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書き起こし NHKスペシャル「追跡 パナマ文書 衝撃の“日本人700人”」 2016.11.27

ある疑惑を追求する取材班。
架空の投資話で3億円を超す金を集めたとされる人物にたどりついた。
裁判所から被害者への賠償を命じられているが応じていない。
この人物が海外に持つペーパーカンパニーの存在が世界的なリークによって明らかになった。
(取材者)以前…。
史上最大のリークパナマ文書。
中米パナマの法律事務所から流出した膨大な内部資料だ。
世界の権力者や富裕層が資産隠しや税金逃れを行っていた実態を白日の下にさらした。
NHKはパナマ文書を分析する…700人を超す日本人の存在が初めて浮かび上がった。
元外交官や大企業の経営者弁護士医者。
一体何の目的があったのか。
それだけではなかった。
一般市民の個人情報が知らぬ間に流出。
犯罪に巻き込まれている事実も判明した。
日本人700人のファイルを徹底追跡。
パナマ文書の衝撃。
新たな真実に迫る。
「私はジョン・ドゥー。
データに興味はあるか」。
名無しの権兵衛を名乗る人物からもたらされた史上最大のリークパナマ文書。
南ドイツ新聞を経由してアメリカにあるICIJ国際調査報道ジャーナリスト連合に持ち込まれた。
その内容は中米パナマにある法律事務所が設立を手がけたペーパーカンパニーなど21万社分のデータ。
設立を依頼した顧客の書類や電子メールパスポートなどの個人情報も含まれる。
気の遠くなるような量のデータを各国のジャーナリストが共同で分析。
権力者や富裕層の資産隠しや税金逃れの実態を暴いてきた。
パナマ文書に日本人の名前はどれだけ含まれているのか。
NHKは6月ICIJの調査報道プロジェクトに参加。
メンバーしかアクセスできないパナマ文書の全データを入手し詳細に分析した。
これまでICIJが公表してきた日本人は…今回新たに500人のファイルが見つかりパナマ文書に名前が記載されていた人の数は700人を超えた。
その一人一人をたどり詳細を確認する取材が始まった。
こんにちは。
すいません。
NHKで記者をしてます橋本と申しますが…リストアップした元外交官や大企業の経営者芸能関係者などを次々にあたった。
そうした中著名な漫画家が取材に応じた。
少女漫画「キャンディ・キャンディ」を描いた…本人が代表となっている会社の書類がパナマ文書の中から見つかった。
本人の名前を書いてもらった。
パナマ文書にあったサインと筆跡を比べてみると…。
本人は心当たりがないという。
ペーパーカンパニーを作った理由を語る人物はいないのか。
海外に巨額の資産を保有していた男性にたどりついた。
年齢や職業資産の総額は一切明かさない事が取材の条件。
世界に数本しかない腕時計も個人を特定されるおそれがあるという。
パナマ文書には男性がイギリス領バージン諸島に所有する2つの会社の書類があった。
そこに税務申告していない巨額の資産を持っていた事を認めた。
バージン諸島などタックスヘイブンと呼ばれる国や地域は税率が極めて低い。
そこにペーパーカンパニーを作り資産を置く事で税金を低く抑える事ができる。
そのタックスヘイブンにある会社の存在をパナマ文書によって明らかにされた男性。
自ら国税当局に資産を申告し膨大な税金の支払いに追われる事になった。
多くの富裕層がタックスヘイブンを使い納めるべき税金を免れている実態がある。
男性は自分のケースは意図的ではないので批判はあたらないと主張した。
700人の日本人ファイルを追う取材班。
タックスヘイブンが国内のある経済事件につながっている可能性が浮かび上がった。
浅川和彦という名前。
詐欺事件の首謀者として実刑判決が確定した人物だ。
浅川和彦とは2012年に発覚した年金資金消失事件の中心人物で投資運用会社AIJ投資顧問の元社長だ。
全国の年金基金などから預かった1,458億円の運用に失敗。
その損失を隠蔽し詐欺などの容疑で逮捕された。
これまでの捜査や裁判で預かった金のうち1,200億円は運用の失敗などで失われたとされている。
この事件の被害者は90万人に上る。
その一人ガソリンスタンドの経営者大橋東四郎さん59歳。
65歳から受給する予定だった毎月の年金を失う事になった。
そのひと言です。
事件から4年。
これまでAIJ側から回収できたのは被害者が預けた年金資金の10分の1以下にとどまっている。
被害者に返されるべき金はどこかに残っていないのか。
改めてパナマ文書を調べ裁判の過程でも見過ごされていた浅川元社長のペーパーカンパニーの存在を突き止めた。
