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書き起こし ハートネットTV シリーズ 暮らしと憲法 第1回「女性」 2017.01.04

 

一升餅を背負わせたり餅の上に立たせたり地域によって風習の違いがあります。
それぞれ地元の習慣を調べやってみてはいかがですか?今年日本国憲法が施行されてから70年の節目。
戦後日本はこの憲法を道しるべに社会を築いてきました。
しかしふだん私たちはこの憲法の事をあまり意識しないのではないでしょうか。
そこで「ハートネットTV」ではシリーズで暮らしの現場から憲法を考えていきます。
第1回は「女性と憲法」。
憲法の男女平等の理念の下女性が獲得した権利と今なお抱え続ける生きづらさをさまざまな人の声から考えます。

 

 

 


「5月3日の宮城前広場。
新しい憲法がいよいよこの日から実施される記念の式典が雨にもめげぬ多くの都民や…」。
今から70年前日本国憲法が施行されました。
憲法には当時としては先進的な理念が盛り込まれました。
その一つが男女平等。
それまでの家制度を中心とした男性優位の社会を大きく変える理念でした。
さまざまな意見のある男女平等。
そもそもなぜ憲法に書かれたのか。
それは日本女性のために奮闘したある女性の思いに遡ります。
戦後焼け野原となった日本。
GHQの占領下にあり民主化を目指していました。
GHQのスタッフとして働いていた…生前NHKの取材に答えていました。
当時22歳だったベアテさんは日本で生活した経験があり日本社会に精通していました。
1946年2月ある任務を命じられます。
ベアテさんは女性の権利についての項目を任されました。
そこで幼少期の経験が生かされる事になります。
音楽家の父の仕事の関係で5歳で来日。
10年間日本で暮らしていました。
ベアテさんは母親の友人から日本の女性が家や男性に縛られている現実を聞かされていました。
自由に結婚もできず相続においても著しく不平等である日本の法律を知ったベアテさん。
憲法に男女平等の理念を込めようとします。
GHQ草案が日本政府に示されると幾度も協議が行われました。
ベアテさんは通訳として参加します。
激しい議論の末第二十四条が生まれます。
「婚姻は両性の合意のみに基づく」とされ個人の尊厳と男女の本質的平等がうたわれています。
日本で初めて男女平等について書かれた憲法が誕生しました。
「本日日本国憲法を公布せしめた…」。
実はベアテさんの原案はより広範囲に女性の権利が書かれていました。
妊婦や乳児を持つ母親の保護職場における男女平等など。
しかし議論の過程でそれらは削られました。
削られた条文の一つが労働について。
「女性はあらゆる職業を選ぶ権利があり男性と同じ賃金を得られる」と書かれていました。
戦後職場における男女の不平等は大きな課題として残されています。
働く女性は増えたものの仕事の多くは男性の補助的な業務いわゆる一般事務職がほとんどでした。
また結婚退職制や賃金格差などの不平等もありました。
女性は対等の権利を得るために長い闘いを強いられました。
憲法が施行されてから39年目の事でした。
同じ年に労働者派遣法も成立。
秘書や受付事務用機器操作などの職種を派遣社員ができるようになります。
多くの女性が派遣で働き非正規雇用も増えていきます。
法律上労働における男女平等は実現しましたがまだ不平等が残るとの指摘もあります。
去年3月非正規で働く独身女性の大規模な調査報告書が出され男女の間で大きな差が生じている実態が明らかになりました。
非正規雇用の7割を占める女性。
多くが収入が少なく不安定な雇用に悩んでいました。
一度非正規で働き始めると女性は男性に比べなかなか正規職に就けないのが現状です。
同じ派遣先に8年10か月勤めた…上野さんは仕事にやりがいを感じ正社員を目指し働き始めました。
その後も専門的な知識を積み働き続けた上野さん。
しかし去年末契約終了を告げられました。
家族から仕事への理解を得られず苦しむケースもあります。
母親の介護をしながら証券会社で働いていた…認知症の母親の介護と両立ができず茂木さんは去年仕事を辞めざるをえませんでした。
非正規で働く女性の大規模な調査を行った公益法人です。
長年憲法の掲げる男女平等の理念の下働く女性の支援をしてきました。
ここ数年特に増えてきたのが非正規で働く独身女性からの相談だといいます。
非正規の平均賃金は男性は22万2,000円女性は17万9,000円と差があります。
更に35歳から44歳までの独身女性は2人に1人が貧困状態でした。
憲法から削られた労働における男女平等の理念。
今も大きな課題は残されたままです。
ベアテさんが原案を書いた憲法第二十四条には家庭における男女平等がうたわれ「法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」と書かれています。
しかしそうした理念がありながらも苦しむ人たちがいます。
戸籍がない状態で生きてきました。
冬実さんの母親は夫のDVから逃れ家を出ましたが離婚はできませんでした。
その後別の男性と出会い冬実さんが生まれます。
しかし出生届を出すと法的には暴力に苦しめられた夫の子どもになるため戸籍を作る事ができませんでした。
民法では子どもの父親を変えるには一旦夫を父親とする出生届を出さなければなりません。
その上で家庭裁判所でDVを行っていた夫が否認手続きをしなければならないのです。
女性が否認する権利はありません。
住民票を取る事もできなかった冬実さん。
両親が公的サービスを諦めたため学校へも通えませんでした。
国は無戸籍の人への対策を始めています。
DVで苦しむ女性には住所などを夫に知られずに裁判所で手続きをする方法もあるとしています。
その一方で民法の規定はこの法的立場を安定させるのに必要でなくす事は相当ではないとの立場です。
しかし専門家の間では民法には男女平等に反する部分があると指摘されています。
長年憲法と家族について研究してきた…民法の規定により戸籍を取る事が難しかった冬実さん。
10代後半には引きこもって家族とも話さなくなっていました。
冬実さんに転機が訪れたのは32歳の時。
ようやく母親の離婚が成立しました。
その後家庭裁判所で手続きを行い冬実さんは33歳で初めて戸籍を手にしました。
日本にいる無戸籍の人は確認されているだけで688人。
憲法が男女平等をうたってから70年。
無戸籍の人を生んできた民法の条文は今もそのままです。
ここ数年増え続けている男女平等を問う裁判。
最高裁判事として関わってきた…資料の一つとして手にした書籍から憲法に込められたベアテさんの思いを知ったと言います。
でも本当にこれはありがたいもんだったなあ。
ベアテさんは生前日本の人たちに向けて言葉を残していました。
2000年参考人として憲法調査会に出席した時の事です。
2017/01/04(水) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ 暮らしと憲法 第1回「女性」[解][字]

今年は、日本国憲法が施行されてから70年の節目の年。ハートネットTVでは暮らしの現場から憲法について考える。第1回は「女性」の視点から、男女平等は実現したのか?

詳細情報
番組内容
ハートネットTVは様々な「生きづらさ」を抱える人たちのための番組です。テーマは、貧困・虐待・自殺・うつ・依存症・発達障害・認知症・がん・難病・介護・リハビリ・障害・LGBTなど様々。ホームページも情報満載!