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書き起こし ドキュメント72時間「村長選挙 旅する投票箱」 2016.11.25

10月。
一つの投票箱が車に揺られ山道を走っていた。
これから始まるのは投票箱があちこち移動するちょっと変わった村長選挙。
あの原発事故以来避難生活が続く福島県飯舘村。
行く先には今もバラバラに暮らす6,100人の村民が待っている。
ふるさとの行方を決める村長選挙。
開票までの3日間投票箱の旅に密着した。
東日本大震災で全ての村民に避難指示が出された飯舘村。
5年7か月たった今も住む人の姿はない。
そんな中復興を目指して村役場は業務を再開していた。
役場の片隅に今回の主人公村長選挙の投票箱が。
投票箱の旅は10日間。
期日前投票は普通村の中で行われるけど今回特別に各地を回る事にしたという。
開票3日前。
やって来たのは今も260人が避難している仮設住宅。
集会所に投票箱が設置された。

(拡声機)「おはようございます。
ありがとうございます」。
朝9時半。
村の人に挨拶して回る男性。
どうやら新人候補らしい。
実は来年の春村の避難指示が解除される予定。

 

 

 


でもまだ不安が残る中村に帰るのは早すぎるという主張らしい。
安心できるまで待つという新人かすぐに帰るという現職か。
選択肢は2つ。
朝10時投票開始。
お年寄りが大勢集まってきた。
おはようございます。
おはようございます。
いつもはお茶飲み場だというこの場所。
投票もどこかほのぼの。
ああほんじゃあありがたい。
村長さんを決めるのは一大イベント。
(取材者)こんにちは。
おじいちゃんこんにちは。
おお。
NHKなんですけど。
どうも。
あっ?投票終わりました?あっそうなんですか。
うん。
1人のおばあさんが話しかけてきた。
グランド?あ〜そうなんですか。
仮設住宅に暮らして5年。
今では友達もたくさんできたという。
(笑い声)ここですか?ここです。
家にはこの秋村で採ったというキノコがつるされていた。
なんぼったつったべ。
えっ?これですか?うん。
いいですか?懐かしいふるさとの香り。
匂いだけ。
食ったっていいよ。
あっ本当だ。
またキノコ。
昔の習慣を思い出しつい採ってきちゃうんだって。
うんこと一緒に出つうから大丈夫だ。
(笑い声)3回。
はい。
やっぱりいろいろ思うところがあるみたい。
投票所が落ち着いてきた午後若い女性の姿が。
こんにちは。
あのNHKなんですけど。
仙台から?はい。
あっそうですか。
仙台には今いるんですけど…わざわざ?はい。
高校3年生で震災に遭い50キロ離れた仙台で就職。
苦労も多かったそう。
この日投票したのは158人。
早く村に帰りたいという現職の村長を推す声が目立った。
ただいまをもちまして飯舘村…。
夕方5時投票終了。
厳重に鍵が掛けられた投票箱。
村役場で開票を待つ。
撮影2日目。
今日の行き先は大きなお店が目立つ町なか。
ここは福島市。
震災後村の仮役場が置かれてきた。
朝9時投票開始。
おはようございます。
あららら…。
おはようございます。
早速すごい行列。
今福島市には村民の半数を超える3,700人が暮らしているらしい。
2年ですか?は〜。
福島市内に家を買ったという女性。
まだ村には戻れないと票を投じたそう。
実は除染が終わっているのは村全体の4分の1程度にすぎないという。
夢みたい?NHKなんですけど今「72時間」という番組で取材してまして。
はい。
村に帰るより今の生活を守ってほしい。
そんな思いを選挙に託す。
(拡声機)「おはようございます。
おはようございます。
菅野のりお菅野のりお…」。
投票所の近くに現職の村長が。
不安も分かるけれど早く帰らなければ村の存続自体が危ういと訴えていた。
投票日を間違えて2度も来たというおじさん。
しばらく。
将来村に帰るか決めてないけど選挙にはどうしても来たかったという。
忘れられてる?うん。
久しぶりに行かれるんですか?そうです。
天気がいいから。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
今日はお父さんが誘ったんですか?そうそう。
なくしたくないんですね?
(笑い声)ねえ。
そうなんですか。
はい。
…ですね。
いよいよ投票最終日。
この日は飯舘村役場に投票箱が置かれる。
いつもはひっそりした村に続々と車が。
川俣にいる?
(笑い声)こんにちは。
あっそうなんですか。
すごいですねこのドアの。
駐車場でお父さんが待っていた。
撮んなくていいって。
震災後別々の場所で避難生活を送っているという家族。
今日はみんなで投票に来たそう。
離れ離れになって以来家族で集まりバーベキューやドライブをするようになったという。
村の運命が決まるまであと少し。
こんにちは。
今日はどちらから?「どちらから」って。
そのTシャツ何かなと思って。
隣町に暮らす男性。
選挙のついでに畑を手入れしに行くという。
一緒に農業をしていた父親は2年前に亡くなった。
家まで来る事ねえのに。
村で暮らせる日が来たら自分はどうするのか。
まだ迷っているという。
あ〜そうなんですか。
ありがとうございます。
2年前に結婚。
2人で飯舘村に来る事も多いんだとか。
奥さんは…村を出て5年7か月。
失った事も多いけど新しく気付いた事もある。
うん。
帰り際家の前に咲く花を奥さんが摘んでいた。
あ〜きれいですね。
あ〜。
(笑い声)お気を付けて。

(一同)万歳!万歳!2016/11/25(金) 22:50〜23:15
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「村長選挙 旅する投票箱」[字]

原発事故以来、多くの村民が避難生活を送る福島県飯舘村。10月、各地に散らばって暮らす人のため、投票箱が各地を回る“旅する村長選挙”が行われた—。

詳細情報
番組内容
10月、ちょっと変わった村長選挙が行われた。原発事故をきっかけに、多くの村民が避難生活を送る福島・飯舘村。各地に散らばって暮らす人のため、期日前に投票箱が各地の仮設住宅などを旅して回るのだ。争点は早期に避難解除し、帰村を目指すかどうか。「安全かどうか分からず、戻る気になれない」と票を投じる人、「自分の代で村を終わらせたくない」と悩む高齢者。旅する投票箱に込められた、有権者5200人の思いとは?
出演者
【語り】市川実日子