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字幕書き起こし ダーウィンが来た!「ローマで急増!海を捨てたカモメ」 2017.02.26

オードリー・ヘップバーン主演の不朽の名作「ローマの休日」。
舞台となったイタリアローマの街は観光地として一躍有名になりました。
今そのローマにある異変が起きています。
犯人は…海鳥のカモメがなぜか内陸の都市ローマで急増しているんです。
公園で観光客から食べ物を奪う姿はもはや日常茶飯事。
まさにやりたい放題です。
さらにローマのカモメたちはカモメと思えぬ狩りの技まで身につけました。
深夜の広場で狙うのはなんとネズミ!さらには空飛ぶハトまで集団で追い詰めて襲いかかります。
なぜカモメは暮らしぶりまで変えて都会に住み着いたのか?海を離れローマに進出したカモメの謎に迫ります。
皆さんご存じカモメといえば「海の鳥」ですよね。
大海原を自由自在に飛び回って波間の魚を器用に捕まえます。
そして子育ては海岸の岩場。
カモメの多くは一生のほとんどを海のそばで暮らします。
でも今回の舞台はイタリアの首都ローマ。
海から30キロも離れた内陸の街です。
世界遺産に登録されている歴史ある建物が立ち並ぶ美しい町並み。
およそ270万人が暮らす大都会です。
そんな街の至る所にカモメが暮らしています。
20年ほど前から増え続け今や生息数は…翼を広げると1.4メートルにもなるセグロカモメの仲間。
地中海の沿岸に広く生息している海鳥です。
海を捨て内陸のローマに進出してきたカモメ。
カモメの姿を追ってやってきたのは市内の公園です。
休日のお昼どき家族連れでにぎわいます。
その様子をじっと見つめるカモメ。
あっテーブルに突進!もう一度見てみるとテーブルの上のピザを目がけて一直線。
見事に盗み取りました。
大胆ですね〜。
再びジャンプ!今度の狙いは歩く人の手元。
サンドイッチの中のサラミだけを器用につまみ出しました。
あっ危ない!カモメたちまったく人を怖がる様子はありません。
やりたい放題のローマのカモメ。
なぜ海を捨てて大都会にやってきたんでしょう?その謎を解くためローマのカモメたちの暮らしを専門家と共に詳しく観察してみることにしました。
案内してくれるのは長年ローマのカモメを研究してきたフラティチェッリ博士です。
やってきたのは市内で最も多くのカモメが見られるという旧市街の一角。
ここはカモメの一大繁殖地になっているんです。
おや1羽のカモメが飛んできました。
この2羽は夫婦のようです。
今は3月。
カモメたちの恋の季節です。
カモメは毎年同じ相手と夫婦になります。
まもなく子育てが始まります。
旧市街で多くのカモメが子育てするのには理由があります。
こちらでは夫婦がせっせと草をむしっていますねぇ。
屋根の上に巣を作っているんです。
旧市街では屋根瓦の隙間から草が生えている場所がたくさんあります。
カモメは本来地面の上に草を積み上げて巣を作ります。

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  つまり旧市街の屋根の上は材料もそろっていて巣作りに最適。
カモメたちにとって格好の子育ての場なんです。
旧市街の屋根の上に新たな命が誕生していました。
黒いつぶらな瞳がかわいいですね〜!子育ては夫婦が協力して行います。
ヒナを抱いていたお父さん。
よっこらしょ。
お母さんと交代です。
ごはんの時間です。
カモメはおなかの中で消化した食べ物を吐き戻して幼いヒナに与えます。
カモメに人気の旧市街。
その中で一等地とされるのが屋根に突き出た煙突付きの物件です。
煙突が壁となり強い日ざしや強風からヒナを守ってくれるからです。
(鳴き声)高らかに鳴くこちらの夫婦。
これは縄張りを主張する声です。
