのやめちゃえばいいんですよ。
あっすいません。
人生の結末を引き受けるのは自分しかいません。
俺には…。
お前は自由に生きてるように見えてたんだけどな。
お兄ちゃんだってネクタイ全然似合ってないよ。
(半田)狸穴さゆり。
不起訴になったそうだ。
そうなんですか。
(半田)もしすぐに救急車を呼んでいても助かったとはかぎらないという判断だそうだ。
(浦部)結局改進党は元アナウンサーを擁立したみたいですね。
(小宮山)狸穴家は蚊帳の外か。
あのばあさんどんな顔してるだろうな。
まあおかげで首がつながったよ。
命拾いしちゃいましたね。
(半田)何で残念そうなんだよ。
庵堂さん。
荷物届いてましたよ。
ありがとうございます。
あっ寿也さん。
へえ〜。
「狸穴寿也作ソーダ釉の湯飲み」「以下まで振り込みお願いします」「金2万円なり」高っ!2017/02/02(木) 22:00〜22:54
関西テレビ1
<木曜劇場>嫌われる勇気 #04[字][デ]【一族全員容疑者!承認欲求を否定せよ】
容疑者は一族全員!誰もが嘘をついている。大物政治家変死事件の謎に蘭子と青山が挑む!承認欲求を否定せよ…家族に縛られた人々が自由のために下した決断とは!
詳細情報
番組内容
蘭子(香里奈)と青山(加藤シゲアキ)が元大臣・狸穴勝利(山田明郷)の葬儀に現れると、葬儀は中止だと言った。勝利の死に不審な点があると説明する蘭子に、勝利の妻・治子(朝加真由美)は、夫は病気で死んだのだと主張。蘭子はさえぎるように、霊きゅう車に収められた勝利の遺体を帝都大学の解剖室へと送った。その様子を、家政婦・吉川(小松彩夏)が見ていた。
狸穴家のかかりつけ医によると、治子からの連絡で狸穴家に
番組内容2
駆け付けると、自室で勝利が死んでいた。医師が死因を調べようとすると、治子、長男・寿也(水橋研二)、秘書が反対した。不審に思った医師は、警察に相談したのだ。事情を聞いた浦部(丸山智己)は他殺を疑い、半田(升毅)も賛同するが、小宮山(戸次重幸)は相手が国会議員だと聞きちゅうちょする。
一方、蘭子の行動に怒りを爆発させた青山は大文字(椎名桔平)を訪ね、自由過ぎる蘭子を理解するにはどうすればいいかと問い
番組内容3
かけた。大文字は、自由とは他者から嫌われることであり、嫌われることを恐れるな、と答えたが、青山は反発する。
勝利の遺体を解剖しためい子(相楽樹)は、直接の死因は心不全だが、左側頭部に内出血があると報告。さらに、遺体の髪にガラスの破片が付着していたことも指摘する。
その後、蘭子は小宮山らと、狸穴の邸宅に捜査に行く。そこで蘭子は、勝利、寿也、長女・さゆり(前田亜季)が写っている家族写真に目をとめた。
出演者
香里奈
加藤シゲアキ(NEWS)
相楽樹
戸次重幸
丸山智己
桜田通
飯豊まりえ
岡崎紗絵
寿大聡
・
正名僕蔵
升毅
椎名桔平
スタッフ
【原案】
岸見一郎
古賀史健 「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)
【脚本】
徳永友一
大石哲也
ひかわかよ
【企画】
渡辺恒也
橋爪駿輝
【プロデュース】
目黒正之
井元隆佑
【演出】
池澤辰也
及川拓郎
星野和成
【音楽】
得田真裕
【主題歌】
大塚愛 「私」
【オープニングテーマ】
NEWS 「EMMA」