イギリス領バージン諸島にあるAIMとNICの2つのペーパーカンパニー。
これらは事件で消失した年金資金と関係はないのか。
取材班は都内にいた浅川元社長を見つけ出した。
詐欺などの罪で懲役15年の刑が確定し収監される直前だった。
浅川元社長がインタビューに応じた。
ペーパーカンパニーの事は知らないという浅川元社長。
しかし更に追及するとかつて証券マンだった時期に顧客の不正に協力するために作ったと説明した。
あくまでペーパーカンパニーは古い時代のものでAIJの事件とは無関係だという浅川元社長。
しかしパナマ文書の記録には不可解な点があった。
タックスヘイブンでは代表者の名義を代理人にする事で実際に誰が資産を持っているのか隠す事ができる。
浅川元社長のペーパーカンパニーも株価操作に使われたとされる時期代表者の名義が代理人のものになっていた。
ところがAIJの不正が発覚した前後代表者の名義が浅川元社長に変更されていた。
なぜこの時期に本人の名前が表に出る状況になっていたのか。
そうそうそうそうそう。
じゃあすみません。
浅川元社長は不可解な名義変更について知らないと繰り返しこの3日後刑務所に収監された。
日本人による不正行為が初めて明らかになりました。
NHKはパナマ文書から見つかった浅川元社長のペーパーカンパニーの存在を報道。
これを受けて新たな動きがあった。
被害者への資金回収の一環として浅川元社長が持つ2つの会社の口座の調査が行われたのだ。
関係者への取材で一つの口座におよそ1,000万円が残されていた事が分かった。
隠れていた資金の一部を初めてつかんだ。
口座に残る1,000万円そしてペーパーカンパニーの不可解な名義変更。
それらは何を意味するのか。
今月中旬その事を解き明かす糸口になる人物に行き着いた。
浅川元社長が2つのペーパーカンパニーを作った当時を知っていた。
ペーパーカンパニーの運用に精通し浅川元社長とも近い関係だったこの人物。
一つの見方を示した。
不可解な名義変更は浅川元社長が急いで資金を動かすためだった可能性があるという。
不正が発覚した際名義が代理人のままでは金を動かす手続きに時間がかかる。
名義を自分の名前に変えれば金の出し入れを迅速に行えるようになる。
自分の名前を表に出してでも口座にあった金を別の場所に移動させようとしたのではないかというのだ。
ペーパーカンパニーの口座にあった1,000万円も巨額の資金を移動させたあとに残った金だと考えれば説明がつくという。
この人物の見方どおりであれば被害者に戻すべき金がまだ残っている可能性が出てくる。
収監されている浅川元社長に質問を送ったが今のところ回答は来ていない。
権力者や富裕層による税金逃れや犯罪者による資金隠しの実態を明らかにしたパナマ文書。
今回700人の日本人ファイルの調査によってこれまで全く知られていなかった問題も浮かび上がってきた。
取材班が注目したのはある奇妙な共通点を持つ7人の存在。
カリブ海にあるイギリス領の島アンギラの同じビルの中にそれぞれペーパーカンパニーを所有している。
パナマ文書から見つかったのは7人が会社設立の際に提出したパスポート。
そして住所を証明するための日本の携帯電話の請求書。
日本での住所は全国各地に散らばっているがアンギラの会社は同じ場所にある7人。
この符合は何を意味するのか。
まず住所が栃木県宇都宮市となっている人物を捜す事にした。
アンギラに会社を持つ7人全員を捜したがパナマ文書にあった住所は全て実在しないか無関係の人が住んでいた。
取材は行き詰まるかと思われた。
しかし宇都宮で捜していた人物が思いも寄らない場所で見つかった。
新宿・歌舞伎町で働くホストだった。
自らが代表者となっている会社について身に覚えがないと繰り返す。
え〜っ!パナマ文書にあった携帯電話の請求書を見せたがそれも知らないという。
本当の事を言っているのか。
確認のため取材班の前で問い合わせてもらった。
該当の番号が見当たらない?携帯電話は契約自体が存在していなかった。
何者かが請求書を偽造した可能性がある。
ではパナマ文書にあるパスポートが本人のものと一致しているのはなぜなのか。
男性は去年暮らしていた寮で盗難の被害に遭ったと説明した。
被害届の記録が確かに残されていた。
パスポートはその後発見され手元に戻ってきたという。
ペーパーカンパニーは何者かの手によって作られていた。
この事態に巻き込まれているのは1人だけではなかった。
更に別の人の所在も分かり確認に向かった。
この男性もアンギラの会社に全く身に覚えがなくえたいの知れない不安から顔は出さないでほしいと言う。
男性も偽造された請求書が使われていた。