この若いカモメが煙突脇の縄張りを狙って近づいてきたんです。
夫婦の声に若者は動じません。
「出て行け!」こんな時は実力行使です。
しかしいつも簡単に勝敗が決まるわけではありません。
時には互いにかみつき合っての大バトルに発展することもあります。
増え続けるローマのカモメ。
今では子育ての場所に苦労するほどにまでなっているんです。
ちょっと待った!何ですか?ヒゲじい。
いや子育ての場所を巡って大ゲンカするくらいならわざわざローマに出てこないでもとの海辺に住んでいればいいんじゃないでしょうかね。
確かに。
でもね子育てに苦労してでもカモメが都会に移住してきたのにはある事情があったんです。
へえ〜どんな事情?実は今海辺はカモメにとって暮らしにくくなっているんです。
こちら。
漁船が釣り上げたのは巨大なイトマキエイの仲間。
お〜ああ!南の海で優雅に泳いでいるエイですな。
そうですヒゲじい。
イトマキエイはもともと水温の高い南の海の魚です。
それが最近イタリアでもよく見られるようになったんです。
へえ〜。
こちら地中海の海水温の変化を表したグラフです。
1980年代以降ずっと上がり続けているのがわかりますか?ほう!はいはいはい。
これ地球温暖化の影響だと考えられています。
へえ!でも水温が高くなるのとカモメに何の関係があるの?はい。
水温が上がることでカモメが食べていたイワシやイカなどが激減してしまったんですよ。
え〜そんなに魚が減ってるんですか。
そうなんです。
魚がとれないので漁船の数もめっきり減ってしまったそうなんです。
漁師さんが捨てる商品にならない魚はカモメにとって大切な食べ物だったんですが漁船の数が減ってもらえる量も激減してしまいました。
なるほど。
カモメがローマに進出したのは生き残りをかけてのことだったんですよ。
う〜んなんとも気の毒な話ですなぁ。
でも都会と海辺じゃ環境は大違い。
暮らしにくいんじゃないんですかね?その心配はありません。
こちら。
市場の隅に積まれた生ごみをカモメがあさっています。
ほう。
まるで東京の街のカラスのようですな。
確かにそうですね。
街では人間の出すごみが主な食べ物になっているんですよ。
こちらはローマの中心部を流れるテベレ川。
たくさんのカモメが水浴びしています。
もともと海で暮らすカモメは水浴びが大好き。
川のおかげで水浴びスポットにも事欠きません。
ハハハハ!気持ちよさそうですなぁ。
ねえ。
そして建物の屋根は子育てにぴったり。
ヒナを狙う天敵のネコが近寄れませんからね。
ローマの街はカモメにとって案外住みやすい場所なんですよ。
う〜ん確かに快適そうですな。
でも食べ物を盗んだりごみを荒らしたり人に迷惑をかけていたけど追い出される心配はないんですかね?それがそうでもないようなんです。
へえ〜ローマの人たちって優しいんですね。
はい。
そんな優しさのおかげでカモメはローマに定着することができたんですね。
うん!カモメさんローマにカモ〜ンメ!なんてね。
ヒナが生まれて2日。
おやもう巣を離れて歩きだしています。
でもこのヒナはまだ小さすぎて屋根瓦に登れません。
「みんな〜待ってよ〜」。
そんな家族をじっと見つめるのはズキンガラス。
幼いヒナを狙っているようです。
飛んだ!上空から急降下。
巣のすぐそばをかすめていきました。
執ようなカラスの攻撃。
再び急降下。
カラスも今は子育ての真っ最中。
カモメのヒナは格好の獲物なんです。
あっカモメのお父さんが反撃です。
カラスも負けじとお父さんに攻撃。
お父さんは大きなクチバシを武器にカラスに立ち向かいます。
お父さんの気迫に負けたのかカラスは去っていきました。
勇敢な親に守られながらヒナはすくすくと育っていきます。

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  ヒナが生まれてから1週間が過ぎました。
あっヒナは元気そうです。
親鳥に盛んに食べ物をねだっています。
親鳥は食べ物探しに大忙し。
1日に何度もごみ捨て場にやってきます。
お母さんが持ってきたのはパンくずのようです。
でもヒナはつつくばかりで食べようとしません。
一体どうしたんでしょう?ごみから十分な肉や魚を確保するのは至難の業。
そこでカモメたちは驚きの狩りを編み出しました。
第2章ではそんなカモメの狩りの技に密着。
狙うのはなんと生きたネズミや空飛ぶハト。
もはやカモメとは思えない驚きの姿をご紹介します。
都市に進出した生きものはローマのカモメだけではありません。
ここはタイ中部の町ロッブリー。
うわったくさんのサル!その数1,000匹以上にもなります。
名前はカニクイザル。
この町でサルは「神の使い」とされています。
人々は願い事がかなうとお礼にサルにお供え物をするのがならわしなんです。
食べ物を探す苦労がなく時間を持て余したサルたちはとんでもないことを始めました。
あっ突然女性に飛びつきました。
頭に群がり髪の毛を引っ張っています。
抜き取った髪の毛で何やら始めましたよ。
実はこれ…歯に挟まった食べかすを髪の毛で取るんです。
世界でもここでしか見られない珍しい光景です。
続いては東京の都心。
今意外な生きものが進出中です。
公園の木に止まっているのは…「清流の宝石」カワセミです。
川の汚染などが原因で一度東京の都市部ではほとんど見られなくなりました。
その後下水道の整備により水質が改善。
今では都内のあちこちで見られる身近な鳥になりつつあります。
こちらは南アフリカの町サイモンズタウン。
なんとペンギンが道路を歩いています。
ケープペンギンです。
40年ほど前からこの町に住み着いています。
あっ危な〜い!飛び出しちゃダメだよ。
ペンギンたちは民家の植え込みなどで子どもを育てます。
朝になると海に出勤。
魚をとりに行くんです。
ペンギンはもともとの繁殖地を人間に奪われこの町で暮らすようになりました。
今ではすっかり町の人気者です。
世界にはいろんな生きものが人のそばで暮らしているんですね。
舞台は再びローマです。
カモメたちは子育ての真っ最中。
食べ盛りのヒナを養うためローマのカモメはカモメとは思えないとんでもない狩りの技を編み出しました。
上空を飛ぶ無数の鳥。
アマツバメです。
ローマで子育てするためにアフリカから渡ってきたんです。
アマツバメは軒下の隙間や排気口に巣を作ります。
1羽のカモメが飛び立ちました。
狙いは巣の中のアマツバメ。
捕まえたか?尾羽をクチバシでくわえようとしますが残念失敗です。
まだカモメの狩りは終わりません。
人通りが少なくなった広場にカモメが飛んできました。
こんな夜更けに何をしようというんでしょう?そこに現れたのは…カモメの狙いはこのネズミだったんです。
真っ暗だとカモメは狩りができません。
夜も明るいローマの街ならではの狩りです。
ネズミをとるなんてもはやカモメではなくまるでフクロウのようです。
でもやっぱりカモメはカモメ。
フクロウほど鮮やかな狩りはできません。
何度失敗しても諦めず…。
何とかくわえました。
うわっ奪い合いです。
どの親もヒナのために必死なんです。
ある日の朝。
私たちはカモメが編み出した都会ならではの極め付きの技を撮影することに成功しました。
1羽のハトが巣に入っていきます。
その様子をじっと見ているカモメ。
10分後。
周囲を警戒しながらハトが出てきました。
カモメは街にたくさんいるハトに目をつけたんです。
あとを追って飛び立ちました。
ハトにぐんぐん迫ります。
カモメが空中で鳥をとるのはめったに見られない珍しい光景です。
都会暮らしで必要に迫られて編み出した飛びっ切りの技。
それはもう…カモメじゃなくてまるで…ハヤブサは高速で飛んで鳥を捕まえる空中ハンティングの達人です。