 

 

 

 


レンタル業者からパスポートの情報が漏れていたのではないか。
直接確かめる事にした。
取材班は念のためアンギラに会社を持つほかの人たちの名前も確認した。
盗難被害に遭っていた男性以外の6人は全員この業者にパスポートなど個人情報を提出していた。
アンギラにある6人の会社の設立は全てレンタルの申し込みをしたあとだった。
盗まれた個人情報を使って設立されていたアンギラの会社。
目的は一体何なのか。
社名で検索するとほとんどの会社が出会い系サイトの運営会社として名前があがってきた。
出会い系サイトは組織的な犯罪が相次ぎ去年は…暴力団の資金獲得に利用されるケースもあると警察は見ている。
そうした摘発を免れるため市民の個人情報を隠れ蓑にしている可能性がある。
個人情報を盗まれた被害者の中には実際に出会い系サイトの運営責任者として知らないうちに名前が使われている人もいた。
こんにちは。
NHK都築です。
よろしくお願いします。
島の特産オリーブを扱う仕事をしている。
多田羅さんも以前パソコンを借りた際にパスポートを提出していた。
全く身に覚えがないまま出会い系サイトの運営者とされていた多田羅さん。
サイトで起きるトラブルや犯罪に巻き込まれる可能性さえある。
何も知らない市民を隠れ蓑にした卑劣な犯罪行為。
名前を悪用している出会い系サイトに直接連絡。
海外にかかったが…。
複数の国にまたがって一連の事態を引き起こしているのは一体誰なのか。
アンギラの会社設立の経緯をパナマ文書からたどるといずれも香港の仲介業者と法律事務所モサック・フォンセカの香港オフィスが関わっていた事が分かった。
モサック・フォンセカは本部が中米パナマにありまさにパナマ文書が流出した震源地だ。
取材で明らかになった構図は次のようなものだ。
まず日本人の個人情報が何者かによって盗まれる。
その情報は国境を越えて香港の同じ仲介業者に渡る。
仲介業者はモサック・フォンセカ香港オフィスに情報を流し会社設立を依頼。
モサック・フォンセカの手によってアンギラに会社が設立され出会い系サイトの運営に使われたと見られる。
自らは一切表に出ず犯罪行為に及んでいる者の姿がおぼろげに浮かんできた。
国境をまたぎ犯罪がグローバル化する時代。
ジャーナリズムの現場にもパナマ文書をきっかけに新たな潮流が生まれている。
世界のジャーナリストたちが複数の国にまたがる問題を共同で取材する取り組みが広がっているのだ。
パナマ文書から明らかになったのは犯罪者たちがタックスヘイブンの不透明さを利用してマネーロンダリングなどを行っていた実態だ。
メキシコの麻薬王や中東の過激派組織につながる資金源が暴かれた。
NHKの取材班はパナマ文書のプロジェクトに参加する香港のネットメディアと市民を隠れ蓑にした犯罪行為について情報を共有した。
日本と香港で共同取材する事が決まった。
アジアの金融センター香港。
ペーパーカンパニーの設立を仲介する業者が乱立している。
パナマ文書が流出したモサック・フォンセカと取り引きしている仲介業者だけでも2,000社を超える。
共同取材する事になった香港のHK01。
パナマ文書から香港の政治家や政府高官などが秘密裏に行っていたビジネスを暴き大きな反響を呼んでいる。
HK01の記者は仲介業者の実態を探る事にした。