ハヤブサ顔負けのスピードでハトを追うカモメ。
見ていた1羽が飛び立ちました。
そしてまた1羽。
ハトの追跡に加わります。
ほかのカモメたちも一斉に飛び立ちました。
カモメには集団で獲物に群がる習性があります。
おこぼれにあずかろうというんです。
右に左に急旋回を繰り返すハト。

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  カモメの集団は背後からピタリとマークします。
ハトが屋根の近くに降りてきました。
カモメはここぞとばかり攻めかかり…ついに捕まえました!ハトが上昇しようとわずかにスピードを緩めた瞬間下から首にかみつきました。
こうなるとハトはもう逃げられません。
ローマのカモメたちは独特の狩りの技を身につけ都会を生き抜いているんです。
ローマに夏が来ました。
ヒナはもう親とほとんど変わらない大きさに成長しました。
あれ?ヒナが食べ物をねだっても親鳥は知らんぷりです。
親鳥は大きくなったヒナに巣立ちを促しているんです。
ヒナが走りだしました。
翼に受ける風の感触を確かめます。
羽を目いっぱい広げて…。
あっ浮き上がりました!今度は屋根の端で懸命に羽ばたきます。
下から吹き上げる風に乗ろうとしているんです。
でも気を付けて!地面に落ちると下には天敵のネコが待ち構えています。
さあもう一度ジャンプ!うまく風をとらえました。
やった!初飛行の瞬間です。
少し危なっかしいですが何とか隣の屋根まで移動することができました。
大成功!と思いきやあっ大人が襲ってきました!ほかのカモメの縄張りに入り込んでしまったようです。
逃げる若鳥。
行く先々で大人からこっぴどくいじめられます。
しつこく上空まで追いかけてきました。
舞い上がったり急降下したり懸命に大人の攻撃をかわします。
何とか攻撃を逃れた若鳥。
何だか飛ぶのがうまくなったと思いませんか?夢中で攻撃をかわしているうちに飛行術も上達したようです。
でも若鳥を脅かすのは大人からの攻撃だけではありません。
ここはローマにある野鳥の保護センター。
多くの若鳥が交通事故や病気で運び込まれてきます。
この若鳥は洗剤を飲み込み中毒になってしまいました。
治療をして元気になるまでセンターで保護します。
カモメが口にする生ごみには洗剤なども混じっていてとても危険なんです。
毎年実に300羽ものカモメが運び込まれるといいます。
巣立ちから2週間後。
テベレ川にたくさんの若鳥が集まっているのを見つけました。
1羽が木の枝で遊んでいます。
こうした遊びから新たな狩りの技が生まれるのかもしれません。
街で生まれたカモメは街で生きていくのです。
若鳥が大人になるまで4年。
試練の日々はまだ始まったばかりです。
海を離れローマに新天地を求めたカモメ。
もはやカモメとは思えない驚きの狩りの技を身につけました。
独自の知恵とたくましさで大都会をしたたかに生き抜いています。
2017/02/26(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「ローマで急増!海を捨てたカモメ」[字]

内陸の都市イタリアのローマで海鳥のカモメが急増中。子育てのため、ハトやネズミを襲う新たな狩りの技まで編み出したカモメたちの都会暮らしに密着!海を離れた謎に迫る!

詳細情報
番組内容
イタリアの内陸都市ローマで、海鳥のカモメが急増している。その数、なんと1万5千羽。観光客からピザを奪い取ったり、市場のゴミをあさる光景はもはや日常茶飯事。旧市街の歴史ある建物の屋根の上は、今やカモメの一大繁殖地になっている。さらに、ローマのカモメは、海鳥とは思えない狩りの技まで編み出した。街中にたくさんいるハトやネズミを襲うようになったのだ。カモメの都会生活に密着!海を離れた謎に迫る!歌:平原綾香
出演者
【語り】龍田直樹,豊嶋真千子,近田雄一