香港では金さえ払えばいとも簡単にペーパーカンパニーを作る事ができるという。
HK01から仲介業者の情報を得たNHKの取材班。
被害者の一人と共に香港に向かった。
出会い系サイトの責任者として名前を悪用されていた…自分の名前で作られた会社を閉鎖したいという。
HK01の記者たちも日本人の個人情報が香港で悪用されている現実を大きな問題だと受け止めていた。
会社を閉鎖したいという多田羅さん。
アンギラにペーパーカンパニーを登記したモサック・フォンセカの香港オフィスに向かった。
現れたのはパナマ文書に名前が出ていた女性。
多田羅さん名義の会社を設立した際の担当者だ。
モサック・フォンセカに日本で盗まれた個人情報を流した仲介業者。
そもそも誰が会社設立を依頼したのかを知っている可能性がある。
あっすみません。
担当者を割り出し接触に成功した。
現れたのは日本語を流ちょうに操る中国人女性だった。
被害者を前にしても依頼人について話そうとしない女性。
同じ被害に遭っている日本人は1人だけではないと伝えた。
背後に日本の投資会社が存在すると明かした女性。
しかし詳細については口を閉ざした。
そして法は犯していないと繰り返し強調した。
盗まれた個人情報が悪用されペーパーカンパニーが作られている事態を香港ではどう受け止めるのか。
ハイナイストゥミートユー。
ナイストゥミートユー。
香港の議会で金融行政を監督している議員が取材に応じた。
パナマ文書によって犯罪に巻き込まれていた事を知った多田羅さん。
せめて自分の名前が使われた会社を消し去りたい。
そう願っている。
パナマ文書に含まれていた日本の一般市民の個人情報が何者かによって盗まれた上香港に流されペーパーカンパニーの設立に相次いで悪用されていた事がNHKと香港のメディアの共同取材で初めて明らかになりました。
盗まれた個人情報を悪用しペーパーカンパニーを設立していた日本の投資会社。
取材は今も続いている。
パナマ文書からは新たにアジアとヨーロッパにまたがる美術品取引を巡る疑惑も浮上。
イタリアのジャーナリストと連携し取材を始めた。
権力者や富裕層そして犯罪者。
現代のさまざまな欲望を覆い隠すタックスヘイブンの闇。
私たち自身が知らないうちにその闇に引き込まれる危険性も新たに見えてきた。
パナマ文書。
その全貌を明らかにするための追跡はまだ続く。
2016/11/27(日) 21:00〜21:50
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「追跡 パナマ文書 衝撃の“日本人700人”」[字]

史上最大のリークといわれる「パナマ文書」。NHKの取材で、新たな日本関連の文書の存在が明らかになってきた。「パナマ文書」と日本の“知られざる真実”に迫る。

詳細情報
番組内容
史上最大のリークといわれる「パナマ文書」。各国の権力者やその親族の隠れた資産運用の実態を白日の下にさらし、世界に大きな衝撃を与えた。NHKは今年6月から、パナマ文書を分析する国際プロジェクトに参加。新たに日本関連の膨大な文書を発見し、少なくとも700人の日本人の存在が明らかになった。これまで明らかにされてこなかった「パナマ文書」と日本の“知られざる真実”に、海外メディアとの共同取材で迫る。
出演者
【語り】松重豊